マツダCX-3 「ヴェゼルを止めることはできるの?」
いよいよデザインが公開されたマツダの秘密兵器・CX-3ですが、写真で見る限りではどうもなんというか迫力不足な感が否めません。これまでの魂動デザインに比べて特に悪いといった点は無いのですが、日本市場で300万円近いクルマを売るならば、どんよりと漂う「無党派層」の背中を大きく押してあげるスペシャルな「何か」が欲しいです。最大のライバルは現在絶好調のホンダ・ヴェゼルですが、このクルマは実際に見積もると相当に高いです。乗り出し価格はHV車で300~350万円、非HV車でも250~300万円程度かかります。急速に街中に増えているので、個性を求めてエアロを組んでみると1.5Lガソリン車で300万円を超える見積もりが出されて、クルマ好きならば一瞬我に返って「1.5LのNAだよな・・・」となるはずです。そんなクルマが月10000台以上売れています。
もちろんヴェゼルが売れてるにはそれなりに理由があって、「安っぽく見られないオーラ」「メルセデスAクラス的な内装デザイン」「Aクラス的な広さ」「Aクラス的なアクセルフィール」「Aクラス的なハンドリング」とまあ・・・とにかく最近のドイツ車に様々な点が類似した「狙ったコンセプト」が予想外にウケているのだと思います。ただし走りに関しては・・・熟成不足というより、そもそも何かを目指そうという意図があまり感じられません。MTモードやパドルシフトがあるのに「スポーツモード」ボタンを付けるというドイツ的なアイディアは、実際のところそれほど「商品性」の向上には貢献しない気がします。それでもメーカー側は「トレンドなのでこれは押えておこう!」と無理矢理装備に加えているようです。
マツダとCX-3には直接関係ないですが「Sモード」についてさらに言うと、VW、BMW、スバルの各メーカーは自信を持って2〜3のモードそれぞれの「走り」を洗練させている印象ですが、日産(スカイライン)やミニはなんだか中途半端な印象を受けます。そしてホンダは・・・ヴェゼルHVの「Sモード」は無くて良かったのでは?と思えるほどに仕上がりが酷いです(失礼!)。MTモードで2速で引っ張っているのと同じなので、興ざめするようなエンジン音が容赦なく襲ってきます。偉そうに言ってしまうと、要はエンジン容量の問題であってCVTと組み合わせて熱効率で勝負する小型エンジンに、DCTを組み込んでエンジンの負荷を大きくすれば、この「不始末」は当然に起こる気がします。最初からドイツ車をベンチマークしたかのような「Sモード」ありきのコンセプトが大失敗なのだと思います。それでもくどいですが、ヴェゼルは月10000台以上売れてしまっています。
「都市型SUV」というフランス発の怪しげなトレンドは、いよいよ日本市場を大きく覆い始めつつあります。グローバルでも欧州・中国・北米問わずに展開できるクラスとあって、各メーカーもかなり本腰を入れて開発に取り組んでいるようです。ヴェゼルの成功を横目にCX3にも大きな飛躍が期待されていますが、同じコンパクトSUVでもホンダが考えるものとマツダが考えるものには、大きな距離があるように思います。ヴェゼルHVに乗って思わず感じてしまうものは、「マツダ的な走りの要素の完全否定」だったりします。全くリニア感のないアクセル・フィールとそれを誤魔化すかのようなAクラスと同じくらいにフニャフニャなアクセルが、どうやらこのクルマの本質を決めてしまっています。
逆に言うと、マツダ的にはあり得ないようなフニャフニャなアクセルでも月10000台以上が売れてしまうのが、日本市場の偽らざる現実のようです。別にホンダのクルマ作りや、メルセデスのクルマ作りが悪いというつもりはないですが、Aクラスもヴェゼルも発売のタイミングを上手く掴んで売れている感があります。他のメーカーに比べてクルマを仕上げてくるスピードが異様に早いというのは未確認ではありますが、やはりどちらも乗ってみて走りの面での熟成度が著しく低い気がします。ホンダに関しては駆動系のリコールが連続するなど、メーカー側からも「準備期間が足りなかった」といった言い訳が聞かれます。そんなクルマでも内外装だけしっかりアピール出来れば売れてしまいます。
