2014年10月13日月曜日

スバル・レガシィB4 「フラッグシップらしさに期待」

  いよいよ10月24日に発売が予告されたスバルの最上級モデル・レガシィが楽しみです。ちょっと気になるのが、大きな反響を持って迎えられたレヴォーグとWRX S4の完成度は最初からかなり高く(言い切ります!)、従来のレガシィのファンがごっそりと動員されてしまった感があることでしょうか。残ったのは最近のレガシィが拘って作り上げてきた「居住性の高さ」と「スバルの高度な走り」の高いレベルでの両立こそが他にはないこのクルマだけの魅力!と悟っている人々だと思うのですが、果たして日本には一体どれくらいいるのでしょうか?

  クルマ雑誌を見ていると、新型レガシィは来たるFMCで、完全に北米サイズにまで膨らんでしまい、全長4800mm級のFFベースのクルマなんて北米市場の特別仕様なので過大な期待はできない!といった厳しい論調が目立ちます。まあ確かにランエボをサーキットで走らせる感覚とは全く相容れないですから、その視点から「ドライビングの刺激が薄い」というありきたりな結論自体は間違いではないですけど、このジャンル(FFのD/Eセグセダン)を語るべき視点はもっともっと深いところにあるのに、ほとんどの日本のカーメディアがそこまで言及しようとしていないのが残念です。彼らは自動車の専門家ですので、アメリカで売れている理由も本気を出せばいくらだって列挙できるはずですが、完全にイメージ商売(人気獲り商売)と堕してしまった現状のライター業では、読者に嫌われるような本質は徹底的に無視する空気が蔓延している気がします。「ドイツ車は至高でアメ車はゴミ」という幻想は決して破壊してはいけないようです。

  まずアメリカでなぜこのクラスが売れるのか?という疑問に対して、「アメリカだから」みたいな小学生レベルの解説を平気でするライターなんてゴロゴロいます(もちろんわざとです)。「日本人とは感覚が違うから」と言われても読んでる側は困惑しかしません。ハンバーガーやポテトチップスを食べながらソファーでテレビ見る事がライフスタイルの国同士なのだから、クルマの趣味だけはまったく別ということはないはずです。バブル崩壊から20年が経ち、日本でも服・バッグ・時計・靴といったアイテムで一般ブランドの何十倍の価格を付ける高級ブランドが軒並み大苦戦する時代になってきました。その背景にはアップルのようなプレミアム価格を提示しないでも世界一のブランド価値を築く、現代アメリカの「マテリアル主義」に基づいた新興ブランドの進出があります。そしてそのマテリアル主義の"クルマ版"といえるのが北米で大ヒットしている「4800mm超のFFセダン」だったりするのですが、その現実に対して日本のカーメディアは必死に抵抗しています。

  今やオシャレな男性用スキニーカラーパンツが2500円で買えます。ちょっと前まで「高いな・・・」と思いつつバーバリーブラックレーベルやポールスミスのパンツをその10倍の価格で当たり前に買っている人が多かったですが、いまやどちらも同じ中国縫製ですし品質に大きな差なんてありません。時計だって中国で大量生産されるセイコーのクォーツを使ったデザイナーモデルが様々な新興ブランドから数千円で買えてしまいます。ネットで探せばそれこそもの凄い数の時計がありますから、その分デザインの良いものも多いですし、性能は完全にセイコークオリティです。もちろんクォーツですから200万円くらいする有名ブランドの機械式時計よりも1000倍は精度が良いです。

  「ネットの普及」とか言ってしまうと安っぽく聴こえるかもしれませんが、個人デザイナーがわずかな資本でブランドを立ち上げて、宣伝・販売をすることも容易になりました。商品さえよければ有名ブランドにライセンス料を払って商売する必要もなくなりつつあります。三陽商会がバーバリーと契約を打ち切りましたがこれも時代の流れなのかもしれません。ほかにも「ネットの普及」によって欧州で売られている良心的価格のヴィヴィアン・ウエストウッドのネクタイなども日本に居ながらに4000円程度で買える時代に突入しているわけです。輸送コストの問題があるとは思いますが、欧州で8000ユーロで売ってるフォード・エコスポーツも日本で自宅に居ながらに100万円くらいで買えてもよさそうですが・・・ちなみに日本価格は本体246万円です。

