マツダ・アテンザ (2018年5月マイナーチェンジ) 「良さそうだ・・・」

 


グリルかっこいい!!

  幻となった4代目アテンザ(?)向けに開発されていた新機能と思われるものが、かなりたくさん盛り込まれたマイナーチェンジが行われました(出し惜しみもあるのか!?)。シャシー&ボデーの基本設計は変わっていないし、パワートレーンもほぼ同じものなので、相変わらず初代、2代目オーナーからは「遠い存在」のまま。しかし3代目(現行)オーナーから見れば、かなり魅力的なアップデートなので、そこそこ買い替えの需要が見込まれます。


セダンの価値

  2012年のデビューはフォーマル化が前提の大きな方向転換だったこともあり、ディーラーに訊いても相当に輸入ブランドおよびレクサスからの買い替えがあったとのこと。コスパ、静粛性、ドライビングフィールなどを総合的に考えれば、減っているセダン需要においてそれほどライバルとの「綱引き」に負けてる印象もなく、特に生活水準は変わらないのに、アテンザから5シリーズやギブリに乗り換える人は少数だと思いますし、価格が接近しているカムリ&アコードよりも市場にアピールできているのでは!?(カムリの売れ行きは案外でした)


奥歯に何か挟まった評価!?

  セダン市場の縮小・伸び悩みには色々なファクターがあるでしょうけども、人口減少・クルマ離れ以外に、強いて挙げるならば、フラッグシップモデルゆえの割高感に対して、「感情」に訴える要素が各ブランド共に十分に用意できていないかな!?という気がします(もっと驚かせて欲しい)。もっともユーザーの側の質も経年によって変わっているのも事実で、セダンのどこを評価すべきかわかっていないのだろうな・・・という面も感じます(マイカーでレジャーする感覚が乏しい!?)。そもそも魅力をユーザーに伝えるのが仕事のカーメディアがあまりに素人過ぎ(老人過ぎ)なのも問題ですが・・・。当たり前のことを当たり前にしか表現できていない!?は無能。


セダンはデザインで評価するべきではない

  「アテンザ」というクルマは初代から現行の3代目まで、グローバル市場でもかなり高く評価されてきました。先日の会見でもグローバルで15万台を確保していて、右肩下がりという状況ではないようです。関連動画のコメント欄などを見ると、やれ「デザイン」「内装の質感」についての意見が飛び交っていますが、このシリーズの最大の魅力は、「世界で一番安全なクルマ」であること。まずこれ抜きには購入する動機にはならないと思うんです(もちろん今もこの水準は守られています)。


セダン市場の不幸な状況

  カーメディアは絶対に言わないことですけども、2013年頃にアメリカで「衝突安全基準」の意識が飛躍的に高まり、今では欧州や日本よりも群を抜いて厳しいテストが行われるようになりました(USNCAPとIIHS)。ほぼ自動車メーカーに対するイジメといっても過言ではないし、ドイツメーカーは文字通りボコボコにされている・・・。その中で驚異的な結果を出してきたのがホンダとマツダで、両メーカーに共通する「FF横置き」で「ある程度のサイズ」をもつ、アコード、シビック、アテンザ、アクセラのスコアは特に優れています。


高級セダンが抱える矛盾

  カーメディアが心情的に好む『輸入車』や『高級FRセダン』が、コスパに優れる『FF横置きセダン』に安全性の評価で全く勝てない。これはちょっと面倒な問題です。レクサスでIIHSのトップカテゴリーに入っているのはやはりFF横置きの『ES』だけ。この評価によってアメリカでは大きく保険料が変わりますから、レクサスのセダンで圧倒的に売れているのは『ES』です。


FRセダンも進化しつつある

  上級モデルではフロントにV8ユニットを押し込むためにFRシャシーが不可欠で30年以上に渡って定番になっているメルセデスやBMWにとっては、この「設計上のハンデ」は苦々しい現実でしかないです。最近ではアルファロメオの新規参入もあって、FRの衝突安全性が良くなりつつある!!とK沢先生がドヤ顔で言ってましたから、状況は良くなって行くとは思いますが。(ジュリアのスコアは素晴らしい!!)


2つの「方法論」

  「低コストな設計の方が安全」というねじれた関係が、アメリカでも日本でもセダン離れの元凶じゃないかなと思っています。「大排気量FR車に乗りたい」と「セダンは安全であるべき」の2つの動機がこれまでは完全に分裂してしまっていました。・・・そしてこのジレンマは驚くべきことに、すでに2000年代の発展黎明期の中国自動車産業はその本質をとっくに見抜いていました。


中国市場が実は正しい

  中国でもっとも歴史が古い『第一汽車』が2000年代に新たにスタートさせた中国版レクサスこと『紅旗』ブランドでは、世界最高水準の技術を持つサルーンがベース車として選ばれましたが、すでに当時からセダンの構造上の矛盾は認識されていたようで、その両方を満たすために2台のセダンが選ばれます。それがトヨタ・マジェスタとマツダ・アテンザでした。


