2013年12月20日金曜日

メルセデス・新型Cクラス「EやCLSの隣りに堂々停められる!」

  いよいよ新型Cクラスの内装・外装などの映像が公開されました。来年の上旬には発売されるようです。噂には聞いていましたが、常々思ってブログに綴っていたプレミアムDセグドイツ車への不満が大幅に改善されていて、これまでのように「バカ専用車」とこき下ろす事も出来なくなりそうな出来映えですね・・・。

  今年の上旬に大幅なMCと宣伝されたEクラスが驚異的な不人気のようですが、Aクラスとかなり接近した内装なので致し方ないところでしょうか。ここまで来ると、Aクラスを日本で売る為にEクラスやCLSシューティングブレークを展開して、Aクラスの内装はほぼこの水準ですよと納得させるためのものだったという憶測すら起こります。

  Eクラスはあくまで本国ではドイツ版クラウンコンフォートなので、フォーマルな利用を想定した作りから大きく路線を変えることはできないこともよく分かります。何も知らずにプライベート利用でEクラスを使っている無知蒙昧な日本のユーザーはとりあえず放っておけばいいでしょう。それでもメルセデスはブランドの求心力を高めるために、Cクラスに大きなテコ入れを図ってきました。内装や足回りをSクラスと共通の設計のものに代えるようです。これで新型Cの方がEやCLSよりも上級のサスを装備することになります。

  これまでどのメーカーにおいても上級モデルよりもハッキリと良い部品を装備するクルマがあったでしょうか? 歴代のEクラスをメルセデスがMCする度に律儀に買い替えてきた熱心なファンにとっては心中穏やかではないでしょうね(さっき放っておけって言いましたが・・・)。それでも3人以上で乗るならば狭いので、Eユーザーは魅力を上げたSへと追い込まれるのがオチでしょう。現行Cの狭過ぎからいくらかホイールベースは伸びて後席の居住性は改善されるようですが、2人乗りのクルマと考えるのが打倒でしょうか。

  メルセデスがもっぱらトヨタやVWに遅れをとっている遮音性が、100kgの軽量化によってさらに悪化するのではなど、気になる点はまだまだあります。結局FRなのに4気筒のエンジンを積む事に正当性はあるのかという根本的な疑問にどう答えてくれるのでしょうか?BMWやスバル、マツダのようにスポーティなセダンに仕上がるのは、最近のメルセデスの小型車の提案を見ても予想できます。果たして軽量化とサスの改良が想像通りにそのままハンドリングの良さにつながるのかは疑問です。

  あとは懸念されるのはイマイチ気合が入っていないエクステリアのデザインでしょうか。せっかくの興味深い改良を施した貴重なメルセデス車なので、8~10年くらいのスパンでも無理なく所有できる息の長いデザインを導入してくれればと思います。初期デザインだとCLAと同じで3年くらいしか持たない気がします。


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2013年12月17日火曜日

ルーテシア・ルノー・スポール 「200psのマーチがシビアに300万円ですが・・・」

  大挙して日本に押し寄せてくる欧州テイスト満点なBセグHBはどれもオシャレです。エンジンパワーなどスペックもかなり幅広く設定されていて、そのせいもあってかとても分かりづらくなってきました。ほんの5年ほど前ならば、VWやプジョーが中心でそれ以外のブランドは細々と営業中だったのですが、日産との棲み分けを見越してルノーのモデルが増え、ライバルのシトロエンも経営改革の柱としてDSラインを日本で売る事に積極的です。

  欧州Bセグの最大の魅力は、やはり「カッ飛びそうな」軽快感を感じさせるスペックでしょうか。市販の普通乗用車を手軽にスポーティなものに仕上げるならこのクラスが圧倒的にコスパに優れます。日本メーカーもその点はよくわかっていて、ヴィッツ、フィット、デミオ、スイフトなど代表的なモデルにはスポーティな設定があり愛好者も多いです。

  これが欧州メーカー車のスポーティモデルになるとFFの限界近くまで馬力を上げてきます。車重も1200kg台が中心で同クラスの日本車ともそれほど大きな差はなく、まあ単純に考えれば「過激」なクルマが多くなっています。FFで車重1200kgならば150psもあれば。タイヤと路面にも因りますが、ちょっと踏み込めばズルズルにホイールスピンするでしょう。そういうクルマをロス無く立ち上げて、スムーズに加速させるだけでも十分楽しいです。

  FF車もワインディングロードで流して十分に楽しくなるほどハンドリングは充実してきています。さらにコーナーでのアクセルワークでアンダーステアを意図的に作り出せるので、自由にラインを変えることもできますし、ハンドルを多めに切る事で、コーナーの脱出速度をある程度は上げる事も可能です。それ以上に感じるのはクルマのボディサイズの手軽さでしょうか。ホイールベースが短いことからくる不安定感すらスポーティモデルとしての売りにしている部分があります。

  FF車の限界の高さがありながら、過剰気味のスペックでそれを破綻ギリギリまで追い込むという矛盾に満ちた設計。失礼ですが物理に疎い欧州人なら、何も考えずに乗れるのでしょう。そんなクルマが当たり前なので、欧州ではおばあさんに至るまでみんな運転が上手いらしいですが・・・。その一方で日本車の安全に慣れきってしまった日本人は、完全に高級車になったポルシェが持つ「破滅性」に異常に興奮してしまうようです。

  そんな興奮を300万円で買いませんか?という企画が、このルーテシアRSやポロGTI、208GTIといった「ホットハッチ」です。最近じゃBMWミニが全てターボ車に切り替わり高出力化が進んだり、イタリアンな内装とパンチの利いたエンジンパワーが魅力のアバルトもよく見かけます。この中でもこれまで支持されてきたのが、一番堅実なデザインを持つポロGTIだったわけですが、いよいよそのポジションをルーテシアRSが奪うのではないかという気がします。ルーテシアの全方向的なデザインには他車にはみられない独特のオーラを感じます。ホットハッチを買うならこれで間違いなさそうです。

2013年12月10日火曜日

BMW2シリーズ 「4はさっさと諦めてこれを早く持って来て」

  高価な650やM6以外は全く興味がなくて、BMWはなぜクルマ作りがテキトーで、見るだけでゲンナリさせられるようなクルマばっかり日本に持ってくるんだろうと2010年頃から思ってました。最高のドライバーズカーブランドを謳っておきながら、V8以外は全てターボ付きです。本国には全グレードにMT車があるのに、日本にはベースグレードにしか設定しない。大して意味が無い50:50に固執するあまりクルマがムダに重い。本国仕様はともかくメチャクチャな日本仕様を評論家が挙って賛美する有様です。

  しかし彼らの二枚舌にのせられて購入したオーナーさんは気の毒ですが、評論家に1人でも4気筒ターボのBMWを所有してる人がいますか? 誌面で絶賛しておいて、腹の中では軽蔑しているわけですよ。2010年以降の「日本仕様のBMW」ってほぼ全ラインナップに渡って評価するポイントが無いです。そもそも直4ターボなんて5万キロも乗ったら査定額はほぼゼロです。5万キロ超の直4ターボの中古車なんてトラブルのリスクが高過ぎて、クルマを知っている人なら誰も怖くて買いませんよ。ターボなんて1~2年新車で乗って売るという、あくまで「刹那」の所有を楽しむだけのクルマです。30万キロ走るランエボなんて聞いたことないですよね。NA車ならば珍しくないですが。

  もちろんBMWに適うドライバーズカーが無いから仕方なくBMWを買ったという意見は尊重します。アウディには長所も短所もたくさんあるので、人によって評価は大きく違うでしょうし、メルセデスもここ近年はBMWと同じトレンドの中にいました。現行のボクスター、ケイマン、991が出るまではポルシェの内装は貧相なものでしたし、マツダやスバルにもまだまだBMWに並ぶという気迫は感じられませんでした。ホンダはアキュラを投入しませんでしたし、レクサスもまだまだドイツ勢や日産に高性能車のクルマ作りで見劣りを感じました。とりあえずスカイラインくらいしか候補が思いつきません。となると輸入車にバイアスがかかっている人には中身がどうであれ、BMWとなってしまうようです。

  ただその一方でBMWを買って後悔するといったコメントが多く見られるようになりました。クルマを買うのは自己責任ということも忘れてメーカーを非難する人々のコメントなど笑ってみておけばいいのですが、本来下取りの保証などとても出来ないような直4ターボ車に残価設定ローンを勧める売り方には疑問を感じます。出口ではどう転んでも地獄が待っています。価値が分からない人はよっぽどのお金持ちで無い限り手を出してはいけないのが、ドイツプレミアムブランドなんだと思います。

  長々と書きましたが、要するにこの前発売された4シリーズまでは、クルマとしての価値が乏しくそもそも何のために存在するかも分からないようなBMW車でした。2010~2013年までの4年の沈黙を打ち破り、いよいよドライバーズカーとしての原点に回帰したBMW車が下のグレードでも登場しそうです。以前も本ブログで述べましたが、南アフリカで極秘にラインオフされ英国ではすでに価格が発表されています。日本のカーメディアにもボチボチ登場していますが、どうやらBMWから箝口令が出されているようで、このクルマ(2シリーズ)の最大の売りが一切書かれていません。

  おそらく発売間もない4シリーズをある程度売るまでは、2シリーズの最大のポイントである大幅な軽量化については伏せておきたいのだと思います。2・4・6とクーペも出揃いますが、中流好きな日本人には一番利幅が大きい手抜きの4シリーズを売っておいて、4がまったく売れないであろう北米や欧州では2と6でライバルと勝負しようという腹づもりなんでしょうか・・・。どこまで日本人をバカにすればいいんですかね。日本に正規輸入される2シリーズの設定を見ればこのブランドの態度が明らかになるでしょう。欧州では直4と直6のNA&MTという設定が当然行われていますが、果たしてこれを日本に持ってくるか? もし持って来たならば購入も検討しようかなと思っていますが・・・。

  

  

  

  

2013年12月4日水曜日

シトロエンDS3カブリオ 「この存在感ただものではない・・・」

  去年あたりからちょいちょい雑誌に登場する機会が多かったシトロエンDS3ですが、写真映りがとてもいいというべきか、雑誌を見終わって一番印象に残るクルマがこれ!なんですよね。小型車のデザインはタマ数が圧倒的に多い日本メーカーが競うように試行錯誤しているので、断然に日本車>輸入車という構図で、フィアット500やBMWミニといったそれなりにファンを持つ個性派を除けば、輸入車の存在感なんて皆無だったわけです。

  ヴィッツにアクア、マーチにアクセラ、フィットにスイフトと、もはや日本の小型車も完全にグローバルモデルが主流なので、中途半端なデザインなんて一台もなくどれもが洗練されたスタイルを誇っています。そんな中にGMがシボレー・ソニックなんて送りこんだところで、まったく相手にされないのも当然のことです。メルセデスが出したスマートも惨敗でした。なんとか採算ベースに乗っているのはVW・ポロくらいでしょうか・・・。

  それくらいに日本市場はレベルが高いのですが、いよいよそんな閉塞を打破するモデルが意外なブランドからやってきた!(と言っていいと思います。) 去年あわててハッチバックモデルを買ってしまった人(少数ですが・・・)が思わず悔しがってしまうほどじゃないでしょうか。何と言ってもルーフが開く!しかもヘンな開き方をする!なぜほかのブランドはこういうキャラクターを組み込めないのだろうか?と疑問に思ってしまうほどに鮮やかにやってのけてくれました。

  「Bセグ・カブリオレ」はトヨタもアクアのコンセプトを発表するほどですから、かなりホットなジャンルに今後なってくるようです。トヨタのマーケティングはとても鋭いので間違いないでしょう。アクア・エアも実車を見て思わず「これは絶対売れる!」と感じたのですが、ただ「もの珍しい」というだけじゃない何かがあります。過疎化の波が押し寄せる、寂れた景色の中を走る、どこか厭世的な叙情に合ったクルマじゃないですか? もう高速料金も割引できないくらいに終末を迎えている日本で、メルセデスCL65AMGなんて不粋なクルマ乗ってても興ざめですよね・・・と最近思ったりします。

  この「シトロエンDS3カブリオ」はプジョー・シトロエングループの中でも重要な役割を担うクルマのようです。グループ内のBセグは208とC3のベースラインと208GTとDS3が担うハイラインがあります。ベースラインは1.2と1.6のNAを中心とした展開なのに対し、ハイラインは「ポロGTi」をライバルと想定していて1.6Lターボを基本としています。208GTを基準にして、アートなテイストに振った「DS3」とそのオープンの「DS3カブリオ」を配して、オーソドックスなホットハッチの208GTを補完し、さらに200psまでパワーアップした「208GTi」でさらにスポーツ志向のユーザーを取込むという守備範囲の広さを見せています。

  208GTで車重が1200kgで一番重いDS3カブリオでも1270kgに抑えていて、156psの戦闘力を考えると、一つ上のCセグのBMW1やメルセデスAを軽く上回る性能を持っていることになります。どっかのジャーナリストがパワーウエイトレイシオを見て「メチャクチャ速い」とか言っていましたが、ロングストロークの直4なのであっさり底を見せて高速域での伸びはすぐに頭打ちだろうと思うのですが・・・。

  それでもよーいドンならなかなかいい勝負するはずです。208GTで本体260万円で、同じ性能でスペシャリティなDS3カブリオが310万円ならばそこまで高いとは感じないですね。レクサスCTなど買うくらいならこちらのほうが、安くて断然に楽しめるクルマじゃないかと思います。

2013年12月2日月曜日

マツダ・アクセラ 「スタイル優先の代償は意外と大きい」

  スタイル重視のマツダ車の泣き所と言えるのが、フロントウインドの視認性かもしれません。ルーフが低めに設置されている輸入車の4ドアクーペなども同じでしょうが、垂直よりも水平に近い状態のフロントガラスは、汚れやすくお手入れもなかなか大変です。新型アクセラもアテンザゆずりのフロントデザインですから、フロントウインドもやはり「寝て」いてなかなか神経を使いそうです。

  そしてリアウインドに至ってはライバル車よりも明らか「寝て」います。Cピラーの寝かせ方がハンパないのですが、ここが今回のアクセラのデザインの最も核心的な部分です。ゴルフもAクラスも1シリーズもこの辺のデザインが全く適当なので、ちょっと大きなヴィッツ程度の印象しかなかったりします。アクセラのリアデザインの美しさに太鼓判の人も大勢いるでしょうが、スバルと違ってワイパーもデザイン上の関係で外しているので、雨が振れば水滴がなかなか落ちずに、後方で何が起こっているか分かりません。それでもなおカッコ良さを追求するマツダの覚悟は素晴らしいと思いますが・・・。

  そして今回のアクセラはロングノーズを採用してきました。全長を伸ばすことなく、車内の居住性を維持し、トランクの収納スペースも確保しつつ、ノーズを伸ばしています。単純に考えて何かが犠牲になっています。先日タイヤ交換でディーラーに行った際にじっくりとクルマを見て来ました。一番印象的だったのは、コクピットがフロント部分の下に潜り込むように設計されていたことです。簡単に言うと、ほぼ同じデザインのアテンザのコクピットをやや強引に前方にズラすことで、それ以外の部分のサイズを維持しているように感じます。

  よってフロントドアを開けると、アテンザよりもコクピットがだいぶ前方にある感じがします。アテンザというクルマは先代もそうですが、広いコクピット空間を贅沢に使い、着座位置を大きく下げることもできますし、シートの前後のスライド幅も多く取られていて、一番後ろに下げると明らかに休憩用のポジションになります。フロントシートを下げて倒せば、航空機のフルフラットリクライニングに匹敵するスペースが確保できて、車内でゆったりと寝ることができます。

  アクセラにそういう使い方を要求するのはもともと無茶なのですが、新型アクセラはその点でのマツダの割り切りをハッキリと感じることができます。アクセラはゴルフより約200mm全長が長いです。しかしその内の150mmは荷室スペースに使っています。さらにノーズの長さを考えると50mm以上は使ってしまっているので、キャビンの座席スペースはゴルフよりも短いくらいです。リアシートを比べると水平方向に屹立した印象のシートバックのゴルフに対して、アクセラのシートはまたまた寝ています。ルーフのデザインを優先しているのでヘッドクリアランスを確保するためにはこれしかありません。

  そして最後に残された比較できる空間がコクピットなわけです。ゴルフに対して「カッコ良いエクステリア」「広い荷室」「ゆったりの後部座席」を確保してファミリーカーとしての機能性で全て上回った上で、お父さんが収まるコクピットはというと・・・。ここが今回のマツダのbe a driverの真骨頂というべき「スポーツカー調」で帳尻を合わせています。ちょっと大柄なお父さんはCX-5かアテンザに乗ってくれといったところでしょうか。

  アクセラの「スポーツカー調」のヒントになったのが、BMW1シリーズでFRの不利な車内レイアウトを改善するために、Cセグハッチバックでは異例の低いシートを採用して、低い全高で短いシートピッチでもプレミアムカーとして「スポーティ」を売りにして、不満がないよう辻褄を合わせています。マツダもこのアイディアをコクピットの部分だけ拝借したようです。アクセラのコクピットはゴルフよりも明らかに低い位置にハンドルがあります。Aピラーも迫っています。想像以上にタイトな空間がスポーティな演出というわけです・・・。

  そんなBMWやマツダに同調せずに、Cセグを真面目に発展させたのがスバルXVで、こちらは我慢しないで乗るCセグを追求した結果SUV調のクルマになったというわけです。マツダの担当者も「このクルマにだけはアクセラじゃ分が悪い」とハッキリ言ってましたね・・・。



