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2018年6月17日日曜日

トヨタ・クラウン(2018 年6月フルモデルチェンジ)


クラウン・リベンジ!!

  ここ数世代のクラウン開発の内側を描いたドキュメント本なんかが出たら是非に買って読んでみたいと思う。それくらいにモヤモヤしたものに包まれたまま終焉の時を迎えた現行モデル(14代目)でした。トヨタの経営が苦しい時期だったので、思い切った改革ができないまま、メーカーもファンもフラストレーションを貯めてきました。外野は言いたい放題だし、14代目よりも悲惨なドイツ車に乗ってる連中からもバカにされる始末・・・。


ゼロでスポーティに、そしてさらにスポーティに・・・なんか変

  2005年からのレクサスの日本導入が規定路線の中で、2003年に登場した12代目ゼロクラウンは、11代目までの国内専売の高級サルーン設計で、ひたすらに街中で「フワフワ」の乗り味を披露してきたクラウン、マーク2などのFRハイソカーを整理し、設計を一新して、グローバルで通用するFRサルーンへと転身しました。もちろんレクサスの日本・欧州展開を控えて、FRサルーンのベースシャシーとなるクラウンのシャシーを根本的に変える必要があったわけですが・・・。


島下泰久さんには鉄拳制裁があったのか!?

  13代目まではセルシオ(現レクサスLS)&マジェスタがクラウンの上のフラッグシップの座にありましたが、14代目のマジェスタは中国市場むけにロイヤルのボデーをストレッチした仕様にしか見えずに不人気に。さらにこの14代目クラウンは若造で生意気だけが取り柄の自動車ライター・島下泰久に著書(間違いだらけのクルマ選び)で「まっすぐ走らないクズ」とまで酷評される始末。実際はそんなことはあるはずもなく、島下氏の運転が下手過ぎるだけじゃないか!?という気がしないでもないが・・・。


奇形なボデーサイズだが・・・

  12/13代目と同じシャシーをそのまま使い回ししている14代目ですが、同じ2012年に登場した3代目アテンザが4860mmまでボデーを拡大することが判明した段階で、どうやら慌ててボデーサイズを変えたのでは!?と思われる『発売延期事件』がありました。2代目までのアテンザに対しては、マークXがほぼ同じサイズに設計するなどしてその名の通り「マーク」していたのですが、マツダの予想外の「マーク外し」で、13代目クラウンよりも全長、全幅が拡大した3代目アテンザに対して、14代目クラウンはEセグメントの格式を見せつけるべく設計変更がされたと思われます。


リーマンショックが生んだ名車ってことになるの!?

  当時はリーマンショックによって赤字を叩いていたため、トヨタにはクラウンを新設計する余裕がなかったこともあって、13代目のデザインもほぼそのまま流用。しかし何も変わらないのでは、乗り換え需要頼みのクラウンにとっては致命的であり、グリルデザインだけを大きくいじって差別化を図ったためにトータルデザインの『破綻』は、フラッグシップサルーンとしては致命的だったですね。運悪くアテンザがワールドデザインカーオブザイヤーのベスト3に選ばれて注目されたりしたので、クラウン開発の不手際が際立つ結果に。


トヨタとマツダのデザインの差

マツダのデザイナーによると、14代目クラウンと3代目アテンザのデザイン水準の根本的な違いには理由が3つあるそうで、1つ目はマツダが市場調査を廃止していて、試作車を一般ユーザーにみてもらって意見をフィードバックするという作業をやっていないこと。2つ目は長年スポーツカーを作り続けてきたマツダは、クレイモデラーのレベルが他社を圧倒していてデザイナーの仕事がしやすいこと。つまりトヨタはパソコン画面でデザインし、マツダはクレイモデルでデザインしている。そして3つ目はデザイナーの能力の絶対的な違い・・・なんだそうだ。


機は熟した

  島下泰久にディスられるのも仕方がないくらいに成り立ちが不自然過ぎた14代目のクラウンの設計の内幕はどーだったんですかね。色々と想像力を発揮してしまうところです。しかし世間に物笑いにされながらも、じっと辛抱したトヨタは、臥薪嘗胆が実り、いよいよ営業利益2兆円(マツダの売り上げに匹敵)の時代を迎えました。開発資金もたっぷり。その気になればイタリアの有名なカロッツァリアの1つや2つを丸ごと買うこともできる。


マツダの尻尾を掴む

  散々に恥をかかされたマツダに対しても、桁違いのカネを見せびらかして、グループ内に引き寄せて、ビジネスパートナーに収めてしまった(マツダの挑発的行為が実ったとも言える)。最近になってフォードが乗用車開発をやめてトラック&SUVに注力する方針を示しました。マツダが抜けた穴が全く埋められなかったようだ。北米進出を狙うマツダにとっては北米での販売チャンネルを手にいれる絶好のチャンスだったかもしれないが、トヨタとの北米共闘契約を今更に反故にすることもできないだろうし・・・。


予定通りのいいクルマ!?

「社長の熱意」「時間」「カネ」・・・いいクルマが生まれてくる全ての要素を満たしているここ数年のトヨタ。プリウスも発売を1年延期して、マツダが開発したアクセラHVの「ハイブリッドブレーキ」を完コピして「走りが劇的に良くなった」といった評価を得た。C-HR、カムリHVと新型モデルは続きましたが、これまでのハイブリッドが抱えていた「走り」においてネガティブな要素は、残るはCVTくらいになった。


欧州からのラブコールは来るのか!?

ハイブリッド、2Lターボ、さらに噂によると「GR」ブランドから3.5LのV6ツインターボによるスーパースポーツ版も出るらしい。460万円〜と言う価格帯ながら、すでにEクラスや5シリーズに完勝してしまうレベルに到達しているって話なので、14代目からの大幅値上げ(381万円→460万円)も、お買い得なクルマとして先代以上に売れるのだろうか!?ちなみに14代目は発売直後は月に5000台のペースで半年から1年売れ続け、末期になっても1000~2000台の水準は維持していました。とりあえず14代目と違ってちゃんと「高級車」に見えますね・・・。レヴォーグのように欧州市場からオファーが来るのか!?




 


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2017年12月14日木曜日

VWアルテオン 「真面目になったVWはいいかも」




サイズ4865×1875×1435
  

  東京MS2017に合わせてVWの最上級セダン・アルテオンが発売されました。正直言ってパサートの2Lターボエンジンを積んだモデルが、最近のドイツブランドでは「良い雰囲気」を持っていたので、このパサートが日本市場でジワジワ伸びて定着すればいいなーと思っていたところに、ワンクラス上のモデルが来てしまいました。パサートがマークX/カムリだとすると、このアルテオンはクラウン。果たしてこのラインナップの厚みは日本市場で通用するのか!?

参入モデルが少ないのをいいことに価格が高騰していた日本の高級セダン市場に、強烈な電撃ショックを与えそうな『280psAWDで549万円』というなかなかのバーゲン価格になってます。まさかホンダの「お買い得」なフラッグシップであるレジェンドを100万円も下回って来るとは思いもよりませんでしたねー。北米価格は3万ドル程度(BMW320iとほぼ同じ)なのでまだまだ400万円台まで値引きもいけるのでは!?

スペック280ps/5600・35.7kgm/1700

渋いの好きな人にはたまらないですよね。気に入ったなら、あまり後先考えずに買ってもいいかも。ファミリーカーとしてもデートカーとしても嫌味が少なくてポイント高そうです。VWは小型車のイメージが強いですから、ちょっと大きめのクルマを作るときはデザイン事務所(カロッツェリア)を使うことが多かったり、場合によっては設計そのものを外注することも。クラシックカーとして人気がある『カルマン・ギア』をエクステリアだけでVW車と認識できる人は少ないはず。



2L直4ターボ&7DCT 


このクラスのクルマになると、作っているメーカーも「ブランドのアイデンティティ」を強く意識してくるので、レクサスGSやホンダレジェンド、日産フーガ、ジャガーXFなどどれも「窮屈」なデザインに見えちゃうんですよね。もっと自由にデザインしたらフォーマルなセダンも変わるだろうにと思うのですが、2000年代にBMWの伝説的なデザイナーが、あまりに自由に振舞ったために大ブーイングを受けた記憶がまだ業界全体を覆っている!?

そう言った意味でもアルテオンは他ブランドのEセグメント車とは違って堅苦しさもないし、高級車アピールでゴテゴテとするわけでもなく、もうすっかり忘れかけていた『ドイツ工業デザインの美徳』を思い出させてくれる落ち着きがあります。まあ決してメルセデスの大暴走をディスっているわけではないですよ。MBもOECD市場における豊かさを真剣に考えた結果の「インテリア重視」のデザイン改善がラインナップ全体に貫かれています。それが狙い通りに日本市場でもヒットしてる。

Rライン549万円 / Rラインアド599万円

アウディではなくてVWってところがミソです。メルセデスを追いかける役割があるアウディA6は、様々な機能においてなかなか割り切りができない。スバルみたいなカルト的設計のシャシーに、いかにも重厚なサスを配して、さらにでっかいスタビが入って、ボデーにはアルミが採用されるもクワトロモデルは乾燥重量は1800kg前後に及びます。これを252psで引っ張る『A6・2.0クワトロ』と、1700kgのボデーを280psで振り回す『アルテオン』。これが実際に乗ってみると結構違うんですよ。

大雑把に言えば、スバルレガシィB4とマツダアテンザをそれぞれ2.5L自然吸気ガソリンユニットで乗った時に感じる違いってやつでしょうか。A6はレガシィB4よりもさらに粘っこいハンドリングは好きな人にとってはいいkも。アルテオンはアテンザのような軽快さが持ち味です。最近のマツダに似てエンジンの吹けも渋いけど・・・


日本市場に新風を!! 

パサートとは別にこのクルマを作った意図としては、パサートはあまりにもカンパニーカーとしてのイメージが強すぎるので、「インスタ映え」とか いう言葉が飛び交う『ビジュアル社会』にハマるためにも別のモデルが必要だったってことだと思います。もうレクサスLSではもうアガらないから、レクサスLC作りました!!というのと狙いは同じ何でしょうね。

日本市場のユーザーにはこの辺の事情がわかりかねますけども、VWのこの新型車を上手く使いこなすセンスのいい人が街中にポツポツでて来たらいいですね。


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2017年8月18日金曜日

アルファロメオ・ジュリア 『いよいよ日本発売・446万円〜』

  もう1年以上も前からアナウンスがされていたので、まだ発売されてなかったのかー!!・・・なんて呑気な人はいないですよね。他のクルマに脇目も振らずに、一心に待ち望んでいた!!アルファロメオが本当の意味で復活する!!ミ○とかジュ○エッタとか誤魔化しの奥様向けアルファはもううんざりだー!!・・・と156に乗り続けていた人もいるはず。

  残念ながらアルファロメオも本国イタリアではディーゼル疑獄事件に連座していて、なんとディーゼルモデルの日本導入は見送られたようです!!どーやら色々とアウトらしい!!まあでもVWと違って、そもそも存在自体がセーフかアウトか不明なアルファロメオですから、そんなことがあってもなんらファンの気持ちが離れることはないはず。とにかくお行儀の良さだけを誇る日本ブランドに辟易しているクルマ好きが吸い寄せられるブランドです。裏を返せばマツダや日産に少々がっかりしている人々が・・・。

