2013年4月26日金曜日

ゴルフⅦ 「さまよえる合理性の極地」

  「ゴルフというクルマ」と「マツダというブランド」はある意味でよく似ている。それはどちらも、かつては「安物」という表現がよく似合う「模倣」だらけの存在だったが、今では開発を続けて来た20年あまりの歴史そのものが評価されるようになってきている点だ。だからという訳ではないだろうが、「マツダ」のファンは「ゴルフ」が嫌いだったりするし、「ゴルフ」ユーザーは「マツダ」ブランドを軽くみる傾向にある気がする。

  「ゴルフ」がクオリティカーとして評価できる装備になったのは、2003年に発売された「ゴルフⅤ」からである。それ以前の「ゴルフⅣ」までのモデルはエンジン、足回りともに、現在の日本車の最廉価車と大きな差はなく、重くて燃費が悪くて、止まれないというヒドいクルマだった。ただ1点大きく優れていたのは、ほとんど特別なコストをかけていないのに、日本価格で250万円で売ることが出来たので、貢献利益が非常に大きかったことだ。当時のライバル車のホンダ「シビック」はスポーツカー並みの4輪DWBを履いていたし、トヨタ「カローラ」はカローラ史上最高レベルの豪華装備を誇っていた時期だった。よって日本車の採算ラインはゴルフよりも圧倒的に高く、値引きが自在にできるゴルフにしばしば負けるようになった。

  当然ながら「過剰品質」のシビックやカローラは、コストの見直しを図り始めた。これまでの品質に満足していたユーザーからは、当然ながら不人気になっていった。その一方で2003年のタイミングで発売された「ゴルフ」はこれとは逆の高品質化に舵をとった。ここでVWが巧みな戦術を駆使する。高品質化といっても欧州と日本に投入するモデルのみを「ゴルフⅤ」として新型化する一方で、既存のゴルフⅣの生産ラインを南アフリカやメキシコに移設し、「ノックダウン」方式で2006年まで「ゴルフⅣ」も平行して生産が行われた。新興国市場ではカローラにコスト面で迫り、一方で欧州の新たなライバルのフォード・フォーカスを始めとする「フォードグループ」の新型ハッチバック(マツダアクセラなど)を「ゴルフⅤ」で迎え撃った。

  この「ゴルフⅣ」と「ゴルフⅤ」はあまりにも方向性が違うクルマなので、VWもかなり意図的に4年にも及ぶ「2世代共存体制」を取ったが、まさにこの4年間こそが日本市場におけるカローラとシビックを運命を決めてしまったと言える。トーションビームを履いたカローラやシビックと比べてマルチリンクを履く「ゴルフⅤ」は性能面で有利だった。まだマツダアクセラは日本には浸透していないマイナーな存在だったし、スバルインプレッサはハッチバックモデルが存在していなかったので、日本市場でのゴルフはライバル不在といえる存在となり、その評価はどんどん上がっていった。2000年代のゴルフは絶妙な戦略を駆使してそのブランド価値を上げたと言える。 (次回に続く)

↓ダウンサイジング特集なのでゴルフⅦが登場しそうです。この雑誌は輸入車と日本のクオリティカーのみを扱うのでとても素晴らしいと思います。

2013年4月24日水曜日

レクサスHS 「国内引きこもりレクサスモデルの実力は?」

  レクサスの本場アメリカ市場で「HS」がとうとう生産中止となり、現在では日本とハワイでしか買えなくなっているらしいです。正月明けからずっと日本向けのレクサス公式サイトのオープニングページを飾って来たので、FMCと思いこんでいましたが、どうやらMCだったようです。北米向け公式サイトでは旧型ISの限定車がトップを飾り、日本向けはこの「HS」を強烈にプッシュで、日米どちらもレクサスの在庫処分が行われていたようです。

  このクルマはハイブリッド黎明期にトヨタが作ったSAIというセダンを元にしたレクサス車です。発売当初は斬新なコクピットの設計などがウケてかなりの台数が出ていて、しかも現在も中古車市場ではかなり人気が高いようです。ただトヨタのHVシステムが急激に進化して来て、カムリHVが日本でも発売されると、基本システムの古さが災いしてSAIとともに販売不振に陥りました。現在ではトヨタ・レクサスの高級車には全てハイブリッドが用意されていて、燃費や走行性能に優れるカムリHVのシステムがクラウンやレクサスISにも使われています。それでも設計が多少古いクルマでも日本でならトヨタの営業力でいくらでも売る事ができると判断したのか、「HS」をモデル廃止にはせずに日本市場だけのためにMCを敢行しました。派手に外装を変えていて、どうやら乗り換えを煽っているようです。

  なぜ「HS」を廃止しないか?についてはトヨタとしては多少「意地」になっている部分もあるのだと思います。今、売れるクルマだけを作っていてはいけないということを経験上わかっているからというのがトヨタの判断ではないでしょうか。実際にラインナップの「多様性」という意味では「レクサスHS」は、「マークX」よりも存在意義はあるような気がします。トヨタにとっては「マークX」はもはや伸びしろがないモデルになっていますが、「レクサスHS」は今後も新たな自動車の機能を付加していく「実験台」として格好の素材と言えます。HSのように「カッコいい」や「ドイツ車っぽい」というベクトルとは真逆の方向性で自動車の価値を追求することは、メルセデスやBMWに対してトヨタが「絶対的な優位」を確立して保持するためにとても重要だと思います(マークXを今のまま改良してもBMWには勝てないクルマにしかなりません・・・)。

