2013年9月19日木曜日

ゴルフⅦ・GTI 「チェック柄のシートの真意は?」

  日本のコンパクトカーにはないVWゴルフの良さの一つにエンジンのラインナップが豊富というのが挙げられます。もちろん日本車も販売数が見込めるコンパクトカーには最大限に配慮が行われていて、トヨタヴィッツは1L・1.3L・1.5Lと3段階設定で、さらに特別仕様車にはターボ付きの高出力モデルが用意されたりします。しかしドイツメーカーであるVWが作るゴルフはエンジン出力の面で幅がとても広く設定されていて、最上級のゴルフRともなると三菱やスバルのAWDターボのスポーツモデルに大きくは劣らないほどの性能を誇ります。ゴルフが日本で人気となっている一番の魅力はこのエンジン・ヴァリエーションだと思います。

  ゴルフRとともに「スポーツカーグレード」に分類されるゴルフGTIは、公道ではやや過剰スペックなWRXやエボよりもお買い得で、通常モデルよりも軽快に走れるとあって日本での人気は高いです。観光地やドライブスポットで見かけるゴルフの半分近くをGTIが占めているような印象があります。もちろんVWが三菱やスバルより日本で安い訳がないですから、クルマの性能自体には大きな差があります。簡単に言うと、三菱やスバルは性能本意で高価なドイツ製部品を随所に施し、VWは価格面で優れるアジア製の部品で可能な限り徹底的に代用しています。

  「ゴルフ」はその地域の実情に合わせて、部品供給体制を整えて、GMやトヨタに互する巨大ブランドVWの主力車として、大量生産体制が採られています。日本へ供給されるクルマは日系繊維メーカーが日本の自動車メーカーに供給している素材を使っています。ブレーキパッドも日本車と同じブレーキダストが少ないものを作らせていて、本国仕様とは別物になっています。この日本向けの「味付け」が実はとてもウケているという話もあります。少々失礼ですが、脳内では「これぞ王道欧州車の乗り味!」と変換されてしまっている人もたくさん居たりします。

  そして一番「???」に思うのがGTIに使われるブレーキです。一見するとスバルWRX STIのようなオレンジ色塗装なので、「ブレンボ製か?」と思ってしまいますが、通常モデルと同じブレーキです。なぜ色が違うのか? なんとなく主旨は分かりますが、なんとなく恥ずかしい気がします・・・。スバルのように「ブレンボ」「ビルシュタイン」と有名パーツメーカーの名前を列挙してクルマの性能を担保しようとするのも、どうかと思ったりしますが・・・。ポリシーは無いのか?

  ブレーキの塗装だけでなく、GTIには通常モデルと区別するための内外装の差別化がいたるところで見られます。外装のワンポイントラインなどはとてもセンス良く、さりげなく特別モデルであることを示しています。しかしどうしても理解できないのが、昔の日本車にあったようなチェック柄のシートです。VWのやることですから必ず意図があるはずだと思います。スコットランドの民族衣装のチェック柄に伝統があるように、VWはゴルフという車種に「伝統」を織り込もうということなのでしょうか? 

  40年近い歴史を持つゴルフの初代モデルから「GTI」は設定されていて、まだまだFWDのハンドリングが100psにも耐えきれない時代に、ゴルフⅡ・GTIでは138psを出していたが、そのハンドリングは当時最先端の技術で滑らかに動いたそうです。その後ゴルフⅢ・Ⅳでは通常モデルのエンジンの大型化(つまりアメリカ進出)によりGTIの意味はあまり無かったようです。ゴルフⅤでTSIエンジンが使われるようになると、GTIはホットハッチに最適化とされている2Lの4気筒ターボに収まり、再び脚光を浴びるようになりました。三菱やスバルの2Lターボのラリーモデルが欧州を席巻した影響も当然あったでしょう。

  VWの存在を浮上させた稀代のTSIエンジンを皮切りに、メルセデスもBMWもダウンサイジングターボへの切り替えが急激に進みました。三菱やIHIといった日本企業のターボが欧州車のトレードマークになる中で、「欧州車としてのアイデンティティ」を示す必要があると感じたフォルクスワーゲンはGTIのシートに「欧州」であることを強烈に意識した柄を使ったのではないかと思うのです。現代のトレンドとはかけ離れたシート柄として浮いた存在になっていますが、クルマ好き向けの特別車なので、伝統文化を解さない「非文明人」に無理にウケる必要はないという冷徹な自負をGTIの「あのシート柄」に感じてしまいます。

  


 

ゴルフⅦの海外市場動画です。英語版ですが・・・。 

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