2015年11月4日水曜日

トヨタS-FR 「ヨタハチを知らずに僕らは生まれた」

 なんで黄色なのだろう・・・ スポーツカーだから それとも小さいから あるいはその両方だから? 

  そういう事を考えはじめちゃうと、なかなか冷静にクルマの価値が掴めなくなりがちです。某雑誌では市販化を諦めたと報じられていながらも、東京MSに出品されている「トヨタS-FR」に対して「あまり好意的になれないな・・・そんなバカな?トヨタは頑張ってのに」なんてヘンな葛藤に悩まされていませんか? でも思い返せば86のコンセプトが登場したときも同じような想いだったですけども、ご存知のように86は今や日本のクルマ文化の「現行車種代表」という重要な地位を占める存在になりました!

  ちょっと皮肉ですが、86って休日の峠に行ってもあまり見かけないです。もちろん全くいないということは無いですが、トヨタがさかんにプロモーションしているような使い方は実際にはあまりされていないような気がします。しかしそれに変わって路地裏の生活道路では早朝・日中・深夜問わずにしばしば見かけます。仕事帰りに駅からとぼとぼと歩いていると、雑然とした通りに不思議なほどマッチしています。これほどに駅前が似合うスポーツカーもないような・・・。スープラでもロードスターでも多少は違和感ありますし、NSXとかGT-Rとか停まってたら「なんだ?なんだ?」ってなりますけど、86は普段着のクルマとしての要素があります。

  別にスポーツカーとしてのオーラが無い!と馬鹿にするつもりはこれっぽっちもありません。夜道を流れてくる自動車の中でもやはりスポーツカーらしくルーフラインが非常に美しいですし、前後にアウディやらBMWやらが走っていることも多いですが、86が完全にスタイリングで勝っているのがよくわかります。「徘徊用」とか書いちゃうと誤解されるかもしれないですが、平日の深夜23時〜26時くらいの寝静まった道路をあても無く走るのがちょっとした日課(週に1~2回ですけど)になっていまして、同じような趣味の人を東京西部の五日市街道・所沢街道などでちらほら見かけますが、最近になって86が増えたような・・・。

  片側2車線の新青梅街道や甲州街道だと、しばしば輩なクルマが競りかけてきて、それはそれで楽しいのですが、だいたいは翌日の朝からの大事な仕事のプレッシャーに押しつぶされそうで落ち着かない夜は、アルコールを飲むわけにもいかず、気持ちを誤魔化すために走るので、信号も少なく交通量少なめ(トラック&タクシー少なめ)なマイナー道路の方が気分良く走れます。結構同じような趣味の人がいるようで、乗っているクルマも自分の好みが多いですね!

  「アルテッツァ」「シルビア」「スカイライン(32〜34)」「スカイライン(35、36)」「オデッセイ」「マークX」「レガシィB4」「インプレッサSTI」「チェイサー」「スープラ」などなど・・・。「非VIPオールスター」というべき陣容で、ドライバーズカーとしての本質が伴った国産車を愛好する人はまだまだこんなに多いのか?というのを実感できます。小一時間程度、いつものコースを徘徊すると軽く10台くらいはこういったクルマに出会えて、不思議と幸せな気分になります。

  今では86/BRZがそんな「非VIP」組の屋台骨を背負う存在になりつつあると思います・・・デビューした時点では全く仲間意識はなかったですけど(笑)。やや控えめなディテールは、デビューから3年経った今の方が冴えて見えます! ロードスターのようにシートに縛り付けられて、タイトな空間の中でガチのアクセルワークが強要される「マシン」ではなく、よりゆったりとした乗り方が許容されそうな、ややゆとりのあるボディサイズも、「徘徊用」ならばぜんぜんアリだと思います!

  夜のストリートですから、時には無法者とは言わないまでも、好奇心いっぱいのクルマ好きが興味本位でアクセル踏んできます。そんな時に変に気を揉まなくていいくらいの性能は「徘徊」用のクルマには備えておきたいです。軽自動車で徘徊しているときに絡まれると、蛇に睨まれた蛙のような気分であまり嬉しいものではないです。学生時代に友人の軽自動車でよく深夜ドライブしてましたが、当時はローリング族なんて言葉もあったスポーツカーブームの時代で、そういうクルマに後ろにつかれると運転している友人は相当に焦ってました。今の軽ターボなら出足の良さでそこそこ応戦できそうですが、信号間隔が長い道路ではやはり餌食になってしまいます。

  先日見かけた、ヘッドライトを機敏にフリフリして、スポーティな旋回をしていた対向車が、S660だったときはちょっとした衝撃でした。ミッドシップってやっぱりすっごいな!峠ならば輩なクルマを寄せ付けない走りができそうです。しかし登り坂だと軽自動車の限界が露呈するでしょうが・・・。やはり普通車規格にして自然吸気Vテックが欲しいですね(S2000後継)。・・・ってことで「トヨタS-FR」はすでに潜在的なニーズが相当にあるのでは?と思っています。

  話をまとめると、「86」はデビュー時の印象はイマイチでしたが、見事に「徘徊用」という日本で最も重要なポジションに収まってくれました!何だかんだ言ってもアルテッツァやシルビアの穴を見事に埋めてくれた!と言っていいのではないでしょうか? それに対して「S-FR」はより経済的な負担を少なくしつつも、満足できる走行性能を手に入れる!という意味で、デビュー時の86よりもメリットはハッキリしていると思います。「安っぽさ」・・・いまどきの日本車はそこに一番神経使ってますから、まあトヨタが抜かることはないと思います。86のインテリアはポルシェやロータスとほぼ互角ですし、それこそマセラティやアストンマーティンなんかと比べない限りは大丈夫かと。

  使い道もかなり明確です!誰だってクルマ好きならば、月に1回くらいは「MTのコンパクトカーでも買ってみようかな?」という想いが頭を過りますよね。ヴィッツかフィットかな、それともちょっとベタだけどデミオかスイフト?いやいやちょっと奮発してCR-Zかな、しかし乗り出しが300万円!はちょっと高いな、中古でいいな・・・げげ、CR-ZのMT車の中古価格は結構ヤバい!5万キロでも軽く200万円オーバー・・・。よし欧州車だ!DS3スポーツシックなら・・・当たり前ですがやっぱり中古で200万円。車両価格だけならタマ数が圧倒的な中古のロードスターなんでしょうけど、車庫が必要になってくるのが痛い。それに格安の中古欧州コンパクト&MT(フィアットやアルファの絶版モデル)は故障が怖すぎです!

  こんな悩み?を抱えて日々過ごしている我々に、安全・安心・低コストに加えて、高品質・好デザインまでも持ち味になってきた「世界のトヨタ」が、乗り出し200万円でFRでMTのスポーツカーを作ってくれる!とっても「ウェルカム」な話じゃないですか!!! トヨタは市販化に及び腰になっているみたいですが、これはトヨタの生産技術の本当の素晴らしさを伝える切り札的なモデルになれると思いますけどね。信頼性と日本市場への知見の高さがあるからこそ、トヨタのスポーツカーを選びたい!(トミーカイラZZではちょっと・・・)という声に応えてこその「ナンバー1・メーカー」じゃないでしょうか?


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