2017年2月21日火曜日

フィアット・パンダ(MC)・213万円 やっぱり輸入車買うなら本国生産!!

  フィアットといえばAセグのFIAT500が日本でもよく知られていますが、同じシャシーやユニットを使ってホンダ・フィットみたいにストイックに実用に振ったボデーを載せたクルマが「パンダ」です。1979年のデビューからかれこれ40年近くが経過していますが、なんとまだ3代目です。2004年にはフィットもまだ獲得したことがない世界COTYに輝いています(2代目)。

  ここ数年の日産(マーチ)や三菱(ミラージュ)の動きを見ていると、小型車の製造は人件費削減が見込める途上国に作るのがセオリー・・・だったはずですが、パソコンやテレビとは違って命の危険があるクルマの製造はそんな単純な話じゃないようです。経営コンサルタントの机上の議論に従って展開された三菱の海外生産も、なんら利益に貢献することはなく、スキャンダル1発であっさりと東証から「退場」という惨憺たる結果になりました。

  もちろん三菱が築いて来た栄光は素晴らしいです。三菱の技術供与が無ければヒュンダイ、PSA、BMW、メルセデスから中国、マレーシアなどのほぼ全てのメーカーの経営は詰んでいた可能性が高いです。フィアットも21世紀に入ってから三菱のライセンスエンジン(1.4Lマルチエアほか)を使うことで厳しい経営状況で開発費も軽減してきました。

  「Bセグ以下は日本製造ではペイしない」とか2010年頃には盛んに言われてました。中国のWTO加盟によって中国ビジネスが加速することを予測した上での妥当な見立てではあったのですが、頑なに中国生産車の導入に難色を示す日本市場・・・というよりは中国国内の需要の伸びに生産容量が追いつかないという事態に。その後のバブル気味な過剰投資の結果、日本やアメリカを軽く追い越し中国の生産台数は年間2500万台に迫っています(日本900万台、アメリカ1300万台)。

  そろそろ中国車が日本に入ってくる頃合いではあるんですけどね・・・。トヨタのエスティマやアルファードのエンジン(2.4L直4)や、某ドイツプレミアムメーカーの内装などはすでに中国工場を経由するようになっていますが、車体組み立ての中国車は・・・どうやら第一号の候補はメルセデスEクラスかキャデラックCTS/ATSのいずれかになりそうです。福野礼一郎さんの連載によると日本向け新型Eクラスの生産工場はシュツットガルト近郊のジンデルフィンゲンと北京のダイムラー工場とあります・・・おーこれはスクープか!?Eクラスは先代のロングホイールベースの開発拠点がすでに中国に移っているようなので北京工場が主力を担うようです。

  ドイツ車好きのみなさんは真っ赤な顔して否定したがりますが、昨今のドイツ車はそれこそワールドワイド過ぎて・・・どこで開発されてどこで生産されたかが、同一ブランドでもバラバラというケースが多いです。VWゴルフの開発はスペインの子会社セアトが主導していてドイツ車というよりスペイン車といった方がいいのかも(生産もスペイン語圏のメキシコだし)? Aクラスはポーランドから、X3はオーストリアから、GLCクラスはインドネシアから、X5はサウスカロライナ(アメリカ)から・・・。メルセデスでドイツ製が欲しかったらAMGしか無い!?(現行SLはドイツのみらしい)。Sクラスでもメキシコやベトナムで作ってるってさ・・・。

  しかし!!フィアットはドイツ車よりももっとブッ飛んでいます!!残念ながら日本に入ってくるのは全てイタリア製なんですけども、フィアット・パンダはなんと北朝鮮でもライセンス生産が行われている!!これには途上国生産が大好きなメルセデスもビックリですね・・・。さすがはかつて経営危機の時にリビアの独裁者カダフィに資金援助をしてもらったフィアット!!とんでもないコネクションを持ってます。核ミサイルだってライセンスで丁寧に作ってしまう北朝鮮製ですから、本国イタリア製よりも品質が良かったりするのかな!?(イタリア製より北朝鮮製の方が信頼できる!?)

  フィアットというメーカーは傘下にフェラーリ、マセラティ、アルファロメオ、ランチア、アバルトといったイタリアの小国家的ブランドをまとめ上げて「総代理店」のような役割を果たしています。とりあえず世界のクルマ好きの味方です。さらに近年ではアメリカビッグ3の一角であるクライスラーを傘下に収め巨大グループを形成しています。日本のフィアットのディーラーに行けば、アルファロメオからジープまで様々なブランドの正規輸入モデルが買えます。

  クライスラーといえば伝説のカーガイとして知られるリー=アイアコッカ(存命)が指揮を採っていたころにはランボルギーニを傘下に収め、リーが退任した後にはメルセデスとの合併劇もありました。現行のクライスラー300は日本にも正規導入されていますが、旧式のメルセデスシャシーをベースにしていてとても具合がいい!!んだとか・・・。なんか楽しい自動車グループですね。日本車の至宝ロードスターの存続にもフィアットの助力がありました。

  日本の都市部の住人にとっては「不要なぜいたく品」に過ぎない自動車にカネを使うのはあまり乗り気にならないです。それがどこの国で作られているかわからないブランドのクルマだったりすると尚更です。もうこれ以上に速くて、静かで、快適で・・・といった20世紀的な価値観を追求するのもちょっと疲れたな〜・・・。熊本県で地震が起こると、東京銀座の熊本県のアンテナショップは大盛況だったそうですが、これからは「エシカル消費」の時代なのかなー。応援したいブランドのクルマで気に入ったのがあれば買ってみようかな・・・。フィアット、スズキ、マツダ、スバル、ジャガーランドローバー・・・あとはやっぱりポルシェかな。

  



   ↓クルマの使い方・表現の仕方を完全に間違えている野蛮なオッサン達による
  残念なフィアット・パンダの評価も是非見てやってください。
 


2017年2月12日日曜日

プジョー3008 「幸せなカーライフが送れるクルマ!!」

 

  2016年にいよいよ日本市場に大挙して本国フランス市場で圧倒的なシェア(70%以上)を誇るディーゼルを投入してきたPSAグループ。ディーゼルのシェアがドイツ(55%)よりもはるかに高いということもあり、いろいろな意味でお騒がせなドイツメーカーとは違ってマツダに迫る静音設計と評判ですが、売れ行きはまだまだです。そもそもディーゼルに使われる軽油って凝固点がマイナス17度くらいなので、厳寒の地ドイツではあまり現実的な選択肢ではないとか(もちろん最新のディーゼル車はタンクに保温機能がありますから北海道でも使えるみたいです)。やはりディーゼルは温暖なイメージのあるフランスや広島のエンジン!!

