2017年1月24日火曜日

VWティグアン 「ゴルフの時代は終わった。ニュースター誕生の予感」

  新大統領就任で自動車業界にも大きな変化が噂されるアメリカ市場ですが、新興EVメーカー・テスラの台頭などもあって、なかなか新規参入が難しいと言われる高級車市場において大きな変化が報じられています。特に衝撃的だったのが顧客満足度や品質などの調査機関が相次いで、これまでトップの常連だったメルセデス、レクサス、ポルシェに代わって、ヒュンダイが手掛ける新しいプレミアムブランド・ジェネシスをクラストップのポジションにある!!と評価し始めました。

  いよいよヒュンダイがメルセデスよりも優れたラグジュアリー・サルーンを作るようになったのかい!?・・・なんとも「末期的」な時代になりましたね。ストイックに上質さを追い求めたヒュンダイが素晴らしいのか?それとも「第一人者」の地位を守る努力を怠ったメルセデスが悪いのか?

  そもそも日本では韓国車の実力なんてわからないですけれども、昨年の上旬まで販売されていた唯一の韓国製造車であるシボレー・ソニックはなかなか多方面から絶賛されてましたね。とくにサスペンションエンジニアの國政次郎という人が書いた「営業バンが高速道路をぶっ飛ばせる理由」でも、シボレー・ソニックが日本の同クラス車(デミオ、スイフト、フィット、ヴィッツなど)よりも操縦安定性で優れているって書いてました。

  ヒュンダイ・キア・グループは2000年頃からあらゆる販売戦略(ホンディとか)を駆使してアメリカでのシェアを伸ばし、日本勢がリーマンショック&東日本大震災による大きな停滞の中でトヨタまでも赤字に沈むなかで、韓国国内の農業を犠牲にしてでもいち早く取り組んだ米韓FTAの発効という追い風を使って、ヒュンダイ・キア・グループは堂々の北米市場ビッグ7となりました。それから早くも5年以上が経つわけですから、トヨタやGMと同等の規模を持つメーカーとして、当然にレクサスやキャデラックを狙い撃ちできる次世代高級車を開発するのに十分な時間があったのだと思います

  そんなにいいクルマなら日本でも売ってみろ!!という気もしますけど、確かに現在の日本市場で売られている一連のラグジュアリー・セダンに新鮮さなんてこれっぽっちも感じないですし、ガソリン価格の高い日本でV8エンジン車を乗り回すなんてのもちょっと不健康ですし、代わりに使われ始めた直4ターボの安っぽい走りも、どーにかならないもんですかね!?さらにディーゼルなんてゲロゲロなくらいにウルサイですし・・・。メルセデスやBMWが危機感もなくあぐらをかいていた!!とは思いませんけども、テスラやジェネシスなどの新規参入をやや甘く見ていた部分はあったと思います。

  もっともメルセデスに関して言えば、彼らの使命はカンパニーカーを作ることなわけで、「エクゼクティブのためのプロボックス」を作っているわけですから、SクラスやEクラスに関しては、一般人がその仕様にあれこれ言うべきではないかもしれません。SやEの設計が目指しているのは、東証一部上場企業の役員が好むクルマ!!であってユーザーさえ満足すればそれでいい。間違っても「それ以外」の成金が手を出すクルマじゃない!?中小企業の社長さんは格に見合った「クラウン」を使うべき!?そして成功した投資家やユーチューバーはややダブついている「ガヤ」にでもお得に乗るべきじゃないですか(完全に余計なお世話だけど)。

  高級住宅街にお住まいの人々にとっては、メルセデスEクラスこそが「この街のカローラ」であって、とてもスタンダードな存在なんでしょうけども、700万円以上もする高級車ならば、さっさと直6ターボでスムーズに回るという新開発のエンジンを投入してほしいものですね。いっそのこと旧式のメルセデスシャシーを使った「クライスラー300」でも選んだ方が気分良く乗れそうな気がします・・・。

  ヒュンダイのジェネシスに遅れ(不覚)を取っただけでなく、新型Eクラスは高級セダンでありながら衝突安全基準(ユーロNCAP)で、VWの中型SUVに「格負け」するというとんでもない大失態も犯しています。これはもう言い訳できないスキャンダル!?やっぱり時代は確実に変わっているようです。そもそもアルミボデーってほんとに大丈夫なの!?