  もしかしたら、2代目「HS」は「燃料電池車」として登場するかもしれません。レクサスLSやクラウンがいきなり「燃料電池車」になったらさすがに衝撃的で、せっかくのブランドイメージが台無しになるかもしれません。しかし「HS」ならば、特に問題もなく受け入れられ、大きなブランドイメージ向上につながりそうです。それ以外にも「HS」の次期モデルには「無限の可能性」があります。例えば「シトロエンDS5」のようなエレガントなボディをまとった、エスティマと共通の車台のクルマになって登場しても魅力的です(というか間違いなく売れます)。どんなに予想外に進化しても全てが肯定的に受け入れられそうな「高級車」は世界を見渡してもこの「HS」だけではないでしょうか?(あっさり1代限りで廃止かもしれませんが・・・)

↓イギリスの子供用の図鑑。大人も十分に楽しめる内容です。

2013年4月23日火曜日

レクサスIS 「イタリアの風は吹くのか?」

  新型ISのデザインの「肝」は、アルファロメオのような「斬新さ」を、プレミアムブランドのフォーマットに上手く取込んで、まったくといっていいほどに「既視感」を感じないものに仕上げたことだと思う。レクサスの取り組みにおける「新型IS」は、LFAなどの特別なモデルで実験的に行ってきた「新しいブランドコンセプト」をついに量販車へと搭載する第一号のクルマになっている。そもそもLFAは「スーパーカー」としてデザインされているので、どうしてもスーパーカーの「本場」イタリア車のイメージがどうしても重なってしまう。新型ISもそのデザインを受け継いでいるので、当然ながらどこか「イタリア車」のような華飾が印象的だ。

  新型ISはドイツ車をライバルと公言して開発されているせいか、「アルファロメオ」ようだという感想を持たれることは少ないのかもしれない。しかしその影響は大きく見てとれるし「アルファ」の新作セダンと言われても納得してしまうようなデザインだと思う。デトロイトショーで発表された時から、ドイツプレミアムへの「コンプレックス」を少しも感じさせない「スケールの大きな」デザインであったし、新型アテンザがドイツ車への対抗意識を丸出しにしたデザインへと「変貌」したのとは一線を画した「大人のコンセプト」を体現していた。

  ドイツ車に勝つために、イタリア車の雰囲気を拝借したとも言えるが、このアイディア自体はまだまだ他のメーカーが目を向けていないものだし、「エッセンス」を上手く取り入れて「オリジナル」なものにしていると思う。ただこの「イタリアのエッセンス」は早くも今後グローバルプレミアムカーのデザインの一つの流行になるのでは?という気配を見せ始めている。新型ISより早く登場している「イタリアン」エッセンスのクルマが、フィアットグループの米国メーカー・クライスラーのブランド「ダッジ」のCセグプレミアムセダンの「ダート」だ。同じフィアットグループのアルファロメオ・ジュリエッタの車台を使ったオシャレなセダンで、フロントデザインこそダッジの一員を示す「豪快なグリル」だが、サイドやリアのデザインは紛れもなく「イタリアン」になっている。

  新型ISのデザインは北米で行われたそうだが、日本で見ているとまるで「突然変異」のように出て来たように思われるが、このデザインの採用を後押ししたのは、恐らくこのダッジの「ダート」が北米市場で新たな潮流を起こしているのを敏感に感じ取ったもののように思う。「ダート」はやや行き詰まっていたダッジブランドに再び生命を吹き込む象徴のようなクルマであり、「新型IS」も混迷を極めていたレクサスデザインに新たな方向性を見せるクルマになるような勢いを感じる。全てのプレミアムブランドはまずは北米を目指し、その後中国へと「溢れて」いく。北米と中国でヒットする為には、頂点にあるメルセデスに匹敵するほどの「押しの強い」フロントこそが「正攻法」と考えられてきた。アキュラ・インフィニティ・キャデラック・リンカーンといった有力プレミアムブランドが「鉄仮面」のような強烈なフロントを競いあっているが、「ダッジ」と「レクサス」は「イタリアン」という新たな方向性を見出したようだ。今後の「プレミアムセダンデザイン」の流行がどのように推移していくかに注目したい。

↓レクサスLFAのような「ポップで柔らかい」デザインで北米を制してほしい気もします・・・

2013年4月21日日曜日

ボルボV40 「ハッチバック大本命に急浮上」

  日本メーカーが日本市場でどれくらい本気でハッチバックを売ろうとしているかは、なかなかわからない部分もありますが、「もっとやればできるだろう」と思っている人も多い気がします。日本車(オーリス・インプレッサ・アクセラ)もそれなりに素晴らしいクルマなのですが、他のクルマを全部排除して、これを買いにくるか?というといまいち「押し」が足りない気がします。程よい排気量のエンジンとドライバビリティ溢れる足回りを考えると、輸入車には全く負けていません。しかしそこには日本メーカーの「あまり売りたくないオーラ(フラッグシップを買ってくれオーラ)」が滲み出ていている気がします。(現行のスバル・インプレッサに関しては、この「逆」を行く戦略で販売を伸ばしてますが・・・)

  そんな「ジレンマ」を抱えた日本のCセグに対して、攻勢を強めているのが欧州車です。ブランドの知名度に圧倒的に優れる「メルセデス」が発売した新型Aクラスは、「ネームバリュー」だけで予約が殺到したようです。その影に隠れてやや地味な存在になっているのがボルボV40ですが、各種メディアへの露出が非常に多く積極的なプロモーションが見られます。中国資本メーカーですが、生産はベルギーで行っているそうで「高品質」と「最高の安全性」を謳っていて、日本の消費者にも十分アピールが浸透しているように感じます。価格設定も日本車を強く意識したものになっていて、マツダが今年の夏に新型アクセラを発売しますが、話題のHV仕様に「Lパッケージ」なる最上級グレードを作ったとしても、V40との立場を考えると価格設定(230〜270万円?)にかなり困るのではないかと思います。