実際にAクラスやヴェゼルを試しにいくと、同乗しているディーラーの人はやたらとネガティブです。BMWやスバルのクルマではあれこれと自慢の走行モードを楽しんでもらいつつ、「どうですか?」なんて自信満々に訊かれますが、Aクラスだと特にスポーツモードを強調されることもなく、ヴェゼルに至っては「Sモードは相当にエンジンがうるさいので使わない人が多いです」とか言われました。そんな無駄な機能が付いているクルマ欲しいですか?営業マンだったらとにかく付いてる機能は全部誉めておくべきでは?「Sモードはホンダにとっては特別なこだわりがあります、いち早くCR-Zに走行性能があがる電気チャージャーを付けたくらいですから!」なんて言っておくべきではないですかね・・・。
メルセデスA180(ノーマル底辺グレード)もヴェゼルHV(Z最上級グレード)もどちらも乗り出しで約350万円です。2.2Lディーゼルを積む「アクセラXD」が豪華な1グレードのみで乗り出し350万円ですから、マツダはおそらくその価格水準より安くCX3の「XD・Lパケ」(ディーゼルの豪華グレード)を設定してくるでしょう。デミオXDに乗った感触だと、もう一回り車体が大きくなって車重がいくらか増えても、1.5Lディーゼルエンジンに余力は十分なので、むしろデミオXDよりも出力とボディのバランスはとれるように思います。ただしアクセラの2.2Lディーゼルの方がガソリンエンジン的なフィーリングに優れていて、過給がかからない低回転時もストレスなく動きますし、さらに踏み込むとガソリンのように噴け上がり始め、「そんなに要らないよ!」と言いたくなるほどの加速感が得られます。
その一方で1.5Lディーゼルは、ディーゼルであることをもっと強く感じるエンジンで、噴け上がり感もマツダにしてはかなり悪いです。それでもAクラスのガソリンターボやヴェゼルHVの1.5L&Mによる加速に対抗するには十分以上の出来です。BMWやプジョーといった欧州の「走りのブランド」によるクルマに搭載されてもまったく違和感がないエンジンという意味では、マツダの1.5Lディーゼルがこの3つのユニットの中ではもっとも優れています。デミオのレビューでも散見されるのが、1.3Lガソリンの方が完成度が高いといった意見です。マツダはディーゼルを押していますが、やはり感覚を研ぎ澄ませばガソリンエンジンに劣る点も出てきます。そしてAクラスやヴェゼルと比較する層にディーゼルが必ずしも魅力的に映るとは限りません。CX3にはアクセラ用の1.5Lガソリンが使われるようですが、マツダの「ガソリンNAエンジンの気持ち良さ」だけでHVを備えるヴェゼルの牙城が切り崩せるともなかなか思えません。さてマツダとしてはCX3発売に合わせてどういった付加価値を付けてくるのか?注目です。
リンク
「最新投稿まとめブログ」
もちろんヴェゼルが売れてるにはそれなりに理由があって、「安っぽく見られないオーラ」「メルセデスAクラス的な内装デザイン」「Aクラス的な広さ」「Aクラス的なアクセルフィール」「Aクラス的なハンドリング」とまあ・・・とにかく最近のドイツ車に様々な点が類似した「狙ったコンセプト」が予想外にウケているのだと思います。ただし走りに関しては・・・熟成不足というより、そもそも何かを目指そうという意図があまり感じられません。MTモードやパドルシフトがあるのに「スポーツモード」ボタンを付けるというドイツ的なアイディアは、実際のところそれほど「商品性」の向上には貢献しない気がします。それでもメーカー側は「トレンドなのでこれは押えておこう!」と無理矢理装備に加えているようです。
マツダとCX-3には直接関係ないですが「Sモード」についてさらに言うと、VW、BMW、スバルの各メーカーは自信を持って2〜3のモードそれぞれの「走り」を洗練させている印象ですが、日産(スカイライン)やミニはなんだか中途半端な印象を受けます。そしてホンダは・・・ヴェゼルHVの「Sモード」は無くて良かったのでは?と思えるほどに仕上がりが酷いです(失礼!)。MTモードで2速で引っ張っているのと同じなので、興ざめするようなエンジン音が容赦なく襲ってきます。偉そうに言ってしまうと、要はエンジン容量の問題であってCVTと組み合わせて熱効率で勝負する小型エンジンに、DCTを組み込んでエンジンの負荷を大きくすれば、この「不始末」は当然に起こる気がします。最初からドイツ車をベンチマークしたかのような「Sモード」ありきのコンセプトが大失敗なのだと思います。それでもくどいですが、ヴェゼルは月10000台以上売れてしまっています。
