クライスラー300 「SRTがやっぱりお買い得?」
全長5m超のフルサイズセダンで、出力も500psに迫るモンスター級! メルセデスだとAMGのE63、BMWだとM5でしょうか、この両ブランドだとどちらも2000万円近い価格になるであろう超絶スペックのクルマがなんと日本メーカーもビックリ!の750万円で発売されました! しかもドイツ車のようにターボラグがハッキリと分かってしまう自棄糞ツインターボ仕様ではなく、6.4Lで余裕たっぷりのV8自然吸気から沸き出す476psですから、ドイツ車には失礼ですが安っぽくない!非常に高級車らしいありがたみに溢れたモンスターパワーです。
フィアット・クライスラーグループは小型車への強みから新興国戦略を打ち出していましたが、VWやヒュンダイ/キアに競り負けてからは再び、アメリカや日本を狙い撃ちにするような成熟市場向けのモデルが増えてきました。ブランドがバラバラなのでイマイチ掴みづらいですが、「ジープ・チェロキー」「ジープ・コンパス」「ジープ・レネゲード」「フィアット500X」といったSUVを効果的に日本に持ち込みつつ、他方で「マセラティ・ギブリ」といった高級車もアベノミクスに乗ってよく売れました。また「アルファロメオ4C」という個性的なライトウエイトスポーツを、お家芸としている日本メーカーのお膝元に叩き付け、さらにまもなくマツダに作らせた「フィアット版ロードスター」も登場します。
もちろん傘下にはフェラーリもありますので「488GTB」もグループの新型車になります。さらにセレブの趣味車として「アバルト695ビポスト」なるモデルも持ち込まれました。フィアット500ベースの特別仕様車が850万円って!・・・まあ上から下まで様々に魅力的なクルマを揃えているグループなのは間違いないです。個人的な趣味では「カリフォルニアT」「グラントゥーリズモ」「グランカブリオ」といったクルマには憧れますし、SUV買うなら「チェロキー・トレイルホーク」かな、ほかにも年内に登場予定の「アルファロメオ・ジュリア」にも惹かれます。さらには200万円台の低価格車も魅力的で「500C」と「パンダ4×4」もなんだか楽しそうです。「ミト」や「ジュリエッタ」にMTが復活するのを期待したいですし、並行輸入の新車のMTジュリエッタは結構タマ数があるみたいです。だけど専ら探しているのはアルファブレラのMTモデルですね。
なんだか話が逸れてしまいましたが、とにかくフィアット・クライスラーは日本市場のクルマ好きにとって無くてはならない存在になったと思います。フィアット系6ブランド(フィアット、マセラティ、フェラーリ、アルファロメオ、ランチア、アバルト)とクライスラー系4ブランド(クライスラー、ジープ、ダッジ、ラム)の内で7ブランドがすでに日本に導入されていますが、残りのランチア、ダッジ、ラムの中にも日本で売れそうなモデルがいろいろあるので、今後の導入を期待したいです。
さてSRTが復活した「クライスラー300」ですが、これまでのベースもモデルだった400万円程度のベースグレードが一旦停止されました。750万円の「SRT」と、560万円の「300S」の2グレード体制がアナウンスされています。V6の3.6L自然吸気エンジンが載ったフルサイズセダンが400万円という価格設定はもはや日本車でも絶滅気味で、インスパイアが廃止されてスカイラインやフーガが徐々に値上げされた関係で、今ではDセグのマークX350Sが370万円で売られているのが残るだけです。
日本車と比べても圧倒的にコスパが良いから売れるというわけではなく、やはりフルサイズセダンはそれなりの貫禄が必要で、クライスラーにしてみたら、「安過ぎて売れないのでは?」と疑念があったのかもしれません。メルセデスやBMWではフルサイズセダンに6気筒だと900万円コースですから、その半額以下というのは逆にちょっと手が出しにくい安さなのかもしれません(400万円は手軽にという価格でもないですし)。
今回の価格改定に合わせてフェイスリフトも行われていて、これまではちょっと間延びしたエクステリアが冴えない印象で、良くも悪くもアメ車らしいやや退屈なデザインでしたが、新しいデザインはヘッドライト回りの印象がだいぶ変わり、「ベントレー?ジャガー?」と錯覚しそうなブリティッシュデザインを志向してきたようです。ドイツ車のようなあまり敷居を感じさせない気楽なデザインが良いという人には見向きもされないかもしれないですが、ベントレーやジャガーのようなトラディショナルで高級車に相応しい存在感を求める人には一考の余地があるかもしれません。
