プジョー508GT 「セダン・スタイルの最先端」
プジョー、シトロエン、DSの3ブランド構成になったPSAグループは、いよいよ日本市場での攻勢をかけるべく「新たなラインナップ」を投入する準備ができたようです。僭越ながらPSAの各ブランドが近年の日本市場で輝けなかった理由を分析すると、まず選べるエンジンの種類が少ない点でしょうか。ある程度大きなサイズの「プジョー508」や「DS5」、「シトロエンC5」といったモデルでも一律に同スペックの1.6Lターボしか選べず、このエンジンでは乗り出しで400万円もするクルマとしてはハッキリ言って不満でした。
それぞれのブランドで現在の日本市場のフラッグシップとなるモデルが、レヴォーグのベースグレードに使われるような1.6Lターボでいいのか? ・・・とはいっても今さらV6NAの重苦しいエンジンをこのFF車3台のフロントに載せておくのも不粋ではありますけども。Cクラスだって1.6Lターボでは?・・・確かにそうです!だからいまいち人気になりませんでした。エンジン以外は素晴らしい!PSAの3台はそれぞれにフラッグシップに相応しい優美なデザインですし、足回りに関しては三車三様で、ドイツ車や日本車と同等のマルチリンクで安定志向の「プジョー508」と、それにさらにハイドロサスを組み込んで高級車の乗り味を作る「シトロエンC5」。さらに足回りよりも居住性を優先する「DS5」は、トヨタのアルファードに近い発想です(アルファードは現行ではサスを変えてきましたけど)。
エンジン以外は「やる気まんまん」・・・これがなんとも惜しいですね。この1.6LターボもBMWと共同で開発された素性の良いものですが、フラッグシップ車に載るにはちょっとな〜・・・と買う側が二の足を踏んでしまうような露骨なダウンサイジングです。例えばBMW5シリーズが直4ターボ(523i)になってお買い得ですけど買いますか?っていう話です。やっぱりこの手のクルマ(高級感)を所有するならば・・・ハッキリ言うのはちょっと恥ずかしいですけど「格」が大事だと思います。
欧州ではボデーサイズに比べて破格に小排気量(ターボ)のエンジンも多いようですけど、日本ではやはりそこまで合理的に考えられない・・・いや!クルマにロマンを求め続けるのが日本のクルマ好きなんです! 1.6Lターボで統一された(1.2LのNA/ターボもあるけど)PSAグループが、日本でまさかの大失敗に終わった原因は結局のところ、日本市場の趣向を全く掴めなかったマーケティングの甘さにあったと思います(そもそもやる気がない?)。
くどいですが、要はエンジンをなんとかしろ!という課題が浮き彫りになったわけで、それに対するPSAの回答は?というと、同じくFFベースの中型車で旋風を巻き起こしているマツダに追従!という至極真っ当なものになりました。手堅くディーゼルでいきましょう!・・・VWやBMWのような不始末は起こさないために、メルセデスと同じ尿素処理機構を組み込んだ手の込んだクリーンディーゼルを投入してくるようです。ちなみに厳しい排出ガス基準をクリアする方法として、メルセデスの「尿素処理方式」とマツダの「低圧縮方式」が最先端ディーゼル技術として確立されていますが、マツダも米国基準に適合するために「低圧縮&尿素処理」の新機構エンジンのコスト適正化を図っているようです。
さて日本導入が早くも決まっている「プジョー508GT」は2Lディーゼルターボを搭載したモデルで、出力自体はBMW、ジャガー、ボルボの同排気量ものとほぼ同等のようです。BMW、ジャガー、ボルボはZFかアイシンAWか供給元は違いますがいずれも8ATを装備して変速ショックを抑えて低燃費に振っています。メルセデスの直4ディーゼルは9ATが採用されました。これに対してプジョー508GTはアイシンAW製の6ATを採用してきました。マツダ(自社製6AT/6MT)と同じで、「ドライビング・ディーゼル」を目指す方向なのではないか?と思われます。グレード名を堂々と「GT」にしたところからも、運転して楽しいクルマにしたい!といういかにもプジョーらしい意図が感じられます。いっそのことマツダに倣って本国では必須のMTモデルも日本にもってきてしまえばいいと思うのですが・・・。