  日本市場のPSAですが、プジョー、シトロエン、DSの3ブランド合わせてもせいぜい月販1000台というなかなか苦しい状況です(プジョーは善戦!?)。そんな厳しい局面を一気に打開してくれそうなモデルが、2016年3月のジュネーブ・モーターショーでデビューした新型プジョー3008でしょうか。先代はちょっと恍けたデザインでベース車(308)と見分けがつかなかったですけども、新型プラットフォーム投入の308をベースにした新型は徹底的に差別化を図っていて、単なるクロスオーバーモデルの枠を越えた「別の車種」が誕生しました。

  PSAが2013年に導入した新型モジュラープラットフォームの「EMP2」ですが、中型車の売れ行きが伸び悩むグループの事情もあってか、現状ではなかなか思うように採用車種が増えていません。後発のトヨタ「TNGA」は初採用の新型プリウスが発売されてまだ1年足らずですが、第2弾のC-HRに続いて近々北米でベストセラーになっているカムリにも投入するようです。一方で北米のようなホットで儲かる市場に進出していないプジョーでは全く方針が違うようで、フラッグシップであるプジョー508は旧型シャシーのまま放置されています。

  ただし「北米に進出していないメーカー」というのはそれだけでも日本のユーザーにとっては潜在的にかなり価値があるとも言えるかもしれません。例えばマツダは北米での販売比率は20%程度ですが、利益の50%以上を北米向けのCX9とCX5で稼いでいると言われています。利益率の高いクルマがまとまった台数で売れる唯一の市場=アメリカなんですけども、要は日本の道路を走るには無理がある車幅2m級の大型SUVの開発に経営資源の多くを奪われているのが、日本メーカー(スズキ以外)とドイツメーカーの現状です。マツダもスバルも日産もBMWもアウディもポルシェもボルボも「上質な走り」とか白々しく謳ってますが、頭の中は次の北米向け大型SUVでいっぱいなはずです(そこでしか生き残れない!!)。

  その弊害として上記の7ブランドから出される最近の日本向けモデルはいちいち疑問です。例えば搭載されるエンジンはどれもパッとしない。超ロングストロークで回らないトルク重視のカスみたいな直4ばかり。水平対抗のスバルまでEJとFA以外はロングストロークになる始末。完全にスポーティを意識したマツダのロードスター用1.5Lとポルシェの直4水平4のターボ以外はまともに上までスムーズに回らない・・・。音だけ仰々しいけど前に進まないモデル増えたな〜。

  その一方で乗る度に割と好印象なのが「非北米チーム」のスズキやPSAです。こっちはこっちで中国向けの小排気量ターボ化がエグいという意見もありますが、スズキは独自開発のマイルドHV、PSAは丁寧に尿素処理(SCR)を搭載したディーゼルがブランド全体に広がったことでそんなに気にならなくなりました。とりあえずマインドが「アメリカ・ファースト」になっていない両ブランドですから、小型車へもしっかりと愛情を注いでいる痕が随所に見られます(詳細はまた別の機会に)。車種も意外に豊富でスズキにはジムニーという「お宝」がありますし、同じくラダーフレームの本格SUVである旧型エスクードの販売も継続しています(これは元々アメリカ向けに開発されたが・・・)。

  本格SUVのスズキに対して、「なんちゃってSUV」を今回はアメリカマインドを排除して作り上げて来た(!?)のがプジョー3008です。このクラスの基準車(ベンチマーク)といえる日産エクストレイルは、現行モデルからほぼ同じ仕様&デザインのまま北米・欧州・中国・日本で同時発売されていますが、そんなエクストレイルを軽く2世代は古く感じさせるような斬新なデザインが3008の魅力です。特にフランス車らしくリアデザインに徹底して拘っているのがすばらしい(下の動画を参照してください!!)。動画のとなりに映るドイツ車VWの兄弟車を売るセアトは、旧型アウディのノックダウン販売(旧型プレミアムを大衆車価格で販売)で成長したブランドですけども、旧型アウディの面影が残るエクステリアと比べても断然に秀逸です(ドイツ車はどれもリアがダサい)。

  「リアがカッコいいフランス車・イタリア車」を所有するのは、幸せなカーライフを送るコツの一つだと思います。シトロエンC5、プジョー・クーペ407、アルファロメオ156/159/166が、今もなお日本車やドイツ車よりも圧倒的に優れているのが芸術的な「リアデザイン」です。日本車セダンで「ビジュアル系」と言われている現行アテンザ(GJ系)なんて、3世代のアテンザの中でリアデザインがもっともブサイクでツマラナイわけで、カッコいいと言っているヤツは一体何処を見てんだ!!って話です。

  マツダもフラッグシップに関してはもっと意識して作ってほしいですね。GJアテンザは整形して出直した方がいい!!(先代まではカッコ良かったのに!!) 新型CX5もリアがぶっさいくですよー!!!そういえばGJアテンザが2012年に発売された直後には、韓国のカーメディアに「リアは(ヒュンダイ)ソナタのパクリ!!」とまで言われてましたね・・・。それでもアウディA4/A6やBMW3er/5er/7erに比べればまだマシなレベルですけどね。いくらイタリア人の優秀なデザイナーを連れてきたところで、まともなデザインにならないドイツブランドみたいなマインドはさっさと捨てた方がいいと思うんですが・・・。

  一応プジョーには5008というフラッグシップのSUVがあるんですけども、北米から撤退している現状では全く売れる見込みが無いので、次期5008の開発は凍結されている模様で、今後は3008がプジョーのフラッグシップSUVを務めていく!!という意味での気合いの入ったエクステリアなんでしょうね。ちょっと惜しいなーと思ったのが、先代の3008に採用されていた上下分割型のリアゲートが、新型では廃止になったことです。レンジローバーの廉価モデルでは定番の装備で、SUVを選ぶ際には一つポイントになりそうな要素だと思うのですけど、不要と判断されてしまったようです。そんな3008ですが2017年2月に日本での販売を開始する予定とのことですが、ホームページでは3月まで先行見学会というスケジュールが・・・しかし導入は確実なようです。価格発表が待ち遠しいです!!