プレミアムブランドは『紅旗』に学ぶ

  V8を載せる縦置きFRと、直4の横置きFFの2つをラインナップすることでしか最高のサルーンブランドにはなり得ない。面白いことに、この中国メーカーの方針が、その後のドイツプレミアム&レクサスの指針にもなっていきます。アウディ、メルセデス、BMWはいずれも中国でも大人気ですが、大排気量の縦置きFR(5m級)と、直4の横置きFF(4.5〜4.8m級)を両立させています。しかしそんなセダン天国の中国でもSUV人気は着々と進んでいます。レクサスもいよいよFFの新型『ES』を中国でワールドプレミアするなど、FR&FFの両立ラインナップを推進しています。


マツダのジレンマ

  なんでこのアテンザのマイナーチェンジで、セダンの市場動向の話を延々としたのか!?勘のいい人は気がついていると思いますが、マツダのアテンザに対するビジョンはやはり「曖昧」だったということです。経営不振の時期にちょうど差し掛かっていたので、仕方のないことではありますが、現行のGJアテンザになってから、従来「マツダ6」を高く評価してきた欧州で思ったほど伸びない原因は、やはり「市場をナメていた」部分があったのでは!?


メルセデスも正しい

  プレミアムブランドの中でセダン人気が根強いのはやはり名門メルセデスです。4ドアクーペもセダンの類型として含めると、グローバル市場で販売の主力になっているのは、伝統の「Eクラス」とまだ登場してから数年しか経っていない「CLAクラス」です。日本ではEクラスよりもCクラスの販売が多いですが、グローバルではFRの需要は完全に「E」が上。そしてAクラスをベースにDセグに格上げしたサイズの「CLA』が急成長しています。


メルセデスとマツダの「差」とは!?

  アウディやBMWも慌てて「A3セダン」や「1シリーズセダン」を中国に投入します。さらにA3セダンは北米にも展開されています(BMWは北米でのイメージを守るためかFFモデルの投入はSUVに限定されている)。初代&2代目アテンザは車格から「CLA」のサイズでした。これが3代目ではFFのままで「Eクラス」に近いサイズに拡大されました。メルセデスとマツダは別物という、合理的な判断においてデビュー当時の3代目アテンザの設計に表立って疑問を投げかけるカーメディアは存在しなかったのですが、今では当のマツダがこの判断を疑問視しているらしい・・・。


マツダ・セダン立て直しの道のり

  報じられている通りのマツダ首脳陣の態度から判断する限りでは、よほどの事情がなければ、次のアテンザ級セダンはプラットフォームを一新してFRシャシーになるようです。当たり前のことですが、これが『Eクラス』に相当するモデルになり、新たにFF横置きベースのアクセラセダンを、サイズを拡大した上で『CLA』あるいは『初代&2代目アテンザ』のような位置付けのクルマに仕立てることになりそうです。


アラバマでの企み

  ・・・が!!『SUV屋』という新しい魅力を放ち始めたマツダにとって、販売の主力となっているSUVのFR化が囁かれています。CX5さらに共通シャシーを使うアクセラまでもFR化されるのではないかとの推測もあります。アラバマ州に完成するマツダの新工場向けのモデルつまり「アラバマ・マツダ」車がFRになる有力候補ですが、アラバマ工場における合弁相手のトヨタも、レクサスを含め量産型FRモノコックのSUVがなく、ラインナップを増やしたい事情は同じ・・・企画屋トヨタによる「第3のFR」はスバル、BMWに続いてマツダとのコラボになるのかも!?


ボルボは失敗する!?

  トヨタの意向が入った、SUVありきのFRシャシーだとしたら、経営面ではリスクが相当に軽減されて、基盤の弱い(と自ら言っている)マツダにとってはいい話なんでしょうけども、マツダの洗練されたアイディアを楽しみたいというファンにとってはやや複雑な気分がします。そもそも第一汽車&メルセデスが掲げた路線を継承することが全てではないし、ボルボ&吉利汽車は『直4FF横置き』でS90を開発し、フロントDWBという初代&2代目アテンザの設計方針を盛り込み、新たにEクラスの競合車として名乗りを上げています。


アップデートは全て完了!?

  マツダファンならば、もっと現状のGJアテンザと素直に向き合って見るのもいいかも。「安全性」「ツアラー性能」「快適性」といった主要な機能性に関してはレクサス&メルセデスを相手に互角以上です。エンジンのバリエーションだけがネックですけども、『GS450h』(742万円)や『E350e』(811万円)と比べても仕方がない・・・。350〜400万円であらゆるシーンで十分に使えて、GSやEクラスに負けない前後シートヒーターや、フロントシートの除湿機能、さらに新素材が使われたインパネ&トリム。新しくなった「アテンザ・Lパケ」と少なくとも5年くらい付き合ってもいいんじゃないでしょうか!?(FRを待つ3年で人生は大きく変わちゃうでしょうし、今しかできないことがあるはず)


価格などはこちらからどうぞ(マツダ公式HP)↓






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↓『世界が認めた最高のロングツアラー』
このコピーがアテンザには一番合っていると思う。
個人的には一番刺さった!!

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