  日本価格もノーマル446万円、スーパー543万円、ヴェローチェ597万円と決まったようです。さあア○ンザとかシ○ックとかカ○リとか凡庸なセダンを買うのはバカバカしいなーと思っているならアルファロメオ・ディーラーへ行ってみたらどーでしょうか。510psの馬鹿エンスーモデルに仕上がっているという『クワドリフォリオ』に注目が集まりますけども、2Lガソリンターボのモデルにもなかなか『らしさ』があって楽しめるクルマになってると思いますよ!!ちなみにスペックはノーマルとスーパーが200ps(FRのみ)で、ヴェローチェが280ps(AWDのみ)。

  某海外メディアの報道によると、乾燥重量は1300kg~1400kg台とのことで、このサイズのFRセダンとしてはかなりの軽量設計ですから、ちょっと大きい『シルビア』と『ランエボ』みたい車が同時に出てきた!!と言っていいかも。そしてクワドリフォリオは『GR-R』。しかも載ってるFCAの2Lターボは、日本でのエボ復活を期待する輩が望む『4B11』と基本設計が同じエンジンで、いわゆる三菱・ヒュンダイ・クライスラーの『GEMA』(4B11)をさらに改良してスクエアからショートストローク化した『タイガーシャーク』と呼ばれるユニットです。

  特にオプションがたくさん付いてそこそこの価格に設定された『ファーストエディション』といった販売ではなく、最初からカタログモデルでの販売になるようです。ちなみにクワドリフォリオの納車は、よほど大きなディーラーでないと見込みでは入っていないようで、ほぼ受注生産になるようです。てっきりメルセデスAMGの『45シリーズ』のような物量作戦を仕掛けてくるのか!?と思ってたのですが、丹念に1台1台を塗装からオーダーメイドで入れていくとのことです。まだまだあらゆる面でメルセデスとは大違いなアルファロメオですねー。

  価格に関しては一時は300万円台を検討する!!みたいな報道もあったので期待したのですが、やはり450万円を下回る妥当な価格設定になりました。ジュリエッタとの価格差を考えればこれがギリギリの設定ではあります。・・・が冷静に考えるとこのクルマ結構すごい!! 本国生産で(現状では)フラッグシップで、三菱ライセンスの直噴ターボが搭載され、しかもショートストローク!!、さらに多段式トルコンAT(ZF-8HP)が装備され、90年代アルファの象徴であるフロント-ダブルウィッシュボーンが復活、そしてサイズもジャガーXEに近似するサイズ。後席のレイアウトもそこまで窮屈ではなさそう。なかなか無敵な設計なんです!!

  ・・・等々のことを考えると、ジャガーXE・pure(489万円)を50万円近く下回ったのは好感が持てます(しかもジュリアはフラッグシップだ!!)。もちろん取得コストを考えるとBMW320iの方が安く抑えられるかもしれませんが、3erはストラットですし、ターボエンジンのピークも低く、なんら外部的な要因がなければ下取りもだいぶ安くなりそうです。もちろんMT車希望というなら話は別ですが・・・ちなみにジュリアはクワドリフォリオとヴェローチェのみ左ハンドルのMTがあるようです(日本にも導入)。右ハンドル車は全てATのみになるとか。

  ちなみに『アルファ版のエボ』となるヴェローチェのMTは、ランエボにDCTを供給したことでも知られる独ゲトラク製が使われます。ちなみに510psのクワドリフォリオのMTは、ゲトラグの限界を超えた!?ようでZF製(アストンマーティン・ヴェンテージのMTと同じ)のようです。主な外観上の違いはマフラ2本出し&19インチ専用ホイールです。なんと言ってもアルファロメオ初のAWDですが・・・お察しの通りマセラティのギブリ、クワトロポルテに設定されているシステムの『お下がり』です。しかしギブリS・Q4は1164万円、クワトロポルテS・Q4は1509万円の『ガチ』高級車ですから、それと同じシステムが597万円は相当なお買い得感がありますねー。買うとしたらヴェローチェか!?

  マセラティ&アルファロメオの『Q4』システムですが、基本的にはFRベースのオンデマンドAWDですが、F:R=0:100が最大で60:40まで動くタイプのようです。その意図は定かではないですが、BMW縦置きの『Xドライブ』やメルセデス縦置きの『4マティック』が0:100から50:50までの可変領域しかないのを踏まえ、それをエンジニアリング的に超越した存在にしよう!!という意地があったのかな?とにかくドイツブランドへの対抗心が強いようですね。

  そもそも『ヴェローチェ』の試乗車が入るのか? AWDはとにかく試乗しないことには何も始まらないですから・・・。レヴォーグ2.0TとWRX・S4に搭載されたFR的な走りをするスバルの新企画のAWDシステムは、街中を流すだけではなかなか伝わらないので、サービスマンがわざわざ交通量の少ないルートへ案内してくれて、とにかく踏んでみてー!!とか言ってましたねー。確かにブレない!!けどちょっとヌルいと感じる人もいるかも(あくまでスバルの話です)。

  走りにこだわるブランドらしく、捨てグレード一切なし!!ディーゼルが導入できないことで、一層ラインナップが引き締まった感があります。『シルビア』『ランエボ』『GT-R』・・・日本のクルマ好きが鼻血出しそうなエッセンスが詰まったモデルだと思います。これは売れるといいですねー。日本車大好きな私ですが、シビック買うくらいなら断然こっちかも!!って気がします。GHアテンザやV36スカイラインから乗り換えるモデルが見当たらないエンスー派にとっても『スーパー』や『ヴェローチェ』でも十分に魅力的ですよー!!



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2017年3月2日木曜日

BMW5シリーズ(G30系) 「個性的な堅実さ・・・そして歴史的名車の予感」

  BMWの新型5シリーズが発売されましたが、予想以上に・・・地味ですね。でもこれでいいと思います。アウディ(A6)、メルセデス(Eクラス)、レクサス(GS)などは完全に「見失って」ますよ・・・セダンってどんなだったっけ? 2011年にレクサスGSがアウディに影響されて奇抜なグリルを使い出した頃からでしょうか? どこぞのコンサルタント会社の提言なのか? 奇才デザイナー福井得雄氏の専制なのか!? 「力入り過ぎ」で「狙い過ぎ」で・・・少々痛々しいデザインが氾濫した結果、いつしか「幼稚?」になってしまったEセグメントセダンの現状に「警鐘を鳴らす」という意味では、今回の新型5erは非常にタイムリーで素晴らしいクルマじゃないでしょうか? (Eセグを欲しがるユーザーはアホだ!!という意味ではないです・・・悪しからず。)

  しばしば「ブタ」とか悪態をつかれるBMWのキドニー・グリルですが、他のプレミアムブランドの特にグリルデザインはどれも「ちょっと大き過ぎでバカっぽくない!?」と感じる人には納得頂けると思いますが、なんだかんだいってもBMWのキドニーはとても上品です。アウディやジャガーはちょいデカ過ぎ。メルセデスはムダに突き出した感じが少々安っぽい。そして大問題なのがレクサスとキャデラックなんですが、この2ブランドはもうなんだか直視できないレベルに破綻しちゃっている(気がするのは私だけ?)!!デザインだけで判断するべきではないですけど・・・コイツらはアメリカだけ走ってろ。

  「これら」のクルマは一般的なイメージでは「お金持ち」のクルマなので、庶民感覚でメチャクチャに評されてもブランドにとっては結構な迷惑なんでしょうけど、そこそこの年収がある人々に、なんとかローン組ませて売り込めるくらいのギリギリの600~700万円で勝負したい!!という下心がデザインからも価格設定からも見え見えじゃないかと・・・(7erのDMは来ないけど5erのDMはたくさん来るし)。

  スペック的にもちょっと残念なことに、もうすっかり「直4ターボ」が定番になってきたフルサイズセダン。実はEセグセダンはアメリカでも完全に下火になっていて販売減が止まらない!!ようで主戦場は完全に中国へ移っています。メルセデスEクラスもキャデラックCTSも開発を担当する部門がマーケットの関係上中国へ移されていて、それぞれ最大の生産工場が中国に移されました。2Lターボを基本にするようになったから中国!!・・・ってのはちょっと早計かもしれないですが、とりあえず日本のユーザーの琴線(個人的見解)とは完全にズレたユニット(2Lターボ)ばかりがどんどん増えている現状を見ると、やはりこのクラス本来の魅力は無くなっていきますね・・・このクラスのクルマが魅力を失ったら落ちぶれるのは早いはずです。

  そんな「危ない方向」へと突き進むラグジュアリーサルーンの一団をどこかの「健全」なメーカーがなんか目立つことして止めてくれないかなー・・・なんてセンチメンタルな気分で見ていたんですけど、素人がそう思うくらいですから、やっぱりそれなりに頑張ったモデルが出てきてチャンスを掴んだりします。まずはアコード&アテンザ。「日本のFFセダンをなめんなよ!!」・・・アッパーセダンといえばFRという固定概念はまだまだあるわけですが、ラグジュアリーセダンに求められる静粛性だったり直進安定性だったりを追求するならFFの方が構造上は有利。さらに燃費や運動性能の問題を解決するには軽量化が不可欠ですけども1600kgを割り込むレベルの軽量化にまで踏み込めるのは、トラクションのことを考えるとやはりFF(アテンザ乗りの言い分)。アメリカではフォードも日産もFF車のEセグセダン売ってますし、いよいよボルボも待望のS90を日本で発売しました(FFです)。

  ターボ志向で未来的なFRデザインの「中国系」、FFによる合理的設計とトラディショナルなタフデザインの「北米系」、そしてドイツブランドの影響を強く受けるデザインのラグジュアリーHVサルーンが好まれる「日本系」。おそらくメーカーの中ではこの中のどれに寄せていくのか?がEセグセダンの新型モデルを生み出していく過程で非常に重要な選択になると思います。

  たとえばレクサスの3モデルを特徴で分類すると、LSは「北米系」、GSは「日本系」、ISは「中国系」とキャラを振り分けた形になっています。複数の市場を相手にするグローバルモデルの難しさではあるとは思うのですが、それぞれの市場で成功したとはいい難い状況ではあります。LSは日本でも使えるサイズのフラッグシップという悩ましい制約を抱えていて、北米に販売が集中しているパナメーラ、クワトロポルテ、ベントレー(フライングスパー)などのLセグセダンと比べて迫力不足(個人的見解)で、マセラティが数年前に投入したギブリは、LS(75000ドル〜)よりも安い71000ドルに設定され発売とともにブランドの販売数を前年比400%まで押し上げました。もっとも某米誌の分析では最も喰われたのはLSではなくてBMW6erグランクーペ(80000ドル〜)だそうですが・・・。

  レクサスがわかりやすいので話を続けますが、「GS」はとても日本的なアッパーセダンとして乗り心地、経済性、サイズに拘った設計になっていて、実際のところ1台で全てを賄うならば3台ではGSがベストという人が多いのでは!? GSはレクサスが日本に導入される前から「アリスト」という名前でラグジュアリーとスポーティを共存させるトヨタを代表する「万能型セダン」でした。アリストの時代から100万円ほど高くなっただけの現行GSなんですが、18歳で働き始めた中学の同級生が猛烈に憧れてローンで買ったあのアリストの魅力が今のGSにはあるのか!?といえば少々疑問。

