今年始めのニューヨークMSと続くフランクフルトMSで世界のカーメディアの度肝を抜いたスバルの新しいデザインコンセプト「WRXコンセプト」で期待値が高められてしまったので、今回ロサンゼルスで発表された新型WRXには早くも厳しい評価があるようですが、日産GT-R級のスーパースポーツのサイズだったコンセプトと比べ、車幅を1780mmに抑えて「実用車のスバル」のプライドを優先させた点を評価したいと思います。
確かにGT-Rは素晴らしいですが、より多くの世界中のスポーツカーファンに愛されているのが「WRX STi」だという事実をなえがしろにして、スーパースポーツ化しても従来のファンが付いてくるわけはないのですから、極めて健全な判断だったと思います。ポルシェ911の大型化の歩みを考えると、まったく無謀だとは言い切れない部分もありますが・・・。
それでも目下、北米でも日本でも絶好調のスバルブランドは中型車専門ブランドとしては異例の急成長を遂げています。もはや北米では、メルセデス・BMW・マツダといった競合メーカーを完全に引き離して、中型車の”巨人”ホンダを追っかける最右翼になっています。日本でも3ナンバー販売では単月で日産を上回り第2位になる快挙も達成しています。トヨタといった"規格外"を別にすればこの2市場で、最も優れたクルマを作っているのがスバルというわけです。
バブル期の日本メーカーは北米市場でこの世の春を謳歌しつつ、スーパースポーツ制作にうつつを抜かしました。一番謙虚だったトヨタが結果的にバブル崩壊のダメージが少なくその後も成長を続け、一番身の丈に合っていないマツダが大怪我をしたようですが、そんなトヨタをグループの盟主に置くスバルなので、400~500psの時代に突入したスーパースポーツ市場など最初から眼中にないようです。
スバルはトヨタと共同でFRスポーツの86/BRZを作りましたが、このクルマの発売はスバルの今後の戦略にとても大きな意味があったと思います。このクルマはGT-Rのような派手さはないですが、低価格で軽自動車に匹敵する程度の4座を確保したことで、新しい乗用車の形としてスポーツカーのポテンシャルを示した画期的なクルマになりました。
86/BRZは速く走るためのスポーツカーではなく、いかに無難なスペックでもスポーツカーとして成立させるかに最大の工夫があります。誰が見ても紛れも無くスポーツカーですが、燃費もユーテリティも維持費も全て乗用車の範疇に収めた点が最大のポイントです。ライバルのランエボが衰退していく中で、スバルの首脳陣も自ブランドのスポーツカー(WRX)の処遇には困惑していたでしょうが、86/BRZをお手本に予想外の突破口が開けた恰好かもしれません。
当然かどうかは分かりませんが、「(乗用車として)所有させるWRX」なるものを強く意識した結果の「1.6Lターボ240psにデチューン」という”回答”なのだと思います。2Lターボで300ps超が代名詞だった従来のWRXですが、ランエボを除けば400万円でそんなハイパワーを振り回すクルマなんてマスタングくらいなものです。メルセデスもBMWも700万円オーバーが常識のレベルになっているのに、いつまでもコストパフォーマンスを見せつける意味なんてないです。
つまりGT-R買うくらいの意識でA45AMG買いにいく客層は、メルセデスというブランドに恋しているだけなので、いくらWRXがしゃしゃり出てもおそらく振り向いてはもらえません。そんな「レイシスト」を相手にするより、従来のWRXはガチ過ぎて買えないという「まともな人」を相手にしたほうがずっと賢明だと86/BRZの成功がハッキリ示したわけです。
スバルの新型車は意欲的で「WRX」「レヴォーグ」「2015レガシィ」と魅力的なモデルが発売を控えています。ぜひ売れてほしいとか思わなくても、きっとスゴい勢いで売れるでしょう。スバルはいよいよ一皮むけたように感じます。
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LAで発表されたWRXは、2リットルのDITターボで6MTもしくはCVTとの組み合わせです。
返信削除2月のデトロイトでおそらく北米仕様のWRX STIがお披露目され、おそらく2.5リットルになると思われます。
日本仕様はわかりませんが2リットルのDITで6MT及びCVTとの組み合わせでしょう。
1.6リットルDIT+モーター+CVTが設定されれば魅力的ですけどね。。。
拓也さんへ
返信削除コメントありがとうございます。
FA16DITの240psで登場が結構早い段階で報道されていたので鵜呑みにしてましたが、かなり微妙なんですね・・・
正式発表が行われたら改めて記事を書きたいと思います。
またお気軽にご意見を頂ければうれしいです。