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2017年1月24日火曜日

VWティグアン 「ゴルフの時代は終わった。ニュースター誕生の予感」

  


  新大統領就任で自動車業界にも大きな変化が噂されるアメリカ市場ですが、新興EVメーカー・テスラの台頭などもあって、なかなか新規参入が難しいと言われる高級車市場において大きな変化が報じられています。特に衝撃的だったのが顧客満足度や品質などの調査機関が相次いで、これまでトップの常連だったメルセデス、レクサス、ポルシェに代わって、ヒュンダイが手掛ける新しいプレミアムブランド・ジェネシスをクラストップのポジションにある!!と評価し始めました。

  いよいよヒュンダイがメルセデスよりも優れたラグジュアリー・サルーンを作るようになったのかい!?・・・なんとも「末期的」な時代になりましたね。ストイックに上質さを追い求めたヒュンダイが素晴らしいのか?それとも「第一人者」の地位を守る努力を怠ったメルセデスが悪いのか?

  そもそも日本では韓国車の実力なんてわからないですけれども、昨年の上旬まで販売されていた唯一の韓国製造車であるシボレー・ソニックはなかなか多方面から絶賛されてましたね。とくにサスペンションエンジニアの國政次郎という人が書いた「営業バンが高速道路をぶっ飛ばせる理由」でも、シボレー・ソニックが日本の同クラス車(デミオ、スイフト、フィット、ヴィッツなど)よりも操縦安定性で優れているって書いてました。

  ヒュンダイ・キア・グループは2000年頃からあらゆる販売戦略(ホンディとか)を駆使してアメリカでのシェアを伸ばし、日本勢がリーマンショック&東日本大震災による大きな停滞の中でトヨタまでも赤字に沈むなかで、韓国国内の農業を犠牲にしてでもいち早く取り組んだ米韓FTAの発効という追い風を使って、ヒュンダイ・キア・グループは堂々の北米市場ビッグ7となりました。それから早くも5年以上が経つわけですから、トヨタやGMと同等の規模を持つメーカーとして、当然にレクサスやキャデラックを狙い撃ちできる次世代高級車を開発するのに十分な時間があったのだと思います

  そんなにいいクルマなら日本でも売ってみろ!!という気もしますけど、確かに現在の日本市場で売られている一連のラグジュアリー・セダンに新鮮さなんてこれっぽっちも感じないですし、ガソリン価格の高い日本でV8エンジン車を乗り回すなんてのもちょっと不健康ですし、代わりに使われ始めた直4ターボの安っぽい走りも、どーにかならないもんですかね!?さらにディーゼルなんてゲロゲロなくらいにウルサイですし・・・。メルセデスやBMWが危機感もなくあぐらをかいていた!!とは思いませんけども、テスラやジェネシスなどの新規参入をやや甘く見ていた部分はあったと思います。

  もっともメルセデスに関して言えば、彼らの使命はカンパニーカーを作ることなわけで、「エクゼクティブのためのプロボックス」を作っているわけですから、SクラスやEクラスに関しては、一般人がその仕様にあれこれ言うべきではないかもしれません。SやEの設計が目指しているのは、東証一部上場企業の役員が好むクルマ!!であってユーザーさえ満足すればそれでいい。間違っても「それ以外」の成金が手を出すクルマじゃない!?中小企業の社長さんは格に見合った「クラウン」を使うべき!?そして成功した投資家やユーチューバーはややダブついている「ガヤ」にでもお得に乗るべきじゃないですか(完全に余計なお世話だけど)。

  高級住宅街にお住まいの人々にとっては、メルセデスEクラスこそが「この街のカローラ」であって、とてもスタンダードな存在なんでしょうけども、700万円以上もする高級車ならば、さっさと直6ターボでスムーズに回るという新開発のエンジンを投入してほしいものですね。いっそのこと旧式のメルセデスシャシーを使った「クライスラー300」でも選んだ方が気分良く乗れそうな気がします・・・。

  ヒュンダイのジェネシスに遅れ(不覚)を取っただけでなく、新型Eクラスは高級セダンでありながら衝突安全基準(ユーロNCAP)で、VWの中型SUVに「格負け」するというとんでもない大失態も犯しています。これはもう言い訳できないスキャンダル!?やっぱり時代は確実に変わっているようです。そもそもアルミボデーってほんとに大丈夫なの!?

  そのEクラスを上回ったVWの新型SUVが、いよいよ日本にも投入された新型ティグアンなんですけども、いよいよ発表された日本価格は360万円〜となっています。最近ではSUVが乱発されているのでこの価格が適正なのか高いのか安いのかもよくわかりません。参考までにFF化されて直3ターボが載ったBMW・X1が397万円〜ですから、よくわかんないけど、まずまずの妥当な価格なんだと思います(どうせ値引きしてくれるよ)。なんといってもBMWのSUVとは違ってNEWティグアンは衝突安全性で素晴らしい結果を出しているわけですから、SUVを買うなら最有力候補でいいでしょう。BMWのSUVは北米NCAPで結構悲惨な結果が出てます(ここではドイツ車は大概ヒドいが)。

  最新(2016年12月)の国内SUV市場のトップ3は①ヴェゼル②C-HR③ハリアーだそうですが、コンパクトカーの代わりでしかない2台とラグジュアリーに振り過ぎなハリアーですから、ティグアンと比べてまともな結論が出せるモデルじゃないようです。おそらくは欧州でもすでに大ブレークしていて、どちらも年間40万台を軽くクリアしている、エクストレイル(欧州名キャッシュカイ)とCX5を狙い撃ちするVWの「重点戦略」モデルだと思われます。