  顔がドイツブランド的なグリルを強調したデザインになり、走りもドイツ車的な「マイルド」さを持つようになりました。ドイツ車がマイルドとか言うと「何言ってんだ!?」とか突っ込まれそうですが、ドイツブランドは「M」「AMG」「RS」以外のモデルは徹底的に控えめなスペックで仕上げる文化になりましたよね。Sクラスだって欧州では直4ターボ(ガソリン)で売ちゃうくらい。E200や523iなんて低速トルクが無さ過ぎて狭いところで車庫入れするのは結構面倒ですよ。これで日本の混雑地域を毎日走るなんて愚か過ぎる気が・・・。(E200や523iに乗るくらいなら)諦めてアクア買った方がいい。

  現実にアリストはスカイラインGT-Rに匹敵するような加速性能(=当時の市販車最高レベル)を持ってしましたが、今のGSの加速性能はベースグレードはノートe-POWERにも負けてしまうくらい(GS-Fなら速いですけどね)。アリストは今のGS-F(1100万円)みたいな立ち位置のクルマで、しかも3L直6ターボモデルで500万円台というコスパですから、ほぼほぼBMW140iくらいの負担で買えたわけです。そりゃローンを組みたくもなるよね。そういえばトヨタの役員がアリストターボでスピード違反したっていう平和なニュースもあったっけなー。どうでもいいことですが、これってもはや「確信犯的な宣伝行為」を疑われる案件であって、「量刑」の加重事由になりうるんじゃないの(笑)。

  どっかの雑誌がレクサスGSは現行限りで廃止される!!みたいなこと書いてました。北米市場における初代GS(=アリスト)はとっても日本のユーザーの琴線に触れる良いクルマだったんですけどね。ただしレクサスが悪いわけではなく、ずっとEセグ全体が迷走し続けてきた結果なんでしょうけどね。BMW5erもE60、F10と2代にわたって迷走を続けました・・・。その前のE39は文句無しで「世界で一番有名なセダン」だったんですけどね。E39を担当したデザイナーは永島譲二さんでした。その永島さんが再び新型7er(G11系)を担当していますが、新型7erも2世代の暗黒時代(E65、F01)を抜けてくれそうな予感があります。

  7er(G11系)にしても新型5er(G30系)にしても、一見大人しそうな風貌が少々災いしてか、オッサンライターからの評判はイマイチです。しかしこれはとてもいい傾向じゃないですか!?今のメルセデスのセダンデザインが良い!!とか言っているオッサンライターの感性なんて何の価値もない!!(と私は思います)。こればっかりは個人の趣味なので賛同していただけるかはわかりませんが、新型5er(G30系)のエクステリアを見ていると、学生の頃に憧れたあのE39系が21世紀に復活した!!みたいな興奮が湧いてくるんです。そしてその当時に輝いていたあのアリストの端正なボデーデザインにも通じるものがあるなー。直6ターボの540iMスポが約1000万円、直4ターボ(245ps)の530iMスポが800万円・・・そしてV8ターボのM5が1500万円くらいかな? グレードはともかく、もしBMWを買うなら迷わずコレだな!!強い「衝動」を感じるクルマに久々に出会いました。

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↓どっちも新プラットフォームですが走りはEクラス有利という評価も・・・


↓BMWを徹底的に批判した「傑作」です。沢村さんの叱咤激励がBMWに届いた!?
  

  

  

  

2016年12月13日火曜日

トヨタ・マークX Dセグの珍車が8年目に脚光を浴びる!?

  トヨタ・マークXが何やら新展開を迎えています。プレミオ/アリオンに引き続き、突然のアナウンスとともに、大胆なフェイスリフトが行われました。あまりの変貌ぶりに前の顔の面影はほとんど無くなりましたね。しかも最近のトヨタに有りがちなアバンギャルド顔でもなく、とてもナチュラルな仕上がりで好印象です。

  現行モデルは2009年デビューの2代目ですが、不幸にもリーマンショックの嵐の中での船出となり、さらに東日本大震災の混乱に見舞われて全く脚光を浴びることなくモデルの前半を過ごしました。あまりの不調に2012年頃には「次のマークXはFF化してカムリと兄弟車になる」という怪情報すら流れていましたっけ。特にベストカーは堂々と「次のマークXはFFで1.4Lターボを搭載する」みたいな情報をどうやら意図的に流していました。K沢やI川やらどっかのメーカーの工作員が執筆陣として複数入り込んでいますから、普段からやたらとガセネタが多い雑誌ではありますけど。もしかしたら当時はトヨタの幹部もそう考えていたのかもしれませんが・・・。

  初代マークXでも同じことがいえますが、デビューからしばらくの2代目マークXは、このクルマの独特の立ち位置のせいもあって、実際に乗ってみても大きく訴えてくるものが無かったのも事実です。初代がデビューした2004年頃には、ミニバンやSUVに圧されて日本メーカーのDセグセダンはすでに日本市場には居場所がありませんでした。当然のことながらV35スカイラインもGGアテンザも最初からグローバルカー市場で頂点を目指す!!という方針のもと設計されました。

  トヨタはいち早くアルテッツァ(1998年デビュー・レクサスIS)を海外市場向けに送り込んでおり、その後に企画されたマークXは国内専売モデルとして、「走り」よりも「居住性」などの日本的な価値観に基づいて設計されていました。開発年度が違うということもあってか、アルテッツァとマークXを兄弟車にするという発想はなかったようで、直6・直4のアルテッツァに対して静粛性重視のV6を使うマークXという明確に違う立ち位置でした。

  アルテッツァは英国カーメディアにも「打倒E46を掲げる日本からの刺客」と破格の好評価で迎えられました。1998年当時に欧州市場で最もブランド力を持っていた日本のセダンは、欧州向けホンダ・アコードで、規格外のVテックによる戦闘力はアルファロメオやアウディの技術者魂に火を着けたと言われています。アルテッツァの襲来に続いて、日産が欧州にもその名を轟かしていた伝説のスカイラインGT-R(R34)がイギリスでの正規販売を開始し、2002年には初代アテンザが欧州で破格の大ヒットを遂げました。

  欧州で俄に高まった「日本VS欧州連合」によるDセグ対決ですが、元々は1990年にバブル期の過剰投資そのままに水野和敏氏(主査)&前澤義雄氏(デザイン)の超強力タッグによって作られたP10プリメーラが、BMW、プジョー、アルファロメオなどの欧州GTカーブランドに大恥をかかせるような大ブレークをしたことから始まります。その後に欧州の威信を賭けてBMW3erの歴代最高傑作として名高い「E46」や、映画「TAXI」でも大活躍のプジョー史上最高の「406」そしてアルファロメオ史上最高の「アルファ156」など、デザインも走りも極限まで洗練されたDセグが対抗モデルとして作られます。

  世界の多くのブランドでDセグが圧倒的に高性能なのは・・・水野さんのおかげなんですね。ただしマークXに関しては全くその流れには乗っておらず、国内専売のまま無菌状態で「培養」されてきました。この開発の過程がクルマ好きからマークXが全く相手にされない決定的な理由なのだと思います。しかし時代は流れてDセグセダンのトレンドは「スポーティ」から「エコ&ラグジュアリー」へと180度変わります。

  ホンダは欧州向けアコードおよび「ユーロR」を廃止し、アキュラ向けの北米ラグジュアリー路線へとシフトさせボデーサイズはEセグ並みに拡大しています。北米の雄ホンダに追従するようにアテンザやスカイラインもボデーが拡大する傾向にありハンドリングのキレはかつての「スポーティ」セダンのような凄みは無くなりました(デカ過ぎ)。そして欧州勢も同様にBMW3erはE46⇒E90⇒F30とメタボの一途を辿り、プジョーも406⇒407⇒508の変遷の中で存在感が一気に無くなってしまいました。もうそっとしておくしかないですね・・・。

  その後も陽の目を見ることもないままに販売が継続されていたマークXですが、8年目にして大胆なフェイスリフトが行われました。このままモデル廃止かと思われましたが、トヨタの優秀なマーケティング部門はこのクルマにまだまだ可能性が残されていると判断したようです。BMWもマツダも新型シャシーを投入した現行モデルでの評判が芳しくない。たまたま「水野さんのトレンド」に乗っかってE46もGGアテンザも売れたけど、現行のF30やGJアテンザは完全に「道」を見失っている。今がチャンス!!といったところでしょうか。

  「BMW318i (409万円)」「アテンザXD・Lパケ (377万円)」「マークX350RDS (385万円)」のステップAT使用の3台を比べると、レザーシートが標準装備でサイズも一回り大きくてキャビンスペースも広々していて、さらに燃費もいいアテンザが最もお買い得に見えます。一方でBMWの売りは最小ボデー&1400kg台の軽量による取り回しの良さ、後席に十分に座れるレイアウトの巧みさ、それから「BMWですよ!!」と主張できるステータス性。これはこれでツボをしっかりと抑えた商品性を持ってますね。そしてマークXは318psの圧倒的な性能と、エンジン起因の静粛性の高さ。BMWやマツダには無い豊富なオプション&パーツ。

  実際に「マークX350RSD」で欲しいオプションを遠慮なく選んで見積もってみたら支払い総額は487万円になりました。レザーシート、ムーンルーフはもちろんで、さらに6wayのサウンドシステム。ウエイティングランプとLED華飾ランプと特別な室内灯。ナビ&リアビューカメラ、ドラレコにETC。さらにトヨタのスゴいところは、フロントシートの背もたれを後ろに倒すとフラットな空間ができる「車内泊」仕様。この装備に関してはトヨタらしいユーザーをよく研究したマーケティングだなーと感心しますね(具体的な使い道には言及しませんけど)。

  いまどき3.5LのV6でハイオク7km/L程度の燃費ではお話にならない!!のはその通りなんですけども、多くの日本市場のセダンがHV化やディーゼル化へ一気に動いてしまった結果、立派な体躯に見合わないほどラゲッジが狭かったり、CVT化によるセダンらしからぬヌルいフィールだったり、ディーゼル音による高級セダンイメージの崩壊など、混乱を極めているといってもいいかもしれません。やっぱり高級車なら6気筒の自然吸気だろ!!と再び回帰を考えるユーザーの前に提示されている価格は日産&レクサス700万円〜、BMW&メルセデス800万円〜という全く売る気がないような設定・・・。

  そんな中でオプション満載でも乗り出し500万円以下で済む3.5L自然吸気のセダンってとても貴重な存在だと思うんですよ。ちょっと前にG'sモデルが発売になるなど、トヨタが考えるスポーティセダンとして新たな商品価値が付加されて、8年目にしてさらに進化しようとしている2代目マークX。高級セダンのFR機構としては断トツで世界最高の静粛性を誇るトヨタの「本質」が手軽な価格で味わえるのも素晴らしいです。レクサスやクラウンで使われる8ATではなくて、スポーティに振った6ATを使い続けるところも好意的に受け止めたいです。覚悟がある方にはぜひオススメしたいクルマです。




2016年12月7日水曜日

BMW318i 409万円!!日本メーカーを挑発!?