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2013年11月28日木曜日

ホンダS660 「いろいろ難点はあるけど・・・MR」

  軽自動車はどれだけ走っても・・・という意見は当然にあるだろうけども、そこいら中でノロノロと走る高性能車の中には300psオーバーを誇るエンジンパワーの内せいぜい100ps程度しか使われないで廃車になっていくクルマもあることでしょう。そんな状況を考えれば車重さえ軽く抑えてくれれば64pだからダメということはないかな・・・。

  何よりMRで作ってしまったところがこのクルマの価値であることは明らかです。日本で発売されるクルマのハンドリングは国産・輸入問わずどんどんスポイルされていて、BMWだろうがマツダだろうがスバルだろうが、もはやそういう部分だけでクルマを考えてはいないみたいです。ハイブリッドになったりディーゼルになったりで車重が膨らみ続ければ、ハンドリングマシンなんて言ってる場合じゃなくなってしまうのも仕方ないでしょう。低速トルクが高まれば、ピッチを押さえ込んでトラクションを制御して、その結果すべてが機械制御による味付けになり、結論としては”曲らない”クルマへと成り果てていきます。

  某雑誌の企画でメルセデスの新型AWDスポーツと、ポルシェのMRスポーツで"ハンドリング"を競うというものがありました。結果はハッキリとしたものだったらしく、曲る要素が一つもないAWDメルセデスと、基本設計からしっかり曲げようとしているポルシェでは、全く勝負にならないくらいの差があるのだとか・・・。日産が血眼になって新型スカイラインに新機構のハンドリングシステムを投入したことを見ても、市販車のハンドリングの基準はどんどん劣化しているといってもいいかもしれません。30年前からそのままの日本の道路を走るには今のクルマには多少やっかいになりつつあるようで、オレンジのセンターラインでも平気ではみ出しているクルマが目立ちます。昔のクルマと比べてワイドになっているだけでなく、ハンドリングの問題も確実にあると思います。

  もちろんクルマの設計だけでなく、タイヤのコンディションでも大きくハンドリング性能は変わってくるのでしょうが、やはり「軽量MR」という設計のクルマはそのアドバンテージから、これからの時代はさらに現実的に大きな意味を持ってくると思います。メルセデスとルノーが開発した新しいBセグプレミアムHBは、なんと大胆にもRRレイアウトに変更になるそうですが、その理由もハンドリングにあるように思います。やはりホイールベースが短くなればなるほどFF車の走行性能は低いレベルでしかなくなってしまうというので、更なるクルマの進化を考えるなら抜本的な手段が必要です。そしてそういうギミックを真っ先に仕掛けてくるのは、実はスバルでもマツダでもなく"メルセデス"であり"ホンダ"というわけです。

  トヨタグループのダイハツも来年に軽スポーツの発売を控えていますが、こちらは純然たるFF設計で、トヨタグループが力を入れている「ファッショナブル・スポーツ」という新しいジャンルのクルマです。ユーザーをその気にさせるのは「基本設計」よりも「エクステリア」だという明確なヴィジョンが見えます。とりあえずハンドリングなんて気にしないならば、ホンダのS660よりも気に入るという人も結構多いかもしれません。

  一方でホンダS660の内装にはやや「???」な部分があります。何かクルマ以外の乗り物にインスパイアされたようなコクピットデザインは、このクルマの一つの売りなんでしょうが、これを見て興味が失せてしまう人も相当いそうな気がします。発売までに別バージョンのエクステリアが用意されて選択できるようになると予想しますが、公開されているものはちょっと「幼稚」な気がしないでもないですね・・・。説教くさい言い分かもしれませんが、「基本設計」を頑張ったクルマこそ、こういう些細な点でつまづかないようにしてもらいたいと思います。少しはトヨタの「ファッショナブル・スポーツ」に学んでもいいのでは?


  

2013年11月24日日曜日

日産・スカイライン(インフィニティQ50) 「英メディアの酷評も妥当」(閲覧注意!)

  次期購入候補のクルマが見られるとあって、東京MSまで行ってきました。日産ブースはオープンスペースにフロア3層構造になっていて、明らかに最上階の熱気が凄いのがすぐにわかります。おそらく新型スカイラインがそこで見られるのだろうと、ややドン引き気味の連れの手を引いて、クルマに群がるカメラ小僧とスマホなオッサンを掻き分けて進むとそこには2014のGT-Rが・・・。「乗りたい方は後ろに並んで!」という声を係員が親切にかけてくれましたが、今日のところはGT-Rには用がないしと思いつつ愛想笑い・・・。

  隣りのもっと人が群がって全く見えそうにないのが、スカイラインか?と思い、再びオッサンを掻き分けて行こうと思いきや、皆様スマホを必死で持ち上げて上から撮っているので、目の前のスマホ画面にターゲットのクルマがクッキリ映っています。そのおかげで輪の中のクルマがGT-Rニスモだと分かりさっさと退散しカオスなフロアを降りることにしました。すぐ下のフロアには新型ティアナが・・・こちらは待ち時間なしで誰でも乗れる状況ですが、恐るべきほどに誰も興味なし!となりのエクストレイルも新型ですが、こちらも取り巻きは少なくまったく人気なし!日産やっちまったな・・・。

  スカイラインはどこなんだ?と注意深く見回すと、地上フロアのスズキのブースのすぐ隣りにスカイブルー・メタリックのクルマが見えました。今度こそ正真正銘のスカイラインなのですが、拍子抜けするくらい人込みも少なく、ベストポジションでじっくり見ることができました・・・。フロントデザインは近所の日産ディーラーで見ているフーガにやはり似ています。現行フーガの最大にカッコいいポイントがフロントデザインなのでこの点は良いと思います。さらにフーガの欠点である高いルーフが、はっきりと下げられていて全体のスタイルがスマートです。

  ただそこから先が難点だらけに感じました。この手のクルマのデザインの難しいところなのかもしれませんが、ライバル車とくらべて明らかに側面窓が大き過ぎます。車体剛性がクラスNo.1のクルマとは思えないような緊張感のない側面デザインになっています。このデカ窓コンセプトに決定した段階でこのクルマの運命は決まってしまったかもしれません。先代よりも車体全体をワイドに広くという方針は3シリーズやレクサスISと同じで、室内の居住性を優先したものになっていますが、日産はどうやらそこから先も真面目に突っ走ってしまったようです。

  デカい窓が一概に悪いわけでなく、日産の考え通り後席の居住性を考えたら景色が良く見えるほうがいいです。ただ現実の問題として同様に窓がデカいF30を側面や側面後方から見ると全くオーラが感じられないのと同じ症状に陥ってしまっています。BMWの場合は3シリーズよりも4シリーズや6シリーズを小窓にしてスタイルを際立たせる、ブランド内ヒエラルキー戦略なので、F30がかっこ悪いなんていうのは「野暮」なのですが、スカイラインの場合はまったく立ち位置が違うクルマなのですから、このデザインの選択ミスは悔やんでも悔やみきれません(それでも売れるかもしれませんが・・・ないな)。


  同サイズのクルマとしてはメルセデスCLAやマツダアテンザなどのプレミアム新興勢力が相次いで「小窓」で登場して、デザイン面での評判は非常に高いなかで、この新型スカイラインは「中身」が素晴らしいだけにとても惜しい気がします。今年始めの段階でイギリスメディアの容赦ない酷評に対し、日産のデザイン担当者(たしか名前が出ていた)が失敗を認めた上で「クーペで取り返す」という類いのコメントを残したを報じられていましたが、実車を見て英国メディアの主張は正しいと強く感じました。結論としては「クーペ待ち」かなという印象です。

  日本の某雑誌には新型スカイラインはインフィニティマークを付けていよいよBMW3やメルセデスCのライバルになると書かれていますが、クルマのメカニズムを考えると3やCと同じクラスというには大きな違和感があります。もはや車重もエンジンパワーも全く別の方向を向いていて、サスやハンドリングメカニズムの先進性で日産フラッグシップと欧州車が同次元なんてあり得ませんし、ホンダ・レジェンドに先駆けてAWDハイブリッドも用意してきました。AWDの弱点(パワー・燃費・ハンドリング)を全てカバーしたなかなか"ミラクル"なクルマになっています。同じ450万円のクルマかもしれませんが、どこをどう比べると、3やCと同じということになるのでしょうか?デザインの悪い点で!というブラックジョークか?

  日産のエンジニアがメルセデス製2Lターボの搭載に大反対したと言われていますが、それは至極当然でもっともだと思います。まあ売れ行きが伸び悩めば2015モデル辺りから2Lターボも発売しそうですが・・・。そんなこだわりも何もないようなエンジンはプリメーラでも復活させて、メルセデスブランドから発売してミーハーな日本の輸入車好きにでも売っておけばいいと思いますね。



2013年11月22日金曜日

スバル・新型WRX 「賛否両論?いやいやスバル最高でしょ!」

  今年始めのニューヨークMSと続くフランクフルトMSで世界のカーメディアの度肝を抜いたスバルの新しいデザインコンセプト「WRXコンセプト」で期待値が高められてしまったので、今回ロサンゼルスで発表された新型WRXには早くも厳しい評価があるようですが、日産GT-R級のスーパースポーツのサイズだったコンセプトと比べ、車幅を1780mmに抑えて「実用車のスバル」のプライドを優先させた点を評価したいと思います。

  確かにGT-Rは素晴らしいですが、より多くの世界中のスポーツカーファンに愛されているのが「WRX STi」だという事実をなえがしろにして、スーパースポーツ化しても従来のファンが付いてくるわけはないのですから、極めて健全な判断だったと思います。ポルシェ911の大型化の歩みを考えると、まったく無謀だとは言い切れない部分もありますが・・・。

  それでも目下、北米でも日本でも絶好調のスバルブランドは中型車専門ブランドとしては異例の急成長を遂げています。もはや北米では、メルセデス・BMW・マツダといった競合メーカーを完全に引き離して、中型車の”巨人”ホンダを追っかける最右翼になっています。日本でも3ナンバー販売では単月で日産を上回り第2位になる快挙も達成しています。トヨタといった"規格外"を別にすればこの2市場で、最も優れたクルマを作っているのがスバルというわけです。

  バブル期の日本メーカーは北米市場でこの世の春を謳歌しつつ、スーパースポーツ制作にうつつを抜かしました。一番謙虚だったトヨタが結果的にバブル崩壊のダメージが少なくその後も成長を続け、一番身の丈に合っていないマツダが大怪我をしたようですが、そんなトヨタをグループの盟主に置くスバルなので、400~500psの時代に突入したスーパースポーツ市場など最初から眼中にないようです。

  スバルはトヨタと共同でFRスポーツの86/BRZを作りましたが、このクルマの発売はスバルの今後の戦略にとても大きな意味があったと思います。このクルマはGT-Rのような派手さはないですが、低価格で軽自動車に匹敵する程度の4座を確保したことで、新しい乗用車の形としてスポーツカーのポテンシャルを示した画期的なクルマになりました。

  86/BRZは速く走るためのスポーツカーではなく、いかに無難なスペックでもスポーツカーとして成立させるかに最大の工夫があります。誰が見ても紛れも無くスポーツカーですが、燃費もユーテリティも維持費も全て乗用車の範疇に収めた点が最大のポイントです。ライバルのランエボが衰退していく中で、スバルの首脳陣も自ブランドのスポーツカー(WRX)の処遇には困惑していたでしょうが、86/BRZをお手本に予想外の突破口が開けた恰好かもしれません。

  当然かどうかは分かりませんが、「(乗用車として)所有させるWRX」なるものを強く意識した結果の「1.6Lターボ240psにデチューン」という”回答”なのだと思います。2Lターボで300ps超が代名詞だった従来のWRXですが、ランエボを除けば400万円でそんなハイパワーを振り回すクルマなんてマスタングくらいなものです。メルセデスもBMWも700万円オーバーが常識のレベルになっているのに、いつまでもコストパフォーマンスを見せつける意味なんてないです。

  つまりGT-R買うくらいの意識でA45AMG買いにいく客層は、メルセデスというブランドに恋しているだけなので、いくらWRXがしゃしゃり出てもおそらく振り向いてはもらえません。そんな「レイシスト」を相手にするより、従来のWRXはガチ過ぎて買えないという「まともな人」を相手にしたほうがずっと賢明だと86/BRZの成功がハッキリ示したわけです。

  スバルの新型車は意欲的で「WRX」「レヴォーグ」「2015レガシィ」と魅力的なモデルが発売を控えています。ぜひ売れてほしいとか思わなくても、きっとスゴい勢いで売れるでしょう。スバルはいよいよ一皮むけたように感じます。


  

2013年11月20日水曜日

レクサスRC 「売れそうだけど売れるかはわからない・・・そういう時代」

  クルマの基本性能としては申し分ないけど、見事に売れないクルマってあります。日本メーカーがライバルの輸入車をきっちり上回るクルマを作って、その輸入車よりも高い価格で売るという前代未聞の現象を起こしているのがレクサスISです。今度発売される新型スカイラインもBMW3やメルセデスCを上回る価格設定をしてくるようです。

  BMW3やメルセデスCはドイツやアメリカでは若者や女性の為のクルマとして主に使われるため、年配の男性がマイカーとすることは少なく、日本とはやや使われ方が違っています。その上のグレードとはあらゆる部分で差別化されているのでブランドの中では価格がかなり抑えられているので、ドイツではBMW3といえばスバルレガシィよりも1万ユーロほど安く設定されていて、レガシィの方が完全に高級車と見做されています。

  レガシィのようにドイツで評価されている日本車はそれほど多くはありませんが、クルマそのものの価値を考えたとき、レクサスISや新型スカイラインがBMW3やメルセデスCよりも高い価格設定がされても止むを得ないと思います。それでも日本のユーザーは「日本車なんだからドイツ車よりも安いのが当たり前」というバブルの頃の先入観がまだまだ抜けきらないようです。なのでいくらレクサスでもBMWより高い価格設定に納得しない人が多く、冒頭の言葉のような「売れそうだけど、売れない」クルマになってしまうケースが多いようです。

  BMWファンの皆様はどうお考えかわかりませんが、ISやスカイラインの基本性能は3シリーズのそれとは全く異次元で、設計そのものは7シリーズに近いレベルです。3シリーズ(ベースグレード)の適正価格は日本円で250万円程度であり、レクサスIS(ベースグレード)は400万円、新型スカイライン(ベースグレード)は500万円が適正価格と言えます。

  さて前置きが長くなりましたが、セダンに続いてはクーペも来年には「BMW4」と「レクサスRC」と「スカイラインクーペ」が相次いで発売される見込みです。クーペとなると、現在では日本メーカーが海外向けにラインナップしている程度で、デザインの美しさといった点では本場の欧州メーカーとはまだまだ造形力に差があると見做されてきました。

  三菱「エクリプス」など海外市場で一世を風靡したデザインもありましたが、日本国内でも発売される量販モデルのクーペのデザインであのBMWに対して優位に立つとは俄には信じがたい状況です。しかしデザインが公開されている「BMW4」と「レクサスRC」を比べたときに、なんと僅差かもしれませんが「レクサスRC」の判定勝ちと言ってもいいくらいにレクサスのデザインは冴えています。価格はまだ公表されていませんが、先代3クーペからわずかな値上げに抑えた「4シリーズ」に対し、「レクサスRC」は予想では700万円〜くらいの強気な姿勢を見せそうです。

  もちろん4シリーズとはクルマのレベルが断然に違います。その辺をよく考慮すれば3.5LのNAがベースグレードですから、700万円は妥当な金額です。4シリーズがRCと同じレベルの足回りやエンジンを装備したらBMWは900万円程度の価格を付けるでしょう。しかし! それでも日本の一般ユーザーはレクサスに反発するでしょうし、BMWファンは4シリーズへ、レクサスファンはRCへと傾倒するはずです。もちろんトヨタも700万円のクルマが飛ぶように売れるなんて考えてないでしょうけど・・・。肝心なのは日本のポルシェファンやマセラティファンは一体どっちを支持するのか?ってことなのかも知れないですね。



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  ↓今回の東京MSで一番の楽しみはレクサスRC!あの優美なリアデザインをじっくり見てきたいです。
 

2013年11月18日月曜日

CR-Z 2トーンカラースタイル 「ホンダって実はパクリセンス抜群!?」

  とりあえず「小手先」とか言われるのかもしれないですが、いわゆるシトロエンDS3を上手くパクってくれました。アルファード→DS3ときましたが・・・次のシビックは有り難くア◯セラでもとりあえずパクっておいたほうがいいのでは?

  ホンダに対しては次期シビックtypeRへの期待もなかなかに高いようですが、すでに日本ではCR-Zが立派に市民権を得ていて、改めて300psのハッチバックが必要かどうか微妙なところです。CR-Zは意外に長距離派にも広く受け入れられていて、東京近郊のドライブウェイでも端正なフロントマスクを見せつけるかのように走っています。

  ホンダとしてはホットハッチの中でシビックの地位を再び取り戻す必要があるのでしょうが、欧州と日本では同じハッチバックでも求められているクルマがかなり違っていて、FF最速を誇るルノー・メガーヌに400万円を投じたいと思う人は日本ではかなり少数派です。そういった本格派よりもむしろウケているのは、DS3のような個性派デザインのもので好き嫌いは大きく分かれますが、BMWミニ・フィアット500・VWビートルのようなクルマを300万円程度で買いたいと言うのが、このクラスのスペシャリティ・モデルの売れ筋なのだと思います。

  CR-Zはデビュー以来、フロントマスクなどの基本的な造形は素晴らしいのですが、やや腰高なデザインが災いしてサイドやリアのデザインに「納得できない」部分があって、ここに来て存在感が薄くなっていました。今回新たに2トーンカラースタイルとして、ルーフを黒に塗装することで視覚的にボディラインを低く見せることに成功しています。これならば買ってもいいなと思う人もかなりいるのではないでしょうか?