  CX5があっという間にアクセラの台数を追い越し、マツダの利益率を劇的に改善したことは、世界の自動車メーカーにも波紋を広げているようです。あまり無責任なことは言いたくないですが、パサート、ゴルフ、ポロにこれ以上投資しても見返りはほとんどない!!大きなリターンがあるのは絶対的にSUVだ!! そんな事情が素人にも十分に分るほどに偏ったSUV人気に業界は賭けてます。その結果として日本メーカー各社やジャガーやベントレーなど欧州のラグジュアリーブランドまでが狂ったように暴走しちゃってますねー。なんだかなー。VWも当然ながら、限りあるリソースを新型ティグアンに一点投入するのが最も効率的な投資だと判断したようです。

  おそらく「日産とマツダの衝突安全基準に絶対に負けないクルマを作れ!!」という厳命があったんじゃないですかね!? とりあえず現行のゴルフはアクセラに、ポロはルーテシア(日産ルノー車台)に衝突安全基準では完敗してますけど、それは絶対的な技術力の差といった絶望的な話ではなく、メーカーが何にプライオリティを置いてクルマを作っているか?の結果として、素材選びや部品点数といった初歩的なレベルで差が生まれているように思います。実際のところボンネット開けて見ると、ゴルフやポロはなんだかスカスカしていて、いろいろとマテリアルの「省略」の痕が伺えます。もっともクルマを弄る人にとってはこれが都合がいいのかもしれません。これが欧州のクルマ文化ってヤツなのかも。

  とりあえず幸先良くエクストレイルやCX5を上回る安全性を、外部機関によって保証されたことは大きいですね。レーザー溶接のパイオニアにして、メルセデス、BMW、日産、マツダ、スバルなどに大きな衝撃を与えたVWの「基礎工学」のレベルの高さはある程度は実証されています。つまりこのメーカーが本気になって作れば「相当に良いクルマ」が出来るというコトです。ルノーの犬に成り下がったメルセデスと、トヨタに甘えるBMWの不甲斐なさが目に付きますが、メーカー規模を考えると、「マテリアル」に恵まれた日本勢に対抗できるドイツメーカーはVWだけなんですねー。マツダやスバルもそうですけども、立場が危うくなった直後にとんでもなく良いクルマが出て来る!!これが今回はVWにも当てはまるんじゃないでしょうか!?



  

  

2017年1月8日日曜日

スズキ・スイフト 「豪華なフルラインナップで何を目指す!?」



   年末のギリギリになってスイフトのフルモデルチェンジが発表されました。「稀代の名車」として間違いなく歴史に残る存在の先代スイフト(3代目)の退場は名残惜しい限りです。5年半で累計500万台をアメリカ・中国でほとんど数字を出していない中で達成したのはとても偉大な記録だと思います。1.6L自然吸気を積んだスイフト・スポーツはドイツの雑誌でもクラス最強のハンドリングマシンとして非常に高く評価されていました。

  そんな偉大な先代の後を受けての4代目に対しては否応無しに辛口になっちゃいますけども、報道に使われた写真からしてあまり見栄えがしないなー・・・。一目見て統一感を欠いている印象の雑味のあるデザインは、最近のスズキ車によく見られるデザイナーが「仕事し過ぎ」な難解路線ですが、今回はややピン惚けしていて、ちょっとケチを付けたくもなります。デミオやアクアの整い過ぎていて「つるつる」な感じが苦手な人には、かなり好意的に受け止められるのかもしれません。

  今回のフルモデルチェンジでは。一気にHVとガソリンターボが追加されて、これまでの「走り」一点突破なイメージからの脱却が意図されているようです。先に登場したインド製造のバレーノにも使われた、ガソリンターボ&ステップ6ATを配備した「巡航型」のRStは、これまでの日本生産車には無かった趣向です。VWポロなど欧州Bセグの典型的な設計を取り入れたといえばそれまでなんですけども、日本の自動車産業の中でもとりわけ「粋」を見せつけている「横置きステップAT」。このアイシンAW製ミッションのおかげでMINIもBMWも「いいクルマ感」が出てます。

  「そもそもスズキなんて眼中に無い!!」・・・ウチの年老いた母親もそんなこと言ってますけどねー。なんというか・・・バブルの価値観がまだまだ幅を利かせていますよー。マツダといえばロータリーで、GT-Rは500万円くらいで買えると思っているオッサン多いことに呆れますね。

  三代目スイフトは度々ブログで絶賛してきましたが、そのつどフランス車だかドイツ車だかに乗っているオッサンが勘違いコメントを残してくれるんですよね。そもそもスイフトの価値を理解できない人に、VWとかプジョーとか完全に「猫に小判」以外の何者でもないだろって思いますから、そういう人々は失礼ですが適当にあしらっています。そもそもスズキの価値が解って無いからVW、プジョー、MINIをわざわざ買うんでしょうけどね・・・。同じ日にクーパーSとスイスポを運転したことがありますが、贔屓眼とか無しでもまあスイスポの圧勝ですわ。遠隔操作しているようなクーパーSのアクセルフィールはとりあえず論外ではありますけど・・・。

  かつては高品質で知られた三菱やVWの威光は、今ではモラルの欠如した経営人にの手によって地に堕ちましたし、これからの時代はスバルだ!マツダだ!といった意味不明な声も聞かれますけども、スバルにEJを越えたエンジンはもう期待できないでしょうし、マツダにもMZRを越えるフィールのエンジンは二度と戻ってこない・・・。世間は一体何にワクワクしてんだろ?いいクルマが欲しい人にとってはかなり「末期的」な状況です。

  日本車のエンジンがやっぱり世界最高だ!!そう胸を張って言える数少ないエンジンの一つが、このスイフトに使われている1.2L直4自然吸気の「K12C」なのですが、新型になって車重840kgとトール屋根の軽自動車並みにまで軽量化されたMTモデルはどんな走りをするのでしょうか?欧州仕様のようにアシを固めると、ハネてトラクションに難有りとなる可能性もありそうですけどね。

  「速い・安い・旨い」って素晴らしいことだと思うんですけど、クルマに関しては「安い」を嫌う人々もまだまだ多いんですよね。そのくせマツダやホンダには「高過ぎる」とか言うくせに・・・。スイフトとスイスポが世界に訴えてきたコアが、4代目のスペックを見ると、さらに高いレベルへと深化しています。マツダがフィアットの支援によって仕上げたNDロードスターを開発する際に掲げた目標に近いくらいに「純化」されたロードゴーイングカーの理想型を、汎用Bセグで実現してしまっている!!と断言してもいいんじゃないでしょうか!?