  BMWから「318i」というだいぶお手軽な3シリーズが登場しました。本国では以前から発売されていたようですが、BMWのボトムを担う1.5L直列3気筒ターボ(138ps)が搭載されています。価格はいよいよ400万円ジャストまで下げられました。いざ買うとなれば諸費用込みで400万円ジャストくらいにはなりそうです。残価設定が5年で40%だとして、残りは240万円。頭金は150万円もあれば、月々の支払いは2万円程度。ボーナス払いを使えば1万円台です。いよいよ「ぼくらのBMW時代」が到来したようです。(保険とガソリンと駐車場で合計で少なくとも月に3万円は維持費がかかるけど)

  これまでも1シリーズというハッチバックのモデルが300万円を切る価格で設定されていましたけど、やっぱりBMWといったら3BOXスタイル(ボンネットとトランクが付いたセダンタイプ)じゃないとイマイチ気合いが入らない!!マツダ・アテンザやホンダ・アコードがディーゼルやらハイブリッドやらを配して本体価格400万円を越えている時代ですから、それを考えると318iという選択肢も決して安くはないけど悪くはないなー。そもそも3erは従来からアコードやアテンザよりも日本で売れていたわけですけども、BMWはもっと売りたいみたいです。

  現行3シリーズのF30系は2012年のデビューとともにディーゼルを日本に投入して、クリーンディーゼルを日本でも普及させた大きな功績があります。もしBMWが動かなかったとしたら、マツダが大々的に直4ターボを売り出しても、日本での成功は全くおぼつかなかったでしょう。BMWのネームバリューがあったから、ディーゼルエンジンに対して好意的なレビューや意見が多かったのは間違いないです。

  それでもF30系自体はいよいよ3シリーズを安定志向にさらに推し進めたこともあって「BMWを買う意義」という点ではやや魅力が乏しかったのも事実です。正直言って500万円という価格に見合った価値は微妙なところです。もちろんニーズは人それぞれであり、バランスのとれたプライベートサルーンが欲しければ、後席スペースもやや広くなったF30系は「ジャスト」ではありますし、国産車にそれを巧く互換するモデルが少なくなったのも確かです。スカイラインの2Lターボはあまり国産車としての割安感が無いですし・・・。

  そんな3erの使い勝手の良さを残しつつ、ダウンサイジングで手頃な価格設定になった318iは、単純にユーザーに選択肢を与えるという意味以上の意義があるんじゃないか?ってのが本稿の主題なんですけども、さてさて安くなって、とりあえずBMWにやって来る客は増えるでしょう。都市部でクルマを使うってなんだかセレブな感じですけども、今後は都内で女性が乗るBMWの主流になっていく可能性が高いです。ゆえに着実に売り上げは伸びると思われます。

  ライバルとなるCクラス(1.6Lターボで436万円)やアウディA4(1.4Lターボで447万円)よりも318i(409万円)が選ばれる理由は?と言われるとどれもこれも的外れな気がしてしまいます。この3台なら運転して楽しいのはBMWでほぼ間違いないですし、シートなどもなんだかんだでBMWの品質が最も安定していたりします。でもそんなことは全部すっ飛ばしてもやっぱり日本では「キャラ」で決まるんですね。「ビーエム」って名前がとにかくカッコいい!!その語感の良さだけでずっと売れてきたわけですから・・・。「アルファロメオ」や「ロレックス」と同じ。まずは性能よりも名前が大事です。名前さえかっこ良ければファンが勝手に性能を「水増し」してくれます。・・・コレが318iが売れるもっともらしい理由です(笑)。

  Dセグセダンの国内市場はハッキリ言ってドイツ勢と日本勢によって独占されていて、ボルボやキャデラック、プジョー、ジャガーは今のところまったく取り付くことができていません。エンジンスペックを下げたり、ディーゼル化で効率重視に舵を取るドイツ勢とマツダに対して、ハイブリッドによる力技で技術を誇示する日本勢という構図です。それぞれに結果は出ているようですが、お互いに相手を圧倒するには至っていない「決定力不足」が続いています。

  販売台数からみるとCクラス、3erが毎月1000台以上のペースで売れていて、どうやらこのクラスのトレンドはDセグの車格と取り扱いを重視したサイズ(全長4700mm程度)が人気というか、ニーズがあるようです。トヨタもそれを見越して10年目の2代目マークXにフェイスリフトを施してきました。しかし搭載エンジンは15年以上前の設計の2種類のV6だけって・・・。ハイブリッドもターボも採用しない代わりに価格を抑えています!!ってことなんでしょうけども、Dセグセダンとはいえ9km/L程度がせいぜいでは「半額でもいらねー」という人もいるかも。

  ドイツ勢がなんで今になって、さらなるダウンサイジングを推し進めてきたか?というと、これは本国や日本での拡販だけを狙っているわけではなくて、成長著しい新興国市場での需要を取り込むために、あくまでプレミアムカーとしてですが、勝負できるパッケージを目指したと言えます。見方によっては「プレミアムの安売り」なのかもしれませんが、ホンダがアコードに1.5Lターボを使ったり、マツダがアテンザに1.5Lディーゼルを使ったからといって、このドイツプレミアム・スリーの新たな戦略にはもはや対抗出来るとは思わないです。

  アメリカ市場の発注通りに大型化したサイズでクルマを作っているホンダやマツダに対して、ドイツ勢は「ドイツ的な考え」からはじき出されたサイズを頑なに守っています。マークXという10年の生き残りが証明していますが、日本のセダンは「日本のスタンス」を保持することを比較的最近に止めました。アコードもアテンザも先代までは日本用とアメリカ用の2サイズが存在しましたが、なんと日本用の方を廃止してしまいました。これでは日本で支持を失うのも仕方ないことです。

  BMWとマツダを比べると、「妄想ですか?」とか言ってくるビーエム好きがたまにいます。確かに語感では勝負にならないかもしれないですが、クルマの質なら良い勝負です。しかし改めて3シリーズとアテンザを比べると、あくまで「ドイツ的」なクルマ作りに徹して「サイズ」も「エンジン」もデザインされているBMWに対して、ボデーは「アメリカ&中国向け」でエンジンは「欧州向け」でバラバラのマツダはやっぱりクルマの印象がぼやけます。「ドイツ的流儀」を貫いてさらに価格も400万円とマツダの価格帯に近づいてきました・・・やや今更な感じがありますが、マツダやホンダには「318iに対する返答」をぜひ期待したいものです。





2016年10月12日水曜日

The New E Class 「まったく新しい世界観・・・全てのプレミアムを風化させる突風!?」

  ちょっとイヤらしい話なんですけども、「高級車に乗りたい」という直情的な願望と、「高級車に乗らないとちょっと気まずい」という諦念・・・この真逆ともいえる『感覚』の違いによって残酷にも2つのグループに分けられるユーザーの間に大きく横たわっているのが、『格差』ってやつなんですかねー。いやいやそれは『世代の格差』ってヤツじゃねーの!?20代そこそこで「Eクラス乗ってやる!」と志す人の無鉄砲な選択も、しっかり身を立てて50代の「格」ってのを立派に保つためのEクラスの選択もあるでしょう。(20代でEクラスってなかなか無いかな・・・)

  別々の方向(動機)からやってきたユーザーに対して、ブランドが上手く折り合いを付ける!!!これこそが旬の『プレミアムブランド』の姿じゃないか!?、現実に勝ち組・負け組として経営上の好不調を分ける重大なポイントになっているような気がします。「願望派(若手)」にも「諦念派(年配)」にも喜んで買ってもらえるブランド作りこそが肝なんじゃないですか!!!

  机上の理屈では何とでも言えますけど、これを実際のビジネスの中で具現化するには、なかなか絶妙な舵取りが必要になってくるはずです。その過程ではいろいろ「無理」な部分があちこちから出て来ますし、一歩間違えればブランドイメージがあっさり崩壊します。必要なのはどんなに逆風でも、ユーザーに購入のハードルを越えさせるだけの「吸引力」が備わっているか?ってことになるのかもしれません。今では上はベントレーと、下はスズキとまで本気で競合する超ワイドレンジなラインアップを誇るメルセデスの中で、新たに登場した新型E クラスはどういう開発の位置づけなのか・・・これはメルセデス全体を冷静に分析してからじゃないと購入したあとに後悔しそうです。

  自分で書いてても訳が分からなくなりそうですが、とにかく問答無用で様々な年齢層のユーザーが惹き付けられて、かつ200万円台から2000万円台まで幅広く展開していて、2000年代後半には完全に「斜陽」と思われていた老舗ブランドが予想外の形で復活していく姿をリアルタイムで見せつけられています。単に「メルセデス」というネームバリューだけではなく、他を圧倒するような基本性能の優位性というわけでもないけど、なぜか惹き付けられるんですよ!!!まるでテスラのように21世紀に誕生しました!みたいな時代の寵児のような躍動感すら感じさせるクルマ作りにただただ魅了されてるんですよ!!!これまでずっと日本車が一番と思っていたのに、今回ばかりは不思議と惹かれてしまう・・・Eクラス。

  AMG以外は全て直4ターボ。ちょっと前まではここで「ダメだ・・・こりゃ」だったんですが、メルセデスによって意識を変えられています。先代から始まったコラムシフトもそうでした!!!何コレ!?ワゴンRみたい!!って最初はバカにしてましたけども、現行になってみれるとシフトレバーが消えることによって、インテリアの空間美に大きく貢献しているのがわかります。躍動するメーカーって「伸びしろ」じゃなくて「マインドチェンジ」なんだなー・・・。さて直4なのに!!!価格は650万円〜です!!!・・・が実勢乗り出し価格は500万円台までは降りて来るでしょう。50歳くらいのオッサンがそこそこ威勢良く乗るクルマとしては、やはり車格もコスパも絶妙です。適切な表現かわかりませんが、レクサスが日本にやってくる前のセルシオあるいはクラウンマジェスタくらいの「押し出し感」は余裕で持ってますねー。

  最近のモデルとしては、マイナーチェンジを経たホンダのアコードが、セダンの実力として良いものを持っていると思いましたが、Eクラスにもアコードに通じるような「渋さ」が見事に備わってます。ホンダ車ならレジェンドが価格面でもガチンコですけども、アコードとは違ってこちらはケバケバ仕様がちょっと鼻に付くんですよねー。メルセデスCLSみたいな鬱陶しいゴテゴテ感満載で必死のセレブアピール用!!なんて趣味は全く無いので・・・。Eクラスとアコードくらいの奥ゆかしさがとても心地よさげに感じます。

  E classとアコード、北米では45000ドルと20000ドルで2倍以上の価格差がありますが、日本市場ではどちらも200万円増しです。ただしE-classには100万円程度の「値引き」が、アコードには50万円相当の「HVユニット」と「レザーシート」&「サンルーフ」のセットオプションもお手頃価格で用意されています。ホンダの値引きにもよりますけども、もしかするとE-classの方がお買い得なのかも?