  もともとは「アクセラ」も「V40」もフォードグループの兄弟車で、基本的な設計を含めかなりの部分の共有が行われています。欧州フォードの「フォーカス」も同じ設計で、この3台を合わせれば欧州最大のシェアになるというほどに実績のある「パッケージ」なので、この3台はどれを買っても大きな「ハズレ」はないと思います。そんなハッチバックの本場でVWを上回っている「旧フォードグループ」のハッチバックが、別々に進化して日本で改めて争っているわけですが、ほぼ同性能のシャシーだと考えるとエンジン出力を考慮にいれてもボルボの「V40」はかなりお買い得に思います。日本メーカーの中でもコストパフォーマンスに優れるマツダを「悩ませる」ほどです。本体価格269万円で「世界最高の安全性」が買えてしまうのはなかなか価値のあることだと思います。

  実際に「V40」の評価はかなり高く、某有名比較サイトでは「レクサスCT」「BMW1シリーズ」「メルセデスAクラス」との比較で断トツの支持を受けていました。その賛辞の言葉を見ると、「クルマとしての本質で他車を圧倒している」というものが多く、結果的に他の3台は価格に見合った動力性能を持っていないという評価でした。ボルボがマトモなクルマを作った結果、他のプレミアムカーの存在が問われてしまっています。プレミアムカーだけでなく、より低価格でV40と同等の性能を持っている日本車に対しても、このV40は「クルマの売り方」一つの方向性を見せていると思います。基本性能の高さに加えて「安全」というボルボのストロングポイントが明確に表されているクルマだから、消費者は買う価値があると感じるのではないかということです。アクセラやインプレッサ、オーリスももっと「メジャー」な存在になるためには、何らかの独自の「価値」を打ち出す必要がありそうです。


↓「V40のすべて」がアマゾンで売り切れになった模様です。「新型Aクラスのすべて」もすぐに売り切れたので、ハッチバックへの日本の消費者の関心は非常に高いようです。

  

2013年4月19日金曜日

BMW4シリーズ 「日本へ向けたスペシャリティカー」その2

  BMW4シリーズクーペは、あくまで予想ですが、480万円前後でベースグレードの本体価格が設定されそうです。この新型クーペ(4ドア車もあり)に競合するクルマとしては、アウディA5がありますが、こちらはAWD(クワトロ)のみの設定で、当然ながら580万円〜という高価格な設定になっています。このA5のコンセプトを盗んだと思われる4シリーズですが、価格設定については別の路線をとると思われます。もしBMWが「4シリーズ」を対抗して550万円〜くらいの設定にしたら、完全に失敗するでしょうし、そもそも駆動方式が大きく違うこともあり、価格差があっても当然だと思われます。アウディA5も割高な価格が災いしてか、決して成功しているクルマではありません。BMWとしても、むざむざとA5の「二の舞」になることは避けると思います。

  4シリーズとシンクロするように登場すると言われているのが、「レクサスRC」というISのクーペです。トヨタとBMWは今や「チーム」みたいなものなので、同じ方向でDセグクーペを「独立」させて新車種を投入するようです。価格帯も見事に「ガチンコ」と思いきや、RCはベースの3.5Lモデルと「F」の5Lモデルの2グレードが予想され、580万円前後〜になりそうです。ライバルのアウディA5やレクサスRCを出し抜いた価格に抑えた(おそらくそうすると思います)「4シリーズ」は再びBMWを「Dセグ」の主役に復権させるほどのヒットの可能性もあるのではと思います。

  そんな4シリーズには倒さなければならない宿命のライバルがいて、それが日産の「スカイラインクーペ」です。先代のE92(BMW3クーペ)が北米市場でVC36(インフィニティGクーペ[スカイラインクーペ])に完敗するという「BMWの黒歴史」の雪辱に燃えているはずです。そのためかE92から新型4シリーズの変化としては、スカクーを超えるほどの迫力あるエクステリアに仕上げていて、「どこから見ても飽きさせない」外装へのこだわりを感じます。既存のアウディA5・VC36スカクー・ヒュンダイジェネシスクーペといったDセグクーペをまとめて「まくって」しまうほどの出来だと思います。

  いままでBMWは「質実剛健」だけど「ハイセンス」なエクステリアで、同じ路線の「ボルボ」と並んで、日本人の中間層に予々好評を得てきました。しかし日本車が次々と「グローバルカー」となり、輸入車のような「ブランド戦略」に基づくデザインに着手するようになり、BMWやボルボのデザインはそれほど個性的なものではなくなってきました。そんな日本のトレンドに敏感に反応して、日本市場に向けて作ってきたクルマの第1弾が「新型4シリーズ」のようです。「抜群」と言える新しいエクステリアに加え、「パワーユニット」を選べるというBMW本来の長所が生きて、直4の2Lターボ(170ps)搭載のモデルなら400万円台で登場すると思われますが、この「価格設定」も日本でのDセグクーペ人気が「再燃」する契機になるかもしれません。

  日本価格では新型スカイラインクーペとはほぼ同価格帯になるようです。エクステリアデザインの向上と「4ドアグランクーペ」の設定だけが、実質的な対スカクーの「強調点」ですが、それに加えて、BMWは日産よりも日本市場を重視した高級車を作り続けているという点もこの「対決」にかなり影響しそうです。日本市場を「愛してやまない」BMWとそのファンの「絆」は強く、ファンに背を向け続けていて「脱日本化」している日産より日本市場では歓迎されそうな予感がします。

↓正月のデトロイトショーは今年の「Dセグ大決戦」を予感させる圧巻の内容でした。
 「レクサスIS」「インフィニティQ50(スカイライン)」「BMW4」の3台が揃い踏みでした。この3台全部欲しいくらいですね・・・。

