日産にラ・フェスタというやや地味なミニバンがあります。セレナが絶好調の日産で、機能面よりドライビングフィールを重視した設計のミニバンとして、マツダのプレマシーをOEMしているクルマです。日産は特にOEMを戦略として多用するメーカーのようで、非トヨタ系のメーカーなら構わず提携したがる傾向があるようです。
フランクフルト・モーターショーで、インフィニティ初の「Cセグハッチバック」が発表されました。予告されていたスケッチデザインが「ほぼ」マツダの鼓動デザインと同じで、いよいよアクセラまでもOEMされるのかと勘違いしてしまうほどです。デイズ/ekワゴンと同じように、INFINITYQ30 / MAZDA3で同時発売するという「サプライズ」があったら誰も疑わないほど良く似ています。
プレミアムハッチバックの新車発売が相次いでいますが、やはりレクサスCTがじわじわと世界中で成功したのが大きく影響していると思います。日産はこれまで対抗モデルを用意せず、インフィニティブランドは大型車のみのラインナップでした。しかし北米でもインフィニティの大型車戦略は曲がり角を迎えているといわれ、一時はブランドの廃止まで真剣に検討されたようです。プレミアムブランドが小型車で稼ぐ時代に急速に変化した中で、アメリカン・プレミアムの中に取り残された感があります。アキュラもアメリカにはシビックベースのモデルを投入していなくて似たような状況です。結局レクサスとアウディが躍進してメルセデスとBMWが素早く対応しつつあるといったところでしょうか。
日産はミャンマーでの生産に乗り出すなど、新興国マーケットの掘り起こしに主眼を置いているようで、競争が激しく苦戦気味の高級車市場にはやや及び腰になっているのかなと思っていましたが、ここに来て「後だしジャンケン」的な競争力のあるプレミアムハッチバックを用意してきました。デザインコンセプトの発表はマツダの「鼓動コンセプト・SHINARI」以前にさかのぼるので(つまりQ30のデザインはパクリではない)、十分な開発期間を使っていてさぞかし成熟された出来上がりになっているはずです。高級車となると過剰な技術投下が顕著に見られる日産なので余計に期待感も高まります。新型Aクラスのように試乗に赴いた素人にバカにされるような乗り味ではないはずです。
仮想ライバルのドイツプレミアムブランドのCセグハッチバックが、前評判ほどの水準にはなく、デザイン面でも明らかな洗練不足(手抜き?)だと、MAZDAも日産もよく分かっているようです。どちらもここが勝負所と言わんばかりに、コンセプトに出来るだけ忠実なデザインを選考したところ、同じ顔になってしまったということでしょうか。それでもサイドからボディの形状をよくみると、両車の違いはかなりはっきりしています。ドイツのトレンドに従って低重心を意識しているアクセラに対し、Q30は日産ジュークのような腰高さを感じるデザインで、ハッチバックでありながら大径ホイールを配して、都市型SUVをクーペ的なボディラインでまとめた形状をしています。フロントは酷似してますが好みは相当に分かれそうです。
そして「リアデザインの日産」を誇示するかのような、悪く言えばクラス不相応のド派手に飾ったデザインは自信の現れでしょうか。ライバルモデルが地味過ぎるという分析のもと、重点的に強化した様子が伺えます。それでも簡単には変更が効かないのがリアデザインなので、「過激」を押し付けられるユーザーにとっては購入時にかなりの決断を迫られるクルマかもしれません。日産はジュークの「個性的」なデザインで一線を超えてしまった経験もあり、実際にジュークは新型車として十分に成功したといえます。よって安易に批判するのは的外れだと思います。個人的な意見ではボルボV40のリアデザインは相当にアヴァンギャルドだと思っているので、Q30はそれを軽く超えたところにあります。
一方で新型アクセラは「過激」さを意図的に抑えていて、それでいてハッチバックの最良と言える魅力的なラインを持っています。レクサスCTもそうですが、日本車のハッチバックのリアデザインはレベルが高く、インプレッサもヴィッツもとても良く出来ています。そういう日本車の良い流れを無視して、大きくデザインを飛翔させたQ30は、やはり親会社のルノーのようなフランス車的なアイディアで設計されてるようです。ルノーメガーヌの、これまたアヴァンギャルドなリアデザインを見ると、ルノー・日産グループとしての方向性にある程度の申し合わせがあるのだとわかります。
さてもし日産が早いタイミングでこの「Q30」を日本市場に投入することになったら、マツダとしては期待のアクセラにとって、出鼻をくじかれかねないなかなか嫌な存在になりそうな予感がします。日産は現在は日本市場においては、新興国向けのクルマをそのまま投入していました。ミャンマーでは新たに「サニー」が作られるようですが、これと基本設計の同じ北米モデルがセントラで、日本ではシルフィとして売られています。このシルフィが案の定、日本市場で大苦戦をしています。やはりCセグを買うユーザーの多くはクルマに関して詳しかったりするので、シルフィはその層にはあまりウケていません。1.8LのNAという設定はなかなか魅力的なのですが、足回りの簡易的な設計には閉口してしまいます。これを1.2Lや1.4Lターボにするとほぼ「ゴルフ」なのですが、それをしても日本では販売は上向きにはならないでしょう。
マツダとしては本来は実力がある日産が素っ惚けたクルマを売っている間に、アクセラのシェアを伸ばしたいと思っているはずです。Q30がインフィニティの名に恥じない高級スペックで登場するならば、アクセラやインプレッサにやや飽きてきたというこよもあって、日本車好きの注目を一身に集めそうな予感がします。詳しいスペックと販売確定の発表を待ちたいと思います。
↓せっかく注目度◎なのに水をさされた?新型アクセラです
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