  メルセデスの直4ターボはリーン・バーン燃焼を組み込み、ホンダの直4HVは熱効率を高めるために高膨張比と吸気バルブ制御を仕込んだ、いわゆるアトキンソンサイクルになっています。未だに直4エンジンにあれこれと吸排気やモジュラー化された機構を仕込んで「高圧縮比」で勝負してくるマツダやBMWとは完全に開発のフェーズが違ってきているんですねー(マツダとBMWの本命はディーゼルなのだろうけど)。BMWやマツダを見ていると、なんかズレてる!?って感じます。ガソリンエンジンのパフォーマンスがそれほど商品力には影響しなくなっている!?そういう変化に取り残されているんじゃないかと。カーメディアは軽視しますけど、メルセデスは燃料を薄くしても燃える技術だったり、ホンダがエンジンをトルク無視の発電モジュール向けとして進化させている・・・この地味さこそが次の「マインドチェンジ」なのかもしれません(おそらくそうだ!)。

  エンジンでひたすらに『走ろう」とするマツダとBMWに対して、エンジンでいろいろな機能を「動かそう」とするメルセデスとホンダ・・・一体どっちが正しいのか?なんてのは議論するものではなく、時代の変化が必然的に教えてくれるでしょう。 4m50cmくらいまでのスポーティなクルマならいざ知らず。5mに迫るフルサイズセダンのユニットとしてならば、どっちの取り組みがより優れているのかは、既にもう決着が付いたかもしれません。既存のカーメディアの化石のようなオッサンライター達は、スポーティなクルマが好きなので、単純にBMWやマツダの評価が高くなるでしょうけども、そんな前近代的なオモチャなユニットでは、1.8トン級の高級車を効率よく御するのは難しくなっていくでしょう。もちろん重いクルマをどれだけ経済的に走らせるか?という点ではBMWやマツダはやはりディーゼル頼みなわけですが・・・。

  理想的な圧縮比については議論の余地があるようですが、BMWやマツダのエンジンは確かに理論値で他のメーカーを圧倒しています。しかしBMWもマツダも今では独自の力で理想的なトランスミッションを作ることすら出来ない・・・。よりジェントルな乗り味を求めるならば、エンジンは二の次で、まずはトランスミッションとサスペンションの性能が大きくものを言います。しばしばカーメディアではメルセデスの汎用エンジンに対して毀誉褒貶が激しかったりしますが、そんなのはどーでもいい!!縦置きエンジンのメルセデスに関して言えば、その魅力は完全自社製の「秘伝の味」のミッションと、他のブランドよりも力を入れているサスペンションの仕上がりにその価値があります。

  レクサスとインフィニティも相思相愛の系列ミッション・メーカーとの擦り合わせで高い競争力を持つミッションを持ってますけど、とりあえずそのアドバンテージがレクサスLSや日産フーガが日本以外の地域でも高く評価されるポイントになっています。これは試乗する度によく出来てるなーって感心しますね。それに引き換えBMWやマツダは・・・どうもちょっとギクシャクするんですよね。

  とにかくこのEクラスは、とても良くできていると思います。とりあえずコレをスルーしてギブリを買おう!なんていうエロい気持ちはもう起きないっす。もちろんアウディA6やBMW5erという選択も無し。これに抗することができるのはレクサスGS-Fの魅力くらいじゃないですか?しっかし477ps引っさげて5km/Lで走る時代でもないんじゃない!!それよりも「渋さ」を求めたいですね。誰かと時間を共有するためのツールとしてクルマがスマホを越える!!そういうビックリな展開が始まるとしたら、このEクラスあるいは新しくなったホンダ・アコードHVみたいなクルマなんじゃないか?と思うんです。乗ってもらう相手に失礼が無いように・・・ガッカリもさせないし、嫌味でもない、そんなクルマを世の中は求めてますよ!!!それを既に作っているメルセデスが日本の輸入車ブランドの最上位に君臨していて、それがいまいちわかっていない!?BMWやマツダが上級セダンで伸び悩んでますねー。




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2016年5月2日月曜日

キャデラックCT6 「このクルマには何ががある!?『TPPドリーマー』第一弾」

  クルマにはある程度の「ジャンル」が必要だと思います。例えば同じセダンでも「クラウン・ロイヤル」と「カローラ・アクシオ」ではその設計上の違いから、それぞれに目指すものがそれぞれにあるってことです。車重1800kgあるクラウンと1000kgそこそこのカローラならば、全く別々の顧客ニーズを満たすことができるはずなんですけども、どうやらメーカーの戦略では「同じベクトル」のクルマとして設計されています。「はぁ!?全然ちげーよ!」と憤る人もいるかもしれないですが、クラウンを選ぶ人の頭には「カローラの豪華版」、カローラを選ぶ人の頭には「クラウンの廉価版」という意識はおそらくあるはずで、大きく括ると「互換車種」といっていいくらいです。

  クラウンならば「十分に豪華」で、カローラならば「十分に実用に耐える」という点で評価が高く、どちらも根強い人気です。クラウンもカローラも商品力の根底には、トヨタブランドへの信頼こそありますが、「趣味のクルマ」の要素はほぼゼロと言っていいですね。もっとプライベートカーとしてユーザーを増やそうとは、トヨタは考えていないようです。その分レクサスが売れればそれでいいということなんでしょうけども。

  かつてはカローラのクーペ版がレビンとかいう名前で売られていました。その頃のカローラシリーズは今よりももっと幅広いユーザーが楽しめるクルマでした。クラウンにもソアラ(クーペ)やクラウンエステート(ワゴン)それからマジェスタがありました。レビンもマジェスタもトヨタが手掛けるにはあまりにも「セオリー」過ぎた部分はありました。欧州のカーライフから生まれたプライベートカー(クーペ)やカンパニーカー(ラグジュアリーセダン)を、トヨタが国内専売モデルで模倣するというのは、その非合理性がちょっと残念な気もします。

  マジェスタはまだカタログに残っていますが、クラウン・ロイヤルを引き延ばしたような締まりのないボデーで、なんとも地味なショーファー・ドリブンですね。ハイヤー、あるいは政府の要人警護用の警邏車に使われているようです。故にあまりチャラチャラしたデザインにはできないわけですが、歴代マジェスタの中でも現行モデルは華が無い・・・。トヨタの高級セダンといえば安っぽい木目にベージュの内装、レバーもステアリングも数世代前!? 個人的にはかなりがっかりで、中古車にも触手が動かない。マークXまでコレかよ〜・・・。

  9月に発売を開始するというキャデラックの新しいショーファーカー「CT6」の概要が発表されました。5120×1885ですから日本で多く使われるこの手のクルマ(レクサスLS)とほぼ同じです。日本での正規価格は998万円という少々現実味がありそうでなかなか手が届かない価格、そして3.7LのV6自然吸気の1グレードだけしかも左ハンドルのみ!!!になるようです。メルセデスSクラス、ジャガーXJ、レクサスLSといったこれまで反社会性力の親分が乗ってそうな「暗黙の了解」のクルマが、ブランドイメージに引きずられて、「普通のセダン」化しつつあるなかで、古き良き「VIPカー」を思い出させてくれるイカついスタイリングに血が騒ぐ人も多いのではないでしょうか!?

キャデラックCT6の動画リンク

  休日にドライブしていると、古ぼけたセルシオを嬉しそうに走らせる外国人。勝手に断定してしまうと、アメリカ人かカナダ人でしょうね・・・。日本のVIPカー・ブームは海を渡り、アメリカのオートサロンでも一大勢力になりつつあります。そこではセルシオ、マジェスタ、シーマ、セドリック、グロリアは「神」として崇められてます。日本の地方都市で見られる自動車好きと何ら変わらないですね・・・。

  そんな日本の自動車ブーム(VIP、ドリ、キングSUVなど)を共有するよき理解者・アメリカ(この国がなければホンダもスバルも日産も消滅!?)から、日本を最高にリスペクトする1台が届きました!!!今どきこのクラスでV6の自然吸気(340ps)ってのがなんとも豪快です。シーマもマジェスタもレジェンドもHVになって、Sクラス、7er、A8/S8、XJ、クワトロポルテはことごとく「ターボレンジャー」化されてますから・・・。クライスラー300が孤軍奮闘しているアメリカ勢にやっと援軍がやってきたぞ〜!!! 

  どうも地味地味でかつ子どもっぽいなかなか残念な日本・ドイツ車と、やたら「お高く」留まっていて、周囲から背伸びしてると見られてやや小っ恥ずかしいイギリス・イタリア車。そして・・・まもなくスウェーデンからも新興勢力がこのジャンルにも殴り込みをかけてくるそうですが、直4のFFって完全に「VIPカー」シーンを勘違いしているふざけた設計(そんなの関係ないからボルボも頑張って!!!)。

  キャデラックCT6が予想以上に売れたら、レクサス(トヨタ)も考えを改めるかもしれません(ちょっとエラそうで恐縮です)。LSクーペもいいけどさ・・・誰もそんなクルマをサーキットで走らせて楽しいなんて思わないのでは? それよりもマジェスタを「貯金して買いたい!!!」と思えるようなオリジナルなデザインに作り直してよ〜!!!「マジェスタはガキが乗るクルマじゃねー!!!」・・・とかジジイどもがそんなつまらん事ばっかり考えてるから、日本の若者はみんな死んだような目して、芸能人の私生活を日々のネタにするゴミに成り果てているんだよ。


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2016年3月16日水曜日

BMW330e 「ここぞとばかり・・・勝負かけてきた。PHVが540万円!」

  3シリーズに従来からあるハイブリッドといえば・・・「アクティブ・ハイブリッド3」。直6「ターボ」にマイルドハイブリッド=「電動ターボ」を組み合わせた重厚なユニットを積んでいて、いわば「ツイン・チャージャー」でトルクを切れ目無くスムーズに搾り出す仕掛けなんですが、せいぜい1800kg程度のボデーには無過給でも十分な「直6」ですから、変に加速で力むこともないのでそんなギミックは不要ではありますが・・・モータートルクは強烈で直線だけなら相当な速さを持つ3シリーズのスペシャルグレードです。ただし740万円〜という価格帯のせいか販売は伸び悩んでいたようです

  BMWの戦略は、直4ガソリンターボの過給器調整グレードで、3シリーズのボトムを形成し、欧州や日本での販売の主体は直4ディーゼルターボで受け持ち、さらに上位グレード車として直6ガソリンターボ&HVを用意するといった多層グレード構成が基本線にあったようですが・・・。BMWの屋台骨を担っている3シリーズの地位が低下と言わないまでも、予想以上に反響が乏しいようで、ディーゼルとともに日本でF30系を発売してまだ4年ですが、これまでのところ先代のE90系を越えるセールスは日本では見られていません(このままG系に移っていくのか?)。

  マツダのディーゼル導入が日本で予想以上に上手くいったのも、おそらくBMWとのシンクロによる影響が大きいと思っています。マツダは先代のアテンザにもディーゼルを積んで欧州のみで販売していました。未導入の日本でこそあまり知られてないですが、すでにその時点でCクラスや3シリーズを確実に上回る良質なディーゼルユニットが出来ていたそうです。「日本でディーゼルを売るのは不可能」と思われていた矢先に、ユーロ6(排ガス規制)に対応したディーゼルエンジンでBMW320dが日本で話題になると、・・・会社存亡の危機に立っていた2012年当時のマツダは藁にもすがる想いで「アテンザXD」の日本発売を決めたと思われます。

  BMWにとっては非常に好調なセールス(歴代最高)だったE90を受け継ぐF30を、無難に日本で成功させるための自慢のディーゼルだったはずですが、結果的にはマツダの露払いを務める損な役回りとなってしまいました。ディーゼルが失速し、HVの国・日本に満を持して持ち込んだ「アクティブハイブリッド3」がこれまたさっぱり売れずで、F30は全く踏んだり蹴ったりな出だしでした・・・。さらに想定外だったのが、日本メーカーがDセグセダンで再び勝負を仕掛けてきたことです。先述のアテンザに加えて、レクサスIS、スカイライン、レクサスRCとかなりの「意欲作」のリリースが続きました。

  400万円で320dよりもずっと静かなディーゼル・・・、500万円でアクティブHV3よりもトルクフルで強烈な加速の6気筒HV・・・(量販車HV最速をアピール!!!)。モード燃費で20km/Lを越えてしまう直4ストロングハイブリッド。日本メーカーが想定外の動きだった(日本メーカーをナメていた)部分もあるかもしれないですが、BMWとF30系にとっては屈辱の4年間・・・それ以外のなにものでもなかったでしょう。いまではすっかり「M3って何?」と言われてしまうくらいに話題性が低い(M3も見かけても全く興奮しないクルマになっちゃいました・・・)。