  そのEクラスを上回ったVWの新型SUVが、いよいよ日本にも投入された新型ティグアンなんですけども、いよいよ発表された日本価格は360万円〜となっています。最近ではSUVが乱発されているのでこの価格が適正なのか高いのか安いのかもよくわかりません。参考までにFF化されて直3ターボが載ったBMW・X1が397万円〜ですから、よくわかんないけど、まずまずの妥当な価格なんだと思います(どうせ値引きしてくれるよ)。なんといってもBMWのSUVとは違ってNEWティグアンは衝突安全性で素晴らしい結果を出しているわけですから、SUVを買うなら最有力候補でいいでしょう。BMWのSUVは北米NCAPで結構悲惨な結果が出てます(ここではドイツ車は大概ヒドいが)。

  最新(2016年12月)の国内SUV市場のトップ3は①ヴェゼル②C-HR③ハリアーだそうですが、コンパクトカーの代わりでしかない2台とラグジュアリーに振り過ぎなハリアーですから、ティグアンと比べてまともな結論が出せるモデルじゃないようです。おそらくは欧州でもすでに大ブレークしていて、どちらも年間40万台を軽くクリアしている、エクストレイル(欧州名キャッシュカイ)とCX5を狙い撃ちするVWの「重点戦略」モデルだと思われます。

  CX5があっという間にアクセラの台数を追い越し、マツダの利益率を劇的に改善したことは、世界の自動車メーカーにも波紋を広げているようです。あまり無責任なことは言いたくないですが、パサート、ゴルフ、ポロにこれ以上投資しても見返りはほとんどない!!大きなリターンがあるのは絶対的にSUVだ!! そんな事情が素人にも十分に分るほどに偏ったSUV人気に業界は賭けてます。その結果として日本メーカー各社やジャガーやベントレーなど欧州のラグジュアリーブランドまでが狂ったように暴走しちゃってますねー。なんだかなー。VWも当然ながら、限りあるリソースを新型ティグアンに一点投入するのが最も効率的な投資だと判断したようです。

  おそらく「日産とマツダの衝突安全基準に絶対に負けないクルマを作れ!!」という厳命があったんじゃないですかね!? とりあえず現行のゴルフはアクセラに、ポロはルーテシア(日産ルノー車台)に衝突安全基準では完敗してますけど、それは絶対的な技術力の差といった絶望的な話ではなく、メーカーが何にプライオリティを置いてクルマを作っているか?の結果として、素材選びや部品点数といった初歩的なレベルで差が生まれているように思います。実際のところボンネット開けて見ると、ゴルフやポロはなんだかスカスカしていて、いろいろとマテリアルの「省略」の痕が伺えます。もっともクルマを弄る人にとってはこれが都合がいいのかもしれません。これが欧州のクルマ文化ってヤツなのかも。

  とりあえず幸先良くエクストレイルやCX5を上回る安全性を、外部機関によって保証されたことは大きいですね。レーザー溶接のパイオニアにして、メルセデス、BMW、日産、マツダ、スバルなどに大きな衝撃を与えたVWの「基礎工学」のレベルの高さはある程度は実証されています。つまりこのメーカーが本気になって作れば「相当に良いクルマ」が出来るというコトです。ルノーの犬に成り下がったメルセデスと、トヨタに甘えるBMWの不甲斐なさが目に付きますが、メーカー規模を考えると、「マテリアル」に恵まれた日本勢に対抗できるドイツメーカーはVWだけなんですねー。マツダやスバルもそうですけども、立場が危うくなった直後にとんでもなく良いクルマが出て来る!!これが今回はVWにも当てはまるんじゃないでしょうか!?



