2015年3月28日土曜日

BMW2シリーズ・カブリオレ「機は熟した?日本でもオープンカー文化が・・・」

  マツダ・ロードスターの価格発表に続き、ホンダが満を持して投入するS660もプロトタイプが登場したようで、とりあえず後先考えずに「屋根なし」を買ってしまおうみたいな機運が盛り上がっているような気がします。当然のことながらマツダもホンダも大手一般メディアへの情報の「ねじ込み」に躍起になっているようで、クルマのこととは関係なしに見ていた報道メディアで、突然に「ロードスターの喜び!」とか「S660は何が凄いのか?」みたいな記事が出てきます。どちらのメーカーもまだまだ天井知らずな日経平均がそれなりに追い風になるであろう!という楽観的な予測もあるのかもしれませんが、そんな緩い機運にまったく甘えることなく、どちらも「最善を尽くした」気合いのモデルでスポーツカー・ユーザーへのアピールももちろん抜かりはないでしょうが、この両者のガチンコ対決の行方は・・・。

  「本物」が選ばれる時代の商品設計というのはやはり難しいもので、最初に基本設計ができてしまってから、明確に商品力が弱いということになると、もはや小手先の販売力だけではどうにもならなくなってしまいます。すでに発売されているダイハツ・コペンも簡単に外板が交換できるという画期的な機構を盛り込んで、リトラクタブルな樹脂性のハードトップで使い勝手の良さをアピールしてきました、そしてトヨタグループの一角を担う有望株ダイハツの販売力をもってしても、やはりリアクションは案外でした。結局のところなによりも趣味性の高いクルマにユーザーが求める要素とは、もっともっと本質的な「欲望」に忠実な部分なのだと思います。マツダが突き詰めるライトウエイトスポーツの極地や、ホンダが仕掛けるもっともお手軽なミッドシップにも「所有欲」を十分にくすぐるだけのインパクトはあるでしょうが、もっと単純で分り易く「ブランド力」で訴えかけるようなモデルの方が、まだまだ結果は出し易いかもしれません。そんなモデルが突如として日本発売を決行してきました。

  今なおスポーティかつ上質なブランドとして高いステータスを放つBMWから、新たに「2シリーズ・カブリオレ」というオープン&2+2シーターのFRモデルが発売されました。価格は520万円〜という設定で、先代モデルとなる「1シリーズ・カブリオレ」よりも多少は割高になっていますが、サイズは完全に一回り大きくなっていて、ラグジュアリーカーとしてお金を払っても良いかも?と思えるパッケージになっています。消費税増税や円安・安全装備追加によるブランド全体の価格上昇もあり、同じエンジンを積む3シリーズ(実質506万〜)と比較してもほぼ同等という意味では、先代モデルと立ち位置はほぼ同じで「値上げ感」はあまりないですし、車格がやや上がったことを考えればお買い得とも言えます。BMWからは既にオープンルーフのモデルとしてZ4がラインナップされていますが、完全2シーターのZ4よりも、いくらか使い勝手に融通がきき、さらにZ4のやや大胆なエクステリアよりも控えめで、BMWらしい小型でも品格のあるスタイルはおそらく日本のユーザーの感性にもハマりそうな気がします。価格自体はZ4とはほぼ同等です。

  BMWの購入を検討している人にとって、3シリーズでは「ややありきたり」だなと感じていて踏み切れないことも多いと思います。そこで変化球として派生モデルとあれこれと検討するのですが、完全2シーターのZ4には踏み込めず、その一方で価格面では実はお得な4シリーズ(実質517万円〜)がなかなかの支持を集めているようで。都内で見かけることが多くなりました。このクルマはワイド&ローなので遠目では「5シリ?」と見まごう存在感が実際にあります。ほかにも4ドア化した「4シリーズ・グランクーペ」がありますが、こちらは実質565万円〜と割高感がネックなようで、まだまだ少ないですね。さらに4シリーズには電動メタルルーフを備えた「4シリーズ・カブリオレ」がありますが、こちらは6気筒モデルだけの設定で価格は一気に900万円に跳ね上がります。