2013年4月16日火曜日

BMW4シリーズ 「日本へ向けたスペシャリティカー?」

  BMWはさすがはトヨタが認めたパートナーだけあって、日本のユーザーのことを第一に考えたような、「気の効いた」クルマを造り続けてきました(ように思います)。そんなBMWの開発陣も、昨今の日本試乗の好みの変わりっぷりには、やや混乱させられているようです。F30(BMW3セダン)もかなり上手に作られているとは思いますが、日本人が「厚かましく」もBMWに要求する水準はもっと高いものになっているようです。

  いまの多くの日本のクルマオーナーにとって「魅力あるクルマ」でいることはかなり大変なことだと思います。日本で多く売れている「軽自動車」や「コンパクトカー」の販売の多くは、小規模ビジネスなどにおける「営業車」として売れています(プリウス・アクアは除く)。よってクルマを所有しようと考える人は、このような「営業用」のクルマとは違う「クオリティカー」を好みます。そのクオリティカーも「200~400万円台」と「700万円以上〜」の二極化しています。500~600万円台は実は日本市場では「デットゾーン」になっていて、この価格帯に収まるクルマは軒並み「大苦戦」していて、姿を消すクルマも相次いでいます。ちょっと例を挙げると「クラウンマジェスタ」「レクサスGS」「ホンダレジェンド」「日産シーマ」といったところでしょうか。

  BMW5やメルセデスEもこの「デッドゾーン」に入っていて、販売がかなり低迷しているようです。もちろん700万円以上の価格帯のクルマがこれ以上に売れているというわけではないのですが、700万円を軽く超えてくるクルマとなると、それはまさに「選ばれた」クルマなので、お金持ちにはかなり喜ばれるようです。日本車でいうと「レクサスLS」「日産GT-R」くらいしかありません。どちらも「世界最高」といえるクルマです。「手組み」で作られるフェラーリやランボルギーニは別格として、ラインで作るクルマで700万以上となると、輸入車でも相当満足度が高いクルマになります。「メルセデスS」「SL」「CL」「BMW6」「BMW7」「パナメーラ」「カイエン」「911」「ジャガーXJ」などなど・・・。このクラスのクルマを一度所有してしまうと、もう下のレベルのクルマに乗れない気がしますね。


  日本人はクルマ(特に輸入車)に対して「盲目的」と言われますが、実は案外シビアな眼を持っていて、700万円以上のクルマでなければ、日本の約300万円の「クオリティカー」で十分に代用が効くレベルだということも分かっています。よって「頂点」を目指さないクルマは、日本のクオリティカー(スカイライン・オディッセイ・レガシィ・アテンザなど)と競合する程度まで価格を抑えないといけません。輸入車の中には「非クオリティ」のくせに300万円もするクルマがあったりしますが、そういう「情報弱者」をカモにするクルマを作ることで一定の利益を上げることもできるでしょう。しかしBMWはそういう商売はしない素晴らしいメーカーです。

  BMW4シリーズは一般にはBMW3クーペのグレードアップ版と認識されているようですが(事実そうなのですが)、BMWが意図することは実は違っているのではと思います。ぎりぎり400万円台に抑えた新型モデルを出来るだけ豪華に作って、5シリーズの販売を補完するようなクルマを目指している気がするのです。レクサスISやスカイラインと十分に競合する価格帯で、それらのクルマよりも日本人の感性を刺激できるクルマが「BMW」なら作れるという自信が、この4シリーズの「隠されたコンセプト」ではないでしょうか。

(次回に続く)

↓とうとうR35も「終了宣言」が出てしまったようです・・・。水野さんの面白いインタビューを一度でも見たら、誰でもR35に乗ってみたくなりますよね。



  
  

  

2013年4月13日土曜日

BMW4シリーズは「グランクーペ」のため・・・

  ドイツ車は今まで「セダン」作りにおいて世界をリードしてきた(と考えられている)。しかし現在のセダン市場の「地盤沈下」が日本などで起こっている中で、ドイツプレミアムセダンは価格に見合った価値を提供しているのか?という疑問を感じている人が案外多いのではないだろうか。去年までは日本のセダンに比べ好調だったのだが、日本メーカーのテコ入れが進み状況は大きく変わりつつある。レクサス・マツダの新型セダンと比べてその存在感は大きく薄れている。2000年代後半までは、急成長のアウディの革新的デザインに引っ張られて、MBもBMWもまだまだ進化の予感が感じられたのだが、ここに来て「御三家」揃ってセダン作りの方向性を見失っているような気がする(D・Eセグともに)。

  2000年代のドイツプレミアムセダンに勢いが感じられたのは、メルセデスが最初に発表した「4ドアクーペ」のイメージにブランド全体が引っ張られたからだと思う。当然ながらこの「派生スタイル」は、現在ではMB・BMW・アウディそれぞれのブランドで「セダン」に代わる存在へと成長している。セダンスタイルに強いこだわりを持っているだろうと、勝手に想像していたBMWですら、意外とあっさりとこの新しい「潮流」に乗っかってきた。MBとBMWは特に「味をしめた」らしく、それぞれ独自に「新しい4ドア車のスタイル」を生み出すアプローチを進化させ車種を増やしている。その情熱はかなり熱いようで、もはや従来のセダンの開発は「放棄」したかのようである。


  現行のE92(BMW3クーペ)はBMWのラインナップにおいて、最も影が薄いクルマかもしれない(それくらいに地味だ)。それでもフロントデザインは紛れも無く「BMW」で、E90(セダン)後期型のようなMC後の「豚鼻グリル」への変更もなく、格調高いフェイスを保っている。それでも2010年MCの後期型はどこか全体的に安っぽい仕上がりに見えてしまう。特に車体の後ろ半分のデザインの「無味乾燥」そのもののサイドパネルがとても間延びして見えてしまう。日本では「2ドア車」自体が珍しくなって来ているので、この手のクルマに「ネガティブ」なイメージはあまり無かったりするが、北米で売られている2万ドルのアコードクーペなどと見比べるとサイドのデザインはほとんど差がないので、プレミアムブランドとしてもっとスペシャリティ感がないとほしいとは思わない。2ドアクーペの本場アメリカのフォード・マスタング(2万ドル)のサイドデザインの流暢さと比べると、全体的にセダンベースのクーペのサイドデザインはかなり劣る印象だ。

