経営不振で米政府の管理下に置かれていたGMがV字回復を達成し、再び世界戦略を開始している。日本市場には欧州製(オペル製)の新型キャデラックが導入されているが、まだまだレクサスやドイツ車の脅威にはなっていないようだ。しかし、GMの実力はこんなものではない、今後日本のクルマ産業にとってVW以上の脅威となってくるだろうことが予想される。
北米市場をHVで席巻するかと思われたトヨタが、GMやフォードに対して最近では遅れをとるようになってきている。クライスラーを含めた北米ビッグ3の現在の成長戦略の中心にいるのはなんと小型車だ。従来は日本車とそれを追っているヒュンダイの得意分野とされている小型車だったが、ビッグ3がそれぞれに充実したラインナップを展開し大きく巻き返している。
経営危機の直前の時期までにビッグ3は外国メーカーとのM&Aで小型車のノウハウをきっちり獲得していたと言われている。GMはスズキから、フォードはマツダから、クライスラーはフィアットから先端の小型車技術を吸収して、現在世界中の生産拠点(タイ・メキシコ・南ア・ブラジル・ハンガリーなど)で生産を行っている(クライスラーはフィアットのOEMが中心)。さすがに本家の日本市場に進出するのは簡単ではないだろうが・・・。
マツダとの協業関係を維持しているフォードはマツダラインナップに重なるモデルの日本投入には消極的なようだが、GMは今後さらなるブランド力拡大を狙って積極的に日本市場を目指してくるはずだ。ニュルブルックリンクでGT-Rを超える最速タイムを叩き出したコルベットの新型(C7)もまもなく日本で発売になる。GT-Rを性能でもコストパフォーマンスでも上回るスーパースポーツの登場は、ホンダの新型NSXにとっても大きなプレッシャーになるだろう。
GMはGT-Rに匹敵するコルベットや、レクサスISのライバルとなるキャデラックATSだけでなく、次世代の日本車の象徴とも言える「新型アテンザ」に匹敵するクルマをもすでに欧州で発売していて、そのデザインの良さから人気が爆発している。それがDセグのセダン/ワゴンの「オペル・インシグニア」だ。大衆ブランドのオペル車なので、欧州に輸出されるアテンザとガチンコ勝負になっているクルマだ。新型アテンザはスカイアクティブDと洗練されたスタイリングを武器としている。対してインシグニアのストロングポイントは、様々な種類のガソリンターボの設定により最高のスポーツセダンとしての「価値」を謳っているから、なかなか手強い相手だ。
従来から欧州での売れ線は、燃費よりもドライビングフィールと言われている。新型アテンザの弱点を敢えて言うなら「レスポンス」に優れるエンジン設定が無い点だ。これに対してインシグニアでは「レスポンス」重視のエンジンに力を入れている。個々のエンジンを見てみると、2L直4ターボはボア×ストロークが三菱ランエボXと同じで三菱GDIのライセンスのようだ(日本仕様のATSと同じエンジン)。2.8LのV6ターボはその仕様を見る限りメルセデスC350の3.5LのV6NAのエンジンに匹敵する良いフィーリングを持ったスポーツエンジンだと思われる。しかもこれを搭載したインシグニアOPC(2.8Lターボ)の方がC350よりも10000ユーロ以上も安い。
オペル自慢のディーゼルエンジン搭載モデルももちろんあって、グレード設定は非常に多岐にわたる。三菱エンジンまでわざわざ揃える辺りにGMの欧州や日本進出への「本気」を感じる(もしかしたら元三菱の技師が設計した類似エンジンかも?)。当面は正規ルートではATSを売り続けるだろうが、ある時期が来たら必ずこのインシグニアを「究極のスポーツセダン」として日本で売り出してくるだろう。V6の2.8Lターボ(325ps)の搭載モデルを300万円台で発売したりすれば、アリストやセドリック/グロリアターボの復活だと大反響になるのではないか(そんな元気なオヤジがどれだけ残っているかはわからないが・・・)。
↓オペル製品はリーズナブルな価格設定です。クルマも本格的に日本に投入してほしいな。
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