  結局のところ「2」も「3」も「4」も後席の居住性がいまいちなのは同じですし、ほぼ前席だけを使うクルマとして割り切りという意味では同じジャンルのクルマといえます。そしてベースグレードに使われるN20Bエンジン「20B」型(184ps)の中で選択するとするならば、見栄えがする程度に「小型」のボディタイプがいいのではないか?という気もします。「軽量化」をやたらと唱える最近のBMWですが、そもそも「前後重量配分50:50」を掲げる(固執する)メーカーにとっては自分の首を絞めているようなものです。日産のようなハイパワーユニットの開発はやらないで、なんとか1600kgを下回る程度にまで重量を抑えてますが、過給器付きで184psでは「ブヒブヒ・プレミアム」の汚名は逃れられません。N20B20BのATモデルとしては異例の1400kg台を誇る2シリーズクーペ(220i)でないとなかなか軽快さを感じににくいのは事実で、6気筒ターボになると今度は鼻先の重さから日本の峠ではやや使いにくいという印象もあり、「結局BMWって何?」というシラケた状態になってます。BMWのファン以外では・・・。

  BMWはもう「i3」と「2クーペ」だけ売っていればいいんじゃないですかね? SUVとかもう別ブランドでやってくれればいいのに・・・。1シリと2アクティブはミニブランドに移して、高級セダンは全部アルピナに集約しておけばいいし。何がいいたいかというと、ネッツみたいな何でも屋にはなって欲しくないということです。あとは「真面目」に設計したクルマだけを売ってほしいです。なんで4気筒の420iよりも、6気筒の「M4」の方が50kgも軽いのか?ってところだけでも、どれだけのテンションで420iが作られているかが分ると思うんです。「M4」に使われた軽量化素材はトヨタがプリウスのための莫大な資金によって開発されています。おそらくトヨタとの取り決めで南アフリカにある現地の下請け工場での生産には使用出来ないとされているのではないか?という気がします。トヨタが長年プリウスを全て国内生産にしてきたことと大いに関連があるような・・・。

  今回登場した「2シリ・カブリオレ」がそれではBMWにとってどれだけやる気があるクルマなのか? あんまり自信はないですけど、少なくとも「目的意識」がハッキリしている分、いろいろな人にオススメしたいクルマではあります。N20B20Bエンジンを美味しく使う1510kgまで抑えられた車重はZ4とほとんど変わりません。ゆっくり走るならば184psで十分なのですが、そんなドライブを楽しむためのオープントップです。そしてZ4はあまりにもスタイリングが本気すぎるので、そういう使い方にはちょっと馴染まないとは思いますが・・・。この2台は「座席の数」「ルーフの種類」そして「リアサスの形状」など表面的あるいはスペック的な差異はいろいろあるので、あとは勝手に好きな方選んでくれればいいのでは? まあどちらを選んでもマツダ・ロードスターのようなスポーツ!とはいかないですけど。

  2+2の輸入車オープンとなると「アウディTT・ロードスター」(560万円〜)や「マスタング・コンバーティブル(V8モデル)」(先代580万円〜)などなど選択肢は結構あったりします。他にもリーズナブルな小型モデルでは「シトロエンDS3カブリオ」(320万円〜)や「フィアット500C」(250万円〜)といったものもありますが、どれも割と(458イタリアやSLよりは)庶民感覚で乗れる自然体で乗れるモデルが、一般的にはオープンカーには辛い日本市場でもひたむきに頑張ってモデルを存続させています。そんな1台として「BMW2シリ・カブリオレ」にはさらなる飛躍とともに、BMWブランド再興の旗手として期待したいなと思います。


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2015年3月7日土曜日

マツダCX-3「234万円からのディーゼル専用車!」

  さすがに「234万円〜」という価格設定にちょっと冷ややかな意見もありますね。「マツダだけは金銭感覚のまともなメーカーだ!」という信頼が残念ながらちょっぴり揺らぎました。ディーゼル車なのだから価格に関してはマツダが間違っているってことはとりあえずないですけどね。余談ですが、新型ミニが全くもっての不調のようで、あわてて投入されたディーゼルにわずかに期待しているBMWミニからしてみたら、100万円というもう絶望的な価格差を付けられてしまいました(しかもBMWのDEはダメダメです)。