  最初からこの塗装で売ればいいのではという素朴な疑問もあるのですが、やはり発売当初はスポーツカーの復活の本命にこのクルマに宿命づけたホンダの気合から2トーンは考えづらかったのでしょうか。いよいよライバルのトヨタがピュアスポーツとして86を出して以降、欧州方面での風向きが変わりCR-Zをこれ以上「スポーツカー」として売り続けるのを諦めたようです。

  2トーンカラー化されいよいよ「オシャレコンパクト」へ生まれ変わり、今後CR-Zがどういう風にもて囃されるのかはまったく予想もできないですが、今後コンパクトSUVが続出する中で、スポーツカー寄りの個性派としてそれなりの地位を築けるのではという気がします。ホンダはS660をミッドシップで発売し、新たなスポーツカー提案をするようですが、あの「遊び心」が完全に暴走した痛すぎるコクピットを見ると「ホンダ」に全幅の信頼を置けない気もするのですが・・・。

  軽自動車では成功したかもしれませんが、ホンダが独創的なことをするととことん浮いてしまう印象があります。新型NSXコンセプトのデザインも完全に明後日の方向にぶっ飛んでいますし、公開されたシビックのデザインも失望しかなかったです。その一方で「パクリ」となるとホンダはセンスがよくて絶好調です・・・。もちろんこのCR-Zの新塗装もOKですね。

  

  

2013年11月6日水曜日

ザ・ビートル・ターボ 「どの隙間に入り込むのか?」

  「なんとなくあったら良さそうなクルマ」というのはあれこれ思いつくものですが、現実問題として「趣味」のクルマが新しく導入されるには様々なハードルがあります。よっぽどの画期的なクルマじゃ無い限りは、5~10年前にヒットしたクルマをよく調べて、どの乗り換え需要を吸収できるかを考慮したうえで発売(輸入)されているはずです。

  VWがカウンターパンチのように繰り出してきた「ザ・ビートル・ターボ」は一体どの乗り換え需要を取込もうとしているのでしょうか? そう考えていくと、このクルマは意外と「タイムリー」な存在であることに気がつきます。FFで200ps前後を発揮するコンパクトなスポーティモデルで5~10年前に発売されていたクルマといえば・・・、「ホンダ インテグラtypeR」「ホンダ シビックtypeR」「トヨタ セリカ」「トヨタ カローラランクスZエアロ」「日産プリメーラTe-V」そしてちょっと古いですが「三菱FTO」「日産パルサーGTI」「トヨタ スプリンタートレノ(AE111)」などなかなか多士済々だったりします。

  FFにこだわらず、目立つデザインのクルマとしては「トヨタ MR-S」「日産 シルビア」などもあります。これらは今でも街中でよく見かけることから、潜在的に「軽快でスポーティ」そして「個性的なデザイン」のクルマの需要は高いと言えます。

  それらのクルマからの乗り換えの受け皿になっているのが、「ホンダ CR-Z」「トヨタ 86」「日産 ジュークターボ」「マツダスピードアクセラ」「VW ゴルフGTI」といったところですが、どうも軽快さもデザインの良さも2000年頃と比べてやや小粒になった印象があります。ターボチューンに頼ったスペックの「嵩増し」に加えて、面白みに欠けるエクステリアが余計に買う気を無くさせてくれちゃっています・・・。

  「ザ・ビートル・ターボ」はゴルフGTIのエンジン&足回りをそのまま使った新グレード車です。当然ながらサスも従来のトーションビームから、ゴルフGTIに使われる4リンクに変わっています。車重はわずかですがゴルフGTIよりも10kg軽く、価格も20万円安くなっていて、後席の居住性さえ無視できるならば、かなりお買い得なパッケージになっています。

  特にこれまで「ハズしのVW」として、変化球的にジェッタやシロッコを選んでいた人にもかなり有力な選択肢ができました。ややポルシェに似たレトロなデザインは、シロッコと並んで現在のVWの「ベストデザイン」といって良いと思います。VWとしては看板車種のゴルフⅦが「コンサバティブ」な趣向になっているので、より「趣味」のクルマであることを意識できるモデルとして、ザ・ビートルとシロッコをプレミアムなスポーティコンパクトとして、より興味深いグレードをMQBを駆使して増発し。さらなる拡販を目指してくるはずです。このザ・ビートル・ターボはその第一歩となるクルマですが、早くも次の展開が楽しみになってきました。


 

2013年11月1日金曜日

BMW2シリーズ 「瀕死のブランドを救うか?」

  BMWの「裏エース」といわれていたBMW1シリーズクーペが生産中止になりました。BMWジャパンでもとっくに在庫が売り切れているそうです。まあ5年落ちの「135i Mスポ」が程よい価格(200万円台)でタマもたくさんあるので、とりあえず1台BMWのスポーティなヤツが欲しい人にはちょうど良い時期です。

  じつは「裏エース」といわれる所以はもう一つありまして、E46世代に遡るBMW3シリーズコンパクト(318ti)直系の2LのNAユニットを積んだ後発の「120i」もなかなかのクルマなんですよね。318ti当時と車重もほとんど変わっていないので、BMW3の「走り」の部分を背負っていた「3コンパクト」の良さを今に引き継ぐモデルなんです。いよいよ2LのNAモデルもXデーを迎えるだろうと思ってたのですが・・・。

  後継モデルとなる新型の2シリーズでも「220i」「235i」のどちらもそのまま残るのだとか!これはBMW久々の朗報ですね・・・。220iに搭載されるのは2LのNAで180psと出力もアップしています。しかも車重が1365kgらしいです。現行の1410kgから軽量化が一気に進み318ti(1380kg)よりも軽くなってしまいました!BMWやるじゃん。

  2LのNAで約400万円はやはり高いと言わざるをえませんが、BRZのコンプリートカーも同じくらいの価格だったので、まあ理解できる範疇かもしれません。少なくとも2LターボのBMWに全く魅力を感じない「峠派」の人にとっては一番欲しいBMW車になるんじゃないですかね。

  日本メーカーの峠専用機もかなり少なくなっていて、近頃では秘境の林道を駆け抜けているのはもっぱらデミオやヴィッツが多くなってきました。インプもレガシィも現行モデルは「峠派」のイメージとは程遠いですし、FMCしたマツダ・アクセラもせっかくならかっこいいセダンに2Lの「峠仕様グレード」が欲しかったです・・・。

  この新型220iが日本で発売されれば、かつてのインテグラやセリカを今も乗り続ける人々のニーズをしっかり受け止めて、予想外に販売が伸びるのではないかという気がします。アテンザやアコードもデカくなりすぎてしまいましたので、これらの旧型オーナーからも熱視線が集まるはずです。

  一方で高出力モデルの「235i」も同様に軽量化が進み1500kgを大きく下回っています。直6ターボの235iが直4ターボのF30よりも50kg以上軽くなるってのもなかなか興味深いですね。出力も320psにアップしていて、パワーウエイトレシオではポルシェ・ケイマンSに迫るところまでやってきています。ケイマンSよりも100万円ほど安く、しかも4座です!最近にわかに悪評が立ってしまった日産Zよりも50kg以上軽いわけですから、ちょっと怖いレベルのスポーツカーとしてキャラが立ってきました。

  実際に0-100km/hも5秒を切っていて、ケイマンSと日産Zを超える次元に完成されています。GT-Rや911ターボ買うぞって思っていた人でも満足できちゃうクルマじゃないでしょうか?まだ完成してないので気が早いですけど・・・。

  車幅も絶妙な1774mmらしいです。箱根の峠をかっ飛ばすにも最高のサイズです。いまのところポルシェ勢以外ではアウディTT辺りが担っていた「箱根モデル」の大本命になれそうです。TTもまもなく新型でより一層の軽量化が進み、さらに同プラットのA3セダンも海外では販売が始まっています。S4セダンもあるようで296psで0~100km/hが4.9秒で、235iと完全にガチンコしてます。なかなか盛り上がってますが、日本リリースの発表はまだ音沙汰もありません・・・。


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関連記事「BMW2シリーズクーペ」へのリンク

  

  

2013年10月22日火曜日

キャデラック・エルミラージ「GM得意のMA◯DA・パクリか?」

  ちょっとネガティブなタイトルですが、見た瞬間にほしいと思えるデザインのコンセプトカーが登場しました! とくに広島系メーカーが好きな人には堪らない!MA◯DAのTA◯ERIをそのままゴージャスにしたデザインで、5ポインティドグリルもちゃんと付いてます。  ⇒まずは動画をどうぞ「キャデラック・エルミラージ」

  2年前にクラシックカーを近代的にアレンジした「キャデラック・シエル」というラグジュアリー・オープンカーが発表されましたが、完全に映画と現実の区別が付かない「セレブもどき」さん達をターゲットにしたような「花車」でした。GMの発表によると、その「シエル」の延長線上にあるのが、今回の「エルミラージ」なんだそうです。
     ⇒「キャデラック・シエル」

  明らかにそのまま市販されても人気が出る余地が無かったであろう「シエル」のデザインを、急激に現実路線に戻してきた印象が強いです。これは一気に市販化に移りそうな勢いですね。なんといっても有りそうでなかなか無かった、デザインの整った5mオーバーの2ドア4シータークーペです。また4.5LのV8ツインターボというGMでは珍しいエンジンです。どうやら中身はB◯WのMやアル◯ナの6シ◯ーズをパクってしまったようですね。

  GMの北米仕様V8は主に6.2Lが使われていますので、今回は北米のマッスルカー市場とは決定的に距離を置いていて、むしろこの4.5Lという選択は欧州トップエンド市場を主眼にしているといってもいいのかもしれません。キャデラックはせっかく欧州向けのプレミアムコンパクトセダン(ATS)を導入したのだから、その拡販の為のイメージ戦略としてフランクフルトショーにこの「エルミラージ」を持っていき、欧州のトップエンド2ドアクーペをコピーしたような設計でアピールする狙いがあると思われます。

  来年にも登場すると言われているメルセデスSクラスクーペ(旧CLクラス)が、無類の存在感を放っている「フルサイズ2ドアクーペ」というジャンルで、真っ向から対抗するクルマをGMが用意してきたわけです。しかもデザインを見ただけでも主導権を握ろうという意欲がひしひしと伝わってきます。

  ほかにラグジュアリーな乗り味を追求した2ドアクーペとしては、ベントレーコンチネンタルGT V8が去年から日本でも発売されています。ベースグレードでも2000万円オーバーなので格が違うとも言えますが、デザインが持つスペシャル感ならば「エルミラージ」も全く負けていませんし、出力も500psとほぼ同等の性能を持つようです。もしエルミラージを1000万円そこそこで市販化するならば、やや無風状態の高級車市場に嵐が吹き荒れて、ブランドのヒエラルキーをもひっくり返ってしまいそうな予感もあります。なにやら10年ほど前に攻勢と強めて既存のプレミアムブランドの地位を変えたアウディの戦略と重なる気もします。

  キャデラックがブランドの中心として発信したい思い入れの強い車種は、ラグジュアリー2ドアクーペなのだそうです。このジャンルでのイメージリーダーの座を奪還することがブランドとして至上命題のようで、その粋を結集して作り上げたのが「エルミラージ」というわけです。くどいようですが、GMのクルマのデザインをここまで気に入ったのはこれが2回目です。1度目はシボレーコルベットC5です・・・。MA◯DA好きなら誰もが気に入るデザインですよね、モロ=パクですけど。
    ⇒「C5コルベット」


2013年10月18日金曜日

VWゴルフ 「ユーザーレビューが全部40歳代なのはなぜ?」

  ある雑誌のユーザーレビュー特集を見ていて、たまたまでしょうが新型ゴルフのレビューは5人が全て40代となっていました。大抵この手の特集は年齢層をバラバラにしようとするものですが、この固まり方はちょっと「異様」です。なんでなんだろう? 現在の40歳代というと、若い頃は「クルマ=ヤンキーの乗り物」というイメージがあり、派手なクルマに乗ることに対しては、嫌悪感があるのかな・・・。そして真面目に社会生活を送ってきて、お金に余裕がある人でも慎ましくゴルフのようなクルマを敢えて選ぶ? なんて勝手に邪推してしまいます。

  今の40代は子供時代に学校で「クルマは公害で石油は枯渇」と根拠も乏しいままに教えられた価値観が影響したせいか、クルマに対してネガティブなイメージを強く持っているようです。さらに同級生の友達には、スポーツカーにお金をつぎ込み過ぎて貧乏になっていった人もいたりして、クルマ所有そのものにネガティブなイメージすらあるのではないかと思います。実際のところ、それより下の世代の考えもほぼ同じようなものですが・・・。

  その40代がお金を持ち始めた10年くらい前から、地方に点在していた観光地が次々と寂れていきました。もちろんバブル崩壊からの「引き潮」というのもあるでしょうが、クルマという交通手段が正当に評価されずに若い世代の「クルマ離れ」へとつながり、何も無い田舎へドライブして「消費」するということが少なくなったことも大きいと思います。トヨタが一生懸命作ったミニバンやハイブリッドカー(プリウス)によって幾分はクルマの経済性が確保されましたが、そんなトヨタの素晴らしいクルマを単細胞なモータージャーナリスト達が「つまらないクルマ」と切り捨ててしまう残念な社会です。その結果とりあえず「プリウス」に乗ってその次が「ゴルフ」というのが、今の乗り換えの一つのトレンドとなっているようです。

  5名の方のレビューを読んでいて気になったことが幾つかありました。輸入車ハッチバック以外のクルマは最初から興味ないようで、しかも4名がVW車からの乗り換えでした。まだ初期販売分のクルマなので、VWユーザーに真っ先にアプローチが掛けられてますから当然かもしれません。もう1名はセレナからの乗り換えで、「ミニバンよりも乗り味がいい」というあっけらかんとした感想を寄せてました。乗り味がミニバンより悪いCセグHBなんて日本ではどうやっても発売まで漕ぎ着けられないはずです。

  輸入車HBのライバル車はきっちり試乗している人もいて、フォード・フォーカスの方が運転は楽しいけど、安全装備と燃費性能でゴルフという現実的なコメントをされてました。フォード(マツダ)C1プラットフォームに欧州で完敗したゴルフなので、とても妥当な感想だと思います。ただこの人が新型アクセラに乗ったら、さらにどんな感想を漏らすのかが気になります。「国産は興味ない」「4460mmはデカ過ぎる・・etc」だったりするかもしれませんが・・・。

  またクルマには直接関係ないことなのですが、オーディオがスマホだかi-phoneだかに対応していないと複数の人が欠点として挙げていました。実はこの指摘がとても気になってしまいました。まあとんでもない話ですよね!こりゃ何にも解ってないです! もちろん「ゴルフはナビも対応しないし、オーディオもダメなのか!オワコンだな・・・。」なんて言うつもりはないですよ。

  今回のゴルフが同クラスで最も優秀な性能を発揮しているのが「遮音」だそうです。つまりライバル車よりもずっと静かなんです。せっかくVWがこだわった「静粛性」を300万円以上払って買う訳ですから、軽々しくスマホとかi-phoneとか言ってないで、CD使えよって言いたいです。クルマの車内は気密性が高くとても反響するので、室内であるとかヘッドフォンと比べて、「圧縮音源」の音響が「通常音源」と比べて大きく劣化します。静粛な車内と最高の音響を求める「オーディオマニア」はCDで音楽を聴くのが当たり前です。

  VWはせっかく作った静粛な空間なのだから、圧縮など使わずCDで音楽を聴いてほしいと思っているのでは? と我田引水的な解釈を思わずしてしまいたくなりました。そしてVWがちょっぴり好きになるエピソードでした。なんといっても長距離ドライブの前に2時間くらいかけて24枚を厳選するのが最高に楽しいのではないですか?
  

