ホンダ・アコード 「トヨタを意識し過ぎているような・・・」

  とうとう新型アコードが今月発売されます。このところの日本車のセダンの「過剰」と言えるほどのデザイン重視のトレンドは、今のところはとても歓迎で、スバルなどにも追従の動きがあります。しかし非凡なデザイン力を持つはずの「ホンダ」は完全にこのトレンドから距離を置いています。まるで「我が道を行く」かの如くで、新型アコードのデザインは北米モデルから特に「フェイスリフト」も行われず、やや盛り上がりに欠ける印象です。国内のカーメディアも言外に期待はずれの「不満さ」を示すような取り扱いが多いように感じます。

  アメリカではもう既に発売されていて、かなりの「大ヒット」でセダン売上1位を快走しています(カムリを完全に上回っている)。ホンダとしてはいくぶん余裕があるようで、ガソリンエンジンのモデルについては、乗り味が良くなって「アコード復活」と好意的なレビューを多く見かけます。

  日本ではガソリンエンジンのモデルは発売されず、カタログ燃費「30km/L」を誇るHVモデルのみの展開になるようです。この「売り方」がトヨタ・カムリHVの成功をそのまま「コピー」しているかのようで、新型車としての新鮮味のなさが、メディアの「失望感」を誘っているようです。ホンダはこれまで何度となくトヨタにヒット車を「コピー」されて煮え湯を飲まされてきていました。それでも結局のところ「営業力」には決定的な差がある上、トヨタの圧倒的な支持率はいかんともし難く、ホンダ自らトヨタと同じ路線に飛び込んで行くこと自体に疑問すら残ります。

  「カムリHV」は日本専用のフェイスリフトを施して、日本人好みのスタイルに作り直す工夫が行われていて、「燃費」と「デザイン」が両立したなかなか素晴らしいセダンになりました。アコードに関してもフェイスリフトは必須だと思っていたので、あまりのホンダの「やる気の無さ」っぷりにちょっと唖然とします。

  しかし、マツダやトヨタのライバルセダンが大きく「デザイン」を換えてきていて、ユーザーがデザインに敏感になっている時期になので、新しいデザインを必死に模索して動いて(デザイン変更をしても)も「上手く行かないだろう」という読みもあると思います。このタイミング(発売開始時)で下手な「フェイスリフト」を敢行しても、アテンザやレクサスISの好感度が高い中で何をやってみても無駄だろうし、ただいたずらにホンダのデザインの「威光」を落とす結果にしかならないでしょう。

  そこで、ユーザーの目先を変えるために注目したのが「燃費」のようです。カタログ燃費ではクラウンHVやレクサスIS300hを大きく凌ぐ数字を打ち出していて、低燃費を強く求める人の需要は当然に満たすと思われます。人気絶頂のマツダやトヨタの「デザイン」であろうとも、当然ながら次第に飽きられてくると思います。その中で違うテイストの「アコード」が相対的に注目されて、初動こそは苦戦するかもしれませんが、じわじわと売上を伸ばす可能性も高いです。また「クラス最高の燃費」が売りなので、今後10年は競争力のあるクルマと言えます(「燃費」のいいクルマは廃止されないので、現行のセダンでは一番長く生き残れるはず)。

  また「ホンダ」としては来年発売される「新型レジェンド」のプロモーションの一環として、この1年で上級セダンで「世界最高の燃費」を出せるホンダブランドのイメージを確立して全世界に浸透させる狙いもあるのかもしれません。

  

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