2015年7月12日日曜日

BMW1シリーズ vs シトロエンDS4 「価格改定でガチンコ」

  国産・輸入問わずですが、Cセグ車がどうやらあまり売れていないみたいです。いまどきCセグハッチバックをファミリーカーにするなんて変わった趣味の人々(センス無い)は、さすがにほぼ絶滅したようです。近所で最近のCセグ車を見る限りではユーザーの7割が老夫婦、2割が奥様専用車・・・車種は①ゴルフ②インプ③1シリーズの順番で多いように感じます、その次にAクラス、アクセラといったところが人気のようです。その中で30~50歳代の男性(現役世代)に限定すると圧倒的に1シリーズが選ばれているように感じます。このクルマはどうやら、なんとなくライバル車に比べて男性的なイメージを醸すようで、ブランドの最廉価車ながらも、予想外にBMWらしさを発信しているように思います。

  Cセグ内で圧倒的な男性人気を誇る1シリーズですが、やはりというかそういう男性的なワイルドさに憧れて、大型バイクを転がしてそうなアクティブな女性にも好まれているようです。有名な高級住宅地で1シリーズ乗っている人はほぼこのような印象の女性ですね。かなり勝手な想像ですが、「1シリーズ=大型バイク」みたいな受け取られ方で、ファッションアイテムとして独自の地位を確立しているようです。確かに1シリーズはむやみに高級感を出そうとしていない風情はとても好印象で、となりに5シリーズが来る事に怯える心配さえ無ければ、なかなか有能なクルマと言えそうです。

  ゴルフ、A3、Aクラス、308、ジュリエッタ、インプレッサ、アクセラといったいかにも老人とオバさんしか買わない(であろう)Cセグは、とりあえず現役世代の男性は完全無視しておいた方が良さそうです。これ以外のCセグ車で1シリーズのような独特の地位を築いている、もしくはそういった素養を持ち合わせているマイナー車はないか?と探してみると、1シリーズに対峙できる唯一のモデルと思われるのが、「シトロエンDS4」ではないかという気がします。こちらは洒脱なカジュアルウェアに身を包んだオフモードのオッサンが、スネを露出したオシャレでラフな格好で運転してそうなクルマです。

  イタリアやフランスのライフスタイルをそのまま体現したようなクルマということで、イタフラ車には根強い人気があるようです。PSA、フィアット、ルノーの3大グループが復調気味で、再び日本での活躍を期待したいところですが、現行モデルを見ると、そんなイタフラな要素はすっかり失ってゴルフのコピー車みたいになってしまったプジョー308に、その逆でゴテゴテでしつこすぎるデザインに食傷気味であまりオシャレを感じないジュリエッタなどなどとうもイマイチでイメージ通りではありません。ハッキリ言ってしまうと全くの不作続きのイタフラCセグの中でオシャレを主張できる唯一のクルマが「シトロエンDS4」だと思います。

  この春に1シリーズもDS4もどちらも価格が改変されまして、円安基調にも関わらずCセグの苦境を如実に示すかのように値下げ(価格是正?)されていて、以前に比べていくらか買いやすくはなってきた感があります。どちらも1.6Lターボを基調にしていて、というよりこれはBMWとPSAが共同開発したエンジンなので、縦置き(FR用)と横置き(FF用)の違いこそあれども、ボア×ストロークのサイズからも同じエンジンと言って差し支えないと思います。

  いくらか差異がある点としては、元々が横置きの前方吸気/後方排気を想定したエンジンのようで(PSAとミニ用)、1シリーズ用の縦置きでは吸気と排気が左右に位置してしまい、どうやら過給で出力を上げるのがやや難しいようです。DS4の最大出力が165psなのに対し、118iが136psで120iが177psとBMWの意地で上回っていますがその差はほんのわずかです。ちなみにちょっと前までDS4には「スポーツシック」というMT専用で200psを出すバージョンもありました。

  価格帯で見ると「118iスポーツ」と「DS4」がほぼイーブンで、走りに関するハード面では、「ハンドリングの1シリーズ」と「エンジンパワーのDS4」とざっくりした特徴が見られます。どちらも1世代前のモデルは右ハンドル車のペダル、ステアリングとシートの位置関係にかなりの難があるとされてきました。しかし今ではゴルフや日本勢(インプ、アクセラ、オーリス)と比べても、ほとんど遜色ないものへと改良されたようでで、そういった面での心配もほぼ無くなっていて、とくに目くじらを立てるほどの違和感はありません。

  2013年に輸入ブランドのCセグが大挙して日本で発売されました。しかもターボ過給を使い分けて、多くのグレード展開をするので、スペックと価格帯が大きく入り乱れていて非常にわかりづらくなっています。見事な広告戦略?で日本勢を押し退けて良く売れたゴルフの出力を基準にすると大まかに3グループに分類されます。ゴルフで「TSI」というグレード名が付く1,2~1.4Lモデルと同等で、最高出力が〜140ps程度のもので、主に中国市場向けに開発されているものが「ベースCセグ」です。150ps~220psくらいの余裕のある出力を誇り高速道路も楽々にこなせるゴルフGTIに匹敵する性能で、主にアメリカ市場への参入を想定して開発されたDセグ以上の上級車用ユニットを載せているのが「アッパーCセグ」。さらには出力面でポルシェのスポーツカーにも十分に対抗出来る超高出力ユニットを積んでいる「スペシャルCセグ」の3グループです。

