BMW4シリーズ VS 日本メーカー新型クーペ

  北米市場で日産のインフィニティGクーペ(スカイラインクーペ)にセールスで完敗し「煮え湯を飲まされた」格好のBMW3シリーズクーペですが、プレミアムブランドは常にトップを目指すという宿命のもと、新型クーペモデルの「BMW4シリーズ」を投入します。3シリーズクーペの敗北の原因はやはりプレミアムブランドにしては地味過ぎるそのデザインにあるということで、外装デザインの大幅な作り込みが目立ちます。

  さすがはBMWというべきか、ライバルのスカイラインクーペ(VC36)のデザインを決して模倣することなく独自のアイディアで完成させてきたところは「あっぱれ」だと思います(日本のT社とM社にもこの精神を強くもってもらいたい)。ライバルの日産VC36「スカクー」のデザインのポイントはフロントフェンダーを力強く張り出させて、ボンネットに独特の曲線を描きスポーティさと高級感を同時に追求した、なかなか複雑な性格のデザインに取り組んだところです。ドイツ車よりも大胆に丸みを出してくる「ラテン系」のクルマ作り(ルノーの影響か?)がとても良い方向に出ていて、セダンをただ2ドアにしただけのデザインが多かった中で「スペシャリティ」感で勝っていると思います。VC35スカクーと比べてもその進化の度合い大きく、21世紀のスカクーとして新たなブランド価値を切り開くインパクトがありました。

  これに対してBMW4シリーズのデザインは、現行の3シリーズクーペがVC36スカクーと比べると「おとなしくて安っぽく」見えてしまうという欠点をいかに解消するかがポイントだったと思います。BMWは日産に徹底的に対抗して、フロントフェンダーやボンネットの形状にはほとんど手を付けず、フロントとリアのバンパーに大きく手を加えてきました(ブツけて交換したらお金かかりそうだな・・・)。この地面すれすれの部分だけのフェイスリフトが思いのほか効果的で、これだけでセダンとはまったく別のクルマに見えてくるので不思議です。

  さらにフロントフェンダーの後方にさりげなくダクトが付けられています。もちろんデザイン重視での設定でしょうが、両脇についたこの小さなパーツだけで十分に「スペシャリティカー」のイメージを作っているところもさすがです。この部分に関しては上位車種の6シリーズには見られないもので、3シリーズクーペの魅力不足を補うための苦肉の策ともいえますが、レースカーのようなパーツが付いていることでスポーティな魅力は確実に高まっています。

  来年に登場するレクサスISのクーペも「RC」という別名グレードになるようで、アウディA5・BMW4・レクサスRCのクーペ専用モデルのガチンコ対決も興味深いですが、各社ともにどんどんクルマが派手になっていきそうな予感もあります。実際に2ドアのミドルサイズ3BOXが600万円程度の価格帯でどれだけ需要があるのか?もやや疑問がありますが、ジャンル自体が盛り上がれば市場は簡単に広がるのが日本のクルマ市場なので、日本の風景を変えるようなブームがやってくる可能性もちょっとくらいはあるかな?と思っています。

↓正直言ってスポーツカーって賞味期限が短いような気がします(飽きやすい?)。「E63BMW6」や「RX-7FD3S」のような「選ばれた」デザインのクルマには普遍的なオーラが宿っていますが・・・。BMW4はどうなるか?


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