  

  

2017年1月8日日曜日

スズキ・スイフト 「豪華なフルラインナップで何を目指す!?」

  年末のギリギリになってスイフトのフルモデルチェンジが発表されました。「稀代の名車」として間違いなく歴史に残る存在の先代スイフト(3代目)の退場は名残惜しい限りです。5年半で累計500万台をアメリカ・中国でほとんど数字を出していない中で達成したのはとても偉大な記録だと思います。1.6L自然吸気を積んだスイフト・スポーツはドイツの雑誌でもクラス最強のハンドリングマシンとして非常に高く評価されていました。

  そんな偉大な先代の後を受けての4代目に対しては否応無しに辛口になっちゃいますけども、報道に使われた写真からしてあまり見栄えがしないなー・・・。一目見て統一感を欠いている印象の雑味のあるデザインは、最近のスズキ車によく見られるデザイナーが「仕事し過ぎ」な難解路線ですが、今回はややピン惚けしていて、ちょっとケチを付けたくもなります。デミオやアクアの整い過ぎていて「つるつる」な感じが苦手な人には、かなり好意的に受け止められるのかもしれません。

  今回のフルモデルチェンジでは。一気にHVとガソリンターボが追加されて、これまでの「走り」一点突破なイメージからの脱却が意図されているようです。先に登場したインド製造のバレーノにも使われた、ガソリンターボ&ステップ6ATを配備した「巡航型」のRStは、これまでの日本生産車には無かった趣向です。VWポロなど欧州Bセグの典型的な設計を取り入れたといえばそれまでなんですけども、日本の自動車産業の中でもとりわけ「粋」を見せつけている「横置きステップAT」。このアイシンAW製ミッションのおかげでMINIもBMWも「いいクルマ感」が出てます。

  「そもそもスズキなんて眼中に無い!!」・・・ウチの年老いた母親もそんなこと言ってますけどねー。なんというか・・・バブルの価値観がまだまだ幅を利かせていますよー。マツダといえばロータリーで、GT-Rは500万円くらいで買えると思っているオッサン多いことに呆れますね。

  三代目スイフトは度々ブログで絶賛してきましたが、そのつどフランス車だかドイツ車だかに乗っているオッサンが勘違いコメントを残してくれるんですよね。そもそもスイフトの価値を理解できない人に、VWとかプジョーとか完全に「猫に小判」以外の何者でもないだろって思いますから、そういう人々は失礼ですが適当にあしらっています。そもそもスズキの価値が解って無いからVW、プジョー、MINIをわざわざ買うんでしょうけどね・・・。同じ日にクーパーSとスイスポを運転したことがありますが、贔屓眼とか無しでもまあスイスポの圧勝ですわ。遠隔操作しているようなクーパーSのアクセルフィールはとりあえず論外ではありますけど・・・。

  かつては高品質で知られた三菱やVWの威光は、今ではモラルの欠如した経営人にの手によって地に堕ちましたし、これからの時代はスバルだ!マツダだ!といった意味不明な声も聞かれますけども、スバルにEJを越えたエンジンはもう期待できないでしょうし、マツダにもMZRを越えるフィールのエンジンは二度と戻ってこない・・・。世間は一体何にワクワクしてんだろ?いいクルマが欲しい人にとってはかなり「末期的」な状況です。

  日本車のエンジンがやっぱり世界最高だ!!そう胸を張って言える数少ないエンジンの一つが、このスイフトに使われている1.2L直4自然吸気の「K12C」なのですが、新型になって車重840kgとトール屋根の軽自動車並みにまで軽量化されたMTモデルはどんな走りをするのでしょうか?欧州仕様のようにアシを固めると、ハネてトラクションに難有りとなる可能性もありそうですけどね。

  「速い・安い・旨い」って素晴らしいことだと思うんですけど、クルマに関しては「安い」を嫌う人々もまだまだ多いんですよね。そのくせマツダやホンダには「高過ぎる」とか言うくせに・・・。スイフトとスイスポが世界に訴えてきたコアが、4代目のスペックを見ると、さらに高いレベルへと深化しています。マツダがフィアットの支援によって仕上げたNDロードスターを開発する際に掲げた目標に近いくらいに「純化」されたロードゴーイングカーの理想型を、汎用Bセグで実現してしまっている!!と断言してもいいんじゃないでしょうか!?

