メルセデスCクラス 「ドイツ版レクサスという衝撃!」
レクサスRC-Fが公開されたというネットの記事に、5年くらい前からタイムスリップしてきたようなコメントばかりが殺到していました。もはやレクサスがドイツ・プレミアムブランドの下風に立たされる時代はGSとISの相次ぐFMCによってとうとう終わりを告げたというのに、yahooニュースに反応する一般人の認識はまだまだ改まってはいないようです。結果論と言われるかもしれませんが、レクサスがクルマ作りにおいてメルセデス・BMW・アウディといったドイツブランドを追い越すのは必然の成り行きだったと思います。
レクサスはトヨタグループの「最上級」ブランドとして設立され、年間1000万台を販売するようになったトヨタの「最上級の顧客」のニーズを十分に満たせるようにクルマが開発されています。一方でメルセデス・BMW・アウディのいわゆる「御三家」の立ち位置はレクサスとは根本的に違います。これらのブランドの同じグループにはさらに上位のマイバッハ・ロールスロイス・ベントレーといったブランドが存在します。よってメルセデス・BMW・アウディには「レクサスLS」のような最上級のクルマを作らなきゃいけない必然性が乏しいのです。グループの顧客の最上位層は上位に位置する同グループのブランドが対応します。よってクルマの品質はレクサスよりも低いところに収まる傾向がここ近年では顕著になってきました。
メルセデスは短期間で北米におけるレクサスの成功を許した反省から、いよいよブランドの再編へと動きだし、上位のマイバッハを廃止し、メルセデスが最上位の顧客をも担当するという意味で「レクサスに近い」ブランドへと生まれ変わりました。新しいメルセデスの戦略を検証すると、多くの点でレクサスの戦略との類似点が見られます。ポイントを簡単に言うと、「スモールカー」による入門グレードの設置と、ブランドの骨格を成す「基幹3モデル」への開発資源の集中が挙げられます。
レクサスのグローバルでのヒット車として挙げられるのが、HV専用モデルの「CT」です。敷居の高いレクサスのすそ野を広げる廉価グレードで、日本でも「小さな高級車」として、プリウスと同じユニットを使うクルマながら予想外の健闘をしています。メルセデスも以前から「スマート」という三菱からのOEMを使ったモデルがありましたが、ブランド好きの日本でもさすがに普及せず、全世界的にも「空振り」に終わりました。旧型のAクラス・Bクラスにしてもブランド内での立ち位置は極めて不明確で、上位グレードとの関連性を感じることができず、「すそ野」として十分に機能できなかった点を見直し、新たに「A」「CLA」「GLA」の3台を追加して「CT」と同じ役割を期待するようです。
入門モデルの拡充とともに「基幹3車種」の競争力を上げるという取り組みもまたレクサスの戦略をそのまま辿っているかのようです。レクサスは「LS」「GS」「IS」の3車種にブランド全体車種の開発資源の多く(8割?)を集中させ、この3車種に関しては同クラスのライバル車に絶対に負けないという目標を設定し、当初から評判が高かった「LS」に加え、「GS」「IS」に関しても新型プラットフォームを投入して、それぞれクラス・ナンバー1をもぎとりました。乗り心地・静粛性といった従来トヨタが強かった「NVH」への対応に加え、ハンドリングでBMWを、直進安定性でメルセデスをそれぞれ「超えた」ところまで持ってきたことには驚かされました。
メルセデスもレクサスを追従して、去年「Sクラス」を全面刷新して、マイバッハの顧客にも受け入れられる水準まで、様々な面での改良が行われました。さすがはメルセデスというべきか、1回のFMCで文句無くマセラティやベントレーといった高級ブランドを脅かすポテンシャルを持つモデルを作り上げてきました。そして今回は「Cクラス」の改良が行われたわけですが、コンセプトはとてもわかりやすく、ずばり「Sクラス」の質感をそのまま「Cクラス」のサイズにまとめること!で、すでに海外試乗レビューも出回っていますが、現行のEクラスやCLSクラスを完全に超える「乗り心地」になっていると言われています。
これまでメルセデスでは「Sクラス」と「CLクラス」のみで使われていた、前後輪に「マルチリンク」を配した足回りをそのまま「Cクラス」へと移植し、さらにオプションでエアサスまで装備してしまうという「クラス随一」にとことんこだわった設計です。これだけでもメルセデスの哲学がここ20年のものから大きく変化していることが解ります。設計上はレクサスLSと同等の足回りを履いた「Cクラス」ということになります。ここまで大胆な設計をすれば、高品質を理由にレクサスに引き寄せられていたユーザーを再びメルセデスへと振り向かせることも可能でしょう。さらにインテリアも新型「Sクラス」に準じたものへ変更になり、割と古典的だった従来のメルセデスの内装からは大きな進化(変化)です。近年では内装の質感の高さで独走していたレクサスに「待った」をかけるという意図が十分に見られます。
もちろん次期Eクラスにもこの「レクサス戦略」は適用される見通しで、なんと次期モデルでは直6エンジンの復活が示唆されています。また同時にレクサスの世界観をもブランド内に取込んでしまおうということで、「S」と同様に「E」「C」でもいずれはハイブリッド(PHV)搭載ユニットが主力になる見通しのようで、すでに「Cクラス」ではPHVの試作車が完成していて、公道テストを行っている模様です。
なんだか全体的に「レクサス視線」での意見になってしまいましたが、「メルセデスの復活」はクルマ好きにとってはやはり喜ばしいことですし、「坂の上の雲」じゃないですけど、トヨタがドイツブランドの背中を追いかけて始めたレクサス事業が北米で始まって20年以上が経過し、それだけの年数を存続していくだけでも大変なのに、着実に進化を遂げてました。そしていよいよ「大きな岩を動かす」瞬間が訪れているようです。これまでのトヨタグループの地に足が着いた着実な歩みに、人生の教訓を感じる次第です。トヨタグループとメルセデスの今後のより一層の活躍を期待したいと思います。