さて「Dセグのプジョー車」がこの10年で築いてきたものとして特筆できるのが、彫像のような断面美を採用した「モデラー主義」のスタイルです。2000年代の初頭にプジョーのDセグは「406」と「407」という2代に渡るモデルで、ライバルがたくさんいるDセグでもひと際輝くスタイルを確立してきました。ライバル車を引き合いに出してデザインの優劣を一方的に主張してもあまり説得力がないので、別のいい方をしてみます。華々しくルノーのチーフデザイナーに就任した「アッカー・デザイン」でおなじみのローレンス・ヴァン・デン・アッカーの代表的なデザインに共通する原点は、この「406」「407」で花開いたプジョーデザインから受けたインスピレーションにあるからです。
ヴァン・デン・アッカーがその実力を世界に知らしめたのが、フォード傘下にあった2000年代のマツダでの仕事ですが、2代目アクセラや2代目アテンザは同時期のプジョーのデザインにかなり影響を受けていることがわかります。またゴーン政権下の日産でデザイン部門の責任者を務めている中村史郎氏をもプジョーの影響下にあるようで、V36スカイラインのデザインなどにそれが見られます。ヴァン・デン・アッカーと中村史郎という2人のカリスマ・デザイナーを虜にした「406「407」を生み出したプジョーこそが、現代の中型車デザインにおける「オリジナル」だといっていいと思います。
東京MSで公開された508の新しいデザインもまた、素晴らしく甘美なリアデザインが特徴的です。・・・っていうかこれ欲しいです!あとは価格(400万円台前半で)とディーゼルの仕上がりなどにもよりますが、アテンザ、ジャガーXE、Cクラスなどなど完成度の高いデザインが増えているDセグにまた一台「引き」の強いクルマが現れたかな?という気がします。街中のA4、3シリ、IS、スカイラインが「イモ」に見えて仕方ない!という美意識が高い人にとっては非常に楽しみな1台ではないでしょうか?
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「最新投稿まとめブログ」
↓フランス車特集をのびのびやるところがこの雑誌のいいところ!
独車が大好きな「CG」や「Mマガ」は・・・誌面が葬式です。
それぞれのブランドで現在の日本市場のフラッグシップとなるモデルが、レヴォーグのベースグレードに使われるような1.6Lターボでいいのか? ・・・とはいっても今さらV6NAの重苦しいエンジンをこのFF車3台のフロントに載せておくのも不粋ではありますけども。Cクラスだって1.6Lターボでは?・・・確かにそうです!だからいまいち人気になりませんでした。エンジン以外は素晴らしい!PSAの3台はそれぞれにフラッグシップに相応しい優美なデザインですし、足回りに関しては三車三様で、ドイツ車や日本車と同等のマルチリンクで安定志向の「プジョー508」と、それにさらにハイドロサスを組み込んで高級車の乗り味を作る「シトロエンC5」。さらに足回りよりも居住性を優先する「DS5」は、トヨタのアルファードに近い発想です(アルファードは現行ではサスを変えてきましたけど)。
エンジン以外は「やる気まんまん」・・・これがなんとも惜しいですね。この1.6LターボもBMWと共同で開発された素性の良いものですが、フラッグシップ車に載るにはちょっとな〜・・・と買う側が二の足を踏んでしまうような露骨なダウンサイジングです。例えばBMW5シリーズが直4ターボ(523i)になってお買い得ですけど買いますか?っていう話です。やっぱりこの手のクルマ(高級感)を所有するならば・・・ハッキリ言うのはちょっと恥ずかしいですけど「格」が大事だと思います。
欧州ではボデーサイズに比べて破格に小排気量(ターボ)のエンジンも多いようですけど、日本ではやはりそこまで合理的に考えられない・・・いや!クルマにロマンを求め続けるのが日本のクルマ好きなんです! 1.6Lターボで統一された(1.2LのNA/ターボもあるけど)PSAグループが、日本でまさかの大失敗に終わった原因は結局のところ、日本市場の趣向を全く掴めなかったマーケティングの甘さにあったと思います(そもそもやる気がない?)。