  速い・安い・旨いのB級グルメ!!というのはスズキもかなり意識しているらしく、グレード&装備から伺えるスズキの隠れた主張は「スイフトはあくまでB級グルメなのでデートカーとしては使えません!!」。まあよくよく考えればその通りなんですけどねー。最新のスズキ車の売りといえば、運転席&助手席に装備されるシートヒーター。これは軽自動車にも標準装備されるくらいなので、スイフトにも当然に!!と思いきや、「巡航スペシャル」のRStを始め、NAエンジンで思う存分にMT走行が愉しめる「走り」のRSも、助手席ヒーターはカットされています。しかもオプションでも付かない徹底ぶり。デート用途ならイグニスかエスクードにしておけ!!ってことなんでしょうか!?

  助手席ヒーターが標準で付くのはAWDモデルのみで、NAエンジン車(XL)とHVに設定があるのですが、いずれもCVTのみの設定です。マイルドHVならばホンダCR-ZみたいなMTがあってもいいなーと思うんですけどね。クルマ好きがスイフトに注目するのは、愛着を持って使い込める3ペダルのグレードの存在だと思うんですけども、軽量ボデーを変速ショック無しで操つることができる、神業シフト職人なんてもはや昔の話で、エンストすれすれでドタバタ走る若造に、助手席シートヒーターなんて永遠に不要だ!!ってことなんでしょうね(笑)。

  国内のライバル車といえばマツダ・デミオになるでしょうけども、後輪ディスクブレーキ装備のグレードが一気に増えて、最廉価のXG以外は全てディスクです。ここがデミオに対しての最大のアドバンテージでしょうか。情熱の赤にワンモーションで描けそうなイタリア車的なコミカルさを持つデミオに対して、キャビンスペースの存在感が際立つスイフトはフランス車的なデザイン路線を継続しています。傑作デザインとの呼び声も高いイグニスの後を受けてどんなスイフトになるのか?と思いましたが、予想以上に「普通」「キープコンセプト」でしたね。

  あれこれと好き勝手に書きましたけども、なんだかんだ言って新型スイフトにはスズキの「日本市場を背負って立つ!!」という深い自負を感じます。スズキ以外の全ての日本メーカーがBセグの本質から大きく逸脱したクルマを作って、徹底したセルフプロモーションで売り出している歪な状況を、スズキが変えてみせる!!という意志表示に思えます。見た目で得している(選ばれている)デミオやアクアは、Bセグにディーゼルやフルハイブリッドを無理やり持ち込むことで、意図的に話題性での勝負に持ち込んでいて、トヨタもマツダもそれを承知で「速い・安い・旨い」よりも「希少性・付加価値」を追求した完全なアウトローなBセグですし、ノートe-POWERもその路線をそのまま踏襲して日産が作ったシロモノです。

  そしてそれ以外の国産Bセグであるマーチ、ヴィッツ、パッソ、ミラージュは日本よりも日本メーカー車占有率が高いと言われるASEAN基準で作られた低コスト車です。もちろん日本の交通インフラを支える大切なモデルなんですけども、残念なことにそういった社会常識が全く身に付いていない一部の自動車ライターや輸入車好きな人々に、日本車を批判する格好の材料を与えています(マーチ、ヴィッツ、パッソ、ミラージュを批判する輩はクズ!!)。そしてホンダ・フィットに関してはアクアへの対抗意識によってその立ち位置を大きく左右され個性を失ってしまった「悲劇のクルマ」ですね、次世代はおそらくギミック満載のカルトカーとなって我々を驚かせてくれるのでは?

  意味不明にハイスペックなモデルもあれば、日本やASEANの草の根レベルの生活を支えるリーズナブルなモデルもある・・・そしてその立ち位置があまりにも極端になり過ぎてしまった結果、欧州のWRCで盛り上がる「標準的」なBセグに対抗するクルマがスイフト以外になくなってしまいました。WRC参戦が決まっているトヨタが今後は欧州戦略モデルをTNGAで作ってくる可能性もありますが、それまではこの4代目スイフトが、VWポロ、プジョー208、ルノー・ルーテシア、シトロエンC3、MINI、DS3といった欧州のボリュームゾーンに位置するモデル群を相手にたった1台で対峙することになりそうです。


スイフトを絶賛したら欧州Bセグ乗りが次々出て来た記事へのリンク

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