2014年12月17日水曜日

BMW2シリーズ・アクティブツアラー 「酷評を跳ね返すくらい売れるといいですね・・・」

  BMWに匹敵する「走りのミニバン」として90年代に登場し、長らく個性を発揮してきたホンダ・オデッセイが昨年のFMCですっかり様変わりしてしまいました。広くて快適なキャビンに移行して見るからに重心は高くなり、両サイドがヒンジドアからスライドドアへと変わってしまっては、ボディ剛性でBMWを追従することももはや出来なくなり、変わり果てた新型オデッセイは「国内専用ミニバン」の王道デザインにしか見えないです。見た目だけでなく足回りなども大幅に変更になり、ミニバンらしからぬハンドリングを支えていた4輪ダブルウィッシュボーンはあっさりと廃止され、トヨタ流のトーションビームへと変わっています。しかしホンダに言わせれば、現在では国内専用ミニバンのパッケージの良さが欧州でも受け入れられつつあり、旧型オデッセイのようなクルマが高速安定性を誇れる場所は、欧州であってもかなり少なくなってきているのが現状のようです。

  そんなホンダの方針転換をしっかりと裏付けるようなクルマが、BMWから発売されました。BMWは今後1シリーズなどでもFF車を展開するようですが、その第一弾となるのがこの「2シリーズ・アクティブツアラー」だそうです。傘下のミニと共通のシャシーを使うのならミニ・ブランドで良いじゃん!という気もちょっとします。これまで比較的ストイックに走りのセダン/ワゴン/ハッチバックを作ってきたBMWですが、従来のラインナップが欧州・日本・北米の成熟市場でハッキリと伸び悩みを見せていて、ライバルのメルセデスやアウディの商品力に遅れをとっているという指摘もされています。そんな評価を受けていよいよブランドのテコ入れを図る時期に差し掛かっていて、その骨子となるのが今回のFFモデルの導入だそうです。ちょっと恣意的な見方ですが、「走り」だけがクルマの価値ではないと気がついた不器用なBMWが、甲斐甲斐しく見た目にも「温もり」が伝わってくるファミリーカーを作りました!といったなんだか微笑ましい感じがするのは私だけでしょうか・・・。

  やはり素直に好感が持てるのが「温もり」ですね。メルセデス・アウディ・レクサスと揃っての最近のラインナップは、ハッチバックやミニSUVといった低価格で「ファミリーカー」用途に振ったクルマを、かなり無理矢理に「スポーティカー」として売ろうとする戦略が主流になっています。スポーティというスパイスを過剰気味に振り掛けられたそのテイストは、化学調味料で作られたイヤな辛さの激辛カレーのような「安っぽさ」と「嘘くささ」を感じてしまいます。その一方で今回のBMWはクルマの使用目的をハッキリさせたクルマ作りに徹しているのがとても良いです。この2シリーズ・アクティブツアラーだけでなく、M235iのような「スリリングなクーペ」と650iのような「優雅なクーペ」を高いレベルで作り分ける実力を持つブランドですから、その作り込まれる方向性に関しては他のブランドよりもはるかに研ぎ澄まされたものがあります。

  このスーパーブランド・BMWによって研ぎ澄まされた「ファミリーカー」は、パッケージ効率世界一を誇る日本の「ファミリーカー」と比べて一体どうなのでしょうか? まあとりあえずまともに比較する必要はないでしょう。プレミアムブランドですから、価格面では日本車とは比較するものではないですし、好きな人が惚れ込んで買うクルマという意味ではBMWの他のモデルと同じです。とりあえずウィッシュ・ストリーム・プレマシーといったクラスのミニバンに十分納得しているユーザーを取込むのはまず無理でしょう。主なターゲットは国産ブランドを「下」に見ている40歳代あたりだと思われます。変なプライドがある為に、国産車を避けてまったくオススメできないほど狭っ苦しいVWのトゥーランのようなクルマに無理して乗っている層がターゲットなんだと思います。彼らはなぜトゥーランを選ぶのか?と言われたらウィッシュ・ストリーム・プレマシーは貧乏くさくて絶対イヤだとか言いそうです。VWの低排気量の直噴ターボはNOxの排出量が非常に高い(トヨタの同型の50倍)ので、子育てには絶対にNGなクルマだと思うのですが・・・。

  そんなセレブ気どりな子育てユーザーがトゥーランから、BMW2シリーズアクティブツアラーにしたところで、BMWも悪名高い「直噴ターボ」ですから、NOxの排出に関してはまったくもって50歩100歩です。しかし、だからといって日本車のミニバンに徐々に増えて来たHVを安易に選ぶのも考えもので、これは全くの未確認情報ですが子供によってはHVの発する電磁波で気分が悪くなるというケースが、大人よりもかなり高い確率で起きるようです。結局はウィッシュ・ストリーム・プレマシーやソリオなどの小型ミニバンが使っているNAのガソリンエンジン車が子育てには一番良いということになりそうです。