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レクサスはトヨタグループの「最上級」ブランドとして設立され、年間1000万台を販売するようになったトヨタの「最上級の顧客」のニーズを十分に満たせるようにクルマが開発されています。一方でメルセデス・BMW・アウディのいわゆる「御三家」の立ち位置はレクサスとは根本的に違います。これらのブランドの同じグループにはさらに上位のマイバッハ・ロールスロイス・ベントレーといったブランドが存在します。よってメルセデス・BMW・アウディには「レクサスLS」のような最上級のクルマを作らなきゃいけない必然性が乏しいのです。グループの顧客の最上位層は上位に位置する同グループのブランドが対応します。よってクルマの品質はレクサスよりも低いところに収まる傾向がここ近年では顕著になってきました。
メルセデスは短期間で北米におけるレクサスの成功を許した反省から、いよいよブランドの再編へと動きだし、上位のマイバッハを廃止し、メルセデスが最上位の顧客をも担当するという意味で「レクサスに近い」ブランドへと生まれ変わりました。新しいメルセデスの戦略を検証すると、多くの点でレクサスの戦略との類似点が見られます。ポイントを簡単に言うと、「スモールカー」による入門グレードの設置と、ブランドの骨格を成す「基幹3モデル」への開発資源の集中が挙げられます。
レクサスのグローバルでのヒット車として挙げられるのが、HV専用モデルの「CT」です。敷居の高いレクサスのすそ野を広げる廉価グレードで、日本でも「小さな高級車」として、プリウスと同じユニットを使うクルマながら予想外の健闘をしています。メルセデスも以前から「スマート」という三菱からのOEMを使ったモデルがありましたが、ブランド好きの日本でもさすがに普及せず、全世界的にも「空振り」に終わりました。旧型のAクラス・Bクラスにしてもブランド内での立ち位置は極めて不明確で、上位グレードとの関連性を感じることができず、「すそ野」として十分に機能できなかった点を見直し、新たに「A」「CLA」「GLA」の3台を追加して「CT」と同じ役割を期待するようです。
入門モデルの拡充とともに「基幹3車種」の競争力を上げるという取り組みもまたレクサスの戦略をそのまま辿っているかのようです。レクサスは「LS」「GS」「IS」の3車種にブランド全体車種の開発資源の多く(8割?)を集中させ、この3車種に関しては同クラスのライバル車に絶対に負けないという目標を設定し、当初から評判が高かった「LS」に加え、「GS」「IS」に関しても新型プラットフォームを投入して、それぞれクラス・ナンバー1をもぎとりました。乗り心地・静粛性といった従来トヨタが強かった「NVH」への対応に加え、ハンドリングでBMWを、直進安定性でメルセデスをそれぞれ「超えた」ところまで持ってきたことには驚かされました。
メルセデスもレクサスを追従して、去年「Sクラス」を全面刷新して、マイバッハの顧客にも受け入れられる水準まで、様々な面での改良が行われました。さすがはメルセデスというべきか、1回のFMCで文句無くマセラティやベントレーといった高級ブランドを脅かすポテンシャルを持つモデルを作り上げてきました。そして今回は「Cクラス」の改良が行われたわけですが、コンセプトはとてもわかりやすく、ずばり「Sクラス」の質感をそのまま「Cクラス」のサイズにまとめること!で、すでに海外試乗レビューも出回っていますが、現行のEクラスやCLSクラスを完全に超える「乗り心地」になっていると言われています。
これまでメルセデスでは「Sクラス」と「CLクラス」のみで使われていた、前後輪に「マルチリンク」を配した足回りをそのまま「Cクラス」へと移植し、さらにオプションでエアサスまで装備してしまうという「クラス随一」にとことんこだわった設計です。これだけでもメルセデスの哲学がここ20年のものから大きく変化していることが解ります。設計上はレクサスLSと同等の足回りを履いた「Cクラス」ということになります。ここまで大胆な設計をすれば、高品質を理由にレクサスに引き寄せられていたユーザーを再びメルセデスへと振り向かせることも可能でしょう。さらにインテリアも新型「Sクラス」に準じたものへ変更になり、割と古典的だった従来のメルセデスの内装からは大きな進化(変化)です。近年では内装の質感の高さで独走していたレクサスに「待った」をかけるという意図が十分に見られます。
もちろん次期Eクラスにもこの「レクサス戦略」は適用される見通しで、なんと次期モデルでは直6エンジンの復活が示唆されています。また同時にレクサスの世界観をもブランド内に取込んでしまおうということで、「S」と同様に「E」「C」でもいずれはハイブリッド(PHV)搭載ユニットが主力になる見通しのようで、すでに「Cクラス」ではPHVの試作車が完成していて、公道テストを行っている模様です。
なんだか全体的に「レクサス視線」での意見になってしまいましたが、「メルセデスの復活」はクルマ好きにとってはやはり喜ばしいことですし、「坂の上の雲」じゃないですけど、トヨタがドイツブランドの背中を追いかけて始めたレクサス事業が北米で始まって20年以上が経過し、それだけの年数を存続していくだけでも大変なのに、着実に進化を遂げてました。そしていよいよ「大きな岩を動かす」瞬間が訪れているようです。これまでのトヨタグループの地に足が着いた着実な歩みに、人生の教訓を感じる次第です。トヨタグループとメルセデスの今後のより一層の活躍を期待したいと思います。
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