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レクサスNX 「安さ爆発!の北米価格なのに・・・」

  まだ公式サイトには掲載すらされていないのですが、レクサスNXは北米でも発売される見込みで、アメリカ誌によると3万米ドル〜という価格設定になるようです。アメリカ価格で3万ドル〜というのは、プレミアムブランドの一つの基準で、主に最底辺に位置するモデルの価格帯で、3シリーズ、A4、Cクラス、レクサスISなどがこのクラスに該当します。これらのモデルは日本価格も本体450万円ほどで横並びに設定されています。「日本価格は50%増し」がこれら4ブランドでは常識みたいです。

  ちなみに日本の自動車ファンから「売国企業」と反感を買っている日産のスカイラインですが、日本で発売されているHVモデルの北米価格が4万5000米ドル〜となっていて、実は日本価格とほぼ同じというとても良心的な価格設定です。そしてレクサスNXの予想北米価格とほぼ同じ3万ドルで売られている日産ムラーノは日本でも300万円から設定されています。それに比べると、やはりレクサスISとレクサスNXの日本価格は高いと感じてしまいます。

  トーマス=フリードマンがかつてレクサスをグローバリゼーションの「象徴」として挙げた時は、正直言ってピンときませんでした。当時はアメリカで売られているレクサスがセルシオ、アリスト、アルテッツァ、ウィンダムとして妥当な価格で日本で売られていただけでしたから・・・。それが現在では何となく理解できるようになりました。確かにレクサスはアメリカだけでなく日本でもメルセデスやBMWと肩を並べるほどの「メジャー」ブランドになりました。

  フリードマンは確かNBAの選手を例に挙げてグローバリゼーションを説明していましたが、「シカゴブルズが全盛の時代にはNBA全選手の約半数が「最低年俸」の約2500万円だったのに、マイケル=ジョーダンといった一部のスター選手はCMなどの収入を合わせると50億円くらい稼いでいる。バスケットボールの実力はそれほど大きくは変わらないチームメート同士なのに、なぜそんなに格差が広がるのか?」このことを説明できるのが「グローバリゼーション」というわけです。その詳しい説明は省きますが、つまりは「メジャー」かどうか?がそのものの「価値」に大きな影響を与えるということです。レクサスと日産(インフィニティ)の日本における「格差」にもほぼ同じような説明が当てはめられそうです。

  それでもこのレクサスNXが「メジャー」にあぐらをかいた権化か?というとそうではない面もありまして、メルセデスやBMWといった他の「メジャー」と比較する中ではいくらか謙虚な存在になっているようです。プレミアムSUVを開拓したBMWのラインナップと単純に比較すると、「X3と同じ内容でX1の価格で済む」というプレミアムSUVのバリューを刷新しようとする狙いを秘めた1台です。簡単に言うとメジャーの中での「価格破壊」を意図しているようですが、同じようなクルマは他にも出て来ています。レクサスNXだけでなくメルセデスGLAも同じようにリーズナブルなプレミアムSUV市場を切り開こうとしています。

  これまでトヨタRAV4やホンダCR-Vといった2万ドル程度のSUVが売れる一方で、SUV界の"マイケルジョーダン"になったX3は4万ドルで販売されていました。しかしご存知の通り、年俸問題で選手会のストライキが発生するなどして、NBAの世界的な注目度は急激に落ち込みかつてのような輝きを今では世界に発信することはなくなりました(バブルが完全に弾けました)。NBAに代わって英国プレミアリーグ(サッカー)が巨大スポーツ産業として台頭してきたようですが、例えば人気チームのマンチェスターUのスタメンの年俸は1億〜20億円程度の開きはあるものの、かつてのシカゴブルスほどは格差は無くなっているように思います。NBAのストなどを経て行き過ぎた格差が是正され適正なレベルに抑えることを目指して、あらゆるプロスポーツでここ10年の間に議論されてきた結果と言えますが、それと同じことがプレミアム車の購入価格にも反映されつつあるのかもしれません。

  「価格」の問題とは別に、市場からSUVに求められるものも年々大きく変化してきました。かつてはエクゼクティブの間で大ブームを巻き起こしたプレミアムSUVですが、ハマーの破綻以降流れがだいぶ変化してきました。2001年9月11日以降のテロ対策意識の高まりから大ヒットしたのが、2002年に発売されたハマーH2で、軍用車両を転用した趣味のクルマH1とは違い、GMで最大の販売を誇るピックアップトラックにキャビンを載せたSUVは営業利益を押し上げるとともに日本でもよく知られる存在になりました。しかしリーマンショックの煽りを受けてGMの経営が傾き、不採算部門に転落したハマーは2010年に廃止されました。

  トラックにキャビンを載せた初期のSUVは豪快で男性的なクルマと考えられていました。トヨタのハイラックスサーフなど多くの車種がトラックと車台を共有し、プレミアムSUVとして登場したBMW X5は当時傘下に置いていたランドローバーのSUV専用設計を使い、ポルシェ・カイエンもVWグループの共通SUVシャシーを使って作られました。しかしここ数年に新たに追加され流行の兆しを見せている小型SUV/クロスオーバーモデルに関しては、普通乗用車用のプラットフォームを使って生産効率を上げるケースが増えています。そしてそれらのモデルの多くは運転のしやすさや居住性の良さを主に女性ユーザー向けにアピールして人気になっているようです。

  これらの新型SUVは主に車格に応じて3タイプに分けることができます。一番小型のものが「BセグベースSUV」でホンダ・ヴェゼル、日産ジューク、VWクロスポロ、ルノーキャプチャー、プジョー2008などの小型SUVが属します。そのワンランク上が「CセグベースSUV」でレンジローバーイヴォーグ、スバルフォレスター、メルセデスGLA、トヨタハリアー、レクサスNX、日産エクストレイルが入ります。そしてその上のクラスが「C/DセグベースSUV」でBMW  X1/X3とマツダCX5で、「BMWL2/L7シャシー」及び「マツダスカイアクティブシャシー」という高速対応型のシャシー(3シリーズ、アテンザと同じ)を使っています。ただし次期X1はFF化されBMWミニと共通の「BセグベースSUV」になる模様です。ちなみにポルシェ・マカンはVW・B8という「D/Eセグ」相当のシャシーを使っています(アウディA4/A6などと同じ)。

  マカンはともかく、この3タイプのシャシー分けで小型SUVの特徴がある程度はわかります。「Bセグ」は「コンパクトでオシャレ」というコンセプトと突き進むものが多く、「Cセグ」は「余裕と本物感」を前面に押し出す設計が多く、「C/Dセグ」は内外装の作り込みよりも、基本設計の高さを生かして「走り」で勝負するタイプが多いです。レクサスNXは所属する「CセグベースSUV」の中ではまずまずのパッケージを誇っています。またレクサスの内装ならばクラスでも最上位を狙える作り込みになることが予想されます。もちろんベースはトヨタ・ハリアーと同じものですが、価格差を埋めるだけの何かを必ず盛り込んでくるでしょう。この件に関して島下泰久というジャーナリストがちょっと前に興味深いことをコラムで語っておられましたが・・・。


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