  
  

  

  

  

2013年10月16日水曜日

ボルボS60 「HV全盛の日本市場に丸腰で参上・・・」

  ついこの前まで「ハイブリッドのセダンなんていらね。ハンドリングがだめなセダンはつまらないし危ない。」と吠えまくってたのですが、まあそんな素人の考えなどは日本の自動車メーカーはとっくにお見通しのようでして、まもなく出てくるアクセラやスカイラインのHVには、ハンドリングで凌ぎを削るマツダの日産の「こだわり機構」が盛り込まれるようです。あくまで乗用車のハンドリングなんぞは簡易的なものに過ぎないですけども、やっぱり気になる点に適切な配慮が欲しいものです。ハンドリングと言えばBMWやアルファロメオが有名ですが、マツダ・日産・ホンダ・スバルの「ハンドリング四天王」の技術の懐もまたとても深いです。これらのメーカーは本気でコストさえかければ、どんなエンジンでも超絶ハンドリングに仕上げることはできるはずです。

  ガソリンエンジンと同じくらい軽いハイブリッドのセダンなんて作ろうと思えばいくらでもできるけど、妥当な価格で売るためのハードルが幾つかあって・・・、それもやろうと思えば簡単にくぐれるんだけど・・・、そうすると既存のモデルが全く売れなくなって以前に投資した開発費が回収できなくて・・・。バブル期の日本の高級乗用車には豪華な新機軸が次々と盛り込まれ、フェラーリのような4輪DWBサスや電制ダンパーに4WSとなんでもありだったようですが、北米や欧州向けのクルマと共通設計にして、アメリカで2万ドルで売らなきゃいけなくなると、とても採算がとれないので次々に消えていったようです。

  その後さまざまな特許が消えて、当時の日米メーカーの技術が今のポルシェ991型911などの欧州高級モデルの電制ダンパーとして使われていたりします(電制ダンパーの本家はアメリカらしい)。欧州は昔から固めてあればいいわけですから、緩いのと硬いのを使い分けるのは日米メーカー主導だったのも当然でしょうか。しかし時代はすでに21世紀でトヨタは最近になって「自動運転」と「燃料電池車」を公開し始めました。もうとっくに完成していて、さらにコスト面での目処もとっくに付いていたかのような「同時公開」でした。もう「空飛ぶクルマ」などもとっくに試作が完了しているのかもしれません。



  さてスバルとボルボから始まった自動ブレーキは、裏でどんな部品メーカーがこの世の春を謳歌しているのかわかりませんが、とうとう最後まで慎重だったトヨタとBMW(全車標準!)も導入するに至りました。一方で同時にボルボが提案した歩行者向けエアバッグはいまいち広まっていないのは残念ではありますが・・・。しかしボルボが「先端技術」と触れ込んでいる安全技術の多くはすでに主要メーカーからすれば大した技術ではありません。ただ他社が様子見をしている技術をいち早く世に出そうとする意欲は素晴らしいと思いますが・・・。

  2014年モデルへとフェイスリフトしたS60ですが、このクルマはどうもマツダ・アテンザのデザインをパクる傾向があるようで、今回はアテンザのFMCを受けて2代目アテ似のコミカルな「小動物顔」から、3代目アテに似たやや「鋭いライトとグリル」へと変更しました。しかしMCでデザインと幾つか追加機能が変わっただけで、ホイールベースなどはそのままですので、もはやアテンザというよりは、ハッチバックのようなリアのデザインから新型アクセラに近いと言えるかもしれません。

  最近まで割と誤解していたのですが、ボルボがS60、V60、S80などで使う「フォードEUCD」プラットは、アテンザやリンカーンMKZに使われる「フォードCD3」プラットとは別のもので、元々はアクセラやフォーカスに使われていた「フォードC1」プラットの改良型だそうです。S60は直6ターボを積んでわずかに580万円しかしないので、欧州プレミアムメーカーにしてはお値打ちだと考えていたのですが、実際はアクセラに直6ターボ積んだようなクルマと言われれば、まあ妥当な価格だなと思います。

  ちなみに1年ほど前から話題のレンジローバー・イヴォーグも450万円という破格さで日本でもブレークスルーしましたが、このクルマもまたお値段から想像できるように「EUCD」プラットにちょっと手を加えた「LR-MS」プラットを使っています。フランクフルトで公開されたジャガーのSUVコンセプトもこれの兄弟車です。これらは簡単に言うとアクセラと設計が共通なCX-5の親戚みたいなクルマです。いずれもマツダのBKプラット(=フォードC1)から派生してるので、イヴォーグもボルボ全車もマツダ車といってもいいのでは・・・。

  ちょっと話が反れましたが、新生ボルボは以前と比べてクルマに重厚感がなくなったと言われています。マツダのお下がり(旧型アクセラ)を使っていることも大きく影響していることでしょう。アクセラも新型からはアテンザと同じ「スカイアクティブ」プラットへと移行します。マツダの中型が全てこのプラットに統一というのもなんかつまらないですね・・・。フォードはフュージョンとモンデオを「CD4」という新しいプラットへ移行しています。シャシー開発力がないボルボは今後も旧世代の「EUCD」で騙し騙しやっていくしかないようです。

  ボルボのような境遇の零細メーカーは中国にたくさんあり、トヨタ・マツダ・BMW・VWなどの「ワークス」メーカーにプラットフォームの使用料を払い、ノッチバックのライセンス生産を行っています。そんな「カスタマー」メーカーが高級車風情のクルマを「ビュイック」やら「ローバー」やらのブランドに乗っけて日本に売りにくる日も近いかもしれません。ボルボもレンジローバーも好調なので、日本人相手のブランド商売はチョロいねとばかりに、次はジャガーのDセグ(プラット不明)がやってくるようです・・・。

  
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2013年10月10日木曜日

インフィニティQ50 「ハイブリッドが"官能"な時代の到来か」

  やはり日産はトヨタとは様々な考え方が違うようです。それはそれで個性があってとても良いことですし、ユーザーにとっても選択の幅ができることは歓迎すべきことであります。あくまで私個人の意見としてはレクサスIS300hは、研ぎ澄まされたせっかくのシャシーにはやや残念なパワーユニット(直4+HV)だったと思います。このクラスのクルマはやはり常に「純度」を高く維持することに絶対的な価値があると思うのです。

  いよいよV6搭載スカイラインが3代目を迎えました。初代モデル(v35)は旧スカイラインのファンから大きな失望を買ったクルマでしたが、日産はその後もスカイラインを日本市場では「異質」な存在となるまで大切に育て上げました。初代モデルが日産のエリート開発部の手による確信に満ちたクルマであったという事情もあったようですが、3.7LのNAエンジンでクラス最高の車体剛性を誇りカタログ燃費は堂々の9km/L!というアンタッチャブルなスパルタンセダンを10年に渡って販売してきました。

  その後に開発された派生車のGT-Rもそうですが、世界のどんなライバル車にも絶対に負けないクルマを作るという「世界最強主義」?を貫きました。GT-Rあポルシェ911ターボを圧倒し、「スポーツタイヤを使わないと達成できない」とポルシェが主張するような究極の加速性能を手にしました。V36スカイラインは北米市場でプレミアムDセグとして人気を博したE90系の直6ターボ(308ps)に対して、出力で負けていた3.5LのNA(280ps)をわざわざ載せ変えて3.7LのNA(333ps)をBMWを視野に入れて開発しました。

  そんな日産のどこまでも突き抜けた高性能車への熱意は、この新型スカイライン(インフィニティQ50)にもそのまま持ち込まれているようです。今回は3.7LのNA(333ps)よりもさらにパワフルなハイブリッドのユニット(354ps)を載せてきました。日産がレクサスGS450hやBMWアクティブHVに対抗するためにフーガ用に作った高性能ハイブリッドです。

  ただ日産がこのユニットをライバル車のエコ化が急速に進む中で、頑なにV36スカイラインに使うことを拒否した理由は、ハイブリッド化によってスカイラインの魂であるハンドリングが無力化してしまうからだったようです。日産はスカイラインのハイブリッド化に際して「ステア・バイ・ワイア」という電気信号を使ったステアリングを新たに開発しました。これは通常の電制ステアを大きく上回る速さでステア操作が伝わるので、車重が多くなったクルマの旋回性能の向上に大きく役に立つのだとか。

  ただ結局はタイヤの性能次第なのではないかという気がしないでもないですが・・・。とにかく、さすがは日産でこれならハイブリッドやディーゼルを搭載してもアテンザのようにフロントヘビーで、辛辣な(ドイツ車好きな)評論家から酷評されることもないでしょう。メルセデスやBMWと比べても圧倒的といえる車体剛性を誇るため、当然ながら「骨太」な構造で車重が嵩んでしまうスカイラインにとっては待望のシステムと言えます。もはやハイブリッドのバッテリーやら安全装備やらをたくさん詰め込むパッケージングを止めないとしたなら、これはスポーツセダンへの回帰に向けての根本的な「ソリューション」として有効に機能する数少ない方法だと言えます。

  トヨタのマーケティングからすれば、これからのカタログモデルのセダンで走りに徹することはナンセンスなのかもしれません。「走り」ならスポーツカーで!「パッケージングと高級感」こそがセダンの本領!という主張が見え隠れするのが最近のトヨタ/レクサスのラインナップといえます。そんなトヨタと敢えて「カチ合わない」ことこそが、日産のスカイライン開発の本音なのかもしれませんが、それにしても見事なまでの「こだわり」に感服するしかないですね・・・。たとえレクサスRC-Fが発売されて400psオーバーで対抗しても何も問題はないですね、日産にはGT-Rがあるのだから! 

  もちろんレクサスIS350とRC-Fといった"官能"モデルはスカイラインに匹敵する魅力を持っています(RC-Fは未発表ですが)。そしてスカイラインの3.7Lと3.5L+HVはさらに高い次元を目指そうとしています。どうやら日本のDセグ車のレベルはとうとう世界の頂点を突き抜けたところにやってきたようです。この2台の争いからみれば、アテンザ、F30、W204、キャデラックATSなどは遥か下界のウジ虫にすぎないかもしれません・・・。こりゃスカイラインを買うしかないな!(と書いてて思いました・・・)


2013年10月8日火曜日

アウディA3 「ゴルフ並みのミニマムFMCだけど・・・」

  VWゴルフのFMCはかなり話題性がありましたが、その兄弟車に当たる新型アウディA3の日本上陸はなかなか地味でちょっと拍子抜けするほどでした。ゴルフと同じく先代モデルとまったく変わらない見た目は、「アウディ」というプレミアムブランドの量販車としてのデザイン面でのユーザーへの責任義務を果たせているのか?という根本的な疑問が思わず湧いてしまいました。

  アウディA3はVWの開発部門が設計を担当していて、まさにゴルフと共通設計の上級版モデルなのですが、ゴルフも5代目以降(現行は7代目)から高級路線へシフトしているので、ゴルフとA3の差別化がこれまでも十分に図れていないという指摘もありました。ただ欧州でのクルマの基準は日本よりも「感覚」に依存する部分が大きいようなので、ゴルフとはテイストが違うのA3の存在は日本よりも意義深いものであると思います。

  まったく同じ設計と言えるゴルフではなく敢えてアウディA3を選ぶ理由は、アウディのブランドイメージが醸し出すものだったりするのでしょう。しかし新型ゴルフには今回ナビが対応しないので「外付けナビ」になるというかなり致命的な欠陥があり、新型A3は装備されたポップアップ型モニターに日本初のwi-fi機能を搭載されているということもあり、ゴルフの弱点であるナビは完全に解消されて発売するようです。

  このナビの設置に関しては、実際のところかなりA3を選ぶ誘因になると思われます。しかしここでVWは巧みな商品ラインナップで購入者を待ち構えています。アウディA3のボトムモデルは308万円の1.4Lターボ(122ps)のグレードになるのですが、1.4という数字に惑わされますがゴルフハイライン(299万円)の1.4L(140ps)とはまったく別のエンジンを搭載しています。

  ナビを外付けする必要はなく標準のモニターで使えて、さらに同じエンジン(1.4Lターボ)と足回り(後輪マルチリンク)を使っていて、VWとアウディが9万円しか違わないなんてことは常識で考えてあり得ないことで、当然ながら使われているエンジンは全くの別物です。新型ゴルフハイラインに使われるようになった1.4Lターボは気筒休止機構付きで、燃費の改善に貢献しているのですが、これと同じ新しいエコエンジンを積むアウディA3は347万円まで跳ね上がります。さらにゴルフはディーラーが格安の外付けをサービスしてくれるようですが、アウディA3の自慢のwi-fiナビは3年分の通信料が付いて30万円なのだとか。よって最終的な価格差は70~80万円に達する見込みです(もちろんA3が高いです)。

  A3の販売戦略としては、ゴルフハイラインと同じ最先端の燃費効率を誇る1.4Lターボを中間(347万円)に設定し、先代と同じエンジンを引き継いだベース(308万円)で十分に裾野を広げて、ゴルフとの兼ね合いに置ける選択肢を増やし、最後にゴルフに設定されていない1.8Lターボクワトロ(AWD)をアウディらしい上級モデルとしつつ393万円に設定されています。先代の2.0Lクワトロが463万円ですから70万円!の大幅値下げです。

  それにしてもなんとも効率いい3グレードだなと感心してしまいます。とくに1.8Lターボクワトロ(393万円)は、メルセデスA250の420万円という設定を見事に読み切った完全なる戦略勝ちと言えるかもしれません。ほかにもレクサスCTという強力なライバルがいますが、このクラス(プレミアムCセグ)にこの価格でAWDを持ってくることを評価する人も多いと思います。この値段のハッチバックがバカ売れするほどのイメージはまだまだ日本市場にはないのですが・・・。

  ゴルフやライバル車の中でなかなか個性が打ち出しにくそうですが、アウディA3としてはナビやAWDでどれだけ需要が掘り起こせるかがカギになりそうです。さらに年末頃には話題沸騰のA3セダンが日本に上陸すると言われています。日本市場ではデザインさえ高いレベルにあれば、高級車ほど3BOXの方が火が付きやすかったりするので、こちらにも今後注目していきたいですね。

  

2013年10月5日土曜日

マツダ・アクセラ 「実力派って言わないで・・・」

  マツダの工場では5月からとっくに生産が始まっていたようですが、いよいよ日本でもアクセラが発売されます。マツダディーラーは早くも自信満々で、売れて当たり前で1巡目でどれだけのバックオーダーが積めるのか?記録に挑戦する気分なのだとか・・・。

  基本性能に関しては申し分ないし、外装も内装もほぼプレミアムブランドと言っていいほどに洗練されていて、果たしてこれだけ理想的な条件でラウンチされたクルマが最近あったでしょうか? これで1.5Lで166万円(現行価格)なら大いに満足ですが、「母親に買いたいので200万以内で乗り出しできる?」と聞いたら・・・渋い顔をしてましたね。

  オススメはハイブリッド(2L)みたいです。走りに十分こだわっていながら、プリウスと同等の燃費!と威勢はいいですが、トヨタはすでにカローラHVの時代に突入しているので、一般的な目線ならカローラフィールダーに負けてしまいますね。おそらくトヨタの読みとしては、アクセラHVは大して売れないと踏んでいるようです。まあトヨタの予測はかなり当たりますからマツダが足掻いたところでどうなるものでもないでしょう。

  アクセラHVは本体が260万円になるようで、レクサスCTとほぼ同じコンセプトで100万円安い価格で完全にロックオンしてます。レクサスCTの特徴は、まずプリウスの加速をチューンしてリニアな乗り味に近づけている点。そして欧州カローラ(オーリス)の上級モデル用の後輪DWBでプリウスとは違うハンドリングを実現している点。あとトータルでのデザインがそつなくとても高いレベルでまとまっている点です。

  さてこのCTを追いかけるアクセラはというと、関東マツダの営業マン氏(サーキットでクルマをブン回す本格派らしい・・・)の試乗研修の印象では、加速・減速ともにCTより高いレベルにある。HVによる重量増も、むしろアクセラ自慢の後輪マルチリンクがより冴え渡るほどで、ハンドリングも完全にアクセラの方が熟成度合が上だと結論してました。そしてデザインは好みがあるでしょうが、CTもアクセラもどちらも高いレベルにあります。

  ただまあこのクラスのクルマは価格というよりも、どれだけユーザーにその魅力を残さず伝えられるかだという気もします。100万円安いからといっても気に入らなければ、絶対に買わないクルマです。他にも選択肢はいっぱいあるし、何といってもベストセラーのプリウスやアクアよりも高い価格なわけですから、アクセラはいかにお客を惚れさせるかが勝負ですね。しかもトヨタはしれっとプリウスPHVを285万円まで下げてきましたし・・・。

  マツダは好きなブランドなので、アクセラは是非に大ヒットしてほしいと思うのですが、1795mmという新たな国際Cセグのスタンダードな車幅に4500mm程度の全長のクルマ(ハッチバック)の魅力というのが、まだ具体的なイメージとして湧いてこないです。
このクルマを買えばどんな風に使えるのか? 
レストランに食事に行って隣りにレクサスGSが停まったらどんな絵面になるか(気まずくなったりしないか)? 
峠を走ったときにしっかりとガードレールに寄せきれるのか? 
ハッチバックのスポーティな軽快さが確保できる車重やハンドリングなのか?

  今月号のCGの編集後記であの有名な編集長が、UP!やポロはワクワクするけどゴルフは気分が盛り上がらない・・・なぜだ?と書いていましたが、やはりあのゴルフの「中の中」なボディサイズがどうもシックリこない理由なようです・・・。サイズだけでなく、走りもデザインも「中の中」だったりするわけです。

  アクセラはデビュー以来「実力派」なんて言葉がハマるクルマでした。新型アクセラももちろん「実力」がありますが、これまでのやや武骨な一面は影を潜め、「華」のあるデザインへと生まれ変わりました。車格もだいぶ変化して、セダンは車幅1795mm・全長4580mmでひと昔前のCクラスや3シリーズ、アルファ156くらいのサイズです。密かに2Lハイブリッドが設定されるセダンがベストチョイスじゃないか?というよりなかなかの傑作車だと思っています。セダンはもはやこの車幅(1795mm)になったので教習車になることもないので安心して買う事ができます。

  スポーツハッチバックもかなりゴルフを意識して、相対的な位置関係で「見下して」やろうという狙いが見えます。ゴルフ(4275mm)・ジュリエッタ(4350mm)・Aクラス(4355mm)よりも大きく立派に見せるために4460mmを先代から維持しています。デザイン変更で精悍な面構えになり、完全にドイツ勢とは立場が逆転したと思います。

  もはやアクセラは欧州ハッチバックに挑む、極東の「実力派」などではなく、環太平洋圏のCセグ「絶対王者」(TPPでアクセラは頂点へ!?)の風格に溢れています。そしてこの新型アクセラの向かう先は、シビックとエラントラ(ヒュンダイ)に支配されたアメリカ市場であり、新たな対決に向けてHVとディーゼルターボを引っさげて気合十分のようです。



  
↓A3セダンがドイツで発売されます!MAZDA3(アクセラ)を潰すために、ゴルフが苦戦している北米にも投入らしいです。4460mmのミニサイズなのでアクセラの優位か?
  

