ほんの15年ほど前までのDセグセダンは、マークⅡ、チェイサー、スカイライン、プリメーラ・・・若者の給料でもなんとか買えるくらいの価格(200万円以下)で買えるクルマばかりだったですね。それがいつの間にやら最低価格は200万円を越え、さらには250万円を越えるようになりました。今では販売の中心が400万円を超えるプレミアムブランドに完全に移行したためか、かつてのような「走り」をメインに考えた設計は影を潜め、より「高級車」らしい装備を盛り込むことに各社がしのぎを削るようになりました。
内外装がどんどん洗練されれば、古いクルマに乗っている人は大きく心を揺さぶられるようで、買い換えがかなり捗っていつようです。最近のDセグセダンを見ていると、どうもこの「売るためのマニュアル」通りに作られたクルマがやたらと目立ちます。比較的廉価に思われているマツダ・アテンザもその流れに乗ってしまったようで、売る気満々の「XD・Lパッケージ」が乗り出し価格では400万円を超えていて、プレミアムブランドのモデルとそれほど差が無くなっています。ユーザー側としてはもっといろいろな方向性を打ち出して、あれこれ選択肢を作って欲しいと思うのですが、「価格」も「見た目」も「乗り心地」もなんだか良さげでお互いに似たり寄ったりなものになっています。
最近ではメルセデスの新型Cクラスが話題になっています。このクルマもトレンドによく乗っかっていて、内装が格段に向上しつつ、マイルドなパワートレーンでモード燃費を稼ぐ方針を明確に打ち出しています。燃費は欧州の道路事情で考えればトヨタの2.5LのHVに匹敵する実力があるようですが、信号地獄の日本の都市部ではどう足掻いてもHVには及ばないようです。なぜメルセデスは真っ先にHVを持ってこないのか? ちょっと余計なことを言っちゃいますが、その辺の本末転倒ぶりを考慮に入れると、とても日本COTYの最有力候補には相応しくないクルマです。
しかしそんな注目度が高いモデルがやってくることは先刻承知のはずのトヨタが、今回は特に対抗モデルを用意しようとしないのはナゼでしょうか? もし本気で新型Cクラスをブロックするつもりならば、現在開発中と言われるセダン版の86を間に合わせることもできたでしょう。おそらくトヨタとしては「新型Cクラスは大して売れないだろう』という判断があるのだと思います。それとは別にセダン版の86では対抗するのがやや難しい「ジャンル」へと立ち位置を変えてきたメルセデスの戦略に対して有効な対策が見出せないという見方もあります。
メルセデスが「スポーティ&プレミアム」の王道路線でCクラスを仕上げてきたならば、トヨタが意地で作ったハイクオリティのレクサスISと、スポーツカーテイスト満点に仕上げた86セダンで、Cクラスの市場を完全に締め上げることが出来たでしょう。しかしCクラスの狙いは内装をレクサスの水準まで引き上げて、さらに経済性に優れるレクサスIS300hに興味を示す人々を価格面で狙い撃ちするという奇襲戦略でした。先ほども申しましたが、燃費ではメルセデスに勝ち目はないのですが、C180はレクサスIS300hを大きく下回る価格帯であり、レクサスIS250の2.5LのNAをダウンサイジングしたような1.6Lターボを積んでいて「先進性」をうまくアピールできています。
もちろんレクサスIS250に使われているV6NAのエンジンの方が、高回転まで気持ちよく回り頭打ち感も無く、高級車用のパワーユニットとしては望ましい点がかなり多いのですが、昨今の自動車選びにおいてそういった視点を強調する評論家は非常に少なくなっています。エンジンの「官能性」を求めるユーザーがいなくなったわけではないのですが、そういう層にコミットしていても利益が上がらないという判断でユーザーの切り捨てが行われ、「フェラーリが」「ポルシェが」と偉そうなことを書いてる評論家が、「自分を殺して」まで何の感動ももたらさないエンジンを「さすが!」なんて持ち上げているわけです。
もうそろそろいい加減にこのトレンドも破綻していい頃かななんて思っています。レクサスが作り出した新たなプレミアムカーの基準、それに完全に呑み込まれているだけのCクラスのようなDセグ車になんだか疑問を感じている人も多いのではないでしょうか。700万円出してIS350を買わなければいけないのか?いや500万円で「官能」を呼び覚ますDセグセダンがあってもいいんじゃないですか? そんなメルセデスにあっさり切り捨てられた人々の想いを汲んでくれそうなDセグセダンが「ジャガー」から発売されるようです。
インド資本によってランドローバーともに再建が進むジャガーの最新ラインナップはどうやら賛否両論があるようですが、世界市場の趨勢を見る限りはマセラティとならんでかなりのハイアベレージでシェアを拡大しつつあります。最新のジャガーに対して批判的な意見は、「デザインに重みがなくなった」「アルミ軽量ボディで直進安定性が低い」「衝突安全性にやや疑問(ユーロNcapが低スコア)」といったものです。高級サルーンのブランドとしては致命的ともいえる欠点を抱えているのですが、それでも世界のクルマ好きはジャガーのクルマを歓迎しているとデータ上に表れています。
逆に最新のジャガー車が評価されている点はどこか?「V6とV8のスーパーチャージャーエンジンがとても官能的」「車重を感じない人馬一体感」「若々しいデザイン」といった点です。衝突安全性の部分はさすがに看過できないですけど、ボディがXJやXFから一回り小さくなって車体剛性が上がればある程度は解消されるでしょうし、さらに小回りが利くサイズで道路を選ばずに走れるようになるならば、待望のスポーツサルーンになるのでは?という期待が高まります。ジャガーが徐々に情報をリークし始めましたが続報を待って、このブログの最大の注目車として徹底マークしたいと思います。
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