  そこでついにBMWが打ち出してきたのが、セダンとクーペを車種から別のものとして扱うという方針だ。新たに「2シリーズ」と「4シリーズ」を展開し、セダンから「ツーリング」を、クーペから「グランクーペ」を派生させるという展開をC(「1」「2」)・D(「3」「4」)・E(「5」「6」)の3セグメントで行うということらしい。確かにセダンから同じ4ドアの「グランクーペ」が出来てしまうのは都合が悪いし、体のいい「価格差」を作る必要があるのだと思う。

  BMWは従来からセグメントを超えた「エンジン共用」を行っているが、そこにはパワーに見合った価格差が織り込まれている。よって「3」と「4」(の価格差)を分ける大きなポイントは内外装のデザインに尽きると言っていい。モーター誌が軒並み「4投入による値上げ」を危惧しているが、デザインをやり直してその開発費を賦課する分の適正な値上げであれば問題ないと思う。それよりも(私には)まったく魅力を感じない従来モデルが400万円以上することの方が異常な状況だ。新型4シリーズの登場を素直に歓迎したいと思う。

↓3シリーズの「無機質」さとは対極のデザインを4シリーズには期待したいですね。往年のジウジアーロ・デザインのようなレトロなスパイスの効いたクルマを期待したいです。159&ブレラの復活みたいな・・・

2013年4月10日水曜日

新型レクサスIS ついに登場・・・その2

  去年FMCを迎えたレクサスGSは、レクサスの新型グリル車として発売されましたが、日本市場では初期出荷だけで終わってしまった印象なのが残念でした。調子が出なかった原因は新型グリルではなく、目玉グレードのHV仕様「450h」の価格設定がちょっと手を出しづらいところだったのが影響したと思います。

  さらに従来からある3.5LのNAもこのクラスのクルマにしては印象が薄い気がします。いまさら「GS=アリスト」と言うつもりはありませんが、3Lターボのアリスト(450万円)よりもパワーもあって燃費も若干は良くなっていて、内装も格段にレベルアップしていて、車重もすこし軽くなっているくらいの「GS350」(580万円)は価格差は埋めて余りあるくらいの出来のはずなのですが、「直列6気筒ターボ」を積んでいたアリストの方が、クルマ好きに「ドキドキ」を与えていたような気がするのです。ちょっと失礼ですが「ただの高級車」のGSと「世界最速スポーツセダン」のアリストではユーザー層も変わってくるでしょうし、トヨタとしてはアリストの「ブランド」を上手く、初代GSに引き継げなかっただけでなく、2代目GSもアリストを超越したイメージを発信することができていないと思います(まったく考えなかったのでしょうか?)。

  さて新型ISですが、こちらも日本のレクサスでは2代目になりました。前身車種である「アルテッツァ」がなかなかの人気車種だったせいもあって、初代は「レクサスのベースグレード」としての評価でそこそこの販売を確保したようですが、クルマ自体の評価で「アルテッツァ」を超えたという評判はついには得られませんでした。そもそもアルテッツァは「軽量FR」というトヨタ開発陣がやたらとこだわるコンセプトのクルマなので、現行レクサスISとは方向性がかなり違うもののはずなのに、トヨタは騙し騙しISを都合良くイメージを付けて売ってきたと思います。

  現行のISがアルテッツァの後継で同じプラットフォームのものを使っているのも事実で、初代ISはクルマの「キャラクター」としては曖昧な部分がありました。極端に言うとレクサスのお手本とされるアウディのラインナップで「A4」に当てはまるのが「IS」なのですが、アルテッツァは軽さが身上の「TT」をセダンにしたような位置づけのクルマになると思います。アルテッツァをベースとする初代ISは、アウディにおける「A4」なのかそれとも「TT」なのかをごまかしながら、8年もの長いスパンで売り続けてきました。

  2005年のレクサス開業当初は、「とりあえずレクサスオーナーになりたい」という人も多くISの販売も堅調だったようですが、レクサスでのHV展開が始まり、最廉価モデルではなくなった現状では、クルマ本来の魅力がないと販売につながらなくなっています。トヨタももちろんそれを自覚していて、かなりの「覚悟」を持って、今回のFMCに臨んでいるのが伝わってきます。

  新型ISはもはや「アルテッツァ」の影はまったく感じないクルマへと進化したと思います。「アルテッツァ」的なクルマ(軽量でスポーティ)を求めるユーザーには、とりあえず「86」が用意されたので、ISは全力で「脱アルテッツァ」に振っているのかなと思います。この振り幅が結構大きくて、トヨタ(レクサス)待望の「新型セダン」といってもいいくらいの変貌ぶりです。トヨタの開発者も「少なくともメルセデスやBMWと同等以上の車体剛性」という、なかなかの「上から目線」っぷりでコメントしていましたが、この言葉の真意は「MBやBMWのDセグなんて分解したけどたいした出来ではない」というトヨタの本音があるように思います。その上で「新型ISはドイツのプレミアムDセグのような南アフリカで作られるテキトーなクルマとは根本的に違います」という想いもあるのではないでしょうか(今までのISを棚に上げての発言が気になりますが・・・)。



  ↓トヨタはこのクルマをどう料理してくるのでしょうか?BMW製の直6ターボ搭載モデルを追加とかしそうですね。
  

2013年4月8日月曜日

新型レクサスIS ついに登場・・・

  いよいよ来月に新型ISが発売されることが、レクサスの「意味不明」なプロモーションビデオでほのめかされています(あの動画の主旨がまったくわかりません・・・)。クラウンは先代のシャシーをそのまま使ったそうですが、新型ISは新しいプラットフォーム(GSと同じ)が投入されていて、デザインも車体の大きさも変更になったので、トヨタのいつものFMCとは違い「新型車」登場の感が強いです。

