VW・ザ・ビートルターボ 「日本車にはない◯◯」

  どうしても捨てきれないクルマへの先入観というのは誰にでも多少はあると思います。特に小型車への「偏見」というのは根深いものがあって、あまり語らないようにはしていました。それが最近になってデカいクルマというのも大して褒められたものじゃないなという思いが湧いてきて、「いいクルマ」ってなんだろうと自問自答の日々を悶々と過ごすうちに、思いついた結論が「やりたいことがやれるクルマ」。

  東京に住んでいるとなんとなく選んでしまうのが、やや大きめのクルマです。まあ主な用途が行楽・デートですから、簡素なスポーツカーでは役不足すぎなんですよね。しかも休日の日中にでも出掛けようものなら、ストレス満載の渋滞に見舞われます。小排気量やダウンサイジングターボの小型車だと出足だけでイライラしてしまうのでもう最悪です。あと車内に缶詰にされるので、居住空間が確保されていてシートがゆったりしていて、周囲の騒音が入ってこない高い防音性が何よりも有り難く感じます。


  まあとにかく全てがマッドネスなんですね。いくら快適でもさすがに時間がもったいないので、休日ドライブはもっぱら早朝or深夜を好むようになりますし、日中の東京湾アクアラインなんて通行料のムダでしかない混みっぷりにウンザリします。走るところも山間部が圧倒的に多くなりました。そうなるとまあ絶対に「大きめのクルマ」じゃなくても良い事に気がつきます。それに人里離れた山間部にデカいセダンで乗り込むのもなんだか不粋な気が・・・。新型アテンザとか新型スカイラインとかやたらと大きくて気が引けます。

  かといって日本車のCセグは・・・ちょっと大衆車であることを意識し過ぎていて、所有する楽しみだとか、クルマとしての「荒々しさ」みたいな魅力がやや希薄です。WRX STIやMSアクセラはなんだかスポーツ的な「ガチ」感と色気の無さが致命的・・・。もちろん何かと話題の欧州Cセグなんかもっと最悪でお金のムダとしか思わないです。まあ全部のクルマに乗ったわけではありませんが、日本の都市のマッドネスにやられた「心」の隙間を埋めてくれるクルマは案外少ないものです。

  前置きが長〜くなってしまいましが、「クルマとしての存在感」「満足できるスペック」そしてなにより「ドライブを楽しめる」これらを満たしたクルマの1つとして浮上するのが、VWが去年の終わりに発売した「ザ・ビートル・ターボ」です。やはり「満足できるスペック」をしっかり満たすならば、レヴォーグの1.6Lターボなどよりも、ゴルフGTIから移植された2.0Lターボです。なんだかんだ言ってもVWのユニットでクルマ文化が成熟した市場の全てで納得の評価を得ているのは、このエンジンとそれ以上の排気量のものなんですよね。

  平坦路を無限ループするだけのクルマならば、どんなエンジン積んでてもいいと思うのですけど、やはりクルマで大きく行動半径を拡げたい人にとっては2Lというのは譲れないライン。いままでこのザ・ビートルの2ドアの個性的なボディに興味があってもエンジンが・・・という淋しい結末だったワケですが、VWが「遊び心」でこのクルマを作ってくれたことに1人のクルマ好きとして素直に「感激」します。ちょっと乱暴な言い方すると、このクルマ見て何も感じない人はちょっとオカシイのでは?

  ゴルフGTIよりも軽いボディにそのままエンジンを載っけてしまう「遊び心」。近頃の欧州ではGTRのエンジンを載せた〇〇というのが次々に登場しているようですが、1000万円こえちゃったら「遊び」感覚じゃ乗れないです。GTIよりも安い価格に抑えるところが「肝」ですね。アクセラXDもこれと同じかと思いましたが、「セット商法」で単価を無理矢理引き上げるところがイマイチでした。日本メーカーにはそもそも「趣味性の高い」エンジンが多くありませんし、新型スカイラインのHVをシルフィに積んでも何も面白くないですよね・・・。そういう見方をしていけば、このザ・ビートル・ターボはとても価値のある存在と言えるでしょう。



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