  ディーゼルに運命を委ねたアテンザや、HV専用へと舵を切ったスカイライン(200tは別のクルマ)、まさかのCVTになったレクサスIS/RC300hなどなど、日本メーカーが取った道もまたクルマ好きにとっては決して手放しで褒められるものではないのですが、それでもセダン/クーペが絶望的だった日本市場へと「一蓮托生」の想い?で完成させたそれぞれのモデルは・・・F30系よりもずっとずっとユーザーへ向いたものだった!と思います。一方でE90の好調な販売で手綱がゆるんでいた3シリーズは「売ろう!」というひたむきさがやや足りなかったように思います。決して悪いクルマではないですけど、先代の売れ行きが好調すぎたことによる難しさはあったはずです。

  「完全にひっくり返された」・・・BMWジャパンがそう気がつくのには十分な4年間だったと思います。レクサスIS300hの本体価格が499万円。これに対して同等のスペックを誇り、プラグイン機能も追加されたBMW330eが554万円。レクサスISの売れ線グレードとほぼ同等と言っていいくらいのシビアな価格設定がBMWの必死さを物語っています。確かに4年前も320dが予想外に安くて人気になりました。なので4年前にBMWが驕っていたということはないですが、市場環境の変化(日本メーカーの頑張り)に巻き込まれてあっさりと「チャラ」になりました。今回の330eの価格設定は、4年前の320dのスマッシュヒットの再現を狙っているのだと思います。

  さて冒頭の「ツインチャージャー」の話に戻りますが、330eの搭載ユニット直4ターボ&ストロングハイブリッドという構成になりました。レクサスISが直4ターボと直4ハイブリッドといずれもシングル・チャージャーなのに対して、BMWはターボと電動のツインチャージャーですからユニットに関してはそれなりのコストがかかっているはずです(なのでお買い得)。最新のDセグセダンは、後席のスペースを保証する設計が多く、以前よりも5人乗車が苦痛でもないです。一人で走るときと5人乗車時では200kg前後の車重差ができます。

  このときにシングルチャージャーの低回転型エンジンだとやや問題が起こります。1500回転で最大トルクが発生・・・なんて中身の無い文句に釣られるとエラいことになるんです。ホンダやマツダの自然吸気エンジンならば5500rpmまで一気に回るし、トラクションに有利なFFという利点も生かせるのですが、昨今の低回転ターボに多段式ATだと渋々3000rpmまで回るものの、間髪入れずにシフトアップしていくのでどうしても非力でドタバタな感じが出てしまいます。CVTで後から暴力的な加速へと切り替わっていくスバルのターボと、ひたすらにエンジンを回す気がないBMWやレクサスの2Lターボ、正直言うとどちらも余韻のある「高級車エンジン」としてはやや失格だと思います。

  そんな直4ターボで2.5トンの巨体を動かそうとしているのが「ボルボXC90」です。ボルボが開発した新型ユニットは2Lガソリンエンジンに、スーパーチャージャーとターボによる「ツインチャージャー」を仕込み、さらに上級モデルではHV化してモーターによる「電動ターボ」を重ねた「トリプルチャージャー」としています。エンジンの回転数に関わらずにモータートルクで余裕の低速域走行の実現が狙いですね(そうであってほしい!)。

  BMWのPHVユニットがこのボルボのユニットに何らかの影響を受けているのかわかりませんが、BMWもボルボもPHVシステム自体を「政策によって押し付けられた義務」としてではなく、トヨタや三菱のように脅威のモード燃費を誇るためでもなく、「直4ガソリンターボ」は高級車エンジンとして成立するのか?という自らを見つめる「疑問」への解決策として導入・研究していると思うのです。

  つまりボルボやBMWが今後日本でも拡販を目指すであろうPHVとは・・・、トヨタのカムリ、クラウン、IS、GS、RC用の直4のHVと、かなり違う意味を持つクルマであって、HVで主導権を握っていたように見えた日本メーカーへ「捲土重来」を期すカウンターパンチのようなユニットだった!・・・この両者に乗ったときにそう確信できるような出来映えだったならば、その時はコストを掛けて日本のプレミアムカーよりも手頃な価格を実現した彼らの努力を最大限に賞賛したいと思います!!!


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2015年11月14日土曜日

トヨタ・クラウンアスリート 「ここから何か始まるのか?それとも終焉の時か?」

  自動車評論家の福野礼一郎さんの書籍はいつ読んでも面白いです(賞味期限無し)。だいたい発売直後に購入してざっと読むのですが、その段階では読み手(私)にはまだ発表されて間もない新型車へのイメージなんて全くできてないですから、ニュアンスがわからない表現もあれこれ出てきます。そのままほっぽらかした本を1〜2年寝かしてから読むと、出てくるクルマに試乗したり見かけたりするようになってイメージが固まってきているので、改めて福野さんの文章が楽しめたりします。

  2年ほど前に出版された「福野礼一郎・クルマ論評2014」という傑作がありまして、これをほぼ1年ぶりくらいに開いて見ると・・・改めてこの評論家の素晴らしい視点がいくつも発見されて、初めて読んだときよりもむしろ興奮できます。特に「トヨタクラウン」と「クライスラー300」を比べる一節が良かった!!!2年前はなんとも思わなかったのに、今読んでみると妙にリアリティがあります! もちろん2年前の本ですから、クラウンはフルモデルチェンジ直後で、クライスラー300は先代バージョンということになります。

  福野さんのクセ?あるいは意図的なのかもしれないですが、高級輸入車で幅広く使われるようになったZF社製の8速AT(通称8HP)のミッションをそこいら中の連載で「神!」「神!」「神!」と表現しています。・・・ということは8HPを装備しているクライスラー300が優位か?というと、そうでもなくクラウンアスリートの3.5Lモデルに採用されているアイシンAWの8速ATの方が、滑らかでショックも少ない!とはっきり断言しています。エ?エ?エ?「神」ってどういう事?・・・と読者を煙に巻いてくれます。なんとも便利な表現ですね。福野ワールドの「神」ということならオールOK?

  BMWとレクサス(FRガソリンモデル)のどちらにも乗ったことがある人ならわかると思いますが、「ZF」も「アイシンAW」も結局のところどっちもどっちな印象でしかないですし、あのミッションが付いているからそのクルマが素晴らしい!という結論にはならないです。しかし2000年頃のBMWやトヨタの中古車に付いてまわったミッションの段付き感を考えれば、それから開放されて、福野さんが「神」といいたくなるほどの「高ぶり」もなんとなくわかります。この段付き感さえ消えてくれればこのクルマを心から愛せるのにな・・・という過去のほろ苦い経験なんでしょうね。福野さんはおそらく「常にクルマに寄り添う」非常にやさしい心の持ち主なんだと思います。

  さてそんな「クラウン&クライスラー300」の評論で、印象に残ったのが「新しいクラウンは改造車的だ」という表現です。余計な説明などないのでその真意は不明です。もしかしたら言外にクラウンの基本設計の古さを示唆したのかもしれないですし、伝統のフラッグシップに注がれるトヨタの情熱を指しているのかもしれない、それともトヨタ車にしては感動的なほどに「手数」が多いという意味でしょうか?

  「改造車的クラウン」・・・なんだかこのクルマの抱える現実を打破できそうなミラクルな響きがします。ハイブリッドを業界のスタンダードへと押し上げることに心血を注いできた、1997年からの約15年間においてトヨタはクルマ好きの期待に報いることがほとんどできませんでした。これはモリゾー社長みずから公式の会見で述べた所感であり、その反省を生かして「86」「RC-F」を作ったとも言っています。確かにこの2台は、真剣にクルマ選びをすればするほどに、重要な選択肢であると認識させられますね・・・。どちらも文句なしにクルマ好きに愛されるモデルです。

  トヨタが「86」や「RC-F」よりもさらに手数をかけて、クラフトマンシップを誇示するべきクルマが「クラウン」だと思います。このクルマにとって少々悲劇なのは、セルシオ(レクサスLS)を派生させるなど国内外のメーカーに絶えず刺激を与えてきた「クラウン一族」の直系でありながら、国内市場では7割以上がハイブリッドで選ばれていることです(電気式CVTは・・・)。今や「BMW」「マセラティ」「キャデラック」「ジャガー」といった名だたるラグジュアリー・メーカーの主力を担うEセグセダンは明らかにクラウンの乗り味を志向しているのに、国内ユーザーはそんな「亜流」のフォロワーばかりに興味振々で、クラウンを買うユーザーは何も考えずにハイブリッドを買う・・・確かにトヨタのマーケティングが仕掛けたシナリオなのかもしれないですが、これはあまりにも切ない光景です・・・。

  さて現行モデルに使われるシャシーは2代前のデビュー時に更新され12年がすでに経過しています。日産のスカイラインも同じく3代に渡ってシャシーが使われていますが、なにやら次のモデルはメルセデスのものを使うことになるのだとか・・・。クラウンのシャシーも引退が既定路線ですが、次はいよいよ燃料電池車になってしまうのか? クラウンと共通の設計を使っていたレクサスGSは現行モデルから新型シャシーに変わりました。こちらは「全世界プレミアム展開」を狙って、ドイツ車を越える水準の高い剛性を誇るシャシーを作ってきました。

  BMWはクラウンを目指し、クラウン派生のレクサスはBMWを目指す・・・といったねじれた関係は、これまでもトヨタと日産、BMWとメルセデスなどでしばしば起こって現象ではあります。しかしその先に待っていた結末は必ずしもお互いを高めあって最高のものができたというのではなく、なんだか味の薄いクルマに結実して評判を落とすケースの方が多かった気がします。例に漏れずに・・・といったら失礼かもしれないですが、ドイツ車を超越した新型シャシーが投入されたレクサスGSやISは、本当に歴代トヨタのどれよりも素晴らしいクルマだったでしょうか?

  果たして次世代のクラウンはどうなってしまうのか? レクサスのシャシーを流用して「能書スペック」を備えたグローバル・セダンになってしまうのでしょうか、それともミライを高級車調にしたプレミアムFCVに生まれ変わるのでしょうか? それとも・・・モリゾー社長の英断で、「トヨタのクラフトマンシップ」を誇るノスタルジックな「永遠のクラウン」を描くのでしょうか。福野さんが2年前にふと言い出した「改造車的クラウン」・・・果たしてこのフレーズがトヨタのインスピレーションになったかわかりませんが、クラウンに新たに2L直4ターボ搭載の「改造車的グレード」が追加されました。先に登場したレクサスISの2L直4ターボ(245ps)よりややデチューンして235psとなったエンジン・・・なかなか芸が細かいです。

  「86」の2L自然吸気で200ps出しているので、輸入車のように2Lターボで180psといったパワーの出し惜しみなんてことはできません。ターボチャージャーの設定による「出力の量り売り」なんて下劣なやり方は日本メーカーには絶対に真似してほしくないですね。そんなゴミみたいな商売に血道を挙げているから、排気ガスを意図的に操作するなんて下劣な手段を厭わなくなるのかな? 

  日本車でもっとも長い歴史を誇る「クラウン」。ぜひ憧れのクルマとして長く残してもらいたいです。幸い?なことに中小企業の社長さんのクルマという役割は、レクサスやアルファードへと分散しているようです。400万円は若者が乗るには高嶺の花ですけれども、頑張って働いて乗ってやる!と思わせてくれるクルマへと、脱皮するのも「86」や「RC-F」を手掛けるトヨタであればそれほど難しいことではないと思います。スバルのアイコンが「WRX」であるように、「クラウン」をトヨタのアイコンに位置づけて、トヨタグループのネットワークをフル動員して、スバルSTIのS207のような「コンセプトカー」を発売するモデルに位置づけてみるなんてどうでしょうか?