2013年10月3日木曜日

ルノー・ルーテシア 「日産ノートヲ補完セヨ!」

  日産ルノーの小型車戦略は、日本ではまだまだ「無風」状態ですが、北米や欧州ではなかなか侮れない急成長のグループとして注目されています。北米では日産による「ダンピング」が米国議会で問題になるなど、某韓国メーカーの販売戦術を真似て拡販に努めているとか・・・。そして欧州では幸いなことにジュークなどの小型SUVがブレイクしているようです。ジュークのやや過激な外装はさておき、コンソールやインパネを大胆に塗装した個性的な内装が、大衆車としては極めて優れていると評価されています。日本車が軒並みシェアを減らす欧州で、日産はVWやヒュンダイといった強豪を相手に互角の競争を繰り広げています。

  欧州の小型車部門で主導権を握るメーカーの中で、フォードやVWはやや保守的なデザインでシェアを固める戦略のようです。一方でヒュンダイと日産は個性的な内外装のデザインで小型車では前衛的なクルマ作りを戦略の「核」としています。欧州の小型車は「フィアット」や「シトロエン」そして「BMWミニ」が内装面での充実がウケて日本でもファンを獲得していますが、日産車の近年のレベルはこれら小型車の老舗メーカー車に一歩も引けを取っていません。

  日産の戦略やV字回復は親会社ルノーの大黒柱として、グループ内でも最重要な経営資源になっています。日産の次世代車への取り組みはそのままルノー本体にも様々な波及効果を及ぼしていて、多くのシナジーを生んでいるようです。4代目となったルノーのBセグコンパクトカーであるルーテシアは、先代までのルーテシア/クリオとは一線を画した艶やかなスタイリングになっていて、その出来映えはこのクラスにあまり興味がない人々の目を惹くほどです。思い起こせば3月のワールドカーデザインof the yearの候補にノミネートされていたほどで、欧州ではデビュー当初から評判が高かったようです。担当デザイナーはオランダ人で想像通り「あの」メーカー出身でした!

  日本では7月から販売が開始され、199~238万円に設定されています。高いか安いかは意見が別れそうなラインではあります。昨今では輸入車でもBセグなら199万円(プジョー208)などの設定も珍しくはないのですが、輸入ブランドのベースモデルは、最小限の装備で結局は価格なりだと納得してしまうクルマが多いのもまた事実です。ただそういったライバル車と比べて、このルーテシアは決して安っぽさを感じさせるクルマではなく、意味合いが大きく違っているように感じます。

  車幅は1750mmで全長4095mmという絶妙なスタイルで、車幅も全長もVWのポロとゴルフのちょうど中間に位置しています。ポロTSIハイラインとほぼ同じ価格で、パワーウエイトレイシオも同等で、車体だけがリッチに一回り大きくてゴルフに近いサイズになっていて、単純にポロよりも数段お買い得感があります。このサイズはまさに次世代型のファミリーカーとテレビCMで日産が喧伝した新型ノート(全長4100mm)と共通設計であることを意味しています。

  ただノートとの共通設計により、このルーテシアの最大の欠点になってしまったのが、後輪にドラムブレーキを配していることです。VWは当然ながら後輪もディスクブレーキなので、この点に関してはポロに負けているのが残念ではあります。ブレーキに関する認識もユーザーによって大きく分かれるので、一概に負けと判じるのはよくないのかもしれませんが、後輪ドラムだけでNGにしてしまう人も実際には多かったりします。

  また共通設計ならノート・メダリスト(167万円)を買うという選択も当然にあると思います。コクピット周りのシートも含めた意匠に関してはルーテシアに魅力がありますが、日産がノートで打ち出した後席のシートピットの変更などのユーティリティ性は、ルーテシアには受け継がれていません。この作り分けの部分も意図的に計算した上で、ルーテシアとノートの日本併売が企画されたのかな?という気がします。

  直3(1.2L)スーパーチャージャーで98ps&14.5kg・mのノートに対し、直4(1.2L)ターボで120ps&19.7kg・mのルーテシアは「ノートの高性能モデル」として妥当な価格に収まっています。ヴィッツの高性能ターボが270万円というのはあまり参考にならないかもしれませんが、ノートを高性能化するだけでなく、内装面でのこだわりを付加価値として計上すれば、かなり妥当なパッケージングと言えます。ノートの全グレードにまったく「惹かれなかった」お客さんでも、このルーテシアなら「ストライクゾーン」というケースも多いかもしれません。


試乗動画「ルノー新型ルーテシア」

 ↓ルノースポールやカングーなど、キャラが起ったクルマは日本でも人気があったルノー車ですが、今後はこの手の王道の量産車で人気を博すかも・・・

  
  

2013年10月1日火曜日

ホンダ・フィット 「これが売れなきゃホンダはいじけちゃうレベル」

  3代目となった新型フィットが発売されました。日本メーカーとしてはトヨタと並んで北米市場に大きなシェアを持つホンダは、アコード・シビック・CR-Vの中型3車はいずれもアメリカ主体で設計がされています。しかしこのフィットの販売に関しては完全に日本市場が先行していて、設計もまさに「日本スペシャル」と言っていい内容です。今やプリウスやアクアなどのHV専用車を除けば、このような普通車は絶滅危惧種と言ってもいいかもしれません。

  フィットのような「日本スペシャル」なクルマは現行では、ミニバンを除くと、カローラ・プレミオ/アリオン・マークX・SAI/レクサスHSのトヨタ4モデルとインプレッサとキューブとスイフトくらいになってしまうでしょうか・・・。日産(キューブを除く)やマツダのラインナップに至っては海外向け仕様をそのまま日本市場で売る事によって付加価値を見出している感すらあります。

  かつてはウィンダムやアベンシスなどの海外仕様車がもて囃された時代もあったようです。しかしいまとなっては、どれもこれもが「海外仕様車」ばかりで、かつてのような珍しさなどまったく感じません。それどころか開発段階から海外市場ばかりに目がいっていて、「日本軽視」の姿勢が日本車全体で見られます。その結果ネガティブな要素となって顕在化してしまい、予想外の不人気ぶりが目立ってしまっている車種も増えています。

  新型ホンダ・フィットには、そうした日本車の置かれている環境に一石を投じるものとして、ホンダのただならぬ熱意が感じられます。ホンダはもはやアメリカ車メーカーと言ってもいいくらいなのですが、このフィットに懸ける想いだけは、偽り無く日本市場のことを第一に考えているのだという意志表示があるように思います。

  フィットが属するBセグメントの日本車は、デミオもヴィッツといった欧米の個人主義を象徴するかのような、2人用の狭いキャビンのスタイルを採用しています。スタイリッシュでスポーティなデザインに包まれていますが、最近では不振ぶりが目立ちます。一方でフィットは「家族の絆」を感じるキャビンの広さを重視した設計が大きな個性となっています。

  結局いくら「スポーティ」だとか「流行のスタイル」だとか言ってもあくまでコンパクトカーです。決してカッコつけるクルマじゃありません。さらにキャビンが狭かったらツアラーとして機能しないですから、フィットの方向性が結局は正解だと思います。

  さらにフィットこそが最強の「日本スペシャル」であると、客観的に認知させるために、HVではアクアを上回る燃費を備えてきました。この戦略は開発当初からあったようですが、結果的に超えなければいけない壁を見事に超えています。

  そして日本で大量に売るという決意のもの、まったく統合・縮小せずに細かなグレード分けをそのまま用いています。エンジンだけでなく、MTやパドルシフトが選べるのは国内メーカーのライバル車(ヴィッツ・デミオ・スイフト)でもほぼ同じですが、ワゴンなどのボディタイプまで選べるという点で、フィットはBセグのライバルだけでなく、Cセグのカローラやプリウスにも十分に対抗できる奥深さを持っています。これだけでも最強の「日本スペシャル」に相応しい存在です。

  さらに新型フィットは「日本スペシャル」でありながらも、小型車の世界的権威であるVWのポロを撃墜するだけのポテンシャルを秘めていると言われています。これまでのホンダは系列部品メーカーとアジア地域のサプライヤーを厳選して部品を調達していましたが、現在では欧州部品メーカーにも広く門戸を開いているようです。その目的はドイツ車(VW)の基準を考慮して、あらゆる意味でVWに遜色ない万能のクルマを作ろうというものです。

  VWは基幹技術を含む設計においても、部品メーカーに丸投げした開発を多用するようですが、結果的にライバルメーカーがベンチマークしやすい体制になってしまっていると言えます。ポロの走りを車体剛性・ダンパーの部分でしっかりとフィットにフィードバックした上で、ポロのスカスカの1.2Lターボに対して、V-tecと複数用意されたミッションで圧倒しようという作戦のようです。

  「日本スペシャル」で設計されたクルマで、世界的に流通しているドイツ車を倒そうとするホンダの心意気には、日本車ファンとして最大限の賛辞を送りたいと思います。

  

  

2013年9月26日木曜日

スバルBRZ tS 「絶対お得なコンプリートカー(BRZを買う予定なら)」

  スバルが発売から1年あまりが経過したBRZの限定モデル「tS」を500台限定で発売しました。先日発売されたWRX-tSなどは2週間で300台のほとんどを売り切ったそうですが、BRZ-tSはやや苦戦している模様で、1ヶ月経ってもまだ半分売れ残っているとか。

  スバルの「限定モデル」がなかなか素敵だと思う点は、スペシャル仕様にも関わらず、法外な価格を取ろうとはしないことです。スバルはどうやら直4エンジン車の価格の限界は500万円と定めているようで、2.2Lの専用エンジンをわざわざ装備したインプレッサ22Bでも500万円でした(400台が3日で完売)。単純比較はどうかと思いますが、量産モデルとして昨日、日本発売が開始されたBMW428は4気筒にも関わらず600万越えしています・・・。

  あくまで素人の考え方かもしれないですが、「WRX」よりもむしろ「BRZ」の方が、ノーマルモデルと比べたときの「tS」の出来の良さを多く感じられるのではないかと思います。ご存知のようにBRZはトヨタ86と共通設計で、当然ながらトヨタ基準の厳しいコスト管理を元に設計がされています。スバルはスポーツモデルの設計には、必要と感じればビルシュタインやブレンボなど高性能部品をふんだんに使って仕上げることが多いメーカーなので、その辺のクルマ作りの文化の違いは以前から指摘されてきましたが、トヨタのクルマを作るという前提が強調されたようで、部品選びは完全にトヨタ主導だったようです。

  FRの本格スポーツということで、スバルが得意の欧州スポーツカー部品メーカーの製品との親和性が高いのではないかと期待されましたが、前述の理由で結果的にはSHOWA製のダンパーが採用されました。別に日本製の部品メーカーに文句を付ける気はないですが、トヨタのコスト管理下でスバルが企画した新機構が次々にボツになっていったのではないか?と容易に推測できます。発表当初からカスタムのベースカーとしての需要に応えるとトヨタが公言しているクルマなので、基本設計以外の交換可能部品は「デフォルト」品を使うのも当然ではあります。トヨタとしては好きな部品を使って仕上げてくれというわけです。もちろんそういう類いのクルマなのだという前提でユーザーも86/BRZを選んでいるのでしょうけど・・・。

  去年の発売後まもなく、普段フェラーリに乗っているというプロの評論家が、限りなく上から目線でこのクルマを悲鳴をあげそうになるほどのシニカルさで、「安いから、まあいいか・・・」と結論していました。あくまで想像ですが、他の評論家に何と言われても気にしないけど、この人からの批判はスバルの開発者にとっては「脳天直撃」のショックとして受け止められたかもしれません。スバルがやりたいように出来なかった結果としての酷評だから開き直ったかもしれないですが・・・。よってこのBRZのカスタムコンプリートカーには、スバルの意地とプライドが詰め込まれた、相当に気合いが入ったものなのではないかと想像できます。

  さてBRZ「tS」の内容を見てみると、「ブレーキの変更」という地味にクルマの性格を変えてしまいそうな部分をがっつり取り替えています。これはABSの変更にともなうプログラミングのための走行テストを要するので、一般人がカスタムで同じ事をやるのはほぼ不可能です。個人的な意見ですが、サスやブレーキを代えてくれるなら、100万円高くなっても欲しいというクルマは結構あったりします。新型アテンザとか、プジョーRCZとか・・・。

  さらに先ほどの評論家がやたらと噛み付いた部分が、しっかりと改良されている!スバルの開発者も当然に「批判」を読んでいるのでしょう。ノーマルのFA20は吸気系から「ボー」という不快な音がすると批判されていました。そこでエンジンの出力の変更はないですが、わざわざサウンドのみをチューニングしてあるのだとか。そして「不快だけどカスタムできない!」と一刀両断されたインパネのデザインもまた、ベース素材の変更だけで、まるで別のクルマというくらいに改良されています。

  個人的に86/BRZの最大の弱点は、内装で特にインパネと思っていましたが、このネガを解消してくれるならば、もはや「欲しくない」クルマではなくなりました。フロントサスもストラットという基本形状は一緒ですが、バネを専用の高機能なものに変えていて、ノーマルよりも「しなやか」になって乗り心地を良くしつつ、ハンドリングを精度を上げるために、減衰力が下がらないようになっているのだとか・・・。ここまでやってくれるなら、もはやノーマルを買うのがバカバカしくなってくるレベルかもしれません。もしBRZを購入予定なら絶対に限定モデルだと思います。


          ↓問題の批評が掲載されています!
 

2013年9月24日火曜日

クラウン・マジェスタ「これでいいのか? 落としどころが・・・」

  「非レクサス派」という人は調査をすれば結構多いと思います。特に国産のライバルメーカーの愛好者の中には、かなりの割合でレクサスと聞くだけで、やたらとムキになって否定する人がいます。かくいう私も現行GSが登場するまでは、レクサスの存在を1ミリも認められないタイプの人間でした。失礼を承知で言いますが、ネットにレクサスの良さを熱弁する人がいたら、「こいつ大丈夫か?」と思いつつ、最凶にセンスのかけらもないブサイクな人間像が頭の中に自動的に浮かんできたものでした。

  今でもLSと現行GS・現行ISしか認めていないのですが、レクサス=アレルギーはだいぶ無くなってきて、近頃では買ってもいいかなと思うことすらあります。情けないですが、自分みたいにポリシーの欠片もない人間などは、レクサスがちょっと本気を出しただけで、あっさりと許せてしまったりします。しかしまだまだレクサスに対して厳しい意見をお持ちの方も多いようですね・・・。

  最近のクルマの良さは認めるけど、レクサスオーナーの仲間入りだけは絶対に嫌だという人の気持ちは、なんとなく分からないでもないです。東京でレクサス乗ってる人は、関西人か地方出身か中国人だという「都市伝説」があるくらいなので、分別ある人なら意図的に購入は控えようとする結果、国内でのレクサス苦戦の一因になっているようです。実際に東京のショッピングモールでレクサスのドアが開くと、大抵は標準語でない会話が聞こえてくることが多かったりします。中国語だったりすることも実に多いです。まあ、なんというメチャクチャな偏見だとも思うのですが・・・。

  レクサスオーナーには絶対になりたくないけど、V8でエアサスの高級セダンに乗りたい人は、これからはどうしたらいいのでしょうか? トヨタの非情なまでのモデル刷新でトヨタブランドの最上級であるクラウン・マジェスタからとうとうV8モデルが消えてしまいました。いくらレクサスがあるとはいえ、本体ブランドのフラッグシップ車なのだから、幾つかのパワートレーンを用意するのが自然であり、当然V8モデルも残すべきじゃないか?と思ってしまいます。マジェスタはあくまでクラウン・ロイヤルの1グレードという位置づけなのでしょうか?

  この高級車ユーザーに対する非情な仕打ちは、社長号令の元「魅力あるブランド」へと脱皮を図っているトヨタ・グループにあって、看過できない「不祥事」じゃないかと思います。国内市場の一般向けモデルで唯一V8搭載車を販売しているトヨタグループが、販売チャンネルを制限するということは、国産V8モデルの希望者は全員あの日本車離れしたスピンドル・グリルを受け入れなくてはいけないのでしょうか?

