スズキSX4Sクロス 「日本メーカーのAWD&ターボの価値」



  目下のところ欧州全域で大ブレーク中のスズキです。とうとう最新の月間販売台数では、伝統的に欧州に強いあのマツダを追い越すまでに成長しました!!ちなみに日本メーカーの欧州シェアは1位トヨタ&レクサス 2位日産 3位スズキ 4位マツダ 5位ホンダ 6位三菱・・・アメリカバカ売れのスバルはあまり台数が出ていません(現地生産拠点なし)。

  ガチガチの自動車関税が日本EUのEPA合意で緩和される見通しですが、欧州に生産拠点を持つトヨタ、日産、スズキ、ホンダに対して、全量をアジア/メキシコの拠点から輸出するマツダにはちょっと苦しい展開のようです。

  欧州市場でシェアが伸びている日本メーカーってのは大抵は原動力になっているヒットモデルが存在します。中国やアメリカとは違って、日本車を買うような西寄りの成熟気味の欧州のように、完全に飽和気味の市場に亀裂を入れるだけの革新的なモデルを作るメーカーだけが、国策に保護されるドイツ系、フランス系、イタリア系のグループの間に割って入ることができるようです。

  トヨタの原動力は「4代目プリウス」で、いよいよタクシーとしての圧倒的な燃費性能と静粛性・走行性能の向上を欧州各国が認めた格好になっています。日産はジュークとキャッシュカイ(エクストレイル)の2つのSUVが欧州の各カーメディアで「最高のSUV」との評価を受けています。欧州にSUVブームを作ったのは日産。エクストレイルは日本でもそこそこ売れていますけど、欧州ではSUVの『金字塔』みたいな扱いになっています。VWにゴルフがあるなら、日産にはエクストレイルがある!!と言っていいくらいの存在なんですけども、日本のカーメディアは日産には冷たいですねー。

  大躍進中(前年比15%増)のスズキを牽引するのが、この「SX4・Sクロス」です。一見どこのメーカーでも作っていそうな手頃なサイズのSUVにしか見えないのですけども、中身がすごいです。スズキの「良さ」がこれでもか!!というくらいに詰まった傑作です。こんなクルマを持って来られたら欧州の全てのメーカーはもうお手上げ・・・。

  何が凄いのか!? もともと出せば売れる状況ではある『小型SUV』のパッケージに、雪国日本で長年クルマを作り続けてきたスズキ渾身の『AWD技術』が注ぎ込まれています。もうすでにこの時点で欧州メーカーからしてみたら『反則』くらいの脅威です。なにせ日本製AWDの人気は凄まじいものがあり、スイスでは1.6L&AWDのインプレッサが同クラスのBMWやメルセデスよりも数段高価な500万円で飛ぶように売れています。そのスバルの水平対抗AWDにも全く負けていないスズキの横置きAWD。

  余談ですが、たまにスバルの熱狂的なマニアがスバル車のAWD性能のすごさを示した海外動画などを根拠に語ったりしていますが、AWD技術に関しては欧州ブランドが相手だったら余裕で勝つのは日本メーカーとして当たり前だと思うんですけどねー。メルセデスやBMWより優れている!!からとアホみたいに喜んでますけど、・・・まあスバル好きの視野の狭さはちょっとヤバいですからねー。

↓クルマを知らないスバリストの投稿動画!!これは恥ずかしい!!スバルのAWDにも種類があるけどわかってるのか!?(そもそも相手には日産、マツダ、スズキを出せ!!)

  ちなみにスズキには「縦置きフルタイムAWD」、「縦置き直結AWD」、「横置きオンデマンドAWD」の3種類が用意されています。スバルも4種類が実用化されていますが、これだけ複数のシステムを用意するメーカーはおそらく、欧州ではアウディとポルシェくらいしかないです。メルセデス、BMW、VW(ゴルフRのみ)、ボルボ、フォードは外注された「汎用システム」で済ましているくらいです。

  AWDシステム以外に特筆すべきは、スズキの小型エンジン製造技術と、小型車用横置きミッションの完成度の高さでしょうか。1,2〜1.6Lクラスのエンジンを作らせればおそらく世界最強!!マツダも日産もホンダも全く寄せ付けないくらいに気の利いたユニットを作ります。新型スイフトがHV化して、せっかくのスズキの自然吸気エンジンの良さが失われる!?・・・とちょっと暗い気持ちになるくらい。それくらいに「ぜひ残して欲しいエンジン」ってヤツです。小型車用のマラネロ(ちなみにミッション開発で手を組んでいるエンジニアリングメーカーはフェラーリ御用達)。

  このクルマのユニットもターボ化されます。一抹の懸念もあるのですが、軽自動車用ユニットで長年IHIと二人三脚でターボユニットを作ってきた実績もありますし、今ではそのエンジンがイギリスのレーシング専門ブランドのケータハムに供給されるほど。ちなみに英国に今も残るレーシングブランドの多くは、マツダ、日産、スズキが設計したユニットを搭載しています。中にはトヨタ製ユニットを使うロータスという変わり種もありますが。

   このクルマは、デザインが少々物議を醸しているみたいですが、そこにしか喰いつけない「クルマを知らない人々」は放っておくしかないですねー(自動車評論家のS水草とか・・・)。ハンガリーにあるマジャールスズキ製造のこの『SX4-Sクロス」ですが、確かにB◯Wっぽいフェイスリフトとして話題になっています。AWDが安く買える日本だと「便乗商法」とか言われちゃうかもしれないですが、ドイツでは23300ユーロ〜というBセグメントとしては高めの価格設定でも上で述べた通りに大人気となっています。ちなみにBMW1erが24500ユーロ〜、VWゴルフは17850ユーロ〜、VWポロは12900ユーロ〜ですから、ドイツではAWDというだけで価格設定が全く別というくらいに高価です。BMWの価格表見てもXドライブは異様に高い。

  このSX4Sクロスがどうやら似ていると話題の某ドイツブランドのモデルと、駆動方式の違いこそあれども、ドイツではほぼ同等の価格で販売しているなど、スズキの日本におけるイメージとはだいぶ違っています。ドイツでは高級ブランドとまでは行かないものの、VWやシュコダよりも上級の扱いになっていて、先代のスイフト=スポーツなどは、屈指のスポーツフィールを持つモデルとして、カーメディアは高く評価していました。簡単に言ってしまうとスズキとVWの立場は日本とドイツではまるで逆です。

  「スズキの良さが語れないヤツはクルマ好きとして失格」・・・まあだいたいスズキなんて興味ねー!!とか言っている輸入車好きってのは、VWやBMWの良さすら何もわかってなかったりするんですよね。スズキは何らかの形でクルマ好きなら一度は経験して置くべきメーカーだと思いますね。SX4Sクロス以外にもスイフトスポーツ、ジムニー、アルトワークス、エスクードなど、世界的な実力を持ったクルマが実は一番多いブランドですから。


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