  例えば・・・
最近提携したマツダからディーゼルを調達して積んでみる。

一緒にMTも導入して装備してみる。

スバルのHVシステムをトヨタが取り入れて「走りのクラウンHV」をつくる。

ついでにSTIのチューンによって足回り(ビルシュタ)とブレーキ(ブレンボ)を強化した「クラウンアスリートSTI」をつくる。

提携先のBMWにお願いして「クラウンアスリートM」をつくる。エンジンはもちろん直6。

アルピナにチューニングをしてもらって「アルピナ・クラウン・ビターボ」をつくる。やっぱりエンジンは直6。

提携しているロータスに納入している3.5Lスーパーチャージャー(406ps)を積んだ「クラウン+M」をつくる。


まあなんでもいいですけども、「VIPカー」という日本発信のクルマ文化がアメリカを席巻している!クラウン派生のドリ車「チェイサー」が東南アジアで人気!などなど、長い間国内専売だったはずのクラウンの魅力は、勝手に世界に羽ばたいていっているわけで、これらを見る限りではこのクルマの将来をトヨタが悲観する必要なんてないと思います。おそらく福野さんもクラウンのそういう素晴らしい側面をちゃんと見据えた上で「改造車的クラウン」という新しいキャッチコピーを打ち出してくれたのではないでしょうか?

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2015年11月11日水曜日

プジョー508GT 「セダン・スタイルの最先端」

  プジョー、シトロエン、DSの3ブランド構成になったPSAグループは、いよいよ日本市場での攻勢をかけるべく「新たなラインナップ」を投入する準備ができたようです。僭越ながらPSAの各ブランドが近年の日本市場で輝けなかった理由を分析すると、まず選べるエンジンの種類が少ない点でしょうか。ある程度大きなサイズの「プジョー508」や「DS5」、「シトロエンC5」といったモデルでも一律に同スペックの1.6Lターボしか選べず、このエンジンでは乗り出しで400万円もするクルマとしてはハッキリ言って不満でした。

  それぞれのブランドで現在の日本市場のフラッグシップとなるモデルが、レヴォーグのベースグレードに使われるような1.6Lターボでいいのか? ・・・とはいっても今さらV6NAの重苦しいエンジンをこのFF車3台のフロントに載せておくのも不粋ではありますけども。Cクラスだって1.6Lターボでは?・・・確かにそうです!だからいまいち人気になりませんでした。エンジン以外は素晴らしい!PSAの3台はそれぞれにフラッグシップに相応しい優美なデザインですし、足回りに関しては三車三様で、ドイツ車や日本車と同等のマルチリンクで安定志向の「プジョー508」と、それにさらにハイドロサスを組み込んで高級車の乗り味を作る「シトロエンC5」。さらに足回りよりも居住性を優先する「DS5」は、トヨタのアルファードに近い発想です(アルファードは現行ではサスを変えてきましたけど)。

  エンジン以外は「やる気まんまん」・・・これがなんとも惜しいですね。この1.6LターボもBMWと共同で開発された素性の良いものですが、フラッグシップ車に載るにはちょっとな〜・・・と買う側が二の足を踏んでしまうような露骨なダウンサイジングです。例えばBMW5シリーズが直4ターボ(523i)になってお買い得ですけど買いますか?っていう話です。やっぱりこの手のクルマ(高級感)を所有するならば・・・ハッキリ言うのはちょっと恥ずかしいですけど「格」が大事だと思います。

   欧州ではボデーサイズに比べて破格に小排気量(ターボ)のエンジンも多いようですけど、日本ではやはりそこまで合理的に考えられない・・・いや!クルマにロマンを求め続けるのが日本のクルマ好きなんです! 1.6Lターボで統一された(1.2LのNA/ターボもあるけど)PSAグループが、日本でまさかの大失敗に終わった原因は結局のところ、日本市場の趣向を全く掴めなかったマーケティングの甘さにあったと思います(そもそもやる気がない?)。

  くどいですが、要はエンジンをなんとかしろ!という課題が浮き彫りになったわけで、それに対するPSAの回答は?というと、同じくFFベースの中型車で旋風を巻き起こしているマツダに追従!という至極真っ当なものになりました。手堅くディーゼルでいきましょう!・・・VWやBMWのような不始末は起こさないために、メルセデスと同じ尿素処理機構を組み込んだ手の込んだクリーンディーゼルを投入してくるようです。ちなみに厳しい排出ガス基準をクリアする方法として、メルセデスの「尿素処理方式」とマツダの「低圧縮方式」が最先端ディーゼル技術として確立されていますが、マツダも米国基準に適合するために「低圧縮&尿素処理」の新機構エンジンのコスト適正化を図っているようです。

  さて日本導入が早くも決まっている「プジョー508GT」は2Lディーゼルターボを搭載したモデルで、出力自体はBMW、ジャガー、ボルボの同排気量ものとほぼ同等のようです。BMW、ジャガー、ボルボはZFかアイシンAWか供給元は違いますがいずれも8ATを装備して変速ショックを抑えて低燃費に振っています。メルセデスの直4ディーゼルは9ATが採用されました。これに対してプジョー508GTはアイシンAW製の6ATを採用してきました。マツダ(自社製6AT/6MT)と同じで、「ドライビング・ディーゼル」を目指す方向なのではないか?と思われます。グレード名を堂々と「GT」にしたところからも、運転して楽しいクルマにしたい!といういかにもプジョーらしい意図が感じられます。いっそのことマツダに倣って本国では必須のMTモデルも日本にもってきてしまえばいいと思うのですが・・・。

  さて「Dセグのプジョー車」がこの10年で築いてきたものとして特筆できるのが、彫像のような断面美を採用した「モデラー主義」のスタイルです。2000年代の初頭にプジョーのDセグは「406」と「407」という2代に渡るモデルで、ライバルがたくさんいるDセグでもひと際輝くスタイルを確立してきました。ライバル車を引き合いに出してデザインの優劣を一方的に主張してもあまり説得力がないので、別のいい方をしてみます。華々しくルノーのチーフデザイナーに就任した「アッカー・デザイン」でおなじみのローレンス・ヴァン・デン・アッカーの代表的なデザインに共通する原点は、この「406」「407」で花開いたプジョーデザインから受けたインスピレーションにあるからです。

  ヴァン・デン・アッカーがその実力を世界に知らしめたのが、フォード傘下にあった2000年代のマツダでの仕事ですが、2代目アクセラや2代目アテンザは同時期のプジョーのデザインにかなり影響を受けていることがわかります。またゴーン政権下の日産でデザイン部門の責任者を務めている中村史郎氏をもプジョーの影響下にあるようで、V36スカイラインのデザインなどにそれが見られます。ヴァン・デン・アッカーと中村史郎という2人のカリスマ・デザイナーを虜にした「406「407」を生み出したプジョーこそが、現代の中型車デザインにおける「オリジナル」だといっていいと思います。

  東京MSで公開された508の新しいデザインもまた、素晴らしく甘美なリアデザインが特徴的です。・・・っていうかこれ欲しいです!あとは価格(400万円台前半で)とディーゼルの仕上がりなどにもよりますが、アテンザ、ジャガーXE、Cクラスなどなど完成度の高いデザインが増えているDセグにまた一台「引き」の強いクルマが現れたかな?という気がします。街中のA4、3シリ、IS、スカイラインが「イモ」に見えて仕方ない!という美意識が高い人にとっては非常に楽しみな1台ではないでしょうか?


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↓フランス車特集をのびのびやるところがこの雑誌のいいところ!
 独車が大好きな「CG」や「Mマガ」は・・・誌面が葬式です。

  

  
  

2015年10月14日水曜日

クライスラー300 「SRTがやっぱりお買い得?」

  全長5m超のフルサイズセダンで、出力も500psに迫るモンスター級! メルセデスだとAMGのE63、BMWだとM5でしょうか、この両ブランドだとどちらも2000万円近い価格になるであろう超絶スペックのクルマがなんと日本メーカーもビックリ!の750万円で発売されました! しかもドイツ車のようにターボラグがハッキリと分かってしまう自棄糞ツインターボ仕様ではなく、6.4Lで余裕たっぷりのV8自然吸気から沸き出す476psですから、ドイツ車には失礼ですが安っぽくない!非常に高級車らしいありがたみに溢れたモンスターパワーです。

  フィアット・クライスラーグループは小型車への強みから新興国戦略を打ち出していましたが、VWやヒュンダイ/キアに競り負けてからは再び、アメリカや日本を狙い撃ちにするような成熟市場向けのモデルが増えてきました。ブランドがバラバラなのでイマイチ掴みづらいですが、「ジープ・チェロキー」「ジープ・コンパス」「ジープ・レネゲード」「フィアット500X」といったSUVを効果的に日本に持ち込みつつ、他方で「マセラティ・ギブリ」といった高級車もアベノミクスに乗ってよく売れました。また「アルファロメオ4C」という個性的なライトウエイトスポーツを、お家芸としている日本メーカーのお膝元に叩き付け、さらにまもなくマツダに作らせた「フィアット版ロードスター」も登場します。

  もちろん傘下にはフェラーリもありますので「488GTB」もグループの新型車になります。さらにセレブの趣味車として「アバルト695ビポスト」なるモデルも持ち込まれました。フィアット500ベースの特別仕様車が850万円って!・・・まあ上から下まで様々に魅力的なクルマを揃えているグループなのは間違いないです。個人的な趣味では「カリフォルニアT」「グラントゥーリズモ」「グランカブリオ」といったクルマには憧れますし、SUV買うなら「チェロキー・トレイルホーク」かな、ほかにも年内に登場予定の「アルファロメオ・ジュリア」にも惹かれます。さらには200万円台の低価格車も魅力的で「500C」と「パンダ4×4」もなんだか楽しそうです。「ミト」や「ジュリエッタ」にMTが復活するのを期待したいですし、並行輸入の新車のMTジュリエッタは結構タマ数があるみたいです。だけど専ら探しているのはアルファブレラのMTモデルですね。

  なんだか話が逸れてしまいましたが、とにかくフィアット・クライスラーは日本市場のクルマ好きにとって無くてはならない存在になったと思います。フィアット系6ブランド(フィアット、マセラティ、フェラーリ、アルファロメオ、ランチア、アバルト)とクライスラー系4ブランド(クライスラー、ジープ、ダッジ、ラム)の内で7ブランドがすでに日本に導入されていますが、残りのランチア、ダッジ、ラムの中にも日本で売れそうなモデルがいろいろあるので、今後の導入を期待したいです。

  さてSRTが復活した「クライスラー300」ですが、これまでのベースもモデルだった400万円程度のベースグレードが一旦停止されました。750万円の「SRT」と、560万円の「300S」の2グレード体制がアナウンスされています。V6の3.6L自然吸気エンジンが載ったフルサイズセダンが400万円という価格設定はもはや日本車でも絶滅気味で、インスパイアが廃止されてスカイラインやフーガが徐々に値上げされた関係で、今ではDセグのマークX350Sが370万円で売られているのが残るだけです。

  日本車と比べても圧倒的にコスパが良いから売れるというわけではなく、やはりフルサイズセダンはそれなりの貫禄が必要で、クライスラーにしてみたら、「安過ぎて売れないのでは?」と疑念があったのかもしれません。メルセデスやBMWではフルサイズセダンに6気筒だと900万円コースですから、その半額以下というのは逆にちょっと手が出しにくい安さなのかもしれません(400万円は手軽にという価格でもないですし)。

