2015年9月7日月曜日

VWパサート「イメージ通りの国民車セダンと言われれば・・・」

  ちょっと前の話になりますが、VWジャパンの庄司社長が辞めたことがカーメディア中心にニュースになっていました。この人はまず髪型が個性的なのが印象的でした。ほかのインポーターの社長と比べても若々しくておそらく優秀な人だったんだろうとは思いますが、やたらとテレビにも出てきて、自身のキャラを被せているつもりなのか?「VW=デキる人のクルマ」的なアピール戦略には、少々引っ掛かるものがありました・・・。でもこういう人はプライベートではカイエン乗ってたりするものです。ポルシェのインポーターの代表だったらもっとしっくりきていたかもしれません。

  とにかく外見からもしゃべり方からも「エリート臭」がプンプンするわけです。ただそれに反比例して「クルマ好き」のオーラってのは相対的に薄いです(実際はどうだか知りませんが)。トヨタの社長さんみたいな素朴な人が真顔で「86いいでしょ!」と言うからこそ説得力が生まれて売れるのだと思うんですよね。VWの日本での伸び悩みは逃れられないもので、メルセデスの低価格戦略の前になす術なく、誰がやっても同じ結果だったでしょうし、もしかしたら庄司さんは本国に向かって「ディーゼルを早くしてください!もしできないならば辞めます!」くらいのことを吐き捨てたのかもしれませんが・・・。

  さてゴルフと並ぶVWの看板モデル「パサート」がFMCを迎えました。マツダで言えばアテンザ、スバルで言えばレガシィにあたる一般ブランドのフラッグシップのFMCですから、本来なら放っておいてもディーラーに人がどっと押し寄せる騒ぎになると思うのですが・・・残念ながらパサートはそこまで日本市場に根付いておらず、クルマに興味が無い人にとってはほぼ知らないであろう車名です。余談ですが先代のパサートの日本用CMを、そのままパクったかのように某国内大手メーカーがマー◯XというクルマのCM作ってました。あの当時はパサートのダウンサイジング戦略が世界最先端だとカーメディアは口を揃えてましたから、ト◯タもかなり意識はしていたようです。

  VWというと2年前のゴルフのFMCの時には、日本のカーメディアを完全にジャックして、ほぼ意のままにライターに記事を書かせてました。無個性で判別がつかないくらいのライターばかりが動員されて、「世界のベンチマーク」というVWから指示されたであろう?キーワードを必ず使うので、さすがにめちゃくちゃ胡散臭かったですね。今回もジャガーXEやアルファ・ジュリアへの興味を掻き消すかのような、大掛かりなメディア戦略を採ってくるのでしょうか?

  現在のVWには数年前のような日の出の勢いがありません。シロッコやパサートCCといった個性的なモデルは、アウディとの競合による共倒れを避けたようで、順次アジア市場から姿を消しました(販売面で振るわず)。現行ではAセグ(up!)、Bセグ(ポロ)、Cセグ(ゴルフ)、Dセグ(パサート)の各セグメントに基準車がありますが、日本勢に対して互角に競争できているのはゴルフだけ(もちろん快挙!)という状況です。Aセグ、Bセグは日本車も非常に層が厚いので、up!とポロの現状でも上出来といっていいでしょうし、これ以上の成長はかなり難しいでしょう。VWが再び輸入車ブランド1位に返り咲くには、パサートが日本市場で大ブレークすることが必須に思えるのですが、出てきたパサートは先代から何が変わったのか簡単にはわからないほどぼやけています。

  ゴルフ6が7になった際に、話題のMQBプラットフォームを採用し、ユーロ6に対応したユニットにアップデートされたくらいの、「作り手事情」の事務的改良がパサートにもまったくそのまま行われたようです。とりあえず今のところは諸般の事情で日本ではそれほど「売る気無し」であってもいいと思いますが、果たして日本市場が待望するディーゼルユニットが載ったところで何が変わるのか? しかしパサートがやる気が無いのはあくまで日本市場を見ての話であって、欧州ではすでにディーゼルもプラグインハイブリッドも発売されていて、日本や中国に供給されている1.4Lターボなんて全くカーメディアには登場しません。ゴルフも欧州では日本未導入のディーゼルが中心で、廉価グレードにはやはり日本未導入の1L直3ターボが使われています。

  ここまで露骨にやる気を見せないVWに、日本市場のユーザーは一体どう接していけば良いのか?という気もします。 ・・・しかしメーカーの野放図な「やる気」などよりもユーザーの想像力に任せるスタンスを大切にするのが、本来のVWというブランドのあるべき姿だ!といわれれば、自分のやや性急な結論を恥じる思いもします。やたらとやる気を見せている某日本メーカーのここ数年のモデルに果たしてただの1台でも十分に満足できる(買いたくなる)クルマがあったでしょうか? メーカーがやる気を出し過ぎて、その結果我々の想像力の入る余地がなってしまって「なんか違うな・・・」と後ずさりしてしまいます。

  インターネットで手軽に人のアイディアがなんでも覗ける時代ですから、わざわざ時間をお金を使って遠くまで実物を見に行く必要もなくなりました。想像力が無くなった!というと語弊があるかもしれませんが、想像力が働くまえに具体的なイメージがすぐに検索できてしまう時代。冷静に考えるとちょっとヤバい時代に突入している・・・ということをふと気づかせてくれた新型パサートかなと思います。

  モータファンイラストレーティッドで福野礼一郎さんが新型パサート評のあとで「たった1台でいいから、こういうほれぼれするようなデザインの日本車があったらいいのになぁ」と書いていて、読後にものすごい違和感を感じました。しかし福野さんにこう書かれると、ちょっと再考したくもなります。「テーマカラーがシルバーとブルーですか・・・」まあCクラスもスカイラインも同系のテーマカラーなわけですが、パサートだとあまりにも地味すぎませんか?・・・というのも先入観の塊ですね。ちょっとこの先の展開がわからない新型パサートですが、ややネタ切れ気味のセダン市場を揺さぶるような追加設定を待ちたいところです。


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