  速い・安い・旨いのB級グルメ!!というのはスズキもかなり意識しているらしく、グレード&装備から伺えるスズキの隠れた主張は「スイフトはあくまでB級グルメなのでデートカーとしては使えません!!」。まあよくよく考えればその通りなんですけどねー。最新のスズキ車の売りといえば、運転席&助手席に装備されるシートヒーター。これは軽自動車にも標準装備されるくらいなので、スイフトにも当然に!!と思いきや、「巡航スペシャル」のRStを始め、NAエンジンで思う存分にMT走行が愉しめる「走り」のRSも、助手席ヒーターはカットされています。しかもオプションでも付かない徹底ぶり。デート用途ならイグニスかエスクードにしておけ!!ってことなんでしょうか!?

  助手席ヒーターが標準で付くのはAWDモデルのみで、NAエンジン車(XL)とHVに設定があるのですが、いずれもCVTのみの設定です。マイルドHVならばホンダCR-ZみたいなMTがあってもいいなーと思うんですけどね。クルマ好きがスイフトに注目するのは、愛着を持って使い込める3ペダルのグレードの存在だと思うんですけども、軽量ボデーを変速ショック無しで操つることができる、神業シフト職人なんてもはや昔の話で、エンストすれすれでドタバタ走る若造に、助手席シートヒーターなんて永遠に不要だ!!ってことなんでしょうね(笑)。

  国内のライバル車といえばマツダ・デミオになるでしょうけども、後輪ディスクブレーキ装備のグレードが一気に増えて、最廉価のXG以外は全てディスクです。ここがデミオに対しての最大のアドバンテージでしょうか。情熱の赤にワンモーションで描けそうなイタリア車的なコミカルさを持つデミオに対して、キャビンスペースの存在感が際立つスイフトはフランス車的なデザイン路線を継続しています。傑作デザインとの呼び声も高いイグニスの後を受けてどんなスイフトになるのか?と思いましたが、予想以上に「普通」「キープコンセプト」でしたね。

  あれこれと好き勝手に書きましたけども、なんだかんだ言って新型スイフトにはスズキの「日本市場を背負って立つ!!」という深い自負を感じます。スズキ以外の全ての日本メーカーがBセグの本質から大きく逸脱したクルマを作って、徹底したセルフプロモーションで売り出している歪な状況を、スズキが変えてみせる!!という意志表示に思えます。見た目で得している(選ばれている)デミオやアクアは、Bセグにディーゼルやフルハイブリッドを無理やり持ち込むことで、意図的に話題性での勝負に持ち込んでいて、トヨタもマツダもそれを承知で「速い・安い・旨い」よりも「希少性・付加価値」を追求した完全なアウトローなBセグですし、ノートe-POWERもその路線をそのまま踏襲して日産が作ったシロモノです。

  そしてそれ以外の国産Bセグであるマーチ、ヴィッツ、パッソ、ミラージュは日本よりも日本メーカー車占有率が高いと言われるASEAN基準で作られた低コスト車です。もちろん日本の交通インフラを支える大切なモデルなんですけども、残念なことにそういった社会常識が全く身に付いていない一部の自動車ライターや輸入車好きな人々に、日本車を批判する格好の材料を与えています(マーチ、ヴィッツ、パッソ、ミラージュを批判する輩はクズ!!)。そしてホンダ・フィットに関してはアクアへの対抗意識によってその立ち位置を大きく左右され個性を失ってしまった「悲劇のクルマ」ですね、次世代はおそらくギミック満載のカルトカーとなって我々を驚かせてくれるのでは?

  意味不明にハイスペックなモデルもあれば、日本やASEANの草の根レベルの生活を支えるリーズナブルなモデルもある・・・そしてその立ち位置があまりにも極端になり過ぎてしまった結果、欧州のWRCで盛り上がる「標準的」なBセグに対抗するクルマがスイフト以外になくなってしまいました。WRC参戦が決まっているトヨタが今後は欧州戦略モデルをTNGAで作ってくる可能性もありますが、それまではこの4代目スイフトが、VWポロ、プジョー208、ルノー・ルーテシア、シトロエンC3、MINI、DS3といった欧州のボリュームゾーンに位置するモデル群を相手にたった1台で対峙することになりそうです。


スイフトを絶賛したら欧州Bセグ乗りが次々出て来た記事へのリンク

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2016年12月24日土曜日

レクサスLC 「欲望のど真ん中を捉えたか!?」

  本格的なラグジュアリークーペのレクサスLCが2017年に発売される見通しだそうです。日本ではこのクルマに一体誰が乗るんだろう?芸能人のGacktみたいに身だしなみがよく行き届いていて隙がない風貌をした優男セレブですかね。ただしジキルとハイドな性格の持ち主で、専らエスコートカーを操る昼の顔とは違って、夜更けの名古屋高速をまるで「唯我独尊」・・・。フェラーリ・カルフォルニアTにもE63AMGにも決して格負けしない「オーセンティック」なオーラで駆け抜けそうだな、追い越したクルマにエグいリアデザインを見せつけながら。いよいよ日本車も「禁断の領域」に入ってきましたねー。(なんだかとっても名古屋っぽいクルマだなー)

  これまで日本車ってのは、コンパクトカー、ミニバン、SUVそれからスポーツカーもほぼ「日本流」と言っていいくらいにオリジナリティを持ってました(否定する人も結構いるけど)。アクア、ノート、フィットの素晴らしいパッケージは日本だからこそ作れた(こうなった)!!どこを検分しても自然な日本的な趣味が溢れてます。アルファードもヴォクシーも日本の環境でどれだけ快適なクルマがつくれるか?と追求してきたトヨタのマーケティングの「結晶」。あれだけデカくても女性でも無理なく運転できるのは素晴らしい!!

