2014年8月28日木曜日

VWポロ 「ミニとデミオでこのクラスは盛り上がる!?」

  VWのBセグを担当する「ポロ」が新しくなったそうです。ゴルフもそうですがVWの最近のFMCは、デザインの変更点が素人にはほとんど分らないので、メディアも「フルモデルチャンジ!」といった威勢のいいコピーが使いづらいようでメディア泣かせなメーカーだなと感じます(どうやらマイナーチェンジだそうですが・・・)。VWぐらいの超グローバルメーカーになると、日本という辺境の中規模市場で「消費税増税」があって販売は逆風であることなど、全く歯牙にもかけないようです。これでは先代モデルのユーザーが最新モデルにこだわって乗り換えを検討することも減るでしょうし、VWジャパンのあの髪型に特徴がある社長にしても頭が痛いところかもしれません。

  全長4mに収まるサイズのコンパクトカーを指す「Bセグメント」は、各メーカーの創造性に満ちた技術開発によって、現在ではCセグとそれほど変わりないくらいの居住性を確保できているように感じます。あまりテキトーな事を言うべきではないですが、Bセグに対してCセグのアドバンテージとは一体どれほどのものなのか?と訊かれると、決定的なもの(説得力があるもの)は何もないようにすら感じます。サーキットで驚異的なタイムを出したいならば、Cセグの方が全般的に有利ですけどね。Cセグも十分に狭いので後席を使わないで2人乗りと割り切れば、むしろBセグの方が車両感覚が掴みやすく、軽量でハンドリングも良くそのうえ小型のエンジンでも快適に加速するといったアドバンテージがあれこれ思いつきます。

  あくまで考察の域を出ないですが、一般的にCセグよりもBセグの方が本質的に優れたクルマが多いと感じるのには一応理由があります。まず1つ目はゴルフ、シビック、ファミリアといった80年代に一世を風靡したCセグハッチバックを小型車の一つの頂点と捉えると、そのバブル期の快楽的な設計によって導かれたサイズ・車重そして100ps程度の出力が、そっくりそのまま現在のBセグに当てはまっていて、当時蓄積されたデータが十分に運用されているというのがあると思います。昨今の省エネ志向とミニバンのようなスペース志向を持った現在のCセグはベースモデルでは重さや非力さを感じますし、逆にゴルフGTIのような高性能モデルではサイズと車重がややヘビーで公道よりもサーキットを視野に入れたスタンスなので、サーキットに全く行かないユーザーには甚だ不満に感じてしまいます。

  2つ目は、Bセグを鍛えてきた小型車専門メーカーの技術力です。2000年代に入りHVやEVなどの新たなパワートレインへとトヨタや日産は舵を取りましたが、その一方で既存の小型車技術は新興市場の広がりとともに熟成を続けました、その中でVWグループ、ホンダ、スズキは力強く成長を続け、もの凄いスピードで業界再編が進む中で、いずれも世界トップ10の自動車グループへと成長しました。単体でトップ10入りしているホンダやスズキの存在はまさに「ミラクル」と言えます。さらに他のトップ10も同様でヒュンダイグループの欧州での躍進も小型車の成功(それとFTA)無くしては絶対にあり得ないことでした。また欧州での販売が激減している「フィアット=クライスラー」や「PSAグループ(プジョー、シトロエン)」が現在もベスト10に留まっていられるのも、小型車部門による踏ん張りがあるからです。逆に小型車とは無縁だったブランド(MG、サーブ、サターン、ハマーなど)は経営が行き詰まるとあっけなく廃止されました。

  トヨタ、日産、メルセデス、BMWといった高級車に定評があるメーカーばかりに目が行ってしまいますが、ブランディングに熱心なこれらのメーカーは絶えず、技術で勝負する小型車メーカー(あるいはバイクメーカー)と協調関係にありその技術を自ブランドへせっせと吸収し続けています。スズキ・ワゴンRに使われてきたコラムシフトが、最新のメルセデスの大部分で採用されたり・・・というのは冗談ですが、直4のEGRの研究などはバイクも作ってるスズキとホンダの独壇場だったりするわけです。某雑誌の記事にBMWの3気筒ターボ積んだ新型ミニが、走りを見る限りはスイフトの足元にも及ばないと書かれていましたが、スズキの1.2Lエンジンは他社を圧倒するレベルにあるのだとか。

  それにしてもBMWがダウンサイジングと効率運用の切り札として、開発した1.5L3気筒エンジンの評判が悪いようです。もちろん重量がある中型車向けに作られた2Lや1.6Lの4気筒を無理矢理Bセグに転用するよりは、キビキビと走るので理にかなっているようですが、小型車を専門に作ってきたメーカーのエンジンに比べるとお世辞にも良いと言えないです。もちろん「BMWらしさ」に尺度を置くならば、絶対的に正義なんですけど、純粋にコンパクトカーの完成度として見るならば、スイフトに大差をつけられてしまいます。まああくまでミニは「プレミアムコンパクト」であってスズキとは方向性が違うと言い張るならば、一定の評価はできるでしょうけど。BMWの考える小型車の理想を実験者が理解できていないのかもしれませんが、なんだかんだでちょっとでも豪華に大きくしようとする「新型ミニ」の方向性は今後どう受け入れられるのでしょうか?

