2014年8月5日火曜日

メルセデスCクラス 「もはや男が乗るクルマではない!」

  「ワクワク感は皆無」です。なんでいい年したオッサンのライターがはしゃいでいるのか?ハッキリ言って良く解りません。別にプロライターをバカにするつもりもないし、メルセデスを貶めるつもりも全くないですが、カーメディアのリアクションを見ていると相当な違和感があります。メルセデスを掴まえて「質感が著しく上がった」なんて・・・配慮が無さ過ぎる文言があらゆる誌面で躍っていて読んでいるこっちが恥ずかしくなってきます(これはクルマではなく日本のメディアの問題か?)。

  メルセデスの新型Cクラス(W205)は、先代モデルから大きく進化を遂げているのは確かですが、そこにはメルセデスとしてのある種の「自己決定」があるように感じます。先代モデルとの最も大きな違いは、簡単に言うとターゲットを絞り込んでいることです。先代のCクラスもまともな皮膚感覚の常識人から見れば、「30歳以上の女性」が乗るクルマというのが相場だったのですが、メルセデスとしてはそういう「決めつけ」に対して抵抗するスタンスを少なからず持っていました。若くしてメルセデスを志す「エリート」に向けてこのクルマを届けたいという姿勢は先代モデルからは感じることができました。それでもせいぜい30歳代前半くらいまでの男性がターゲットだと思われます。

  都内の一等地にある高級住宅街に迷いこめば、確かにCクラスに乗る人のほとんどは女性ですが、日本のほとんどの地域で見られるのが、このクルマを転がすのはいい年したオッサン。偏見はいけませんが、とりあえず・・・な人と思っておいて間違いないでしょう。わざとピンクのダイハツ・ミラのような、女性的なクルマを好んで選んで乗る目立ちたがりのオッサンが最近では増えていたりしますが、しかし今の所はCクラスに乗っているオッサンにはそういう発想はあまり無さそうです。しかしメルセデスはいよいよCクラスを「女性の為のクルマ」と認識して、その方向性に沿って「誠実」に進化させることを決断したようです。「Cクラス=女性専用車」という見方をするならば、今回のFMCには着実な前進と思われる点が随所に見られます。

  女性が使うという前提でクルマを作るとなると、その幅広さは男性向け自動車の比ではなく、パワーユニットはあらゆる形態が考えられます。某雑誌でF30BMW3シリーズのユーザーレビュー特集がありましたが、面白いことにガソリンモデルは全て女性ユーザーでディーゼルモデルは全て男性でした。女性の方がクルマへの依存度(使用頻度?)が低いせいか、燃費への要求も男性ほどシビアではないようです。機能性よりもファッション性を貫くことばかりに意識が囚われているアパレルの高級ブランドのように、それに限りなく近いポジションで消化されるようになったのが、BMW、アウディ、レクサスそしてメルセデスの廉価グレード車種の現実だと言えます。

  ちょっと前までは「女性向けのライトなクルマ」として括って片付けていた部分があったのですが、OECD諸国における女性の社会進出は目覚ましいようで、いまでは主だったプレミアムブランドの中心軸は完全に女性向けのモデルになったようです。そんな時代の大転換を象徴する「瞬間」が今回のCクラスのFMCではないかと密かに思っています。そう思わざるを得ない点は多々あるのですが、例えばやや固いイメージがあったCクラスのエクステリアはエッジを切り取り丸みを帯びたものになりました。その手法は商用車然としたボディタイプを斬新にカッティングしたトヨタパッソや日産マーチに通じるキュートさに包まれていて、いかにも女性に対して大きく門戸を開いた印象があります。

  また最近のアウトレット専用商品を用意するブランドバッグのブランドの商品のように、質感ではなく「マーク」で付加価値を与えるという、「経営効率最優先」のブランドの背信的姿勢をほぼ全てのクルマから感じてしまいます。クルマの走行性能よりも「どう見えるか?」「オシャレか?」に力点が置かれています。もっとも女性にクルマの性能にこだわれという方が無理があります。例え女性といえどもスバルやホンダの機能性が極めて高いと理解できる人はたくさんいるでしょうが、400万円をアコードやレヴォーグに使おうという人はかなり少数派だと思われます。いくら質感がよくてもデザインが古めかしとアパレルもバッグも使われることはまずありません。

  最近では、女性的な感性でクルマを選ぶ女の腐ったようなオッサンが増えているようで、何の躊躇いもなく「カッコいいから」とAクラスを選ぶ男性も多いとか・・・。大変失礼ですが、大手サイトのユーザーレビューを読んでるとAクラスのところだけ「アホ度」が異常に高い!「遅くて燃費も悪いけど国産よりマシ!」(いやマシじゃないですけど・・・)やら「文句を言いたいならメルセデスユーザーになってから言え!」(いやあなたは乗りもしないブランドを国産と一括りにしましたよね)・・・いやはやツッコミどころが多過ぎて手に負えないです。たしかに自分が乗るクルマを買うために、メルセデスディーラーに行って「Aクラス下さい!」と言う勇気は私にはないです。

  けど私のクソみたいな羞恥心とは全く違う方向へと、世界の自動車産業は動き出してしまっているようです。女性に響かないポイントを次々と切り捨てていけば、6気筒や8気筒のエンジンなんて全く要らないですし、BMW Z4もメルセデスSLKもフェアレディZも全て1.5Lの3気筒ターボにさりげなく載せ変えてしまっても、女性ならなんの臆面もなく買えるでしょう。そしてクルマの知識など皆無に等しい女性化したオッサン達も平気な顔して買うでしょう。V6とかV8に拘るヤツは頭が古い!とか能弁垂れるのは自由ですが、そんなことは誰だって解りきった上でそれでもV8がほしくて買っているのですが・・・。

  さて後発されるであろうAMGモデル以外は全てが4気筒ターボになった日本仕様の新型Cクラスですが、このクルマが一体誰のためのプロダクトかはもう明らかだと思います。とうとう本質的に女性ユーザーしか収まらないクルマになってしまいました。レクサスCTやアルファロメオ・ジュリエッタと同じカテゴリーへと伝統のCクラスが放り込まれたわけです。いや・・・レクサスCTがこれほどカーメディアの逆風を受けつつも力強く前進し主要市場で軒並み確固たる地位を占めているという事実。そしてその根底にあるトヨタの揺るぎないマーケティング能力が、名門ブランドのメルセデスをも呑み込んでしまったと言っていいかもしれません。

  
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