  新型ISの特徴を端的に言うと・・・、ミドルサイズ(Dセグ)のプレミアムセダンは一般的にダサいけど、このクルマは「ただならぬ気配を感じさせる」フロントデザインのおかげで「独特のオーラ」が出ていてとてもいい感じでしょうか・・・。どこか「影」があるような不思議な魅力が宿っています。このクルマなら駐車場でとなりにBMW5やメルセデスCLSが停まっていても、全然遜色ないくらいの存在感があります。となりにフルサイズセダンが来るとBMW3やメルセデスCなどのISのライバル車は「カローラか?」というくらいに存在感が無くなってしまう難点があったので、その問題に真摯に取り組んだレクサスのデザイナーは素晴らしいと思います。

  せっかくの新設計もエンジンの設定がクラウンアスリートとまったく同じ3グレードなので、ちょっと「新鮮さ」がない気もしますが、「FR車なのだから6気筒エンジンを積むのは当然だ」と言わんばかりのトヨタの姿勢は決してブレてないです。「FR」なのに「直4ターボ」ばかりのラインナップ(FRの必然性を感じない)でデザインも平凡極まりないライバル車のポリシーも何もない「醜態」は見ていて気の毒に思うくらいです(情報弱者をカモにするブランド商法か?)。現実に「プレミアムDセグメント」はほとんどユーザーをナメてるとしか考えられない悲惨な状況が続いています。BMW3・メルセデスC・アウディA4はちょっと調べれば誰でも分かるくらいに矛盾だらけで「???」なことが多いです。そんな「暗黒セグメント」のイメージを変えてくれるのではないかと期待できるほど、レクサスISは全く「別次元」の出来映えのクルマだと確信しています(Dセグでもフラッグシップカーのような扱いをするのがレクサスの良いところですね)。

  トヨタがレクサスというチャンネルを使って、「日本で作る日本的高級車」を世界に売り出しているという事実は、今さらながら素晴らしいことだと思います。インフィニティやアキュラが日本のユーザーには縁が薄い存在なのに対し、トヨタはバブル期の日本の自動車産業が生み出した「世界で最もコンフォータブルな」品質で世界に勝負しています。たしかに車体価格は高いですが、日本車が本来持っている優越性を守りつつさらに進化させ、今やメルセデスを超える支持を得ている地域もあるほどに躍進しています。インフィニティもアキュラも同様ですが、プレミアムブランドというコンセプトはドイツ的ではありますが、実際に売っているクルマは日本車としてのパッケージを「芯」として強く持っていて大いに好感が持てます(スカイライン・アコードなど)。レクサスも国内専用車のクラウンと同じエンジンを使うことで「新型IS」は紛れも無く「日本車」だと示したいということなのかもしれません。


↓新型レクサスISは間違いなく歴史に名を残す「名車」になると思います。

2013年4月6日土曜日

ボルボS60T6AWD R-デザイン・ポールスターはR34GT-Rの復活か?

  MBやBMWのスポーツタイプセダンが相変わらずV8エンジンを載せて新型モデルで登場して、0-100km/hで4秒を切るタイムに突入させたりしている。その一方でベース車は徹底的にコスト削減をして直4ターボの「カスカス」スペックで、車重を考えたら1.8Lのカローラより遅いのではと思えるクルマに落ちぶれている。これも販売戦略なのだろうが、「二極化」が酷すぎる・・・。ベース車だって「プレミアムブランド」のクルマとして、十分にもったいぶって売っているくせに。本物のMBやBMWに乗りたいヤツは1000万円払えということか・・・。

  そんな極悪非道なドイツメーカーに対して、スカンジナビアンブランドの「ボルボ」はかなり良心的だ(と思う)。主力セダンのS60の6気筒搭載モデル「T6」をベースにスポーツチューンモデル「ポールスター」を展開している。トップエンドでなんとたったの620万円で、ストレート6ターボ搭載のベースモデルで504万円しかしない。この価格設定は偶然か意図的かどうかわからないが、同じストレート6ターボ&4WDのかつての名車、R34スカイラインGT-Rとほぼ同じだ。ボルボとR34を比べると車重も車高もサスも大きく違うし、駆動方式も根本的には別モノなのはもちろん承知しているが、クルマの存在意義としては、今の日本市場の中ではR34GT-Rのポジションを継承できるクルマじゃないかという気がする。

  「セダンでスポーツ走行が楽しめる」というコンセプトのクルマは今やMBやBMWに限らず、レクサスIS-FやアウディRS4やS4など1000万円くらいするのが当たり前になってきている。これらのプレミアムブランドでは、かつてのR34の価格(600万円)では、「カローラより遅い」ベースグレードしか買えない。このボルボS60ポールスター(620万円)はそういう意味でもっともっと評価されてもいいクルマなんじゃないかと思う。

  この前の日経新聞に20年前の売れ筋のクルマ(カローラ・クラウン・マークⅡ)と現在(アクア・プリウス・N-box)を比較する記事があった。これだけ見ると、最近では「価格が安くて低燃費のクルマが流行」の印象だが、自動車メーカーに「尻尾をフリフリしている」日経新聞なのでしっかり肝心な情報が抜いてあった。1992年のベストセラー「カローラ(102万円)・クラウン(261万円)・マークⅡ(181万円)」に対して2012年は「アクア(169万円)・プリウス(217万円)・N-box(126万円)」と書かれていたらだいぶ印象が違うのではないか・・・。

  クルマが売れなくなった理由は消費者がお金を掛けなくなったわけではなくて、単純にクルマが高くなり過ぎたのが理由ではないか? そしてクルマ全体の価格をつり上げてているのが、1000万円クラスのプレミアムブランドのクルマ達だ。それらと比べれば、クラウンやスカイラインの「400万円」は安くすら感じる。ただそんな「クレイジー」な状態ではクルマはどんどん売れなくなるだろう。スバルのインプレッサ(184万円)やマツダのアテンザ(250万円)が好調なのは、その点を真摯に受け止めて良いクルマを適正価格で売ろうという姿勢が評価されたからではないか?

