BMW3シリーズ (2025年9月・50周年記念車)
経済成長
石破首相の号令のもと、盛んに賃上げが叫ばれていて最高賃金も最低賃金も順調に上昇しているらしい。2010年代の中国で強烈な経済成長を支えてきたギグワーカーのマッチングアプリが、日本でも本格的に普及し始めた。東京ではタクシー、運送、配達で月収60万円稼げるようになり、家賃&駐車場も20万円が相場になってきている。この10年でBMW3シリーズの価格も500万円から700万円まで一気に上昇したが、ダイナミックな賃上げ&インフレの時代を象徴している。
50年で7世代の歴史を誇るBMW3シリーズは、大人気だった4代目(E90系)の頃に300万円台だったこともあり、現行(G20系)の価格設定はかなり市場の反感を買っている。E90系の頃はMAZDAデミオが98万円で販売されていて、それが現行のMAZDA2では170万円くらいまで上がっているのだから、インフレ率はBMWもMAZDAもほぼ同じだ。BMW車両も、MAZDA車の部品も円安の影響を受ける。
インフレが既存シリーズを破壊
3シリーズに限らず、VWゴルフ、メルセデスCクラス、トヨタクラウン、日産スカイライン、ホンダ・シビックなど50年にわたって車名が続くモデルは、車両価格の高騰で販売が難しくなっている。フェラーリやランボルギーニのように、FMCの度に車名を変えてしまった方が販売側は助かるかもしれない。唯一の例外と言えるトヨタ・カローラは徹底した低価格で人気だったが、HEVのみとなった今後はどうなるだろうか・・・・。
日本のBMWファンが直6を神格化してしまった。日本向け正規品だと5シリーズ(M5を除く)からは直6が廃止されたが、3シリーズにはM340iがギリギリ1000万円を下回る価格で設定されている。367psを快適に扱うためにXdrive (AWD) となっているようだが、ドイツ車のAWDは100万円以上割高になるのだから、もう少しデチューンしてFR版で200万円くらい安い価格設定があっても良さそうだ。
使いやすいグレード
雨や雪が多い日本では、各社がAWD技術を競って開発し、日本車ならばAWD化で20〜40万円程度しか価格差が出ない。スイスの一部の豪雪地域ではスバル車が異常な人気を誇るなど、AWD技術に関しては日本メーカーが欧州市場でも高く評価されている。ドイツメーカーのAWD車が高価なのは、マグナや日立などのサプライヤーに外注しているからだ。MAZDAでも48VのMHEVになると100万円近く価格が上がるのと同じ構図だろう。
モード燃費10.6km/LのM340iを背伸びして買うよりも、直4ターボ・デチューン版 (156ps) の318iの662万円 (モード燃費13.0km/L) が使い勝手が良さそうだ。今回の50周年記念車も318iリムジンをベースにした698万円のモデルが400台で一番多く設定されている。上の世代は排気量や出力をやたらと気にする傾向にあるけども、彼らの価値観に合わせていたレクサスがISは11月でエンジン車を廃止し、HEV専用になると発表された。
抑圧されるスペック
BMWもレクサスを笑ってはいられない。多彩なボデー展開でブランドの未来を切り開くはずだった8シリーズが昨年生産終了に追い込まれた。レクサスもBMWも排ガス規制への対応が難しいことを理由に挙げている。欧州向けのMAZDA3は2.5L自然吸気MHEVを、140psまでデチューンしている。高負荷領域でも耐えられる排気量を低スペックで運用する「ライトサイジング」をVWやBMWも取り入れていて、VWゴルフの1.2Lは廃止され、BMW3シリーズも先代の1.5L直3ターボが現行では採用されていない。トヨタも次世代は3気筒から4気筒になるようだ。
VWゴルフが1.5L直4ターボ (115ps)、BMW3シリーズが2L直4ターボ (156ps)、MAZDA3が2.5L直4自然吸気MHEV (140ps)のエンジン車を主力モデルとして販売している。トルク重視なので走行性能に大きな不満はなく、実用燃費とのバランスを取っている。排ガス規制強化に対応すると、従来から30%程度は出力が小さくなってしまうらしい。VW、BMW、MAZDAが現状のエンジンで販売を継続するとしたら、このミニマム出力のユニットになるようだ。
ドライビングの未来型
MAZDAは2027年を目処に、次世代エンジン(スカイZ)を投入し、2.5Lで出力を落とさずに排ガス規制をクリアするらしい。BMWもエンジン開発を継続していて、内燃機関の技術革新が期待される。MAZDAもBMWも上級グレードにはディーゼルが用意されている。より小さいサイズでドライブを楽しむクルマならば、156psもあれば思う存分に走れるわけで、現行のBMW318iは「納得の走りができる実用車」として輝きを放つ。
G20系3シリーズ「318i」の前期モデルでは500万円を下回るグレードもあったが、後期モデルでは「Mスポーツ」のみとなり、662万円からの設定になった。ビッグマイナーによって外装は簡単に判別できるレベルで変化し、内装はまるで別のクルマというくらいに徹底的に作り変えられている。前期のセンターコンソールには、シフトレバーと円形のコマンドコントロールがあったが、後期ではシフトレバーが廃止されボタン式となった。新型CX-5ではコマンドコントロールが廃止で、シフトレバーは残っているので逆の選択がされている。
何も考えずに乗るしかない・・・
長らくBMW3シリーズとは、縦置きエンジンで、ZFのトルコンATを装備し、シフトレバーのMTモードではシフトアップが後で、ダウンが前というスタイルで、ドライビングの本質を考え抜いた設計が世界中で支持されてきたクルマだった。その象徴とも言えるシフトレバーが無くなったタイミングでの「50thアニバーサリー」は、ちょっと間が悪い感じもする。変化についていけないMAZDA好き一般人には、現状の3シリーズの良し悪しは判別不能だ。
前期モデルまではICEとしての3シリーズを受け継ぐものだったが、後期モデルではBEV用のインテリアへと大きく様変わりし、BEVがベースのクルマに、エンジンを搭載したバージョンを追加したような感じだ。本国ではMTが廃止になったようで(右ハンドルMTはとっくに廃止)、それに合わせてシフトレバーも無くなってしまったようだ。これで並行輸入でもMTの3シリーズを新車で買うことは不可能になった。
他ブランドから乗り換え殺到!?
変化が激しくて付いていけないのは、BMWに限った話ではない。MAZDAのクルマ作りへの情熱は信じたいが、現実にはロードスターとMAZDA2くらいしか、ドライビングを最優先に楽しむ設計のラインナップは思いつかない。GHアテンザとRX8が廃止された2012年からずっと時間が止まっている。東京の「世田谷」「練馬」「品川」「杉並」といったナンバーの地域でMAZDAが拡販したいなら、BMWと対峙できるGHアテンザやRX8のようなモデルが必要だ。
BMWもMAZDAもパドルシフトがほぼほぼ標準仕様となっているので、もはやシフトレバーは不要かもしれない。内装が一気に最先端となった後期G20は、リムジン(セダン)でもリセールの値落ちは穏やかになるのだろうか。MAZDAがこだわりのセダン作りを放棄しているので、BMWには「難民」を受け入れる度量を見せて欲しいが、G20の318iはMAZDAから「待ちぼうけ」を喰らった人々からのリアルな熱視線を受けていると思われる。50thの318iの400台はMAZDAやスバルからの乗り換えが多いのではないか!?
後記
最後までお読みいただきありがとうございます。この投稿は2025年9月3日時点での情報をもとに記述しています。今後とも日本市場で展開する自動車メーカーについて思うところを綴っていきたいと思います。
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