  まあ日本の価値観でBMWやVWのファミリーカーにケチを付けられてもメーカーもいい迷惑でしかないのですけど・・・。それにしてもドイツのBMWサイトを見ると、この「2シリーズAT」では見事に可愛らしい小さな子供がいるファミリーがモデルが幸せそうに描かれています。なんとも良い写真だなと思っていたら、どうしたことか日本向けのBMWサイトでは同じヴィジュアルは使われていません。その代わりにこのクルマは老人や女性のシングルライフのお供に!といったイメージを喚起するものが多く使われていて、全く子供は出てきません。BMWジャパンの経験によると日本の子育て世代は新車でBMWを買ったりなんて滅多にしないので、せいぜいセレブな老人や女性が使うことを想定したクルマといった位置づけになっているようです。ドイツのサイトで描かれているような幸せそうなファミリーでの風景を見せつければ、ちょっとドリーミーな共働きの子育てカップルにはそこそこ響く気がするのですが・・・日本人なんて結局は感激してその気になってしまえばすぐにお金を使いますし。

  先日「2015年版・間違いだらけのクルマ選び」が発売されました。今ではすっかり主筆となった島下泰久さんがこの「2シリーズAT」にどのような評価を下すのかが、今回の最大の注目点でした。いやー完全にスイッチ入ってましたね・・・たとえBMWが相手だって容赦なくコレくらい言えちゃうもんね!というくらいに、BMWの確信犯に対して烈火の如く怒っています。そういえばこの方も40代でしたね。こういう風に「似非BMW」と受け止められてしまうとちょっと辛いですね。そんなに言うならばF30(3シリーズ)もF20(1シリーズ)も「似非BMWだ!」でいいんじゃないですか?どう好意的に見てもコロナかブルーバードのBMW版ですか?としか言いようがない・・・。しかもデザインは日本車よりも地味だし。

  F30やF20に比べれば、2シリーズAT(F45というらしい・・・)の方が健全じゃないですか? F30やF20は「シャレBMW」ではなく「ガチBMW」として乗っている人が多いようです。失礼ですが、見かける度に320iの所帯染みた薄っぺらい乗り味を思い出して冷ややかな気分になっちゃうんですよね。ニュルニュルと加速するZF8速ATはCVT並みのフィーリングの気持ち悪さしか感じないですし、なんだか急激なペダル操作をしたらすぐに不具合で出てきそうなヘンな恐怖感がつきまといます。大層に8速も付いちゃってますけど、肝心のエンジンには「上のゾーン」がまるっきり欠如してますからね。これで500万円って・・・冗談とか抜きで「アホか?」。ちょっと余計なことを言ってしまいました。この2シリーズATで幸せなファミリーが増えるといいですね。

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2014年12月3日水曜日

マツダCX-3 「ヴェゼルを止めることはできるの?」

  いよいよデザインが公開されたマツダの秘密兵器・CX-3ですが、写真で見る限りではどうもなんというか迫力不足な感が否めません。これまでの魂動デザインに比べて特に悪いといった点は無いのですが、日本市場で300万円近いクルマを売るならば、どんよりと漂う「無党派層」の背中を大きく押してあげるスペシャルな「何か」が欲しいです。最大のライバルは現在絶好調のホンダ・ヴェゼルですが、このクルマは実際に見積もると相当に高いです。乗り出し価格はHV車で300~350万円、非HV車でも250~300万円程度かかります。急速に街中に増えているので、個性を求めてエアロを組んでみると1.5Lガソリン車で300万円を超える見積もりが出されて、クルマ好きならば一瞬我に返って「1.5LのNAだよな・・・」となるはずです。そんなクルマが月10000台以上売れています。

  もちろんヴェゼルが売れてるにはそれなりに理由があって、「安っぽく見られないオーラ」「メルセデスAクラス的な内装デザイン」「Aクラス的な広さ」「Aクラス的なアクセルフィール」「Aクラス的なハンドリング」とまあ・・・とにかく最近のドイツ車に様々な点が類似した「狙ったコンセプト」が予想外にウケているのだと思います。ただし走りに関しては・・・熟成不足というより、そもそも何かを目指そうという意図があまり感じられません。MTモードやパドルシフトがあるのに「スポーツモード」ボタンを付けるというドイツ的なアイディアは、実際のところそれほど「商品性」の向上には貢献しない気がします。それでもメーカー側は「トレンドなのでこれは押えておこう!」と無理矢理装備に加えているようです。