クライスラーは北米ビッグ3の中でも特に高級車の製造に定評があるメーカーです。フォード系の「リンカーン」やGM系の「キャデラック」のような専門チャンネルこそ用意されていないですが、1990年代にフォードがマツダを、GMがスズキを抱き込んで小型車作りをするなかで、中型車以上のモデルを作り続けた「クオリティ志向」のメーカーなのでプレミアムチャンネルの必要があまりないのかもしれません。現行モデルもクライスラーブランドではEセグの「300」に加えて、Dセグの「200」とフルサイズミニバンの「タウン&カントリー」の3車種だけで勝負しています。
現在のフィアットとの関係もビジネス上のものではなく、1970年代の終盤からアイアコッカというイタリア系の経営者によって成長を遂げるなどのイタリアとのつながりにあると言われています。その歴史の中でランボルギーニを傘下に収めた時期もあったり、マセラティと共同開発を行ったりするなど、幾多の華のあるクルマを作りつづけてきました。ちなみに北米で現行の3モデル「300」「200」「タウン&カントリー」はそれぞれ旧型メルセデスEクラス、アルファロメオ・ジュリエッタ、そして世界初のミニバン「ボイジャー」をベースに作られていて、どれも由緒正しいクオリティを大切にしたモデルだと言えます。
「300」が使う旧メルセデスEクラスのシャシーは、メルセデス=クライスラーという過去にあった合併の遺産ですが、クライスラーはこのシャシーを大切に使い続け、ダッジのチャージャー(4ドア)、チャレンジャー(2ドア)、マグナム(ワゴン)で共用されています。これらのモデルは北米ビッグ3のフルサイズFR車シャシーでも断然の性能を誇ってきました。最近ではフォードがマスタング用にグローバル志向のドイツ車やレクサス/日産を意識したシャシーを新開発しましたし、GMもオペルにドイツ車風味の濃い足回りにこだわったシャシーを開発させて、現行のATSやCTSに使っているので、どれくらい性能に差があるかわかりにくくはなっていますが、間違いなく2008年頃まではアメ車で欧州車に対抗できるのはダッジ・チャージャー(チェレンジャー/マグナム)だけだったと思います。
あと2〜3年の内にはクライスラー300もフルモデルチェンジをするでしょうが、その時はおそらく、マセラティ・ギブリやアルファロメオ・ジュリアに使われるシャシーが採用されることになりそうです。旧型メルセデスのシャシーに大排気量NAエンジンが載った、ちょっと前までのAMGの魅力が新車で750万円で体感できるのも長くはないので・・・この機会に買ってみようかな。しかしこのサイズでは首都高走るのも楽じゃないかもしれません。「第三京浜を走って横浜でご飯を食べる為のクルマ」ってところでしょうか。
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↓これは面白かったです!マジメなクルマの本。
フィアット・クライスラーグループは小型車への強みから新興国戦略を打ち出していましたが、VWやヒュンダイ/キアに競り負けてからは再び、アメリカや日本を狙い撃ちにするような成熟市場向けのモデルが増えてきました。ブランドがバラバラなのでイマイチ掴みづらいですが、「ジープ・チェロキー」「ジープ・コンパス」「ジープ・レネゲード」「フィアット500X」といったSUVを効果的に日本に持ち込みつつ、他方で「マセラティ・ギブリ」といった高級車もアベノミクスに乗ってよく売れました。また「アルファロメオ4C」という個性的なライトウエイトスポーツを、お家芸としている日本メーカーのお膝元に叩き付け、さらにまもなくマツダに作らせた「フィアット版ロードスター」も登場します。
もちろん傘下にはフェラーリもありますので「488GTB」もグループの新型車になります。さらにセレブの趣味車として「アバルト695ビポスト」なるモデルも持ち込まれました。フィアット500ベースの特別仕様車が850万円って!・・・まあ上から下まで様々に魅力的なクルマを揃えているグループなのは間違いないです。個人的な趣味では「カリフォルニアT」「グラントゥーリズモ」「グランカブリオ」といったクルマには憧れますし、SUV買うなら「チェロキー・トレイルホーク」かな、ほかにも年内に登場予定の「アルファロメオ・ジュリア」にも惹かれます。さらには200万円台の低価格車も魅力的で「500C」と「パンダ4×4」もなんだか楽しそうです。「ミト」や「ジュリエッタ」にMTが復活するのを期待したいですし、並行輸入の新車のMTジュリエッタは結構タマ数があるみたいです。だけど専ら探しているのはアルファブレラのMTモデルですね。
なんだか話が逸れてしまいましたが、とにかくフィアット・クライスラーは日本市場のクルマ好きにとって無くてはならない存在になったと思います。フィアット系6ブランド(フィアット、マセラティ、フェラーリ、アルファロメオ、ランチア、アバルト)とクライスラー系4ブランド(クライスラー、ジープ、ダッジ、ラム)の内で7ブランドがすでに日本に導入されていますが、残りのランチア、ダッジ、ラムの中にも日本で売れそうなモデルがいろいろあるので、今後の導入を期待したいです。