  あとSUVですが、オートックワンでコラム書いている桃田健司というライターが、SUVの起源は1990年代初頭のクロカンブームだと、なんだか「ルーツ」を無視したテキトーなこと書いてますけど、本格クロカンが使うラダーフレームをさっさとやめて、普通車用シャシーを使って良くも悪くもマイルドで違和感なく乗れるSUVを作ったのは、初代ハリアーのトヨタが最初じゃないですかね。専門家ならば本格クロカンとSUVは分けて説明しなさい!!パジェロとアウトランダーは全くの別物じゃないですか!!(どちらも素晴らしいけど)

  ちょっと話が込み入ってきましたけど、結局のところ海外市場で高く評価される日本車ってのは高いレベルの日本式「オリジナリティ」が備わっています!!ジープの前身の「ウィリス」というブランドからライセンスを採って自衛隊車両を作っていた三菱重工(まだ分離前)が、それをベースにパジェロ(ラダーフレーム)を市販しましたが、その三菱が作った「日本流」であるアウトランダー(モノコックフレーム)が、今度はジープ・コンパスとしてライセンス採用されました!!これが日本の自動車産業の実力なんですけど、ほとんどの自動車ライターはこの事実を黙殺するんですよね・・・だから読んでてちょっとシラケる。

  それに比べてこのレクサスLCは、自動車ライターの皆様が口を揃えて仰るように、全くの輸入車用のフォーマットに乗っかってトヨタが作り上げた「異端児」です。同じようなクルマは10年近く前から作られていて、日産GT-R、ホンダNSX(2代目)に続く「海外の自動車文化」のど真ん中で日本メーカーの技術力と創造性だけがどれだけ通用するのか(海外のユーザーを納得させるのか)?がシビアに試される存在だと思います。とりあえず日本にはこれまで用がなかったクルマ!?

  35GT-Rを開発した水野さんは、国内外のGT-Rへの批判に対して、「彼らが無知な田舎者なだけ!!」と強硬な姿勢をとってまで自身の主張を推し進めました(本人の著書による)。極限の速さを追求したGT-Rに対して、レクサスLCは一定の社会的ステータスを追求するクルマ!?くらいにしか説明できないです。「速さ」以外の点でユーザーの欲望に火をつけるクルマ。こんなこと言っては失礼ですが、トヨタの社長から担当の役員や主査まで、徹底的に頭で「モテたい!!」みたいな散々にイヤらしいことを考えて作ったクルマなんですけど、出来上がってみたらあんまりエロくない。どうやら開発担当者の中に変態はいなかったようです。

  この手のクルマから想像するのは「マセラティ・グランツーリズモ」「BMW6er」「ジャガーXK」それからアストンマーティンで唯一の1000万円台となっている「V8ヴァンテージ」。どれも発売時からしばしば自動車雑誌でも取り上げられる「華」のあるモデルですけども、日本でバカ売れしたという話は聞いていません。・・・というかほとんど売れてないんじゃないの?価格帯は1500万円くらいですからまさにレクサスLCと同じ価格帯で、スペック面でもV8搭載モデルばかりだし、この4台のデザインはどれも完成度高かったですけど、日本市場には必要なかったんですよね・・・。

  レクサス(トヨタ)の狙いは、やはり英国のアストンマーティンですかね。近年では日産出身のアンディ=パーマー氏がCEOに就任して、AMGのV8ターボの供給が決まるなど、メルセデス・ルノー日産(三菱)連合に取り込まれた感がありますから、このブランドの新型車(DB11)がライバルグループの広告塔として世界の主な市場で跋扈するのを、レクサスLCで防ぎたい狙いがあるようです。とあるレビュー動画で、清水和夫氏が「DB11より1000万円安いならとっても魅力的ですね〜」と口を滑らせていましたが、トヨタ関係者が清水氏に開発事情を軽くリークして、あのオッサンは覚えたまま喋ったんでしょうね・・・それとも台本か?

  さっき読んだWEB記事で渡辺敏史さんのレビューでもレクサスLCの比較対象としてアストンマーティンを挙げていたので、何やらトヨタが裏で指示しているのかもしれません。もしトヨタが本気でこのクルマを売る気ならば・・・映画とコラボしたらどうですかね。・・・といってもLCみたいなクルマが出てくくなんて「007」じゃなかったらどんな映画なんだろー。ボンドカーといえばアストンマーティンですけども、突然にレクサスLCがボンドカーになったらビックリなんですけどねー・・・イギリス人が怒りますきっと。





  

  

  

2016年12月13日火曜日

トヨタ・マークX Dセグの珍車が8年目に脚光を浴びる!?

  トヨタ・マークXが何やら新展開を迎えています。プレミオ/アリオンに引き続き、突然のアナウンスとともに、大胆なフェイスリフトが行われました。あまりの変貌ぶりに前の顔の面影はほとんど無くなりましたね。しかも最近のトヨタに有りがちなアバンギャルド顔でもなく、とてもナチュラルな仕上がりで好印象です。

  現行モデルは2009年デビューの2代目ですが、不幸にもリーマンショックの嵐の中での船出となり、さらに東日本大震災の混乱に見舞われて全く脚光を浴びることなくモデルの前半を過ごしました。あまりの不調に2012年頃には「次のマークXはFF化してカムリと兄弟車になる」という怪情報すら流れていましたっけ。特にベストカーは堂々と「次のマークXはFFで1.4Lターボを搭載する」みたいな情報をどうやら意図的に流していました。K沢やI川やらどっかのメーカーの工作員が執筆陣として複数入り込んでいますから、普段からやたらとガセネタが多い雑誌ではありますけど。もしかしたら当時はトヨタの幹部もそう考えていたのかもしれませんが・・・。

  初代マークXでも同じことがいえますが、デビューからしばらくの2代目マークXは、このクルマの独特の立ち位置のせいもあって、実際に乗ってみても大きく訴えてくるものが無かったのも事実です。初代がデビューした2004年頃には、ミニバンやSUVに圧されて日本メーカーのDセグセダンはすでに日本市場には居場所がありませんでした。当然のことながらV35スカイラインもGGアテンザも最初からグローバルカー市場で頂点を目指す!!という方針のもと設計されました。