  マツダとCX-3には直接関係ないですが「Sモード」についてさらに言うと、VW、BMW、スバルの各メーカーは自信を持って2〜3のモードそれぞれの「走り」を洗練させている印象ですが、日産(スカイライン)やミニはなんだか中途半端な印象を受けます。そしてホンダは・・・ヴェゼルHVの「Sモード」は無くて良かったのでは?と思えるほどに仕上がりが酷いです(失礼!)。MTモードで2速で引っ張っているのと同じなので、興ざめするようなエンジン音が容赦なく襲ってきます。偉そうに言ってしまうと、要はエンジン容量の問題であってCVTと組み合わせて熱効率で勝負する小型エンジンに、DCTを組み込んでエンジンの負荷を大きくすれば、この「不始末」は当然に起こる気がします。最初からドイツ車をベンチマークしたかのような「Sモード」ありきのコンセプトが大失敗なのだと思います。それでもくどいですが、ヴェゼルは月10000台以上売れてしまっています。

  「都市型SUV」というフランス発の怪しげなトレンドは、いよいよ日本市場を大きく覆い始めつつあります。グローバルでも欧州・中国・北米問わずに展開できるクラスとあって、各メーカーもかなり本腰を入れて開発に取り組んでいるようです。ヴェゼルの成功を横目にCX3にも大きな飛躍が期待されていますが、同じコンパクトSUVでもホンダが考えるものとマツダが考えるものには、大きな距離があるように思います。ヴェゼルHVに乗って思わず感じてしまうものは、「マツダ的な走りの要素の完全否定」だったりします。全くリニア感のないアクセル・フィールとそれを誤魔化すかのようなAクラスと同じくらいにフニャフニャなアクセルが、どうやらこのクルマの本質を決めてしまっています。

  逆に言うと、マツダ的にはあり得ないようなフニャフニャなアクセルでも月10000台以上が売れてしまうのが、日本市場の偽らざる現実のようです。別にホンダのクルマ作りや、メルセデスのクルマ作りが悪いというつもりはないですが、Aクラスもヴェゼルも発売のタイミングを上手く掴んで売れている感があります。他のメーカーに比べてクルマを仕上げてくるスピードが異様に早いというのは未確認ではありますが、やはりどちらも乗ってみて走りの面での熟成度が著しく低い気がします。ホンダに関しては駆動系のリコールが連続するなど、メーカー側からも「準備期間が足りなかった」といった言い訳が聞かれます。そんなクルマでも内外装だけしっかりアピール出来れば売れてしまいます。

  実際にAクラスやヴェゼルを試しにいくと、同乗しているディーラーの人はやたらとネガティブです。BMWやスバルのクルマではあれこれと自慢の走行モードを楽しんでもらいつつ、「どうですか?」なんて自信満々に訊かれますが、Aクラスだと特にスポーツモードを強調されることもなく、ヴェゼルに至っては「Sモードは相当にエンジンがうるさいので使わない人が多いです」とか言われました。そんな無駄な機能が付いているクルマ欲しいですか?営業マンだったらとにかく付いてる機能は全部誉めておくべきでは?「Sモードはホンダにとっては特別なこだわりがあります、いち早くCR-Zに走行性能があがる電気チャージャーを付けたくらいですから!」なんて言っておくべきではないですかね・・・。

  メルセデスA180(ノーマル底辺グレード)もヴェゼルHV(Z最上級グレード)もどちらも乗り出しで約350万円です。2.2Lディーゼルを積む「アクセラXD」が豪華な1グレードのみで乗り出し350万円ですから、マツダはおそらくその価格水準より安くCX3の「XD・Lパケ」(ディーゼルの豪華グレード)を設定してくるでしょう。デミオXDに乗った感触だと、もう一回り車体が大きくなって車重がいくらか増えても、1.5Lディーゼルエンジンに余力は十分なので、むしろデミオXDよりも出力とボディのバランスはとれるように思います。ただしアクセラの2.2Lディーゼルの方がガソリンエンジン的なフィーリングに優れていて、過給がかからない低回転時もストレスなく動きますし、さらに踏み込むとガソリンのように噴け上がり始め、「そんなに要らないよ!」と言いたくなるほどの加速感が得られます。

  その一方で1.5Lディーゼルは、ディーゼルであることをもっと強く感じるエンジンで、噴け上がり感もマツダにしてはかなり悪いです。それでもAクラスのガソリンターボやヴェゼルHVの1.5L&Mによる加速に対抗するには十分以上の出来です。BMWやプジョーといった欧州の「走りのブランド」によるクルマに搭載されてもまったく違和感がないエンジンという意味では、マツダの1.5Lディーゼルがこの3つのユニットの中ではもっとも優れています。デミオのレビューでも散見されるのが、1.3Lガソリンの方が完成度が高いといった意見です。マツダはディーゼルを押していますが、やはり感覚を研ぎ澄ませばガソリンエンジンに劣る点も出てきます。そしてAクラスやヴェゼルと比較する層にディーゼルが必ずしも魅力的に映るとは限りません。CX3にはアクセラ用の1.5Lガソリンが使われるようですが、マツダの「ガソリンNAエンジンの気持ち良さ」だけでHVを備えるヴェゼルの牙城が切り崩せるともなかなか思えません。さてマツダとしてはCX3発売に合わせてどういった付加価値を付けてくるのか?注目です。


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