スバル・WRX-S4 「日本車の”意地”ってヤツですか・・・」

  やっと街中でレヴォーグを見かけるようになったと思ったら、8月には早くも次の新型車がスバルから発売されるようです。しかももうとっくにスタンバイ完了のようで、スバルのディーラーには展示車両が出現しているみたいです。早くも購入予定車のブログにディーラーで見かけた写真が投稿されていましたが、これは素晴らしい出来映えじゃないでしょうか!スバルのデザインにここまで魅了されたのは初めてです。とりあえず従来のスバル車のイメージを打ち破るような高級感のあるエクステリアにビックリです。やはりセダンのトレンド(=高級化)の前には我が道を行くブランドで知られるスバルも逆らえないようです。

  カーメディアでは新型メルセデスCクラスが「完璧」としきりに持ち上げられて盛り上がってますが、日本勢の最有力の対抗馬がこの「WRX S4」になると言ってもいいかもしれません。新型Cクラスは確かにメルセデスのさらなる「前進」への意欲を感じる力作だと思いますが、その一方で肝心のクルマ自体を冷静に評価すると、それはあくまでメルセデスを好むユーザーの価値感においてはほぼ「完璧」ではありますが、ライバル車に対して「絶対的優位性」はあまり感じないです。基本性能でスカイラインやレクサスISを超えているか?というと厳しい部分もありますし、とりあえず「メルセデス的価値観」の中でナンバー1を狙ったクルマといっていいかもしれません(詳細はまた改めて)。しかしその領域に予想外のところからスバルの「S4」が踏みこんできてしまった印象です。

  メルセデスが「次世代サルーン」に必須と考えている要素として「安全装備」と「AWD」があるようで、上級車種では軒並み「4MATIC」による高速安定性が売りになっています。末端的グレードになるCクラスは「安全装備」こそ最高レベルのものが標準装備されていますが、「AWD」に関しては見送られているので、メルセデスが目指す理想の「次世代サルーン」としては中途半端な部分もあるのかなという気がします。そしてなによりメルセデスがこのコンセプトを拝借したのが、スバルが北欧や北米で培ってきた「高機能」なブランドイメージだということは明白です。

  なんかその辺に「カチン」ときてしまったスバルのイライラが、この「S4」のデザインによく表れているような気がします。スバルが去年発表した「WRXコンセプト」を見てメルセデスとの類似を感じた人も多かったようですが、その時点ではまだスバルがなぜメルセデス風のデザインを志向しているのかいまいちピンときませんでした。

  メルセデスはアウディを超えるべく「AWD」ブランドとしての脱皮を図りつつ、2Lターボの出力を大幅に上げてスバルなどを挑発していますが、根底では「スバルは正義」と認めている部分はあると思います。そしてスバルはメルセデスのデザインを「リスペクト」することでブランドイメージの「高級化」に取り組んでいるようです。どう見ても「相思相愛」に見えるのですが、トヨタ傘下のスバルと日産をビジネスパートナーとするメルセデスですから「禁断の恋」かもしれません。

  さて新型WRX「S4」は、簡単に言うと「レヴォーグのセダン版」以外の何者でもないクルマですが、元々レヴォーグの誕生へとつながったのは現行のWRXに途中から導入され、WRXに初めて「CVT&ターボ」を設定した「A-line」です。ただこれには多くの熱心なファンを持つスバルにとってはやや逆風で、世界に誇る伝統の「WRX」に2ペダルが設定がされたことに対して、かなりネガティブな意見も、いや「WRXにCVTはあり得ない!」くらいの完全否定すら喰らってしまいました。それでもそれが逆にスバルの闘志に火を付けたようで、スバルが社運を賭けている「CVT&ターボ」を何としても世間に認めさせようという”意地”を感じます。

  もちろん「WRX」といえば「MT」で旧型エンジンの「EJ20」を使う完全熟成のユニットがあるわけで、今回はエンジン交換は止むなしなど、いろいろな憶測がありましたが「STI」グレードではそれが残されました。一方でレヴォーグと同じ「CVT」&「FA20DIT」に換装された2ペダルグレードを「A-line」から「S4」というまったく新たな称号(アウディのパクリっぽいが・・・)を与えていて何やら「秘めたもの」を感じます。スバルとしては「誰でも気軽に運転できる」高性能セダンを新たなブランドイメージとして確立していきたいという意図は確実にありそうです。アイサイトが予想以上の大ヒットとなりましたが、これは「STI」モデルにはいろいろと制約があって設定が難しいようで使われていません。しかし次世代エースの「S4」にこれを付けないわけにはいかないので、WRXとしては初めてのアイサイトモデルが登場するようです。

  エンジンもミッションも完全に別のものを使い、アイサイトも使い分けるなど「S4」と「STI」には同一車種とは思えないほどの方向性の違いを盛り込んでいる辺りが「スバル」なのかもしれません。もちろんメルセデスにも「AMG」というキラーコンテンツがありますし、新型Cクラスには1000万円をだいぶ下回るいくらかお買い得なAMGチューンモデルが設定されるのでは?という噂があります。すでにA/CLAで格安の「AMG」が展開されていますが、これらの価格設定をみるだけで、メルセデスがどれだけスバル「STI」を恐れているかがよくわかります。いよいよWRXもスバルファンだけのもではなく、「S4」が広く一般レベルで「高級かつ高性能」な1台として認知され、大ブレイクする可能性もあるように思います。メルセデスとスバルの闘いの結末が楽しみです。

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