さてSRTが復活した「クライスラー300」ですが、これまでのベースもモデルだった400万円程度のベースグレードが一旦停止されました。750万円の「SRT」と、560万円の「300S」の2グレード体制がアナウンスされています。V6の3.6L自然吸気エンジンが載ったフルサイズセダンが400万円という価格設定はもはや日本車でも絶滅気味で、インスパイアが廃止されてスカイラインやフーガが徐々に値上げされた関係で、今ではDセグのマークX350Sが370万円で売られているのが残るだけです。
日本車と比べても圧倒的にコスパが良いから売れるというわけではなく、やはりフルサイズセダンはそれなりの貫禄が必要で、クライスラーにしてみたら、「安過ぎて売れないのでは?」と疑念があったのかもしれません。メルセデスやBMWではフルサイズセダンに6気筒だと900万円コースですから、その半額以下というのは逆にちょっと手が出しにくい安さなのかもしれません(400万円は手軽にという価格でもないですし)。
今回の価格改定に合わせてフェイスリフトも行われていて、これまではちょっと間延びしたエクステリアが冴えない印象で、良くも悪くもアメ車らしいやや退屈なデザインでしたが、新しいデザインはヘッドライト回りの印象がだいぶ変わり、「ベントレー?ジャガー?」と錯覚しそうなブリティッシュデザインを志向してきたようです。ドイツ車のようなあまり敷居を感じさせない気楽なデザインが良いという人には見向きもされないかもしれないですが、ベントレーやジャガーのようなトラディショナルで高級車に相応しい存在感を求める人には一考の余地があるかもしれません。
クライスラーは北米ビッグ3の中でも特に高級車の製造に定評があるメーカーです。フォード系の「リンカーン」やGM系の「キャデラック」のような専門チャンネルこそ用意されていないですが、1990年代にフォードがマツダを、GMがスズキを抱き込んで小型車作りをするなかで、中型車以上のモデルを作り続けた「クオリティ志向」のメーカーなのでプレミアムチャンネルの必要があまりないのかもしれません。現行モデルもクライスラーブランドではEセグの「300」に加えて、Dセグの「200」とフルサイズミニバンの「タウン&カントリー」の3車種だけで勝負しています。
現在のフィアットとの関係もビジネス上のものではなく、1970年代の終盤からアイアコッカというイタリア系の経営者によって成長を遂げるなどのイタリアとのつながりにあると言われています。その歴史の中でランボルギーニを傘下に収めた時期もあったり、マセラティと共同開発を行ったりするなど、幾多の華のあるクルマを作りつづけてきました。ちなみに北米で現行の3モデル「300」「200」「タウン&カントリー」はそれぞれ旧型メルセデスEクラス、アルファロメオ・ジュリエッタ、そして世界初のミニバン「ボイジャー」をベースに作られていて、どれも由緒正しいクオリティを大切にしたモデルだと言えます。
「300」が使う旧メルセデスEクラスのシャシーは、メルセデス=クライスラーという過去にあった合併の遺産ですが、クライスラーはこのシャシーを大切に使い続け、ダッジのチャージャー(4ドア)、チャレンジャー(2ドア)、マグナム(ワゴン)で共用されています。これらのモデルは北米ビッグ3のフルサイズFR車シャシーでも断然の性能を誇ってきました。最近ではフォードがマスタング用にグローバル志向のドイツ車やレクサス/日産を意識したシャシーを新開発しましたし、GMもオペルにドイツ車風味の濃い足回りにこだわったシャシーを開発させて、現行のATSやCTSに使っているので、どれくらい性能に差があるかわかりにくくはなっていますが、間違いなく2008年頃まではアメ車で欧州車に対抗できるのはダッジ・チャージャー(チェレンジャー/マグナム)だけだったと思います。
あと2〜3年の内にはクライスラー300もフルモデルチェンジをするでしょうが、その時はおそらく、マセラティ・ギブリやアルファロメオ・ジュリアに使われるシャシーが採用されることになりそうです。旧型メルセデスのシャシーに大排気量NAエンジンが載った、ちょっと前までのAMGの魅力が新車で750万円で体感できるのも長くはないので・・・この機会に買ってみようかな。しかしこのサイズでは首都高走るのも楽じゃないかもしれません。「第三京浜を走って横浜でご飯を食べる為のクルマ」ってところでしょうか。
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