  トヨタはいち早くアルテッツァ(1998年デビュー・レクサスIS)を海外市場向けに送り込んでおり、その後に企画されたマークXは国内専売モデルとして、「走り」よりも「居住性」などの日本的な価値観に基づいて設計されていました。開発年度が違うということもあってか、アルテッツァとマークXを兄弟車にするという発想はなかったようで、直6・直4のアルテッツァに対して静粛性重視のV6を使うマークXという明確に違う立ち位置でした。

  アルテッツァは英国カーメディアにも「打倒E46を掲げる日本からの刺客」と破格の好評価で迎えられました。1998年当時に欧州市場で最もブランド力を持っていた日本のセダンは、欧州向けホンダ・アコードで、規格外のVテックによる戦闘力はアルファロメオやアウディの技術者魂に火を着けたと言われています。アルテッツァの襲来に続いて、日産が欧州にもその名を轟かしていた伝説のスカイラインGT-R(R34)がイギリスでの正規販売を開始し、2002年には初代アテンザが欧州で破格の大ヒットを遂げました。

  欧州で俄に高まった「日本VS欧州連合」によるDセグ対決ですが、元々は1990年にバブル期の過剰投資そのままに水野和敏氏(主査)&前澤義雄氏(デザイン)の超強力タッグによって作られたP10プリメーラが、BMW、プジョー、アルファロメオなどの欧州GTカーブランドに大恥をかかせるような大ブレークをしたことから始まります。その後に欧州の威信を賭けてBMW3erの歴代最高傑作として名高い「E46」や、映画「TAXI」でも大活躍のプジョー史上最高の「406」そしてアルファロメオ史上最高の「アルファ156」など、デザインも走りも極限まで洗練されたDセグが対抗モデルとして作られます。

  世界の多くのブランドでDセグが圧倒的に高性能なのは・・・水野さんのおかげなんですね。ただしマークXに関しては全くその流れには乗っておらず、国内専売のまま無菌状態で「培養」されてきました。この開発の過程がクルマ好きからマークXが全く相手にされない決定的な理由なのだと思います。しかし時代は流れてDセグセダンのトレンドは「スポーティ」から「エコ&ラグジュアリー」へと180度変わります。

  ホンダは欧州向けアコードおよび「ユーロR」を廃止し、アキュラ向けの北米ラグジュアリー路線へとシフトさせボデーサイズはEセグ並みに拡大しています。北米の雄ホンダに追従するようにアテンザやスカイラインもボデーが拡大する傾向にありハンドリングのキレはかつての「スポーティ」セダンのような凄みは無くなりました(デカ過ぎ)。そして欧州勢も同様にBMW3erはE46⇒E90⇒F30とメタボの一途を辿り、プジョーも406⇒407⇒508の変遷の中で存在感が一気に無くなってしまいました。もうそっとしておくしかないですね・・・。

  その後も陽の目を見ることもないままに販売が継続されていたマークXですが、8年目にして大胆なフェイスリフトが行われました。このままモデル廃止かと思われましたが、トヨタの優秀なマーケティング部門はこのクルマにまだまだ可能性が残されていると判断したようです。BMWもマツダも新型シャシーを投入した現行モデルでの評判が芳しくない。たまたま「水野さんのトレンド」に乗っかってE46もGGアテンザも売れたけど、現行のF30やGJアテンザは完全に「道」を見失っている。今がチャンス!!といったところでしょうか。

  「BMW318i (409万円)」「アテンザXD・Lパケ (377万円)」「マークX350RDS (385万円)」のステップAT使用の3台を比べると、レザーシートが標準装備でサイズも一回り大きくてキャビンスペースも広々していて、さらに燃費もいいアテンザが最もお買い得に見えます。一方でBMWの売りは最小ボデー&1400kg台の軽量による取り回しの良さ、後席に十分に座れるレイアウトの巧みさ、それから「BMWですよ!!」と主張できるステータス性。これはこれでツボをしっかりと抑えた商品性を持ってますね。そしてマークXは318psの圧倒的な性能と、エンジン起因の静粛性の高さ。BMWやマツダには無い豊富なオプション&パーツ。

  実際に「マークX350RSD」で欲しいオプションを遠慮なく選んで見積もってみたら支払い総額は487万円になりました。レザーシート、ムーンルーフはもちろんで、さらに6wayのサウンドシステム。ウエイティングランプとLED華飾ランプと特別な室内灯。ナビ&リアビューカメラ、ドラレコにETC。さらにトヨタのスゴいところは、フロントシートの背もたれを後ろに倒すとフラットな空間ができる「車内泊」仕様。この装備に関してはトヨタらしいユーザーをよく研究したマーケティングだなーと感心しますね(具体的な使い道には言及しませんけど)。

  いまどき3.5LのV6でハイオク7km/L程度の燃費ではお話にならない!!のはその通りなんですけども、多くの日本市場のセダンがHV化やディーゼル化へ一気に動いてしまった結果、立派な体躯に見合わないほどラゲッジが狭かったり、CVT化によるセダンらしからぬヌルいフィールだったり、ディーゼル音による高級セダンイメージの崩壊など、混乱を極めているといってもいいかもしれません。やっぱり高級車なら6気筒の自然吸気だろ!!と再び回帰を考えるユーザーの前に提示されている価格は日産&レクサス700万円〜、BMW&メルセデス800万円〜という全く売る気がないような設定・・・。

  そんな中でオプション満載でも乗り出し500万円以下で済む3.5L自然吸気のセダンってとても貴重な存在だと思うんですよ。ちょっと前にG'sモデルが発売になるなど、トヨタが考えるスポーティセダンとして新たな商品価値が付加されて、8年目にしてさらに進化しようとしている2代目マークX。高級セダンのFR機構としては断トツで世界最高の静粛性を誇るトヨタの「本質」が手軽な価格で味わえるのも素晴らしいです。レクサスやクラウンで使われる8ATではなくて、スポーティに振った6ATを使い続けるところも好意的に受け止めたいです。覚悟がある方にはぜひオススメしたいクルマです。




2016年12月7日水曜日

BMW318i 409万円!!日本メーカーを挑発!?