  先代マジェスタのような日本情緒溢れる高級車が好みの人が乗り換えを考えたとき、V8エンジンにこだわって探すと、もはや良い雰囲気のあるクルマには巡り遭えないかもしれません。日本車離れした派手なスピンドルグリル顔のLSを含めて、V8セダンはパナメーラ、クワトロポルテ・ジャガーXJいずれも北米を意識した「大陸系」デザインへと無個性に収束していて、敢えて言えばSクラスや7シリーズ辺りが先代マジェスタのイメージにやや近いかなといったところです。いっそのこと12気筒のベントレー・コンチネンタル・フライングスパーのほうが、外国ブランドの最新デザインにも関わらず、先代マジェスタユーザーの感性に合っている気がします。

  SAIとかレクサスISとか「末端」のグレードならどんどんカッコ良くすればいいと思いますが、1000万円近いフラッグシップのコンセプトがコロっと変わってしまうのはやはりどうかと思います。LSのデザインはアヴァンギャルドになり、新型マジェスタはかなりスケールダウンしてフーガHVの対抗モデルみたくなってしまいました。エアサスも廃止され、なぜかブレーキだけは高級仕様のままというチグハグな足回りを考えても、610万円〜という価格も妥当ではありますが、まったく「欲しい」というモチベーションが起こらないです。先代のマジェスタは相当にお買い得だと思えたのですが・・・。



↓マジェスタはB'zが流れてるイメージかも・・・

2013年9月21日土曜日

インフィニティQ30 「シルフィはもう諦めてこれを日本で売れば・・・」

  日産にラ・フェスタというやや地味なミニバンがあります。セレナが絶好調の日産で、機能面よりドライビングフィールを重視した設計のミニバンとして、マツダのプレマシーをOEMしているクルマです。日産は特にOEMを戦略として多用するメーカーのようで、非トヨタ系のメーカーなら構わず提携したがる傾向があるようです。

  フランクフルト・モーターショーで、インフィニティ初の「Cセグハッチバック」が発表されました。予告されていたスケッチデザインが「ほぼ」マツダの鼓動デザインと同じで、いよいよアクセラまでもOEMされるのかと勘違いしてしまうほどです。デイズ/ekワゴンと同じように、INFINITYQ30 / MAZDA3で同時発売するという「サプライズ」があったら誰も疑わないほど良く似ています。

  プレミアムハッチバックの新車発売が相次いでいますが、やはりレクサスCTがじわじわと世界中で成功したのが大きく影響していると思います。日産はこれまで対抗モデルを用意せず、インフィニティブランドは大型車のみのラインナップでした。しかし北米でもインフィニティの大型車戦略は曲がり角を迎えているといわれ、一時はブランドの廃止まで真剣に検討されたようです。プレミアムブランドが小型車で稼ぐ時代に急速に変化した中で、アメリカン・プレミアムの中に取り残された感があります。アキュラもアメリカにはシビックベースのモデルを投入していなくて似たような状況です。結局レクサスとアウディが躍進してメルセデスとBMWが素早く対応しつつあるといったところでしょうか。

  日産はミャンマーでの生産に乗り出すなど、新興国マーケットの掘り起こしに主眼を置いているようで、競争が激しく苦戦気味の高級車市場にはやや及び腰になっているのかなと思っていましたが、ここに来て「後だしジャンケン」的な競争力のあるプレミアムハッチバックを用意してきました。デザインコンセプトの発表はマツダの「鼓動コンセプト・SHINARI」以前にさかのぼるので(つまりQ30のデザインはパクリではない)、十分な開発期間を使っていてさぞかし成熟された出来上がりになっているはずです。高級車となると過剰な技術投下が顕著に見られる日産なので余計に期待感も高まります。新型Aクラスのように試乗に赴いた素人にバカにされるような乗り味ではないはずです。

  仮想ライバルのドイツプレミアムブランドのCセグハッチバックが、前評判ほどの水準にはなく、デザイン面でも明らかな洗練不足(手抜き?)だと、MAZDAも日産もよく分かっているようです。どちらもここが勝負所と言わんばかりに、コンセプトに出来るだけ忠実なデザインを選考したところ、同じ顔になってしまったということでしょうか。それでもサイドからボディの形状をよくみると、両車の違いはかなりはっきりしています。ドイツのトレンドに従って低重心を意識しているアクセラに対し、Q30は日産ジュークのような腰高さを感じるデザインで、ハッチバックでありながら大径ホイールを配して、都市型SUVをクーペ的なボディラインでまとめた形状をしています。フロントは酷似してますが好みは相当に分かれそうです。

  そして「リアデザインの日産」を誇示するかのような、悪く言えばクラス不相応のド派手に飾ったデザインは自信の現れでしょうか。ライバルモデルが地味過ぎるという分析のもと、重点的に強化した様子が伺えます。それでも簡単には変更が効かないのがリアデザインなので、「過激」を押し付けられるユーザーにとっては購入時にかなりの決断を迫られるクルマかもしれません。日産はジュークの「個性的」なデザインで一線を超えてしまった経験もあり、実際にジュークは新型車として十分に成功したといえます。よって安易に批判するのは的外れだと思います。個人的な意見ではボルボV40のリアデザインは相当にアヴァンギャルドだと思っているので、Q30はそれを軽く超えたところにあります。

  一方で新型アクセラは「過激」さを意図的に抑えていて、それでいてハッチバックの最良と言える魅力的なラインを持っています。レクサスCTもそうですが、日本車のハッチバックのリアデザインはレベルが高く、インプレッサもヴィッツもとても良く出来ています。そういう日本車の良い流れを無視して、大きくデザインを飛翔させたQ30は、やはり親会社のルノーのようなフランス車的なアイディアで設計されてるようです。ルノーメガーヌの、これまたアヴァンギャルドなリアデザインを見ると、ルノー・日産グループとしての方向性にある程度の申し合わせがあるのだとわかります。

  さてもし日産が早いタイミングでこの「Q30」を日本市場に投入することになったら、マツダとしては期待のアクセラにとって、出鼻をくじかれかねないなかなか嫌な存在になりそうな予感がします。日産は現在は日本市場においては、新興国向けのクルマをそのまま投入していました。ミャンマーでは新たに「サニー」が作られるようですが、これと基本設計の同じ北米モデルがセントラで、日本ではシルフィとして売られています。このシルフィが案の定、日本市場で大苦戦をしています。やはりCセグを買うユーザーの多くはクルマに関して詳しかったりするので、シルフィはその層にはあまりウケていません。1.8LのNAという設定はなかなか魅力的なのですが、足回りの簡易的な設計には閉口してしまいます。これを1.2Lや1.4Lターボにするとほぼ「ゴルフ」なのですが、それをしても日本では販売は上向きにはならないでしょう。

  マツダとしては本来は実力がある日産が素っ惚けたクルマを売っている間に、アクセラのシェアを伸ばしたいと思っているはずです。Q30がインフィニティの名に恥じない高級スペックで登場するならば、アクセラやインプレッサにやや飽きてきたというこよもあって、日本車好きの注目を一身に集めそうな予感がします。詳しいスペックと販売確定の発表を待ちたいと思います。



   ↓せっかく注目度◎なのに水をさされた?新型アクセラです
  

2013年9月19日木曜日

ゴルフⅦ・GTI 「チェック柄のシートの真意は?」

  日本のコンパクトカーにはないVWゴルフの良さの一つにエンジンのラインナップが豊富というのが挙げられます。もちろん日本車も販売数が見込めるコンパクトカーには最大限に配慮が行われていて、トヨタヴィッツは1L・1.3L・1.5Lと3段階設定で、さらに特別仕様車にはターボ付きの高出力モデルが用意されたりします。しかしドイツメーカーであるVWが作るゴルフはエンジン出力の面で幅がとても広く設定されていて、最上級のゴルフRともなると三菱やスバルのAWDターボのスポーツモデルに大きくは劣らないほどの性能を誇ります。ゴルフが日本で人気となっている一番の魅力はこのエンジン・ヴァリエーションだと思います。

  ゴルフRとともに「スポーツカーグレード」に分類されるゴルフGTIは、公道ではやや過剰スペックなWRXやエボよりもお買い得で、通常モデルよりも軽快に走れるとあって日本での人気は高いです。観光地やドライブスポットで見かけるゴルフの半分近くをGTIが占めているような印象があります。もちろんVWが三菱やスバルより日本で安い訳がないですから、クルマの性能自体には大きな差があります。簡単に言うと、三菱やスバルは性能本意で高価なドイツ製部品を随所に施し、VWは価格面で優れるアジア製の部品で可能な限り徹底的に代用しています。

  「ゴルフ」はその地域の実情に合わせて、部品供給体制を整えて、GMやトヨタに互する巨大ブランドVWの主力車として、大量生産体制が採られています。日本へ供給されるクルマは日系繊維メーカーが日本の自動車メーカーに供給している素材を使っています。ブレーキパッドも日本車と同じブレーキダストが少ないものを作らせていて、本国仕様とは別物になっています。この日本向けの「味付け」が実はとてもウケているという話もあります。少々失礼ですが、脳内では「これぞ王道欧州車の乗り味!」と変換されてしまっている人もたくさん居たりします。

  そして一番「???」に思うのがGTIに使われるブレーキです。一見するとスバルWRX STIのようなオレンジ色塗装なので、「ブレンボ製か?」と思ってしまいますが、通常モデルと同じブレーキです。なぜ色が違うのか? なんとなく主旨は分かりますが、なんとなく恥ずかしい気がします・・・。スバルのように「ブレンボ」「ビルシュタイン」と有名パーツメーカーの名前を列挙してクルマの性能を担保しようとするのも、どうかと思ったりしますが・・・。ポリシーは無いのか?

  ブレーキの塗装だけでなく、GTIには通常モデルと区別するための内外装の差別化がいたるところで見られます。外装のワンポイントラインなどはとてもセンス良く、さりげなく特別モデルであることを示しています。しかしどうしても理解できないのが、昔の日本車にあったようなチェック柄のシートです。VWのやることですから必ず意図があるはずだと思います。スコットランドの民族衣装のチェック柄に伝統があるように、VWはゴルフという車種に「伝統」を織り込もうということなのでしょうか? 

  40年近い歴史を持つゴルフの初代モデルから「GTI」は設定されていて、まだまだFWDのハンドリングが100psにも耐えきれない時代に、ゴルフⅡ・GTIでは138psを出していたが、そのハンドリングは当時最先端の技術で滑らかに動いたそうです。その後ゴルフⅢ・Ⅳでは通常モデルのエンジンの大型化(つまりアメリカ進出)によりGTIの意味はあまり無かったようです。ゴルフⅤでTSIエンジンが使われるようになると、GTIはホットハッチに最適化とされている2Lの4気筒ターボに収まり、再び脚光を浴びるようになりました。三菱やスバルの2Lターボのラリーモデルが欧州を席巻した影響も当然あったでしょう。

  VWの存在を浮上させた稀代のTSIエンジンを皮切りに、メルセデスもBMWもダウンサイジングターボへの切り替えが急激に進みました。三菱やIHIといった日本企業のターボが欧州車のトレードマークになる中で、「欧州車としてのアイデンティティ」を示す必要があると感じたフォルクスワーゲンはGTIのシートに「欧州」であることを強烈に意識した柄を使ったのではないかと思うのです。現代のトレンドとはかけ離れたシート柄として浮いた存在になっていますが、クルマ好き向けの特別車なので、伝統文化を解さない「非文明人」に無理にウケる必要はないという冷徹な自負をGTIの「あのシート柄」に感じてしまいます。

  


 

ゴルフⅦの海外市場動画です。英語版ですが・・・。 

2013年9月16日月曜日

BMW4シリーズ 「まったくの予想通り それ以上でもそれ以下でもない・・・」

  いよいよ4シリーズの外観やラインナップが明らかになり、その全貌が見えてきました。3シリーズクーペの後継モデルなので、完全な新設モデルという訳ではないのですが、車名を変えてくるからには、様々な新機軸を装備して、停滞しつつあるブランドの流れを変えるべき革新性を持った提案があるのかと期待はしていましたが・・・。

  BMWの事情はともあれ、レクサスに2ドアクーペが来年にも復活すると噂され、2ドアクーペにも「競争」が生まれる予感もあり、中途半端な改良ではライバルに一気に捲られる恐れもあります。2014年にレクサスRC、インフィニティQ50クーペ、キャデラックATSクーペが登場すれば、モデル数が過剰・飽和になります。Dセグ2ドアクーペの伝統を守ってきたのはジャーマンプレミアム3なのですが、クーペの命と言えるデザイン面で新興の日米のプレミアムカーがかなり強敵となっています。さらに性能面でもドイツ勢の劣勢が予想されます。

  ドイツ勢の劣勢は、ドイツメーカーの低迷を意味しているわけではなく、このクラスで本気を出していないことが原因です。ジャーマンプレミアムにとってこのクラス(3シリーズ・Cクラス・A4)では高級車を売っているという意識はないようです。レクサスISとインフィニティQ50と比べると、エンジンスペックやサス設計のレベルが圧倒的に低いだけでなく、ドイツ車のかつての代名詞であった車体剛性やブレーキ性能でも完全に負けています。もちろんM4、C63AMG、RS5を登場させるなら話は別ですが、それらの価格なら日産のGT-Rが買えてしまうし、レクサスもRC-Fで対抗する予定です。

  ドイツメーカーよりも巨大資本に成長したトヨタと日産がムキになっているように映りますが、真摯に競争力のあるクルマを開発する態度は評価されるべきだと思います。それに対して、FMCだかMCだか解らない「引き継ぎ」を繰り返し、「新しさ」を感じないラインアップばかりになってしまったジャーマンプレミアムは、固定化された人気にあぐらをかいて世界のファンへの裏切りを続けています。もっともメルセデスやBMWは販売台数ベースでは「中堅」規模であり(利益はトップクラスだが・・・)、新機軸を開発すれば絶えず「不具合」と格闘してきたこの20年を考えれば、低リスクな新モデル開発に軸足を移してしまうのも止むを得ないかもしれません。

  現実にメルセデスもBMWもレクサスの「スピンドルグリル」級に大胆な意匠変更をしなければ行けない局面にさしかかっているのですが、この新型4シリーズを見る限り「F30のクーペ版」以外の何者でもないクルマに着地しました。新型レクサスISが高剛性のGSのシャシーを使い、スピンドルグリルと個性的なサイドデザインを入れ、新型HVパワーユニットを設定し、4輪操舵(4WS)とこのクラスのジャーマンプレミアムには考えられないほど力を入れてきているのに・・・。

  BMWのF30系は日本にディーゼルを定着させる影の功労者でした。BMWのアシストで一番助けられたのが、マツダで欧州で絶賛されたディーゼルターボを日本に持ち込み、危機的な経営状況から脱することができました。BMWのおかげで、日本の高級車ユーザーが安心してマツダディーラーに足を運びました。日本での人気はまだまだ陰りを見せないBMWは日本メーカーの強力なライバルであると同時に、日本の「中型車」の進化に大きな貢献をしたブランドであります。V36スカイラインもアテンザも新型レクサスISもBMWの対抗車種として開発されました。

  そんなBMWだからこそ、さらなる新しいアイディアを4シリーズ登場に合わせて盛り込んでくれるか?という希望的憶測もあったのですが、F30からの車体サイズでの差別化がやや目立つ程度でした。1300mm台への低車高化、これはジャーマンプレミアムがしのぎを削る2ドアクーペの最重要項目のようです。先代のE92と比べてワイド&ロー方向に変更されていますが、アウディA5に完敗したスタイリングでの挽回を意図しているようです。

  この4シリーズで一番ポジティブだと感じる点は、435iという直6ターボのグレードが「残った」ことしょうか。F30系の日本導入モデルでは、南アフリアでの生産を効率化するために、直6ターボモデルが消滅しました。しかし4シリーズでは435iが主力グレードとして公開されていますので、ドイツ生産が継続されるようです。もちろん南ア?ドイツ?というのはナンセンスな話ですが、FRのプラットホームに拘っているのに純粋な6気筒モデルがないというF30セダンの状況は端から見ていて少々奇異に感じます。250ps以下もしくは4気筒のクルマをFRにするメリットはほとんど無いので、アクティブHVやM3の為だけにFRにしているというのがBMWの言い分です。116iなどが良く「クラス唯一のFR」と評されていますが、「唯一」というのは「ナンセンス」と同義です。

  いよいよBMWも1・3シリーズを担当する「L7プラットホーム」の後継にはミニの設計を使ったFFを準備していると言われています。かつては中型車の雄として北米でホンダと火花を散らしたBMWには、その「復活」ののろしとして、上級モデル用のL6プラットホームを使った「中型車」をこの4シリーズに充当してほしかったと思います。直6ツインターボで前輪にDWBを備えた「440i」なるグレードを今後は期待したいと思います。

  
↓10月号はBMW特集でした。430d(3Lディーゼルターボ)もあるそうです。
  

435i試乗動画はこちらです⇒「自動車動画まとめブログ/BMW新型4シリーズクーペ試乗」

2013年9月11日水曜日

インプレッサXVハイブリッド 「クラウンHVより燃費悪いが・・・」

  アウトランダーPHEVという画期的なAWDのHV車が昨年に颯爽と登場し、業績不振に喘ぐ三菱に久しぶりに明るいニュースとなりました。三菱に負けじとライバルのスバルもよりスタイリッシュな都会型SUVに仕上げたインプレッサXVを発売しました。ゲリラ豪雨に豪雪が毎シーズン到来し、夏も冬もAWD車の必要性をひしひしと感じる日本の現状を考えるとどちらも画期的なクルマといえます。

  インプレッサXVは現行インプレッサが大々的に打ち出した「サイバー・デザイン」が、「都会的SUV」のデザインと相性が良い?ようで、新型車種にしてはかなり解りやすい仕上がりになっているようです。単体で見るとなかなか評価が分かれるデザインです。スバル+"やや"ポップというイメージを急に展開されても、ブランドイメージがすぐに変わるわけはなく、今は過渡期の真っ最中なのかなという気がします。

  クルマに「ポップさ」を求めることは、デザインに於いては良く有る話なのですが、こと賛否両論ある中でいつも全力で「スバルらしさ」を発揮してきたスバルが、唐突にややポップなデザインを出してくるとやはり戸惑ってしまいます。それでもスバル初のポップ・デザインは予想外にレベルが高く、初代日産マーチやVWビートル、BMWミニほど拘ったキャラ設定こそしていませんが、同じ都市型SUVのヒット商品である日産ジュークのデザインと比較すれば圧倒的に支持されるくらいの完成度はあります。

  サイバー・デザインと言えば、最近のメルセデスベンツもスバルと争うかのように積極的に取り入れている感があります。他社と比べて直線的なヘッドライトとグリルデザインで近未来的な乗り物デザインを志向している意図を強く感じます。ただ直線的なデザインは「色気がない」や「子供っぽい」といったネガティブな要素も醸し出すので、高度なデザインワークが要求されます。メルセデスの盟友である日産はこれとは逆に「曲線が複雑に絡み合う意匠」をフーガやスカイラインで多用し過ぎて、どこか締まりのない表情やサイドラインにやや混迷を感じたりもします。直線or曲線で方向性を決めてしまうのは、今後成長が望めない気もします(今後傑作デザインが登場する可能性もありますが・・・)。またメルセデスとスバルがデザイン的に近似する点も増えてきた結果、ややメルセデスの格調が失われたという意見も聞こえてきます。

  表題にクラウンHVより燃費が悪いと書きましたが、これは歴然たる事実です。ほぼすべての速度帯、走行条件に於いて数字が下回っています。2WDのクラウンHVは後輪動力源をエンジンとその互換機能としてモーターを設置し、出力特性に応じて絶妙にバランスミックスして使うことで燃費を向上させます。これに対し4WDのインプレッサはモーターをエンジンのアシストつまり「スーパーチャージャー」的に使っているので、大きく燃費は伸びません。EV発進がデフォルトのトヨタ車に対し、スバルHVは始動時はエンジン発進をします。もちろん一旦停止からはEV発進するようですが、一番の売りはEV発進ではなくエンジンの加速能力をモーターアシストで高めた時のスポーティな発進における燃費の良さです。瞬間的に3km/L程度に落ちる強烈な加速を、回生ブレーキを使ったモーターアシストに頼ることで軽減しています。スバルにとって見たらDITに変わる新しいエコ・モーター・チャージャーとでも言うべき機能です。

  いろいろ調べてみると、かなりスポーティなHVというスバルの予告通りのクルマになっているのですが、スバルの宣伝が完全にブレブレになっていることがやや残念です。一般的な印象としてもインプレッサXVハイブリッドが、WRXが積んでいるDITエンジンに比肩するパワーユニットだとは夢にも思いません。もちろんEJ20DITや最新鋭のFA20DITといったカリカリのスポーツエンジンともだいぶ距離があるのは確かなのですが、トヨタアクアとWRXのどちらに近いかと言えばWRXにやや近い!となら宣言しても問題ない立ち位置だと言えます。

  ホンダがこのクルマを作ったならば鬼の首を獲ったかのように、「スポーティHV完成!」と大々的にプロモーションすると思いますが、スバルにとっての「スポーツ」とはとてもじゃないがこんなレベルではない!とでも言いたそうな意地を感じます。それ故に他のブランドではもっとチヤホヤされていいくらいのクルマなのですが、スバル車である限りはなかなか扱いが地味なようです。まだまだスバルの開発の中枢部は「ロングストローク+ターボなんて子供だましのクソだ・・・」とでも考えているのでしょうか? スバルに言わせればBMWやメルセデスの現行モデルのほぼすべてが・・・!? やっぱりスバルはいいですね!
  

