いつの間にやら街中はマツダCX5がやたらと目に付くようになりました。2年連続でSUV売上ナンバー1ですから多いのは当たり前なんですが、CX5発売前にはマツダのSUVなどほとんど見かけることは無かったことを考えると、これまでの実績など無関係にウケれば何でも売れてしまう時代みたいです。ブランドによって車格やボディタイプが暗黙のうちに決められた時代は終わり、いまではどこのメーカーがどのジャンルでクルマを作っても受け入れられるのかもしれません。
メルセデスが新たに発売する小型SUVのGLAも、従来のメルセデスのイメージとは大きく異なるモデルになっていて、その売れ行きは一体どうなるのでしょうか? GLAの元となったAクラスは賛否両論が渦巻く中で、若い世代へのアピールが足りないと言われていたブランドのバランスを取り戻すカンフル剤になったと言えるほど、欧州と日本では発売直後の好感触があったようです。しかしこのAクラスはなかなか曲者で、試乗車に使われた初期モデルと同じ2013年の後期モデルではアナウンス無しで仕様が変更され、高級車調に見せる演出の幾つかが削られています(例えば後席の乗り込み口に設置されていたアルミ製ステッププレートが無くなっている)。
Aクラスがすぐに売れた要因は、BMWやアウディがすでにCセグHBを発売していることで、メルセデスもそれに追従することがユーザーには特に違和感は無く受け入れられたのだと思われます。しかし本来はメルセデスを追いかけてプレミアムブランドへと舵を切ったはずのBMWやアウディを、逆にメルセデスが追いかける立場になったわけです。直後にCLAクラスも発売し、単なる追従ではなくメルセデスの独自路線だというイメージも発信することで、メルセデスが万策尽きてライバルをパクったという批判は逃れているようですが・・・。
CLAクラスはもはやメルセデスの「アイデンティティ」の一部となりつつある4ドアクーペ。CLSを発売して10年が経過しブームが一段落し、その優雅さからメルセデスの古典的スタイルの仲間入りを果たしたタイミングを待ってのCLAのリリースはとても巧妙です。BMWやアウディにはないタイプなので「メルセデスを買う!」と強く意識させることができるところがこのクルマの強みです。メルセデスへの憧れが強い人ほど、このCLAへ気持ちが傾くみたいです。
そして今度発売される小型SUV版のGLAは、これまたHBのAクラスと同じでBMWやアウディの後追いモデルになります。BMWとアウディが仁義無きアピール合戦を繰り広げていて、「FRベースAWDの”X1Xドライブ”はFFベースと違って4輪への荷重配分が適切で安定します!」なんて完全に「アウディQ3クワトロ」をターゲットにしたようなキャッチコピーを掲げています。もちろんアウディ側もクワトロの実績を掲げ、アウディとBMWではAWDを熟成させてきた期間がまったく違う!とアピールするわけですが・・・。
そこにFFベースの4MATIC(熟成期間はまだまだ)という「丸腰」スタンスで飛び込んでいくGLAは、まさにBMWとアウディの両陣営から恰好の「引き立て役」になってしまいそう。「GLA45AMG」というハイパフォーマンスタイプも用意されていますが、すでにアウディから「Q3RS」という対抗モデルが発売されていて、さらに同時期にポルシェマカンSという一回り大きなSUVがほぼ同価格で発売されるので、やや苦しい展開かもしれません。それでもAMGのネームバリューでそれなりには売れるでしょうが・・・。
そしてAとGLAの日本での販売環境で最も異なるのは、BMWやアウディ以外の層の厚さです。CセグハッチバックではゴルフとレクサスCTが有力ライバルとして存在しましたが、Aクラスはこの2台よりもコストパフォーマンスを優先させる戦略(安さ爆発!)でアドバンテージを得られました。現在ではマツダアクセラの登場によりかなり売りにくい展開にはなってきていてはいますが、インプレッサやオーリスといった既存の日本車勢はこれといってインパクトがなく、かなり参入し易い状況でした。
しかしGLAに対してはCX5、ハリアー、エクストレイル、アウトランダー、フォレスター、XV、ヴェゼルと日本の各主要メーカーの渾身の1台がライバルとして存在します。ここ数年で一気に層が厚くなった日本勢の前にBMWX1もアウディQ3もフェードアウト気味です。現在メルセデスは日本価格をまだ公表してはいませんが、350万円程度でベースグレードを設定しないとまったく勝負にならない公算が高いですね。
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