  Cセグで満足という人には、あまりBセグの需要がわかりづらいかもしれませんが、Dセグに乗っていて「Cセグはちょっとな・・・」と不満を募らせている私と同じ考えの人にとっては、Bセグはカーライフの「ソリューション」として評価すべき点がたくさんありますし、それと同時にDセグとは別の意味でのクルマの本質を追求できるセグメントとして輝いて見えるんじゃないかと思います。コンパクトなクルマを想像する時に「オーリスよりもヴィッツ!」であったり「アクセラよりもデミオ!」と自然に感じてしまったりしませんか?Bセグにより豊かなカーライフの匂いを感じてしまうのです。それでもふと我に返って、Bセグ車一般に対しての懸念も湧いてきます、個人的には「長時間ドライブ」と「衝突安全性」の2点がとても気になります。

  たとえセカンドカーだとしても、燃費が嵩みがちなファーストカーを補完する働きを期待するならば、100~300km程度の中距離ドライブに耐えられる仕様を求めたいと思います。若い頃に乗っていたB/Cセグのカローラランクスは3時間を超えたあたりから体が痛くなることが多く、東京からだとせいぜい長野県くらいまでが楽しくドライブできる範囲でした。座席の調整幅の少なさと、フットスペースの絶対的な狭さは悩みのタネで、さらにシートの小ささややわらかさなどもあって長時間ドライブを視野に入れていない設計と言えるかもしれません。さらにひと昔前の国産コンパクトは残念ながら騒音でも体力を消耗していたように思います。扇風機が音を立てる部屋に長時間いると何となく疲れを感じますが、高速道路で唸りを上げる1.5Lエンジンを5ナンバーサイズの車内で3時間も聞かされると耳鳴りがしてなんだかぐったりした気分になったものでした。これらの複合的な「疲労」の要因をメーカーが戦略的にどれだけ取り除いてくれるかが、個人的には今後のBセグ選びのポイントかなと思います。

  VWポロは衝突安全性への評価も非常に高く、さらに静音設計や長時間運転に配慮したコクピットの設計においても高い水準にあると言われています。残念ながら長時間運転したことがないので何とも言えませんが、ある程度信頼できる情報筋からも好感触と評価されているので、少なくともカローラランクスよりは楽に運転できるだろうと思います。おそらくポロこそが、現状でのBセグの頂点であろうと思われます。また同じVWにはザ・ビートルという別のBセグモデルもあって、MQB設計であることを踏まえればどちらも同じくらいの機能性を有していると考えられます。

  さて今回のポロは1.2Lターボをデチューンし、同排気量のゴルフとは出力特性が違う90psの燃費重視のものへと変更してきました。JC08モードで22.2km/Lだそうです。さてこのポロの水準に迫るBセグと目されているのが「ミニ」と「デミオ」でしょうか。まずは既に発売されている「ミニ」ですが、先ほども述べましたが「プレミアムコンパクト」という路線を明確にするために1200kgというBセグの平均を大きく上回るヘビーな車重が特徴です。もちろん重くなった分だけ制音にも効果はあるのでしょうが、実は別の問題が指摘されていて日本仕様に全車標準装備されるのが韓国製のランフラットタイヤで、これが乗り心地と制音を台無しにするほどに酷いと言われています。とりあえず仕様変更まで待つしかなさそうです。

  もう1台の「デミオ」ですが、こちらも1.5Lガソリン車の廃止が伝えられていて、高速道路で悲鳴を上げるであろう「1.3L直4ガソリン」と一般にガソリンよりもウルサイと言われているディーゼル(1.5Lターボ)の2本立てになる模様です。これでは先代モデルからの改善はとりあえずなさそうですが、もしかしたらディーゼルモデルにはいくらか期待できるかもしれません。昨年発売されたアクセラは残念ながら静粛性のテストにおいてゴルフの前に敗北を喫したのですが、2.2Lディーゼルを積んだモデルは、100km/h走行時にゴルフの全モデルよりも静かだったというデータがありました。排気量の余裕と回転数の低さそしてディーゼルの桁外れのトルクによる恩恵なのですが、デミオのディーゼルもポロを10kg・m程度上回るトルクを持ってますので、同じような逆転現象が起こる可能性があります。

  「ポロ」と「デミオ」そして仕様変更を前提とした「ミニ」の3台、あとポロの上級モデルである「アウディA1」の4台のつば迫り合いはBセグの新たな可能性を見せてくれそうです。スイフトとフィットは内装の質感がいくらか向上して、高速道路での走行を見据えた設計のグレードが出てくれば、十分候補になりうるのですが、どうやらホンダもスズキもHVでの「非高速走行」モデルを想定してしまっているようです。そういえばどちらも欧州市場ではやや影が薄くなってきた感がありますね。経営戦略的には欧州無視は妥当な判断かもしれませんが、それでもコンパクトカーのさらなる進化と今後に期待したいと思います。


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