  ↓WRXは世界に誇る改造乗用車ですが、このXVハイブリッドも存在意義をもっとPRして良いのではと思ってしまいます。


  

2013年9月10日火曜日

輸入車ブログ: 輸入車の良さがわからないヤツは・・・心が腐っている!

輸入車ブログ: 輸入車の良さがわからないヤツは・・・心が腐っている!: 最近ではトヨタ・スバル・マツダといった国産メーカーがツボを心得た高性能車を次々と作るようになり、国産車と輸入車の立場にもはっきりとした変化が見られるようになってきました。とは言っても自動車ファンの間での印象でしかなく、一般の方々の意見をネット等で目にすると、日本車側も輸入車側...

2013年9月1日日曜日

トヨタSAIマイナーチェンジ 「ひそかな自信作では?」

  モリゾー社長の号令のもとトヨタの改革が進んでいます。去年のオーリス、カローラ、クラウンのFMCではまだまだ現場が付いていきていないバタバタした印象でしたが、今年になって期待のレクサスISを発表して、文句なしのDセグ最高水準の評判を勝ち得た勢いそのままに、同クラスのHV専用セダンSAIのマイナーチェンジがこれまたなかなか意欲的で好印象ですね。

  去年の後半からセダンをめぐる環境はかなり好転しています。新型アテンザの成功に引きずられるようにレガシィとマークXの販売台数も再上昇しています。乗り出し価格で400万円近くになるアテンザの価格上昇を受け、したたかなトヨタは一応以前から設定しているマークX”G’s”のプロモーションを強化して、高性能な3.5L搭載で420万円〜という絶妙な価格設定でアテンザを牽制しています。

  このマークX"G's"は一部で不評な「Xマーク」を外すという大英断が施されています。外観はFRスポーツの名車S15シルビアを一回り大きくしたようなスタイルで、トヨタらしからぬキャッチーなデザインになっていて、アテンザなどの新型車にも十分対抗できる目新しさがあります。さらにトヨタの3.5LエンジンはDセグにはパワフル過ぎる性能で、走りでもアテンザディーゼルを上回る爆発的な加速力を誇ります。つまり燃費以外(=走りの楽しさ)はアテンザにまったく負けていません。

  さらに質感と低燃費で勝負してきたアコードHVやメルセデスCLAに対抗して、今回はSAIに強烈なMCを施してきました。従来のSAIの弱点であったスタイリングが格段に向上していて、アコードやCLAに全くひけをとらない洗練されたものになっていて素直にビックです。あくまで推測ですがトヨタはこのSAIを特にCLAにぶつけてきたような気がします。わざわざナビをオプションにしてCLA180を下回る価格へと改訂し、もともと評判が良かった内装をさらにブラッシュアップして、決してメルセデスの後塵を拝することがない水準へと引き上げています。燃費・加速・足回りなどの基本性能もCLA180をきっちり上回っていて、トヨタとしては国内市場は絶対に譲らないという強い意志が感じられます。メルセデスが今後CLAにハイブリッドを持ち込んで400万円くらいで出しても負けないほどの完成度を誇っていると思います。

  SAIのコクピットを見れば、トヨタがこのクルマに懸けた想いを感じることができます。トヨタがここまで作り込んだ造形を見せるのは、兄弟車のレクサスHSを除くと1993年デビューの80系スープラが思いつくくらいです。80系スープラはリトラクタブルライトが廃止になり、やや中性的でマイルドな表情に変わりましたが、トヨタ渾身の3Lツインターボ(2JZ-GTE)と造形に優れた「スペシャル」なコクピットで人気を博しました。もちろん当時はGT-Rという世界的なスーパースポーツカーをライバルにしていたということもあってのコスト度外視の入魂だったようですが・・・。

  そんな歴史的名車にインスパイアされたかのような設計のコクピットを持つSAI/レクサスHSですが、冴えない外装と旧型ハイブリッドのせいもあってターゲットの高齢者にもまったく訴求しない残念なクルマとしてラインナップの片隅に放置されていました。HSの北米販売中止を受けてモデル消滅も止むなしと思っていましたが、トヨタの優秀なマーケティングは「大規模マイナーチェンジ」という判断を下してきました。

  クラウンやISではライバルと比べて価格が高くて(高いことに意味があるので仕方がないですが・・・)、十分に浸透しないと踏んで300万円台で収まるハイブリッドのDセグセダンを残すのはある意味当然の選択ではあります。BMW3とメルセデスCを総合的に出し抜いたレクサスIS、アテンザのスポーティユーザーに訴求するマークX"G's"3.5L、そしてアコードHV、メルセデスCLAとアテンザのエコユーザーへの需要を取込むSAI。強力な3モデルに加えて従来のトヨタユーザーをきっちり掴まえる新型クラウンとトヨタ陣営の強力なラインナップが揃った感があります。

  残るはアウディA4クワトロを叩くために、徹底的に外装をブラッシュアップしているという噂の新型レガシィを投入し、新たに参入するBMW4とインフィニティQ50クーペに対してレクサスRC(ISクーペ)をぶつける総力戦が展開されるようです。日産とトヨタのクーペ対決はお互いに厳重に情報管理を行っていて、特に日産はセダンとはまったく趣向の違うパネルデザインを見せると海外メディアに幹部が強弁しているようです。先に公表されているBMW4シリーズが霞んでしまうほどのスタイリッシュな対決が来年には見られそうです。

  

  

  

2013年8月14日水曜日

メルセデスCLA 「とりあえず目玉が飛び出るバーゲン価格」

  日本発売発表の半年以上前から、スペックもおよその価格も検討がついていて、FFになった以外にとくに強調すべきことがないクルマと酷評して片付けていた。そのクルマがいよいよ日本で発売になり、驚くことに価格も性能も全て予想通りの展開だった・・・。最廉価グレードの価格もほぼドンピシャの335万円!アテンザの売れ線のディーゼルLパッケージ(340万円)を予想通りくぐってきた。

  マツダ党に言わせればクルマの基本性能が全然違うということになるのだろうが、マツダが海外向けに作ったアテンザとメルセデスが日本向けに作ったこのCLAを比べると、その優劣は結局は乗る人次第な気がする。先代アテンザの2LモデルならCLAとほぼ同サイズで、車重は70kgも軽く、サスはフロントDWBで、ショートストロークエンジンが乗ってて本体220万円と全てに於いて完勝だった。このエンジンはフォードフォーカスの2Lとほぼ同じものなので、CLA180と比べれば運動性能は圧倒的だ。

  それが新型アテンザのガソリン2Lモデルになると貧乏くさいロングストロークエンジンに代わり、サスもCLAと同じストラットになり、車重差も30kgまで縮まり、ボディはかなり大型化しているので、峡路の走破性はCLAより悪くなっていて本体価格が250万円だ。Cd値に優れるCLA180に燃費でも負けてしまうかもしれない(アテはレギュラーだが・・・)。

  アテンザディーゼルだと加速性能でCLA180を圧倒できるが、価格と車重が逆転してしまう。僅差の価格はともかく、1510kgのボディでは従来のアテンザユーザーが慣れ親しんできた峠下りが楽しめなくなっている(ディーラーの人もそう言っていた)。あくまで個人的な意見だが、峠を下れないアテンザなんて存在価値あるのか?とすら思う。

  もちろんマツダにも事情があって、法定安全装備を全部載せて計算した結果が新型アテンザのサイズでありデザインであり、その中で最大限に魅力を引き出すために設定したのがディーゼルターボ+6MTということなのだろう。

  すっかりマツダの話になってしまったが、つまりメルセデスCLA180が335万円で発売される意味を考えたとき、果たしてマツダほどにユーザーの立場に立って作っているのかという疑問が少なからずある。若い人にも高齢者にも無理なくメルセデスに乗ってもらうためのパッケージというのも理解できるが、あまりにも自意識過剰な了見のような気がしてならない。メルセデスに乗れるだけで満足していたら、その興奮が冷めたときに何が残るというのか?

  マツダ党がマツダ車に感じる興奮を、メルセデス好きがメルセデス車で体感するにはやはり新車価格で1000万円以上はかかってしまうのだろう。メルセデスとは本来はそれくらいのステータスのブランドだと思う。マツダにもメルセデスにもそれぞれ作り手がユーザーに感じてほしいと思っている良さがある。ただその設定価格(その興奮に浸れる価格)がマツダは300万円でメルセデスは1000万円以上になっているという話だ。300万円のメルセデス車が体現するブランドの魅力は、100万円のマツダ車に備わった魅力くらいの感動しか与えてくれないだろう。




↓どことなく似ている両車。いよいよガチンコライバル対決になりました・・・。

  

2013年7月29日月曜日

マセラティ・ギブリ 日本車セダンに格の違いを見せつけるか?


  2013年に入り日本ではミドルサイズ以上のセダンが国産車だけでも毎月軽く1万台を突破するほど順調に売れている。セダン好調の要因を分析すると、各モデルの水準がひと昔前と比べると格段に高くなっていることが挙げられる。特に良くなっているのは燃費と内外装のデザインである。以前のセダンは燃費は悪くて当たり前で、車内は広さこそ優があったが、比較的短いサイクルでFMCMCを行うコンパクトカーやミニバンにインパネのデザインについては遅れている感すらあったほどで、インパネ以外にも古臭いミッションやハンドルが現行モデルに平気で付いていて、なおかつ「殿様商売」的な価格設定なのだからたまらない。

  この流れを変えたのが、2011年に発売されたトヨタのカムリHVと言われている。このクルマのヒットの最大の要因は、「なんちゃって高級車」として成金趣味にばかり走っていた従来の大型セダンの悪しきトレンドを叩き直した点である。10km/Lを軽く上回る良好な燃費に加え、大型ボディを動かすのに十分な進化したHVシステムを搭載し、後席のスペースを十分に取りセダンとして「当たり前」の実用性を決してスポイルすることなく、さらに内装はモノトーンで統一してクラスレスなシンプルさではあるが、全体としてセンスの良い仕上げにしている。

  もっともなんでこんな当たり前のクルマがもっと早く出てこなかったのかという思いもある。トヨタの時流を読む眼というべきか、1840mm幅のクラスレスなプライベートセダンに日本の道路&駐車場事情が対応できるように急速に改良されてきたことを察知し、他社に先んじてクラスレスなミドルサイズセダンを投入する英断こそが、このクルマの成功の最大のポイントなのだろう。

  車幅1840mmについては様々な意見がある。その最たるものとして「2013年版 間違いだらけのクルマ選び」で2台の1840mm幅のクルマについて、なぜか異なる見解が載っていた。レクサスGSは「ベストサイズ」で新型アテンザは「大きすぎる」とまったく逆の評価がされている。穿った見方をすれば、レクサスGSユーザーは赤坂・六本木周辺で買い物するので駐車場は問題ないが、アテンザユーザーはお台場や御殿場などのアウトレットを主に使うだろうから、アウトレットの狭い駐車場には「デカすぎる」ということか?さすがにそういった差別的な表現は一切使われていないが、著者が言外に託した想いはそれに近い気がする。なにはともあれ大衆車ばかりが並ぶ新宿駅西口駐車場も1900mm車が十分に入庫できるほど広く作られていて、1840mmならばなにも問題はなくなってきている。

  MBBMWに加えてレクサスや日産フーガなどが屋台骨を背負っていた、従来のセダンは失礼ながら、「時代遅れ」「悪趣味」のイメージが拭えなくなっていて、販売が低迷している。新型シャシー投入で巻き返しを図るレクサスもGSに続きISも意外にパッとしない。ブランドの宿命として「高級感」を全方位的に発揮する必要があり、それが従来のセダンのネガティブなイメージに重なってしまうようだ。

  その一方で「クラスレス」なカムリHV・アテンザ・アコードHVはかなりの勢いで息を吹き返しつつある。これまた穿った見方をすれば、バブル期に飛ぶように売れた欧州車が、その後の不況期にも中古車として大量に低価格で流通していたという事情で、このクラスの日本車の新車需要を一時的に引き下げていたと言える。中古欧州車もタマ数がだいぶ減って来て、それら中古ユーザーの多くは新車に乗り換える資金的余裕がないところに、お手頃で格落ち感も少ない良さげな新型国産セダンが登場して、その結果好評を博しているのではないかと思われる。いずれも輸入車からの乗り換えがかなり多いと言われている。

  それでもまだまだお金を持っている人は日本にはたくさんいる。新車に1000万円を注ぎ込める人にとっては、新たなクルマの候補としては、バブル期から大きな進化を見せていない名門のMBBMWではなく、新たに登場したポルシェ・パナメーラやマセラティ・クアトロポルテのほうが断然に魅力的であり、費用対効果も高いと言える。そこの市場に満を持して投入されようとしているのが、マセラティの新型セダンのギブリだ。いよいよ日本へも導入が近づいているようで、その仕様が次第に明らかになってきた。

  GTカーとしてのスポーツ性を重視するクアトロポルテは従来のガソリンエンジンに固執しているが、ライバルのパナメーラがVWのバックアップもあり突如としてPHVを導入してきたこともあり、新型ギブリにはディーゼルが設定されてパナメーラPHVに真っ向勝負を挑むようだ。果たして高級車にディーゼルが相応しいかという議論もあるようだが、とりあえず低燃費&マセラティブランドのパッケージで十分に日本などの市場で十分競争力がありそうだ。

  もっともマセラティとしてはさらなる市場の拡大を意図しているようで、簡単に言うと高級セダンにおいては斜陽のMBBMWの市場を切り崩す戦略車として位置づけられている。ただ早くもマセラティ車にしてはどこかオーラが無いという印象もある・・・。グランツーリズモがBMW6シリーズと同価格ならば十分勝算はあるだろうが、このギブリに6シリーズを切り崩す魅力があるかどうかはやや疑問だ。


↓ギブリが大特集されています。詳しくはこちらをどうぞ!