  BMWから「318i」というだいぶお手軽な3シリーズが登場しました。本国では以前から発売されていたようですが、BMWのボトムを担う1.5L直列3気筒ターボ(138ps)が搭載されています。価格はいよいよ400万円ジャストまで下げられました。いざ買うとなれば諸費用込みで400万円ジャストくらいにはなりそうです。残価設定が5年で40%だとして、残りは240万円。頭金は150万円もあれば、月々の支払いは2万円程度。ボーナス払いを使えば1万円台です。いよいよ「ぼくらのBMW時代」が到来したようです。(保険とガソリンと駐車場で合計で少なくとも月に3万円は維持費がかかるけど)

  これまでも1シリーズというハッチバックのモデルが300万円を切る価格で設定されていましたけど、やっぱりBMWといったら3BOXスタイル(ボンネットとトランクが付いたセダンタイプ)じゃないとイマイチ気合いが入らない!!マツダ・アテンザやホンダ・アコードがディーゼルやらハイブリッドやらを配して本体価格400万円を越えている時代ですから、それを考えると318iという選択肢も決して安くはないけど悪くはないなー。そもそも3erは従来からアコードやアテンザよりも日本で売れていたわけですけども、BMWはもっと売りたいみたいです。

  現行3シリーズのF30系は2012年のデビューとともにディーゼルを日本に投入して、クリーンディーゼルを日本でも普及させた大きな功績があります。もしBMWが動かなかったとしたら、マツダが大々的に直4ターボを売り出しても、日本での成功は全くおぼつかなかったでしょう。BMWのネームバリューがあったから、ディーゼルエンジンに対して好意的なレビューや意見が多かったのは間違いないです。

  それでもF30系自体はいよいよ3シリーズを安定志向にさらに推し進めたこともあって「BMWを買う意義」という点ではやや魅力が乏しかったのも事実です。正直言って500万円という価格に見合った価値は微妙なところです。もちろんニーズは人それぞれであり、バランスのとれたプライベートサルーンが欲しければ、後席スペースもやや広くなったF30系は「ジャスト」ではありますし、国産車にそれを巧く互換するモデルが少なくなったのも確かです。スカイラインの2Lターボはあまり国産車としての割安感が無いですし・・・。

  そんな3erの使い勝手の良さを残しつつ、ダウンサイジングで手頃な価格設定になった318iは、単純にユーザーに選択肢を与えるという意味以上の意義があるんじゃないか?ってのが本稿の主題なんですけども、さてさて安くなって、とりあえずBMWにやって来る客は増えるでしょう。都市部でクルマを使うってなんだかセレブな感じですけども、今後は都内で女性が乗るBMWの主流になっていく可能性が高いです。ゆえに着実に売り上げは伸びると思われます。

  ライバルとなるCクラス(1.6Lターボで436万円)やアウディA4(1.4Lターボで447万円)よりも318i(409万円)が選ばれる理由は?と言われるとどれもこれも的外れな気がしてしまいます。この3台なら運転して楽しいのはBMWでほぼ間違いないですし、シートなどもなんだかんだでBMWの品質が最も安定していたりします。でもそんなことは全部すっ飛ばしてもやっぱり日本では「キャラ」で決まるんですね。「ビーエム」って名前がとにかくカッコいい!!その語感の良さだけでずっと売れてきたわけですから・・・。「アルファロメオ」や「ロレックス」と同じ。まずは性能よりも名前が大事です。名前さえかっこ良ければファンが勝手に性能を「水増し」してくれます。・・・コレが318iが売れるもっともらしい理由です(笑)。

  Dセグセダンの国内市場はハッキリ言ってドイツ勢と日本勢によって独占されていて、ボルボやキャデラック、プジョー、ジャガーは今のところまったく取り付くことができていません。エンジンスペックを下げたり、ディーゼル化で効率重視に舵を取るドイツ勢とマツダに対して、ハイブリッドによる力技で技術を誇示する日本勢という構図です。それぞれに結果は出ているようですが、お互いに相手を圧倒するには至っていない「決定力不足」が続いています。

  販売台数からみるとCクラス、3erが毎月1000台以上のペースで売れていて、どうやらこのクラスのトレンドはDセグの車格と取り扱いを重視したサイズ(全長4700mm程度)が人気というか、ニーズがあるようです。トヨタもそれを見越して10年目の2代目マークXにフェイスリフトを施してきました。しかし搭載エンジンは15年以上前の設計の2種類のV6だけって・・・。ハイブリッドもターボも採用しない代わりに価格を抑えています!!ってことなんでしょうけども、Dセグセダンとはいえ9km/L程度がせいぜいでは「半額でもいらねー」という人もいるかも。

  ドイツ勢がなんで今になって、さらなるダウンサイジングを推し進めてきたか?というと、これは本国や日本での拡販だけを狙っているわけではなくて、成長著しい新興国市場での需要を取り込むために、あくまでプレミアムカーとしてですが、勝負できるパッケージを目指したと言えます。見方によっては「プレミアムの安売り」なのかもしれませんが、ホンダがアコードに1.5Lターボを使ったり、マツダがアテンザに1.5Lディーゼルを使ったからといって、このドイツプレミアム・スリーの新たな戦略にはもはや対抗出来るとは思わないです。

  アメリカ市場の発注通りに大型化したサイズでクルマを作っているホンダやマツダに対して、ドイツ勢は「ドイツ的な考え」からはじき出されたサイズを頑なに守っています。マークXという10年の生き残りが証明していますが、日本のセダンは「日本のスタンス」を保持することを比較的最近に止めました。アコードもアテンザも先代までは日本用とアメリカ用の2サイズが存在しましたが、なんと日本用の方を廃止してしまいました。これでは日本で支持を失うのも仕方ないことです。

  BMWとマツダを比べると、「妄想ですか?」とか言ってくるビーエム好きがたまにいます。確かに語感では勝負にならないかもしれないですが、クルマの質なら良い勝負です。しかし改めて3シリーズとアテンザを比べると、あくまで「ドイツ的」なクルマ作りに徹して「サイズ」も「エンジン」もデザインされているBMWに対して、ボデーは「アメリカ&中国向け」でエンジンは「欧州向け」でバラバラのマツダはやっぱりクルマの印象がぼやけます。「ドイツ的流儀」を貫いてさらに価格も400万円とマツダの価格帯に近づいてきました・・・やや今更な感じがありますが、マツダやホンダには「318iに対する返答」をぜひ期待したいものです。





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