  マツダに対しても厳しい事を言うと、デミオベースのクロスオーバーモデルで234万円の価格を付ける決定的な根拠がディーゼルだけですから、あまり見るべきものは少ないです。メーカーと評論家はやたらと盛り上がってますが、小型SUVがクルマ好きの気持ちをグイグイ引くなんてことはないです。いくらMTモデルを用意したからといっても、ランクル70の復活に喝采する生粋のSUV好きを囲い込むことは出来ないですし、イニシャルD好きというありがちなタイプにも車重が増えてレスポンスが悪いディーゼルはウケないですし、ムダに車高が高いのも受け入れ難いです。

  もちろんマツダも主戦場である欧州で売るために作ったものを、ついでに日本でも売っているだけですから、それほど日本のユーザーの反響は求めていないでしょう。「マツダを楽しみたかったらユーザーが自分を変えるべきだ!」みたいな「投げ掛け戦略」を採っていると公言していますから、予想外の大失速も想定の範囲内だと思われます。しかし「自分を変える」というのはなかなか難しいものです。バブル期に形成された輸入車コンプレックスから未だに抜け出せずに、くだらない輸入車に300万円とか払う人が多いみたいです。イニシャルDを読んで人生が変わるくらいの刺激を受けたならば、3ペダルのスポーツカーにすぐに乗り変える!という人も出るでしょうが、果たしてマツダ単体でそこまでの影響力を持てるムーブメントを発信できるのでしょうか?

  CX3はある程度は先行した新型デミオの美点をそのまま継承しているとは思います。新型デミオが目下のところ大成功している仕掛けとして、Bセグにしてはどっしりとしたハンドリングがあると思います。ホンダ・ヴェゼルやメルセデスGLAもある程度は手応えのあるハンドリングで、ステアリングにパドルや手元スイッチが幾つも付くなどスポーティかつ機能的な見た目でとても手が込んでいるものの、肝心な電動ステアのフィールは相当にぎこちなさがあります。それに対して、デミオのものは贔屓目なしにとても良く出来ています。そもそも日産が実用化したステアバイワイアなどの特殊技術を除けば、マツダの電動ステアのフィーリングはかなり良好な水準にあるわけですが・・・。とりあえずハンドリングを重視して選べば順当にデミオに行き着くわけです。

  マツダとしては期待以上のブレークスルーにつながっている新型デミオがある中で、新たに234万円のディーゼル専用モデルを持ち込む意図は?というと、誰の目にも小型SUVの「世界的なブーム」が来ているからとなるでしょう。つまり動機はというと安易な「追従」です。この手の企画はマツダの失敗する典型的なパターンではないか?という気がしなくもないです・・・。そもそもマツダは日本市場においてはどこからの乗り換え需要を狙っているのでしょうか? 考えられるモデルとしては「①プリウス②フリード③ノア/ヴォクシィ④ノート」といったところだと信じたいです。このクラスの「大物」が喰えれば間違いなく大成功ですが、ただ残念ながらどのモデルに対しても決定打が不足している気がします。先述しましたが、これらのクルマに乗っている人は相手にしない!という決意もあるようですし・・・。とりあえず「価格」でアウトです。

  ジューク、XV、ヴェゼルこそがCX3のライバルと考えるのがまったくもって自然ですが、発売から数年が経ち乗り換え時期に達しているのはパイオニアといえるジュークぐらいです。欧州向けに作られ日本にも投入されているジュークの1.6Lターボは、ちょっとリッチな加速性能を誇る反面、ハイオク指定でこのクラスでは燃費は劣悪なので、CX3としては面白いターゲットといえます。ジューク1.6ターボのベース本体価格も「234万円」ですから、マツダとしては日産への「名指しの挑戦状」を突きつけたといえます。もちろんマツダ車とともに欧州市場に鋭く切り込んだジュークへの敬意の表れなのでしょうけど。