  ボルボS60T6のベースは3Lのストレート6ターボで504万円だ。輸入車ということを考えれば、かつてのトヨタの大ヒット車「アリストターボ」と同じくらいのお買い得感がある。車体剛性に定評があるボルボなら300馬力超でブン回しても、耐久性は高そうなので安心だ。車重もアリストターボとほぼ一緒で加速に関しては4WDなので上回るだろう。ハンドリングに関しても旧フォードグループ(マツダなど)なので、FF車最高水準の技術は持っているはずだ。一度ぜひ試してみたいクルマだと思う。


↓昔の「安全設計」のボルボから、「価格破壊」のボルボに生まれ変わっているのかな。今後の新モデルに期待したいですね。







  

2013年4月3日水曜日

スバルWRXコンセプトがチャラくなって登場

  先日、公開されたスバルのWRXコンセプトを見て多くのスバルファン(スバリスト)はどう思ったのだろうか?スバルのこれまでの「STIモデル」にまったく興味がなかった人(私もその一人)から見ると、いままでの「ダサい&ムダ・スペック」(ごめんなさい)から突然に「現実的」なクルマになっていて「選択肢」に入っちゃう感じになっている。デザインも受け入れられるし、デチューンで快適燃費のドライビングカーになった印象だ。

  細かい作り込みについてはよくわからないが、これまでは色気のない市販ベース車に強力なターボエンジンを載せて最高レベルの戦闘力を持ったクルマこそが「インプSTI(=WRX)」だったはずだ。しかし今回はWRX専用のボディを用意して、最速モデルとは言い難いデチューン(1.6Lターボ240馬力だとか)を施していて、歴代モデルとは完全に方向性が違うクルマになっているようだ。スバルは自ら「最高速に未来はない」と宣言しているかのような、新型WRXの変身ぶりに驚いてしまった人も多いだろう。

  スバルファンはこの「変身」をトヨタの弊害と感じているようだ。トヨタはスバルに秘伝の「万人ウケするクルマ」のレシピを教えてクルマ作りを転換させた結果がこの新型WRXだという指摘はなんとなく説得力がある。しかしトヨタに同じようなクルマがあるかというと、思いつくのはレクサスISくらいだ。おそらくトヨタが今後強化していくと宣言しているスポーツモデルの構想の中の一つの「実験台」なのかもしれない。トヨタとしては単発的に86やスープラを出すよりも、日本市場全体でスポーツモデルの人気を復活させておきたいということだろう。

  これまでスバルと三菱はカタログモデルでスポーツモデルを用意してきたが、ブームとは無縁で限られた人の為のクルマだった。トヨタとしてはもっと一般の人が手を出しやすいスポーツカーこそが、クルマ人気の回復へのカギだと考えているようだ。傘下に収めたスバルに対して次期WRXの開発に関して「デザインに優れ、維持費が低めで、内装もオシャレな」クルマへの転換が厳命されたのではないだろうか。それを上手くやれば、MBやBMWのスポーツモデルにも匹敵する良いクルマになるという目論見は、上手く行きそうな予感がある。新型WRXがこのままのデザインで発売されれば、アルファロメオやBMWミニに群がっていた「オシャレ層」にもウケるだろうし、このクラスのラインナップが欠けている日産ユーザー(スカクー・Zなど)も取込めるかもしれない。

  昔からのスバルファンの中には失望する人もいるだろう。日本の全コンディションで最速を誇るはずのクルマが、トヨタの目論見通りに(私のような)素人が殺到するクルマになるかもしれない。プレリュードやS13シルビアのようなブームが再び起こるかもしれません。新型スカイラインと新型Zも2Lターボが投入され、さらにBMW2シリーズなる直4オンリーの「カッコつけのクルマ」も登場するのだとか。三菱ランエボとホンダシビックRが従来のベース車を使ったモデルで出すとしたら、この「チャラいクルマ」ブームから弾かれてしまうのではないか?と心配してしまいます。



↓もはや新型WRXはインプレッサではないですね。この新型デザインでレガシィとか出てくるのかな?

2013年4月1日月曜日

ジューク"NISMO"は「テンロクターボ」競争の始まり?

  1.6Lターボがどうやら新しいクオリティエンジンとして脚光を浴びているようだ。BMW・日産・スバル・三菱に加えてホンダもこのスペックが理想の小型エンジンと考えているようで、今後のCセグメントの世界戦略車に新型エンジンを搭載していくらしい。これだけのエンジンメーカーが挙って「テンロクターボ」を採用しているのだから、このスペックが今後メインストリームになっていくことは間違いないだろう。このクラスのトップランナーは自他ともに認めるVWグループだが、主力の1.4Lターボエンジンがやや非力なことから、追撃する各メーカーは性能面で優位に立てるエンジンとしてテンロクターボに自信を持っているようだ。

  ジュークターボは1.6Lターボで190馬力を発生させ、車重も1290kgに抑えられている。これが"NISMO"ヴァージョンになると200馬力で1400kgとなるので、加速性能はそれほどノーマルと変化していない。それでも元々、BMW製の1.6Lターボを大きく上回る出力を誇っていて、日産のターボ技術の高さはもうすでに十分に海外メーカーの脅威になっているようだ。ちょっと残念なのは、この日産の新しいエンジンを使うモデルがジュークだけになっていることだ。このエンジンをフェアレディZ34に載せて、車重を1300kg以下に抑え込めば、日産版のアウディTTみたいなクルマとしてとても魅力があると思う。