2013年7月19日金曜日

インフィニティQ50(新型スカイライン) 「”ラスト・ニッサン”は買いか?」

  あくまで憶測の域を出ない話だが、日産はどうやら「FR高級モデル」の開発を凍結したようだ。先日も北米を中心に展開しているインフィニティブランドの廃止が取りざたされたと報じられた。北米でのFR車の売上はまったく成長の兆しをみせず、仮に次期モデル用の新型シャシーを開発したとしても現在の規模の売上では開発費用の回収もままならないだろう。次世代の環境対応車の展開で遅れをとっている日産にとって、見通しが付かない高級車の開発をする余裕はないのが実情だ。

  まもなく発売されるインフィニティQ50もV35・V36と2代に渡って使われているプラットフォームが引き続き使われる。トヨタのクラウンと同じく3世代が同じシャシーを使うことになった。新型プラットフォーム開発が割に合わない事情はクラウンに関してもまったく同じだと思われる。そして様々な報道によると、この次(6~7年後)の日産のミドルクラス・ラグジュアリーセダンは業務提携しているメルセデスが設計を担当するそうだ。

  実質的にメルセデスはルノー日産の高級車部門を担当する「関連メーカー」に位置して来ているようだ。これはトヨタ・VW・GMの3軸で展開されつつある自動車業界で、メルセデスとルノー日産がそれぞれに競争力を保つための必然的な「同盟関係」だ。メルセデスもルノー日産もここ数年においてトヨタと互角以上の収益をあげていて、投資家サークルでは一定の評価を受けている。しかし世界で一番トヨタが多く計上している「研究開発費」を、この両社は大幅に削って無理矢理に収益を作り出しているという指摘もある(エコカー技術で両社が遅れているのは必然の成り行き?)。

  今後10年の自動車業界で予想されるトレンドとしては、VWが傘下のアウディとポルシェに高級車開発を委譲するという合理化策が各陣営に広まると予想されている。ライバルのトヨタもまったく同じようにスバルとBMWに自社の高級車を委ねる方針でグループ再編が進んでいる。フィアットも傘下ブランド間の連携を強め、フェラーリのエンジンやマセラティの生産スキームをクライスラー系ブランド(SRTやダッジ)やアルファロメオに移植して北米・中国・日本でのシェアの拡大を目指すようだ。簡単に言うとフェラーリのエンジンを使ってマセラティが組み上げたダッジやアルファロメオブランドのスーパーカーが登場するということだ。フォードとホンダはこれらとはやや一線を画した独自の経営方針(孤立主義?)を押し進めるようだが、ルノー日産もメルセデスと三菱をブランド内部に組み込んでVWやトヨタに追従すると言われている。

  前置きが長くなったが、このインフィニティQ50で歴史ある日産の「走りのセダン」は姿を消す公算が高い。北米で売れているアルティマ(ティアナ)は今後も残るだろうが、これはカムリやアコードのライバルとして作られたFFセダンであり、日産のスカイラインやセドリック/グロリアの系譜を引き継ぐようなクルマではない。

  今の段階でインフィニティQ50で新たに導入されると発表されたシステムは、フーガのハイブリッドシステムの流用と超高張力鋼鈑の使用がアナウンスされている。すでに生産が開始されているが、まだ正式に噂の「ハンドリング機構」についての発表はない。来年以降には2.2Lディーゼルターボと2Lガソリンターボによる新グレード追加があるようだ。

  もし栃木工場で作る「ラスト=スカイライン」なのだとしたら、やや地味なFMCの印象でとても残念だ。日産のこだわりが盛り込まれたハイテク=セダンこそがスカイラインの名前にふさわしいはずだが・・・。やはりバブル後の経営危機の段階でスカイラインは幕引きをすべきだったのだろうか。それでも余力で新生スカイラインはBMW3シリーズを北米市場で完膚なきまでに叩きのめし、ヒュンダイから羨望の眼差しを受けジェネシスというフォロワーも生んだ「日本を代表する名車」でありつづけたのはさすがだ。6~7年後に登場するであろうメルセデスがアメリカで組み立てるOEMのスカイラインなんて、喜ぶミーハーは居るかもしれないが、とても日本を代表するスポーツセダンとは言えない。



  

2013年7月11日木曜日

新型アクセラ 「予想以上の進化で欧州車ではなくアテンザのシェアを喰ってしまいそうだ・・・」

  前輪ストラット後輪ダブルウィッシュボーン。スカイアクティブ-Gとスカイアクティブ-D。MT設定などなど・・・。アクセラとアテンザの違いは、ともに3代目に突入してかなり少なくなってくるようです。すでに2代目の段階で内装の差はほとんどなく、アクセラの完成度はかなり高かったのですが、新型ではアテンザにはない新システムを搭載しているようで、マツダの「攻めの姿勢」を強く感じます。

  マツダが2Lのスカイアクティブ-Gを開発した時、アテンザではなく先にアクセラに投入した経緯がありました。これは2代目のアテンザとアクセラを比べたときに、両者にフロントサスの違いなどが顕著にあってクルマの方向性自体に違いがあったからだと思われます。ダブルウィッシュボーンで武装しているアテンザの2Lにはあくまでもスポーツセダンのショートストロークエンジンを載せ続け、ストラットという大衆車向けのサスを使っていたアクセラには、多少のスポーツレスポンスを犠牲にしても、より燃費が優れているロングストロークのスカイアクティブ-Gを投入したようです。ただそもそも燃費を気にするユーザーは1.5Lモデルを選ぶので、あまり効果はなく最初のスカイアクティブ-Gはまったくの「無風」に終わりました。

  アテンザが去年FMCを迎え、結果としては3代目はアクセラもアテンザもどちらもスカイアクティブ-Gでフロントストラットという形で共通化してしまいました。おそらくマツダが超円高に苦しんだ末に苦し紛れに選択したモジュラー化戦略の一環でしょう。それでもロングストロークエンジンとストラットを使うクルマ作りは、アクセラやアテンザの当面のライバルであるゴルフやBMW3と同じに過ぎないので、そこまでネガティブな要素ではない気もします。それでも従来のマツダファンからしてみれば、「これじゃマツダを買う必然性が乏しくなる」と不満が募る展開ではあるのですが。

  3代目のアテンザとアクセラはスポーツカー的な性能面でのアドバンテージを放棄して、いよいよデザインだけでプレミアムブランドに立ち向かっていくようです。新型アクセラも「鼓動」デザインは当然に取り入れていて、出来上がった新型アクセラは我々の期待と不安を軽々と飛び越えていくような、まさに「最先端」のクルマに仕上げてきました。初代・2代目のアクセラも独特のリアデザインを配していましたが、今回も実によくできています。去年リアデザインにこだわって投入されたトヨタ・オーリスのデザインを、まったく綺麗に作り直したような見事な造形は欧州車のものとは次元が違う出来だと思います。今度こそ本気でカーデザインCOTYを狙えるかもしれません。

  マツダはすでに「鼓動」デザインが飽きられるということも折り込み済みのようで、ただ単にデザインを配するだけでなく、それ以外の目に付く魅力を最大限に盛り込んできているように感じます。アテンザのとりあえずの成功で手綱が緩むこともなく、アテンザを超える魅力を秘めたアクセラを作ってきました。これで一時的にアテンザの販売が低迷するかもしれませんが、来年にはアテンザのMCでかなり大規模な修正と、クーペかスポーツのボディに高出力エンジンを載せた「本気モード」のアテンザが出てくるような気がします。この2台にプライベートカーをどこまで進化させられるかにマツダの命運は100%かかっていることは間違いないでしょう。とりあえずは、スポーツメーカーの地位は捨ててでもポジティブな結果を追い求めている姿勢はよくわかります。

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2013年7月3日水曜日

オペル・インシグニア 「GMの最高傑作が日本にやってくる日は近い」

  経営不振で米政府の管理下に置かれていたGMがV字回復を達成し、再び世界戦略を開始している。日本市場には欧州製(オペル製)の新型キャデラックが導入されているが、まだまだレクサスやドイツ車の脅威にはなっていないようだ。しかし、GMの実力はこんなものではない、今後日本のクルマ産業にとってVW以上の脅威となってくるだろうことが予想される。

  北米市場をHVで席巻するかと思われたトヨタが、GMやフォードに対して最近では遅れをとるようになってきている。クライスラーを含めた北米ビッグ3の現在の成長戦略の中心にいるのはなんと小型車だ。従来は日本車とそれを追っているヒュンダイの得意分野とされている小型車だったが、ビッグ3がそれぞれに充実したラインナップを展開し大きく巻き返している。

  経営危機の直前の時期までにビッグ3は外国メーカーとのM&Aで小型車のノウハウをきっちり獲得していたと言われている。GMはスズキから、フォードはマツダから、クライスラーはフィアットから先端の小型車技術を吸収して、現在世界中の生産拠点(タイ・メキシコ・南ア・ブラジル・ハンガリーなど)で生産を行っている(クライスラーはフィアットのOEMが中心)。さすがに本家の日本市場に進出するのは簡単ではないだろうが・・・。

  マツダとの協業関係を維持しているフォードはマツダラインナップに重なるモデルの日本投入には消極的なようだが、GMは今後さらなるブランド力拡大を狙って積極的に日本市場を目指してくるはずだ。ニュルブルックリンクでGT-Rを超える最速タイムを叩き出したコルベットの新型(C7)もまもなく日本で発売になる。GT-Rを性能でもコストパフォーマンスでも上回るスーパースポーツの登場は、ホンダの新型NSXにとっても大きなプレッシャーになるだろう。

  GMはGT-Rに匹敵するコルベットや、レクサスISのライバルとなるキャデラックATSだけでなく、次世代の日本車の象徴とも言える「新型アテンザ」に匹敵するクルマをもすでに欧州で発売していて、そのデザインの良さから人気が爆発している。それがDセグのセダン/ワゴンの「オペル・インシグニア」だ。大衆ブランドのオペル車なので、欧州に輸出されるアテンザとガチンコ勝負になっているクルマだ。新型アテンザはスカイアクティブDと洗練されたスタイリングを武器としている。対してインシグニアのストロングポイントは、様々な種類のガソリンターボの設定により最高のスポーツセダンとしての「価値」を謳っているから、なかなか手強い相手だ。

  従来から欧州での売れ線は、燃費よりもドライビングフィールと言われている。新型アテンザの弱点を敢えて言うなら「レスポンス」に優れるエンジン設定が無い点だ。これに対してインシグニアでは「レスポンス」重視のエンジンに力を入れている。個々のエンジンを見てみると、2L直4ターボはボア×ストロークが三菱ランエボXと同じで三菱GDIのライセンスのようだ(日本仕様のATSと同じエンジン)。2.8LのV6ターボはその仕様を見る限りメルセデスC350の3.5LのV6NAのエンジンに匹敵する良いフィーリングを持ったスポーツエンジンだと思われる。しかもこれを搭載したインシグニアOPC(2.8Lターボ)の方がC350よりも10000ユーロ以上も安い。

  オペル自慢のディーゼルエンジン搭載モデルももちろんあって、グレード設定は非常に多岐にわたる。三菱エンジンまでわざわざ揃える辺りにGMの欧州や日本進出への「本気」を感じる(もしかしたら元三菱の技師が設計した類似エンジンかも?)。当面は正規ルートではATSを売り続けるだろうが、ある時期が来たら必ずこのインシグニアを「究極のスポーツセダン」として日本で売り出してくるだろう。V6の2.8Lターボ(325ps)の搭載モデルを300万円台で発売したりすれば、アリストやセドリック/グロリアターボの復活だと大反響になるのではないか(そんな元気なオヤジがどれだけ残っているかはわからないが・・・)。


↓オペル製品はリーズナブルな価格設定です。クルマも本格的に日本に投入してほしいな。

 

2013年6月29日土曜日

VWゴルフ 「静粛性・安全装備・メルセデスやレクサスの揚げ足」

  一体どんな人がこの新型ゴルフを買って行くのだろうか?VWディーラーの前に張り込んで見ていたい気分だ。いままで自分が乗って来たクルマの良い点は、軽く30個くらいはスラスラと説明できる(自慢できる)自信があるが、この新型ゴルフのオーナー様からはどんな「言葉」が飛び出すのかぜひ聴いてみたいものだ(性格悪いな)。ということで、オーナーになったつもりで、あくまで想像ですがこの話題の新型ゴルフの良い点を語っていきたいと思います。

  日本で販売されているVWのクルマはどれもそうだが、ホイールなどのデザインがとても利いているように思う。オシャレは足元からというが、これが出来ていない日本メーカーは多い。日本車オーナーの中には納車後すぐにホイールを代えに行く人もいるようだが、それでもそのクルマに合ったデザインのホイールを選ぶのは至難の技で、余計に酷いデザインになってしまうことも多い。ドイツ車が日本車よりも間違いなく優れている点はデフォルトの「ホイールデザイン」だ。

  キャビンの堅牢性もさりげなく結構凄いことになっているらしい。日産が生産を開始したインフィニティQ50(新型スカイライン)では、ピラー部分を中心に1.2Gpa級の「超」高張力鋼を使用するとアナウンスされているが、新型ゴルフではすでに全体の28%が1Gpa以上の鋼鈑が使われている。そんな硬い鉄板だと成形に苦労するそうだが、VWも日産も独自開発でできるだけ多くの部位に応用できるように競争している。その中でVWが一歩リードというのはすばらしい。しかも相手は「世界制覇」を目指すゴーン社長肝入りのプレミアムセダンだし・・・。

  内装デザインも新型のCセグ輸入車の中では1番と言える。AクラスやV40のインパネデザインもなかなか意外性があってよいが、どこか「小型車」を意識した作りになっている感が否めない。それに対しゴルフはDEセグセダンのような「本格的」なフル装備を意識している点が光る。フォードフォーカスは内装では勝負しませんと「白旗」を挙げたようなデザインだし、新型車ではないがBMW1に至っては、ドアのヘリにあるはずの防音用ゴムパッキンが省略されていている。軽トラか・・・。

  とりあえずこの3点に関しては、素直に良さ(優越性)が認められると思います。ただこの3点だけでクルマ買う人なんているのか?というのが正直な気持ちです。まあ排気量を考えても燃費はそこそこいいでしょうが、余裕で20km/Lオーバーというわけにはいかないはずです。なんだかんだいってもこのクルマは日本車より重いですし、回生ブレーキ的な装備も無い上に、安全装備用のモニターなどで電気を喰いまくっているわけですから、エアコンONで4人乗車した時には10km/L超えれば御の字くらいではないかと見ています。

  走りの楽しさよりも燃費重視というのは、今やBMWもマツダもある程度は同じ立場だと思います。よって新型ゴルフのように、先代と同じ排気量でも燃費重視のエンジンにさりげなく代えてくることにはある程度は理解を示したいと思います。そのための「軽量化」もきっちりと実現した上でのパッケージングなのだからこそ、沢村慎太郎さんもそれほど噛み付いたりはしていなかったようです。このゴルフより批判されるべきクルマは他にたくさんあるのだとか。なんとなくわかる気がしますが・・・。早く運転してみたいですね。

訂正:ブルーモーションテクノロジー = 回生ブレーキというご指摘を頂きました。よって回生ブレーキが無いは誤りです。申し訳ございません。


  

  

2013年6月27日木曜日

ホンダアコード 「インスパイアの日本復帰。狙うはクラウンか?」

  先代のインスパイアは「セダンのイディア」と言えるほどの出来映えで、「王道」で「洗練」で・・・なおかつ「アート」なデザインのクルマだった。もっと別の言い方をすると、「地に足の付いた落ち着き」というべき全体的にはコンサバティブな印象の中に、「想像以上のセクシィさ」が散りばめられている、稀代のスタイリッシュなフォーマルセダンだ。特にリアデザインの艶やかさは所有欲を徹底的にくすぐるほどよく出来ている。

  ホンダは北米ではBMWに匹敵するほど「スタイリッシュ」で「スポーティ」な確固たるブランドイメージを持っているそうだ。2000年代後半のホンダのセダンは日本市場ではなぜか不当なまでの低い評価を押し付けられていた。ただ純粋にクルマを比べるならば、「レジェンド」は5シリーズを「インスパイア」は3シリーズを徹底的に上回っていたにも関わらずに、この評価は今改めて思うとまったく不可解だ。

  日本中が「エコカー」と「輸入車ブランド」に対して非常に盲目的であったことが、ホンダにとっては完全に逆風であった。どんなにカッコいいクルマであっても「国産車で、燃費が悪い(V6の3.5L!)」だと誰も見向きもしない・・・そんな悲しすぎる時代だった。トヨタによって貼られた「ホンダはハイブリッド負け組」のレッテルもとても厳しいものがあった。ホンダ車は次々に日本市場から駆逐され、今や3ナンバーシェアはスバル・マツダよりもずっと下で、ほぼ三菱と同等の月1000台まで落ち込んでいる。もちろんフィットとステップワゴンは健在であり、さらにあっと言う間に軽自動車のシェアを押し広げてダイハツとスズキを射程に捉えたりはしているが・・・。

  自動車ライター連中からは、「ホンダは大丈夫か?」などと、自らのDQNを晒すような評論が連発しているのには笑ってしまった(ホンダは決して赤字ではない)。しかしいくらDQNでもある程度の影響力はあるので、それらの「ホンダ評」を読んだ日本の自動車ファンの多くがホンダに対して懐疑的な目を向けているのも事実だ。実際にこの新型アコードHVが「クラウンを叩きのめす」と宣言しても誰も本気にしてはくれないだろう。

  確かに、かつてはスポーツセダンとして流通していたアコードが、クラウンに勝負を挑むクルマに変わったと言われても、多くの人は急には認識を改めることはできないかもしれない。しかし紛れも無く、このクルマの先代は3.5LのV6を積んでいた「インスパイア」であり、今回はV6から直4+HVに載せ変えただけであり、正統派の高級セダンだと言える。そのパッケージはクラウンやアウディA6のハイブリッドに真っ向から立ち向かうのに十分すぎるくらいのクルマだ。トヨタ(レクサス)やアウディの直4+HVよりも圧倒的に性能がいいエンジンに加えて、あまり知られていないがホンダ独特の高級車の内装を備えている。クラウンやアウディA6と比較してもまったく遜色はないほどの出来になっている(レクサスIS300hには100万円高い分の差をきっちり付けられているようだが・・・)。

  正直言って当初はこのアコードHVにやや懐疑的だったが、ハイブリッドのセダンを買うと決めたなら、現行のクラウン・カムリ・フーガ・A6よりも優れたパッケージ(コストパフォーマンスも含む)に思う。より高級感とポップな雰囲気を重視するなら、レクサスIS300hにはやや歩が悪いかもしれない。よりスタイリッシュでスポーティさを求めるならアテンザXDに及ばないだろう。それでもこのISとアテンザという強力な2台とは真っ向勝負せず、よりコンサバティブなセダンユーザー層に上手く売り込むことができれば、ライバル不在と言えるほど他車に対して優位なクルマではないだろうか。雌伏の時は過ぎ、臥薪嘗胆の思いで待ち続けたホンダの反撃がこれから始まろうとしている。



↓さすがはホンダ!十分に戦えるクルマになっている!