くどいですが、要はエンジンをなんとかしろ!という課題が浮き彫りになったわけで、それに対するPSAの回答は?というと、同じくFFベースの中型車で旋風を巻き起こしているマツダに追従!という至極真っ当なものになりました。手堅くディーゼルでいきましょう!・・・VWやBMWのような不始末は起こさないために、メルセデスと同じ尿素処理機構を組み込んだ手の込んだクリーンディーゼルを投入してくるようです。ちなみに厳しい排出ガス基準をクリアする方法として、メルセデスの「尿素処理方式」とマツダの「低圧縮方式」が最先端ディーゼル技術として確立されていますが、マツダも米国基準に適合するために「低圧縮&尿素処理」の新機構エンジンのコスト適正化を図っているようです。
さて日本導入が早くも決まっている「プジョー508GT」は2Lディーゼルターボを搭載したモデルで、出力自体はBMW、ジャガー、ボルボの同排気量ものとほぼ同等のようです。BMW、ジャガー、ボルボはZFかアイシンAWか供給元は違いますがいずれも8ATを装備して変速ショックを抑えて低燃費に振っています。メルセデスの直4ディーゼルは9ATが採用されました。これに対してプジョー508GTはアイシンAW製の6ATを採用してきました。マツダ(自社製6AT/6MT)と同じで、「ドライビング・ディーゼル」を目指す方向なのではないか?と思われます。グレード名を堂々と「GT」にしたところからも、運転して楽しいクルマにしたい!といういかにもプジョーらしい意図が感じられます。いっそのことマツダに倣って本国では必須のMTモデルも日本にもってきてしまえばいいと思うのですが・・・。
さて「Dセグのプジョー車」がこの10年で築いてきたものとして特筆できるのが、彫像のような断面美を採用した「モデラー主義」のスタイルです。2000年代の初頭にプジョーのDセグは「406」と「407」という2代に渡るモデルで、ライバルがたくさんいるDセグでもひと際輝くスタイルを確立してきました。ライバル車を引き合いに出してデザインの優劣を一方的に主張してもあまり説得力がないので、別のいい方をしてみます。華々しくルノーのチーフデザイナーに就任した「アッカー・デザイン」でおなじみのローレンス・ヴァン・デン・アッカーの代表的なデザインに共通する原点は、この「406」「407」で花開いたプジョーデザインから受けたインスピレーションにあるからです。
ヴァン・デン・アッカーがその実力を世界に知らしめたのが、フォード傘下にあった2000年代のマツダでの仕事ですが、2代目アクセラや2代目アテンザは同時期のプジョーのデザインにかなり影響を受けていることがわかります。またゴーン政権下の日産でデザイン部門の責任者を務めている中村史郎氏をもプジョーの影響下にあるようで、V36スカイラインのデザインなどにそれが見られます。ヴァン・デン・アッカーと中村史郎という2人のカリスマ・デザイナーを虜にした「406「407」を生み出したプジョーこそが、現代の中型車デザインにおける「オリジナル」だといっていいと思います。
東京MSで公開された508の新しいデザインもまた、素晴らしく甘美なリアデザインが特徴的です。・・・っていうかこれ欲しいです!あとは価格(400万円台前半で)とディーゼルの仕上がりなどにもよりますが、アテンザ、ジャガーXE、Cクラスなどなど完成度の高いデザインが増えているDセグにまた一台「引き」の強いクルマが現れたかな?という気がします。街中のA4、3シリ、IS、スカイラインが「イモ」に見えて仕方ない!という美意識が高い人にとっては非常に楽しみな1台ではないでしょうか?
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独車が大好きな「CG」や「Mマガ」は・・・誌面が葬式です。
のっちさん、こんばんは!