  日産としては、メルセデスの2Lターボを載せた新型フェアレディZを投入する予定だそうなので、それとは別にミドルクラスのスポーツセダンにこのジューク用の1.6Lターボを載せた世界戦略車を作ってほしいですね。ただどういうボディにするかというのは、悩みどころかもしれません。4.5m級のセダンまたは5ドアハッチバックというのは、急速に過去の遺物になってしまっている感があります・・・。3BOXカーは後席の居住性が飛躍的に向上しているのが最近のトレンドなので、その点で評価が高いシルフィをベースにすることもできますが、それでもルーフの高さが気になってしまいます(かっこよくない)。

   どのメーカーが「テンロクターボ」から大ヒット車を最初に出すのか?ボルボV40やメルセデス新型Aはいまいち決め手に欠くような気がします。300万出すならギャランフォルティス・ラリーアートの方がクルマとしての魅力も高いと考える人もいるでしょうし、デザインもどことなく平凡さが漂います。一方でジュークもスタイリングに癖があるので、「テンロクターボ」王者にはちょっと足りないですね。まだまだ各社ともにテンロクターボを使った魅力あるパッケージングに辿りついていないです。

  ただ今後に発売が予定されているなかで期待されているものもたくさんあります。三菱・スバル・ホンダの各社はスポーツハッチバックでガチンコ対決になるようです。ホンダは禁断のV-tecターボを出すとか・・・。メルセデスCLAにはAクラスの出力を上げたものが載りそうで、これはデザインから人気が出そうです。さらにマツダ/アルファロメオが共同で作るロードスター/スパイダーにも1.6Lターボエンジンが予想されています。さらに新たに作られるBMW2シリーズクーペもベースモデルは1.6Lターボとの噂です。とにかく同排気量で横並びでクルマの作り込みや仕上げで差がつくというのは面白いかもしれません。



↓こちらは1.6Lターボで180馬力です。トルクも含めややジュークのエンジンに劣るか・・・。

メルセデスA45AMGってつまりランエボ?

  メルセデスの「スポーツ戦略」がかなり盛り上がっているようだ。どうやら本気で唯一無二の最高のクオリティカーメーカーになろうとしているらしい。これまでのメルセデスは、どちらかというと「高級感」と「社会性」をテーマにやってきたメーカーな気がする。Sクラスのようなステータスの高いクルマや、スマートや旧Aクラスのようなセレブ向けコンパクトで他社とは一線を画してきたメーカーだ。

  それがどういうことか、去年あたりから露骨なまでに他メーカーのクルマをベンチマークした新型車をどんどん開発している。この「A45AMG」は4WDの2Lターボという日本のお家芸に完全に被せてきたメルセデスの新たなスポーツアイコンになるモデルのようだ。簡単に言うと(乱暴に言うと)メルセデス版のランエボといったとこか。メルセデスのターボ技術はそもそもは三菱の技術をベースにしていると言われている(2000年に資本提携)。ちなみにボルボやヒュンダイのターボも三菱からの転用らしい。三菱のランエボは日本以上に欧州で愛されていて、英国仕様は400馬力仕様のものもあったりと独自の「ランエボ文化」がある。A45AMGがそのポジションを狙ったクルマであることは明らかだ。

  噂によると、このA45AMGを日本で500万円くらいで発売するのだとか。まったくもってどれだけ日本の自動車ファンをバカにする気なのだろうか。喜ぶ人もいるとは思うが、12年経ったので三菱に義理立てすることなくメルセデスのブランド力でランエボのパクリを堂々と発売する神経は理解できない。やっていることはGDIエンジンを自社開発だと堂々と宣伝しているヒュンダイみたいなものだ。それでもヒュンダイは日本市場に乗り込むような暴挙はしない。ドイツの自動車メーカーはイギリスのブランド名を使って好き勝手にクルマを作るという暴挙をやっているそうだが、経営体力が乏しく看板車種のランエボやWRXの開発がままならない三菱やスバルを尻目に、2Lターボの4WDを投入してくるとは大胆なことをするものだと思う。

  次期ランエボとWRXは1.6Lターボにダウンサイジングされ240馬力程度に押さえられると言われている。それを見越したように2Lターボで360馬力というクラス最強レベルのエンジンを載せていてしかもそんなに価格もゴルフR(505万円)程度という戦略価格はさすがのマーケティングというべきか・・・。

  このクルマが「ホットハッチ」の決定版になりそうな気配がある。日本メーカーもこのジャンルにどんどん参入するようだが、いきなりの強敵出現に開発計画も暗転してしまうかもしれない。ホンダの新型シビックtype-RはFFとはいえ圧倒的な技術力を見せつけるために開発されているようだが、大きく見劣りするようだと発売する意味がないように思う。マツダのスピードアクセラはディーゼルターボという切り口が予想されるので、ある程度は差別化がされていていいが、重いディーゼルエンジンをフロントに積むとバランスを取る為に重量化が避けられない。エボXIも次期WRXもエンジンパワーで見劣ると魅力が一気に薄れてしまう(あの内装で400万はないと専らの悪評もあるので・・・)。

  とにかくA45AMGは、日本メーカーにとっては「目の上のたんこぶ」みたいなクルマになってしまうようだ。トヨタはあまり張り合う気は無さそうだし、日産はメルセデスとは盟友関係なので、表立った対抗車種は出してこないだろう。なんともしたたかなメルセデスの戦略だなと思う・・・。

↓この本で作者が熱心に「予言」していたブランドの世紀にちょっとインスパイアされました。とんちんかんな編集者相手に「ブランド戦術=己を道化にすること」と熱弁してるのが印象的ですね。