  BMWでいうと、136psの118iが「ベースCセグ」、177psの120iが「アッパーCセグ」、326psのハイパワーを誇るM135iが「スペシャルCセグ」に相当します。それぞれのグレードが想定されているのは、118iがお買い物や子どもの送迎用のセカンドカー、120iが高速利用を想定した独身世帯向け、そしてM135iこそはポルシェケイマンの走りとパッケージ面での実用性を兼ね備えた「BMWスペシャル」といったところでしょうか。

  一方のシトロエンDS4は?というと、お買い物&子ども送迎に関してはDS3が設定されているので、「ベースCセグ」の部分は大胆にカットしています。DS4は「アッパーDセグ」のみに集中しています。その実力をあれこれ試してみると、まずFFらしく静粛性と直進安定性という点で120iを着実に上回っていますし、内外装のデザインもBMWを相手に十分に優位に立てる完成度です。さらにドイツ車のささくれ立った乗り味とは一線を画すような「シトロエンフィール」は、一度試乗してみると「ぜひこの乗り味にお金を払いたい!」という人も多いと思います。ちなみにシトロエンC5に現在も使われている有名な「ハイドロニューマティック」式サスが使われているわけではなく、一般的なコイルバネのサスとダンパーそしてバンプストッパーだけでこの乗り味を実現しています。

  独身男性が知り合いの異性を自分のクルマに招くとしたら、1シリーズとDS4のどちらが総合的に良いのか? おそらくブランドのネームバリューに関しては、どちらも同じくらいに「へぇ〜!すごいね〜!」くらいのことは思ってもらえると思います(異性のタイプにもよりますけど)。内装に関してもどちらもきちんと清潔にしておけば、ほぼ確実に喜んでもらえるでしょうし、2人乗りならとくに狭いということもないでしょう。さらに一歩進んだ装備を!ということであれば、ちょっとお値段が張るのですが、DS4の純正オプションに用意されている「デザイナーズ・レザーシート」を奮発すれば、1シリーズからリードを奪うこともできます。このシートが付いてれば、「なぜシトロエンなんだろう?」という疑問も自明になるのでは?と思いますよ。

  以前(2011年頃)のシトロエン車は、最大トルクが20kg・mを超えるモデルは容量の問題からミッションがMTに限定され、それ以下の非力なモデルには相当に酷い4速ATが使われていました。3ペダルMTを上手く操作すればいい話ですが、熟成度があまりに低過ぎて日本を走るレベルになかった4速AT車は、走り出した瞬間からBMWが圧勝!の判定が下るくらいの大きな格差がありました。しかし経営再建への不退転の決意で新たに歩み出したシトロエン渾身の「DSシリーズ」の発売とともに、自社開発の4速ATを潔く諦め、トヨタ系列のアイシンAW製6速ATを新たに採用し、ミッション性能でも一気にBMWと遜色ない水準まで引き上げて問題を見事に解決しました。ちなみにBMWがミニや2シリーズAツアラーなどで使う横置きエンジン用ミッションは6速も8速もアイシンAW製です(1シリーズの縦置き用はZF製8速AT)。

  もともと「ちゃんとしていた」BMWに対し、シトロエンが日本で使える水準にまで一気に完成度を引き上げてきたことで、その大き過ぎた距離を見事に縮めたと言えます。さらにもともとCセグを主戦場としてきたシトロエンですから、小型車の足回りに関するノウハウにおいてはおそらくBMWを軽く上回りますし、スタイリングに関する実績や経験値も断然に上です。日本勢との戦いを想定して、ロール剛性を諦めてカローラのようなフニャフニャの足になっている1シリーズに対し、足回りのセッティングに自信があるシトロエンは、ロール剛性を高く保ったままで見事に乗り味を確保しています。ボルボやマツダに近い味付けという印象も受けますが、現実にドイツ車よりも数段に乗り心地がいいです。ということで、現行の1シリーズとDS4を比べるならば、DS4を選択したいかな?という気がします!

  近々ですが1シリーズには大改変があるようで、いよいよFRが終わりとなりFFモデルへと移行することが決定的なようです。それに伴いエンジンも1.5L直3と、2.0L直4の2本立てへと変わるため、現行の1.6Lターボも廃止される見通しです。FFで1.6Lターボでアイシン6ATまで同じ!なんていう1シリーズとDS4の大きなニアミスはどうやら無さそうです。

  そもそもFRで1シリーズを作り続けてきたBMWの狙いは、M135iのようなハイパワーユニットを小型ボディに押し込んでポルシェに対抗することにありました。しかし2シリーズクーペの登場で、FRコンパクトの後継は確保されているようで、今後は2シリーズクーペに、4ドアグランクーペや、ワゴンといったボディタイプが追加されて、現行の1シリーズの「アッパーCセグ」や「スペシャルCセグ」の顧客を受け継いでいくことになるようです。結論としては「アッパーCセグ」ならDS4で「スペシャルCセグ」ならM135iがベストな選択でしょうか。もちろん「ワイルド」と「クール」で大きく方向性が分かれる外装の好みが最大の分岐点かもしれないですが・・・。


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