  一方でCX3の234万円は、日本でバカ売れしているヴェゼルHV(225万円)はそれほど意識していない価格設定ともいえます。ヴェゼルHVには失礼ですが、試乗してまず感じるのが運転をとことんつまらなくするハンドリング、アクセル、ブレーキのフィーリングの悪さです。「Sモード」に切り替えるとトルクアップによる加速フィールの向上よりも、耳に突き刺さる雑音の大きさに驚いてしまって一気に冷めます。残念ながら走りに関してはとことん「やる気」のないと開発姿勢が見え隠れして、マツダ&日産とはポリシーが全く違うという現実を突きつけられます。この手のクルマは欧州市場では徹底的に酷評されるので、ブランド全体が欧州においてこの数年で急速に影響力を失っているのにも符合します(なかなかのディーゼルエンジンを持っているそうですが)。そんな中でのF1参戦というチグハグな戦略の結末はどうなるのでしょうか?4輪ダブルウィッシュボーンで欧州に挑んだ80年代のシビックはもう完全に過去の話なのか・・・。(ホンダの関係者には大変失礼しました。ごめんなさい)

  スバルのXVに関してはHV車が257万円となっていて、これは2Lエンジンを搭載したスバル本流の中型モデルなので、CX3、ジューク、ヴェゼルとの単純比較は難しい部分があります。余計なことを言ってしまうと、スバルブランド全体として車体の設計基準がプレミアム車ばかりになった中型車の水準からみてかなり厳しいところに置き去りにされている感があります。フラッグシップのレガシィから派生したプラットフォームがほぼ全車で使われていますが、これを刷新しないと今後の欧州や日本市場では競争力を失っていくのではないか?という気がします。簡単にいうと、「クルマの安定感」で差をつけられています。日産&マツダの中型車(スカイラインやアテンザ)と乗り比べれば、相当にクルマのレベルが違うことを実感します。(スバルの関係者には大変失礼しました。ごめんなさい)

  いくらスバルの中型車プラットフォームが力不足だとはいえ、ジュークやCX3が使う日産やマツダの小型車プラットフォームと比べれば、アドバンテージはいくつもあります。なによりXVはなスバルが殻を破ったポップなデザインで、「このクルマだけはスバルデザインでも許せる!」なんて言い放つミーハーは多いようです。さて・・・CX3の核心について触れたいと思います。「このクルマだけはマツダデザインの中で許せない!」って気がするのは私だけでしょうか? 2012年から市販車でも展開されている「魂動」デザインですが、最大の美点はなにか?と聞かれれば、どのクルマも「遠慮がちで奥ゆかしさを秘めている」ことだと思うのです。

  「魂動」デザインを称賛する人々が感じていることは、「スバルほど控えめ(武骨)ではなく、レクサスよりも痛々しくない」という絶妙なさじ加減だと思います。CX5は中型SUVに求められる機能性に沿ったデザインが絶妙ですし、アテンザも車体長を上手く使ってスタイルの良さを主張しているだけで、過剰な演出を狙ったパーツは控えられています。何よりCX5・アテンザ・アクセラ・デミオはいずれもユーザーと使うシーンを良く考えた上で設計されています。いずれも既存の自動車ユーザーに重きを置いた伝統ある設計方針が貫かれています。

  しかしCX3などの小型SUVは、日産・BMW・メルセデス・ホンダといった野心的なメーカーが新規ユーザーを掘り起こすことに躍起になって作った、やや「空想的」なクルマといえます。長年に渡ってクルマをヘビーに使ってきたユーザーから見てこれらのクルマはどのように映るのでしょうか? CX5が目指した「アクティブなファミリーカー」にはやや小さいですし、アテンザやアクセラが追求した「ファン・トゥ・ドライブ」と「安全性」は感じられませんし、デミオのような「お手軽さ」もないです。大変失礼ですが、CX3と同タイプのジュークやヴェゼルの販売は、クルマのことをあれこれ考えない気まぐれなユーザーの衝動買いに支えられているのでは?と思ってしまうわけです。そういう部分が見えてしまうと、なんだかデザインがアホらしく見えてしまいます。大げさにいうと、VWup!のシャシーにポルシェ911のボディが載っているみたいなものかなと・・・。(マツダの関係者のみなさま大変失礼しました、ごめんなさい。)



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↓なかなかの執筆陣が揃って読み応えがありますよ!