VWゴルフのFMCはかなり話題性がありましたが、その兄弟車に当たる新型アウディA3の日本上陸はなかなか地味でちょっと拍子抜けするほどでした。ゴルフと同じく先代モデルとまったく変わらない見た目は、「アウディ」というプレミアムブランドの量販車としてのデザイン面でのユーザーへの責任義務を果たせているのか?という根本的な疑問が思わず湧いてしまいました。
アウディA3はVWの開発部門が設計を担当していて、まさにゴルフと共通設計の上級版モデルなのですが、ゴルフも5代目以降(現行は7代目)から高級路線へシフトしているので、ゴルフとA3の差別化がこれまでも十分に図れていないという指摘もありました。ただ欧州でのクルマの基準は日本よりも「感覚」に依存する部分が大きいようなので、ゴルフとはテイストが違うのA3の存在は日本よりも意義深いものであると思います。
まったく同じ設計と言えるゴルフではなく敢えてアウディA3を選ぶ理由は、アウディのブランドイメージが醸し出すものだったりするのでしょう。しかし新型ゴルフには今回ナビが対応しないので「外付けナビ」になるというかなり致命的な欠陥があり、新型A3は装備されたポップアップ型モニターに日本初のwi-fi機能を搭載されているということもあり、ゴルフの弱点であるナビは完全に解消されて発売するようです。
このナビの設置に関しては、実際のところかなりA3を選ぶ誘因になると思われます。しかしここでVWは巧みな商品ラインナップで購入者を待ち構えています。アウディA3のボトムモデルは308万円の1.4Lターボ(122ps)のグレードになるのですが、1.4という数字に惑わされますがゴルフハイライン(299万円)の1.4L(140ps)とはまったく別のエンジンを搭載しています。
ナビを外付けする必要はなく標準のモニターで使えて、さらに同じエンジン(1.4Lターボ)と足回り(後輪マルチリンク)を使っていて、VWとアウディが9万円しか違わないなんてことは常識で考えてあり得ないことで、当然ながら使われているエンジンは全くの別物です。新型ゴルフハイラインに使われるようになった1.4Lターボは気筒休止機構付きで、燃費の改善に貢献しているのですが、これと同じ新しいエコエンジンを積むアウディA3は347万円まで跳ね上がります。さらにゴルフはディーラーが格安の外付けをサービスしてくれるようですが、アウディA3の自慢のwi-fiナビは3年分の通信料が付いて30万円なのだとか。よって最終的な価格差は70~80万円に達する見込みです(もちろんA3が高いです)。
A3の販売戦略としては、ゴルフハイラインと同じ最先端の燃費効率を誇る1.4Lターボを中間(347万円)に設定し、先代と同じエンジンを引き継いだベース(308万円)で十分に裾野を広げて、ゴルフとの兼ね合いに置ける選択肢を増やし、最後にゴルフに設定されていない1.8Lターボクワトロ(AWD)をアウディらしい上級モデルとしつつ393万円に設定されています。先代の2.0Lクワトロが463万円ですから70万円!の大幅値下げです。
それにしてもなんとも効率いい3グレードだなと感心してしまいます。とくに1.8Lターボクワトロ(393万円)は、メルセデスA250の420万円という設定を見事に読み切った完全なる戦略勝ちと言えるかもしれません。ほかにもレクサスCTという強力なライバルがいますが、このクラス(プレミアムCセグ)にこの価格でAWDを持ってくることを評価する人も多いと思います。この値段のハッチバックがバカ売れするほどのイメージはまだまだ日本市場にはないのですが・・・。
ゴルフやライバル車の中でなかなか個性が打ち出しにくそうですが、アウディA3としてはナビやAWDでどれだけ需要が掘り起こせるかがカギになりそうです。さらに年末頃には話題沸騰のA3セダンが日本に上陸すると言われています。日本市場ではデザインさえ高いレベルにあれば、高級車ほど3BOXの方が火が付きやすかったりするので、こちらにも今後注目していきたいですね。
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