「都市型SUV」というフランス発の怪しげなトレンドは、いよいよ日本市場を大きく覆い始めつつあります。グローバルでも欧州・中国・北米問わずに展開できるクラスとあって、各メーカーもかなり本腰を入れて開発に取り組んでいるようです。ヴェゼルの成功を横目にCX3にも大きな飛躍が期待されていますが、同じコンパクトSUVでもホンダが考えるものとマツダが考えるものには、大きな距離があるように思います。ヴェゼルHVに乗って思わず感じてしまうものは、「マツダ的な走りの要素の完全否定」だったりします。全くリニア感のないアクセル・フィールとそれを誤魔化すかのようなAクラスと同じくらいにフニャフニャなアクセルが、どうやらこのクルマの本質を決めてしまっています。
逆に言うと、マツダ的にはあり得ないようなフニャフニャなアクセルでも月10000台以上が売れてしまうのが、日本市場の偽らざる現実のようです。別にホンダのクルマ作りや、メルセデスのクルマ作りが悪いというつもりはないですが、Aクラスもヴェゼルも発売のタイミングを上手く掴んで売れている感があります。他のメーカーに比べてクルマを仕上げてくるスピードが異様に早いというのは未確認ではありますが、やはりどちらも乗ってみて走りの面での熟成度が著しく低い気がします。ホンダに関しては駆動系のリコールが連続するなど、メーカー側からも「準備期間が足りなかった」といった言い訳が聞かれます。そんなクルマでも内外装だけしっかりアピール出来れば売れてしまいます。
実際にAクラスやヴェゼルを試しにいくと、同乗しているディーラーの人はやたらとネガティブです。BMWやスバルのクルマではあれこれと自慢の走行モードを楽しんでもらいつつ、「どうですか?」なんて自信満々に訊かれますが、Aクラスだと特にスポーツモードを強調されることもなく、ヴェゼルに至っては「Sモードは相当にエンジンがうるさいので使わない人が多いです」とか言われました。そんな無駄な機能が付いているクルマ欲しいですか?営業マンだったらとにかく付いてる機能は全部誉めておくべきでは?「Sモードはホンダにとっては特別なこだわりがあります、いち早くCR-Zに走行性能があがる電気チャージャーを付けたくらいですから!」なんて言っておくべきではないですかね・・・。
メルセデスA180(ノーマル底辺グレード)もヴェゼルHV(Z最上級グレード)もどちらも乗り出しで約350万円です。2.2Lディーゼルを積む「アクセラXD」が豪華な1グレードのみで乗り出し350万円ですから、マツダはおそらくその価格水準より安くCX3の「XD・Lパケ」(ディーゼルの豪華グレード)を設定してくるでしょう。デミオXDに乗った感触だと、もう一回り車体が大きくなって車重がいくらか増えても、1.5Lディーゼルエンジンに余力は十分なので、むしろデミオXDよりも出力とボディのバランスはとれるように思います。ただしアクセラの2.2Lディーゼルの方がガソリンエンジン的なフィーリングに優れていて、過給がかからない低回転時もストレスなく動きますし、さらに踏み込むとガソリンのように噴け上がり始め、「そんなに要らないよ!」と言いたくなるほどの加速感が得られます。
その一方で1.5Lディーゼルは、ディーゼルであることをもっと強く感じるエンジンで、噴け上がり感もマツダにしてはかなり悪いです。それでもAクラスのガソリンターボやヴェゼルHVの1.5L&Mによる加速に対抗するには十分以上の出来です。BMWやプジョーといった欧州の「走りのブランド」によるクルマに搭載されてもまったく違和感がないエンジンという意味では、マツダの1.5Lディーゼルがこの3つのユニットの中ではもっとも優れています。デミオのレビューでも散見されるのが、1.3Lガソリンの方が完成度が高いといった意見です。マツダはディーゼルを押していますが、やはり感覚を研ぎ澄ませばガソリンエンジンに劣る点も出てきます。そしてAクラスやヴェゼルと比較する層にディーゼルが必ずしも魅力的に映るとは限りません。CX3にはアクセラ用の1.5Lガソリンが使われるようですが、マツダの「ガソリンNAエンジンの気持ち良さ」だけでHVを備えるヴェゼルの牙城が切り崩せるともなかなか思えません。さてマツダとしてはCX3発売に合わせてどういった付加価値を付けてくるのか?注目です。
リンク
「最新投稿まとめブログ」
マツダは小さい会社なのでエリアごとに適した車を作り分けられないのです
返信削除確かにここ数年の経営再建によって欧州でやたらと多かったエンジンのラインナップを大幅に整理しましたね。
返信削除でもそれはホンダもトヨタもVWも同じだと思いますが・・・。