  ちょっと話がそれましたが、ほかのアイテムは価格破壊が進んでいますが、クルマだけは今でも"欧州車至上主義”が堂々とまかり通っていて、欧州車的でないクルマは徹底的に排除するといった論調が根強いです。「高級セダンはFRであるべき!」「CVTは絶対にNG」特にこの2つは、あたかも絶対的な「真理」として扱われています。ちょっと考えれば誰でも気がつくことですが、構造上「狭くて・うるさくて・危険」になることが避けられないFRに拘ることにそれほど大きな意義はないです。今では直4エンジンでもNAで200ps、ターボやHVなら300psは絞れるわけですから、むしろFRに拘ることで設計上のネガティブな点ばかりが付いてまわります。しかしそういう問題提起はプロライターの世界では絶対にタブーなようで、彼らは「余計なことを言って」レクサス・日産・メルセデス・BMWから出禁を喰らったらオワリとでも思っているようです・・・。

  しかしいくらプロライターが熱心に主張したところで、今や自動車雑誌を読んで真に受ける人なんて"アホな暇人"だけですから、通常の賢い消費者は全く意に介さずにクルマを選び、その結果エコカー・軽自動車・ミニバン・SUVが日本ではひたすらに売れています。そんな中で日本市場でもラインナップが揃い出した「北米サイズ」のFFセダンですが、4800mm超の大型ボディにもかかわらずカムリとアテンザはデザインの良さが評価され予想以上に売れました!アコードはホンダの掲げた看板の割には、デザインが振るわずやや地味な存在で、ティアナは実力十分なのですが日産の消極的な姿勢とメディアのバッシングが強くやや苦戦気味です。さてAWD専用という特殊ジャンルですがレガシィは一体どうなるのでしょうか?

  で・・・話のオチなんですが、カーメディアが絶対に伝えない「真実」として、日本のD/EセグのFFセダンを端的に表現すると、「世界で最も安全なツーリングカー」という評価ができます。燃費重視の日本車は両輪を平行気味に配置して抵抗値を下げる方向に調整するのですが、いわゆる「トーイン」を取らない方針で、これにより最近の日本のFR車は欧州車と比べてしばしば直進安定性が低いと言われています。もちろん最近やたらと燃費を気にするようになったBMWやMBの低グレード車も同じようなものなんですが、なぜかスカイラインやクラウンばかりが叩かれます。ハイウェイを安全に快適に走るならば、車高が低くてスタビリティがあり、直進安定性に優れるFFが絶対的に優位です。ハイウェィ網が整備されているアメリカでこの手のクルマ(カムリ・アコードなど)が売れるのは当たり前なことです。

  しかもFFのパッケージングの良さは車内の居住性に大きく貢献します。同じサイズのレクサスGSとカムリあるいはスカイラインとティアナの車内の広さを比べれば一目瞭然です。スカイライン(4790mm)と一クラス下のシルフィ(4615mm・FF)を比べてもシルフィの方が後席は快適だったりします。さらに決定的なのが、欧州、米国、日本の各市場で行われている衝突安全性の実験において、FF車の方が圧倒的に良い結果を出しています。この点に関しては専門家の分析など全く出されておらず、断定的なことは言えないのですが、一般にFF車で採用される横置きエンジンの方が、FR用の縦置きよりもキャビン内部に与えるダメージが小さいことと、前軸に直接リンクしているエンジンの方がマウントも強固で、駆動輪となっている前軸も重厚に作られているなどの構造上のアドバンテージが挙げられます。

  ちなみにスバルが採用している水平対抗エンジンは、比較的に車体下部に配置されるので、衝突時にキャビンに突入することはまず無く、車体下へと堕ちるように設計されているとスバルは公表しています。各市場のテストでべらぼうな高評価を連発しているアコードやアテンザといったライバルをさらに凌ぐ「安全性」を堂々と謳うスバルのコンセプトは、もっと日本ユーザーにダイレクトに伝わるといいなぁと思う次第です。


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