返信削除508GT、いいですよね~w
グリルのアイコン辺りにまだ統一したものがないのかな?という
迷いを感じる点もありますが・・・
フロントはマイチェン前と打って変わってくどくなりましたが、
リアはあいかわらず優美で惚れ惚れします。
DS5にいまいち踏み切れなかった点がやはりエンジンでした。
フランス車は小排気量4気筒とあまり特徴のないV6をラインナップという
2本立てで長らくやってきましたが、最近は下一本で寂しかったところ、
このブルーHDI、期待が持てますね。
来春あたり、また東京(西部!)に居を構えることが出来そうです。
C7のベースグレード(460ps)とC4カクタスの2台持ちを現在画策してますが、
果たして上手く行きますかどうか・・・。
日本導入するみたいですが1.2のターボ110psの奴だろうな~
1.6のDターボなら面白そうですが。
508GTならGHからの乗換えでも不満を感じることはなさそうですね。
どちらもリアの優美さが際立つエッジの取りかたしてますし、
後はやっぱりディーゼルの仕上がりになってきますね!
yatsumeさんこんにちは
削除コメントありがとうございます。
アメ車とフラ車の2台持ってれば、
もう文句なし!筋金入りエンスーですね!
PSA車はBセグ以外はD化しているようで、
並行輸入で扱っている品川のショップが
ちょっと前に雑誌に広告してましたよ。
でもファミ車で左ハンドルはちょっと厄介かも。
正規で右ハンドルで入ってくるとは思いますが。
東京にいらっしゃるんですか!?
もしよろしかったら、
508買う時に試乗でも付き合ってください。
最近はちょいちょいリアルでも、
クルマ趣味で知り合いを増やしていて、
先日も10歳も下の職場の同僚(大学で自動車部)
と夕飯食べながら、クルマ談義に華を咲かせてたら
あっと言う間に3時間でした・・・。
のっちさん、こんばんは!
削除仕事柄転勤が多いモンで大変です(笑)
今は西のほうにいるんですが、東京すっ飛ばして
さらに北上ってこともありそうで・・・
ちょくちょく首都圏には遊びに行くんですけどね。
大阪にYMワークスってのがあって、
並行でもイギリス仕様の右ハン扱ってるので
400万くらいならいいかな~、と考えた時期もあったんですよね。
まあPSAが入れてくれるらしいので、ちょっと待ってみます。
ボクスホールとかセアトとかもあるんですよ!
そのあたりならプジョー八王子ですかね。
以前高幡不動にいたときは行ったことなかったですけど。
娘も来年から中学生なんで次転勤するまでに
首都圏に居を構えておきたいんですけどね。
そうなると車はもう少し先という悲惨な結末もありえて(笑)
自動車部!いいですね!
私の周りには同年代でそこまで車好きってのがあまりいなくて、
3シリ(320!)風情がドイツ車至上主義を語ったり、
家族持ちならミニバンがベストなんて下らないポリシー開陳したり、
そういうのばっかに絡まれますよw
20代くらいの方が逆に素直に「今の」アメ車というものや
CTSそのものに興味持ってくれたりで話してても楽しいですね。
大体彼らの買い替えの相談とか試乗の付き合い(!)+飯、って感じで。
確かに3時間くらいならあっという間ですね(笑)
間違いました!
削除入れてくれるのはPSAじゃなくてPCJでした・・・
yatsumeさんこんにちは
削除コメントありがとうございます
クルマにだいぶのめり込むようになってから、
世間で言われている「趣味を持ったほうがいいよ」
の意味がわかってきました。
音楽が趣味だとなかなか世代の壁を越えられないですけど、
「クルマ」は違いますね。
法事とかで親戚のオッサンと、数年ぶりに会っても
気まずいとか無く盛り上がれるのがいいですね。
だいたい羽振りのいいオッサンは
みんなクルマ好きだから、
若い頃からクルマの知識を身につけておくことは、
大事なんだと思いました。
有名大学には必ず自動車部がある理由もなるほど!です。
親が金持ちじゃないとまず入らないからモテるらしいです。
子どもが出来るまではカローラの2ドア乗ってだよ!
けどその後はずっと1BOXでセダンにずっと憧れたな〜
子どもが独立してからやっとカムリに乗れた!
なんて話を聞かされると、カローラの2ドアいいな!
ってのと、子どもいても問答無用で好きなクルマに乗る
yatsumeさんはやっぱスゲーな!と思いますね。