  今回の価格改定に合わせてフェイスリフトも行われていて、これまではちょっと間延びしたエクステリアが冴えない印象で、良くも悪くもアメ車らしいやや退屈なデザインでしたが、新しいデザインはヘッドライト回りの印象がだいぶ変わり、「ベントレー?ジャガー?」と錯覚しそうなブリティッシュデザインを志向してきたようです。ドイツ車のようなあまり敷居を感じさせない気楽なデザインが良いという人には見向きもされないかもしれないですが、ベントレーやジャガーのようなトラディショナルで高級車に相応しい存在感を求める人には一考の余地があるかもしれません。

  クライスラーは北米ビッグ3の中でも特に高級車の製造に定評があるメーカーです。フォード系の「リンカーン」やGM系の「キャデラック」のような専門チャンネルこそ用意されていないですが、1990年代にフォードがマツダを、GMがスズキを抱き込んで小型車作りをするなかで、中型車以上のモデルを作り続けた「クオリティ志向」のメーカーなのでプレミアムチャンネルの必要があまりないのかもしれません。現行モデルもクライスラーブランドではEセグの「300」に加えて、Dセグの「200」とフルサイズミニバンの「タウン&カントリー」の3車種だけで勝負しています。

  現在のフィアットとの関係もビジネス上のものではなく、1970年代の終盤からアイアコッカというイタリア系の経営者によって成長を遂げるなどのイタリアとのつながりにあると言われています。その歴史の中でランボルギーニを傘下に収めた時期もあったり、マセラティと共同開発を行ったりするなど、幾多の華のあるクルマを作りつづけてきました。ちなみに北米で現行の3モデル「300」「200」「タウン&カントリー」はそれぞれ旧型メルセデスEクラス、アルファロメオ・ジュリエッタ、そして世界初のミニバン「ボイジャー」をベースに作られていて、どれも由緒正しいクオリティを大切にしたモデルだと言えます。

  「300」が使う旧メルセデスEクラスのシャシーは、メルセデス=クライスラーという過去にあった合併の遺産ですが、クライスラーはこのシャシーを大切に使い続け、ダッジのチャージャー(4ドア)、チャレンジャー(2ドア)、マグナム(ワゴン)で共用されています。これらのモデルは北米ビッグ3のフルサイズFR車シャシーでも断然の性能を誇ってきました。最近ではフォードがマスタング用にグローバル志向のドイツ車やレクサス/日産を意識したシャシーを新開発しましたし、GMもオペルにドイツ車風味の濃い足回りにこだわったシャシーを開発させて、現行のATSやCTSに使っているので、どれくらい性能に差があるかわかりにくくはなっていますが、間違いなく2008年頃まではアメ車で欧州車に対抗できるのはダッジ・チャージャー(チェレンジャー/マグナム)だけだったと思います。

  あと2〜3年の内にはクライスラー300もフルモデルチェンジをするでしょうが、その時はおそらく、マセラティ・ギブリやアルファロメオ・ジュリアに使われるシャシーが採用されることになりそうです。旧型メルセデスのシャシーに大排気量NAエンジンが載った、ちょっと前までのAMGの魅力が新車で750万円で体感できるのも長くはないので・・・この機会に買ってみようかな。しかしこのサイズでは首都高走るのも楽じゃないかもしれません。「第三京浜を走って横浜でご飯を食べる為のクルマ」ってところでしょうか。

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2015年9月7日月曜日

VWパサート「イメージ通りの国民車セダンと言われれば・・・」

  ちょっと前の話になりますが、VWジャパンの庄司社長が辞めたことがカーメディア中心にニュースになっていました。この人はまず髪型が個性的なのが印象的でした。ほかのインポーターの社長と比べても若々しくておそらく優秀な人だったんだろうとは思いますが、やたらとテレビにも出てきて、自身のキャラを被せているつもりなのか?「VW=デキる人のクルマ」的なアピール戦略には、少々引っ掛かるものがありました・・・。でもこういう人はプライベートではカイエン乗ってたりするものです。ポルシェのインポーターの代表だったらもっとしっくりきていたかもしれません。

  とにかく外見からもしゃべり方からも「エリート臭」がプンプンするわけです。ただそれに反比例して「クルマ好き」のオーラってのは相対的に薄いです(実際はどうだか知りませんが)。トヨタの社長さんみたいな素朴な人が真顔で「86いいでしょ!」と言うからこそ説得力が生まれて売れるのだと思うんですよね。VWの日本での伸び悩みは逃れられないもので、メルセデスの低価格戦略の前になす術なく、誰がやっても同じ結果だったでしょうし、もしかしたら庄司さんは本国に向かって「ディーゼルを早くしてください!もしできないならば辞めます!」くらいのことを吐き捨てたのかもしれませんが・・・。

  さてゴルフと並ぶVWの看板モデル「パサート」がFMCを迎えました。マツダで言えばアテンザ、スバルで言えばレガシィにあたる一般ブランドのフラッグシップのFMCですから、本来なら放っておいてもディーラーに人がどっと押し寄せる騒ぎになると思うのですが・・・残念ながらパサートはそこまで日本市場に根付いておらず、クルマに興味が無い人にとってはほぼ知らないであろう車名です。余談ですが先代のパサートの日本用CMを、そのままパクったかのように某国内大手メーカーがマー◯XというクルマのCM作ってました。あの当時はパサートのダウンサイジング戦略が世界最先端だとカーメディアは口を揃えてましたから、ト◯タもかなり意識はしていたようです。

  VWというと2年前のゴルフのFMCの時には、日本のカーメディアを完全にジャックして、ほぼ意のままにライターに記事を書かせてました。無個性で判別がつかないくらいのライターばかりが動員されて、「世界のベンチマーク」というVWから指示されたであろう?キーワードを必ず使うので、さすがにめちゃくちゃ胡散臭かったですね。今回もジャガーXEやアルファ・ジュリアへの興味を掻き消すかのような、大掛かりなメディア戦略を採ってくるのでしょうか?

  現在のVWには数年前のような日の出の勢いがありません。シロッコやパサートCCといった個性的なモデルは、アウディとの競合による共倒れを避けたようで、順次アジア市場から姿を消しました(販売面で振るわず)。現行ではAセグ(up!)、Bセグ(ポロ)、Cセグ(ゴルフ)、Dセグ(パサート)の各セグメントに基準車がありますが、日本勢に対して互角に競争できているのはゴルフだけ(もちろん快挙!)という状況です。Aセグ、Bセグは日本車も非常に層が厚いので、up!とポロの現状でも上出来といっていいでしょうし、これ以上の成長はかなり難しいでしょう。VWが再び輸入車ブランド1位に返り咲くには、パサートが日本市場で大ブレークすることが必須に思えるのですが、出てきたパサートは先代から何が変わったのか簡単にはわからないほどぼやけています。

  ゴルフ6が7になった際に、話題のMQBプラットフォームを採用し、ユーロ6に対応したユニットにアップデートされたくらいの、「作り手事情」の事務的改良がパサートにもまったくそのまま行われたようです。とりあえず今のところは諸般の事情で日本ではそれほど「売る気無し」であってもいいと思いますが、果たして日本市場が待望するディーゼルユニットが載ったところで何が変わるのか? しかしパサートがやる気が無いのはあくまで日本市場を見ての話であって、欧州ではすでにディーゼルもプラグインハイブリッドも発売されていて、日本や中国に供給されている1.4Lターボなんて全くカーメディアには登場しません。ゴルフも欧州では日本未導入のディーゼルが中心で、廉価グレードにはやはり日本未導入の1L直3ターボが使われています。

  ここまで露骨にやる気を見せないVWに、日本市場のユーザーは一体どう接していけば良いのか?という気もします。 ・・・しかしメーカーの野放図な「やる気」などよりもユーザーの想像力に任せるスタンスを大切にするのが、本来のVWというブランドのあるべき姿だ!といわれれば、自分のやや性急な結論を恥じる思いもします。やたらとやる気を見せている某日本メーカーのここ数年のモデルに果たしてただの1台でも十分に満足できる(買いたくなる)クルマがあったでしょうか? メーカーがやる気を出し過ぎて、その結果我々の想像力の入る余地がなってしまって「なんか違うな・・・」と後ずさりしてしまいます。

  インターネットで手軽に人のアイディアがなんでも覗ける時代ですから、わざわざ時間をお金を使って遠くまで実物を見に行く必要もなくなりました。想像力が無くなった!というと語弊があるかもしれませんが、想像力が働くまえに具体的なイメージがすぐに検索できてしまう時代。冷静に考えるとちょっとヤバい時代に突入している・・・ということをふと気づかせてくれた新型パサートかなと思います。

  モータファンイラストレーティッドで福野礼一郎さんが新型パサート評のあとで「たった1台でいいから、こういうほれぼれするようなデザインの日本車があったらいいのになぁ」と書いていて、読後にものすごい違和感を感じました。しかし福野さんにこう書かれると、ちょっと再考したくもなります。「テーマカラーがシルバーとブルーですか・・・」まあCクラスもスカイラインも同系のテーマカラーなわけですが、パサートだとあまりにも地味すぎませんか?・・・というのも先入観の塊ですね。ちょっとこの先の展開がわからない新型パサートですが、ややネタ切れ気味のセダン市場を揺さぶるような追加設定を待ちたいところです。


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↓ライバル車を含めたフェアな評価がすばらしい!輸入車かぶれはこれ読め!


  

  

2015年1月22日木曜日

ホンダグレイス 「Bセグセダンという世界標準」

  昨年にトヨタがマツダとの新たな提携を発表しましたが、これは米国市場向けに新たにBセグセダンを投入するためと言われています。マツダが供給するクルマをトヨタブランドで販売する、いわゆるOEMが発表されました。これまでの北米市場では、Cセグ(カローラ、シビック)が「スモール・セダン」として大きな市場を持ってきましたが、近年ではジープが再び躍進するなど米国市場の嗜好も、他の地域よりもだいぶ緩やかですが、変化しつつあります。そんな中でトヨタは次の米国市場のトレンドとして「Bセグ・セダン」を仕掛けていくようです(まったくの未確定情報ですけど・・・)

  日本メーカー各社が国内では売らずに中国や東南アジアの市場を中心に投入しているのが、フィットやデミオをベースとした小型セダンで、もはやアメリカ以外の地域では日本車といえばこのタイプのクルマを指すというくらいに広く知られているようです。もちろんランクルやハイラックスこそが日本車という道路事情が劣悪な地域もまだまだ多いのは確かですが・・・。そんな日本車の象徴である小型セダンが本国ではほとんど販売されていないというのは、やはりやや滑稽な構図です。結局のところ日本では軽自動車の税制面での優遇によって、小型セダン市場が完全に破壊されてしまっているようです。

  もの凄いペースで高齢化する社会では、運転のし易さを売りにした小型セダンは、むしろ売れるタイプのクルマだと思われますが、ここ数年の経緯をみてみると販売が伸び悩みフィットアリアやティーダラティオといった小型セダンが比較的短期間で日本市場から消えていきました。元々はCセグだったカローラもダウンサイジングされBセグに近いポジションになった現行モデルでも、販売開始時は極めて低調で、のちにHVが投入されてやや息を吹き返した印象がありますが、その販売のほとんどがワゴンタイプのカローラ・フィールダーだと言われています。セダンタイプである現行のカローラアクシオに街中で出会うことはほぼ無く、現行モデルに関してはかなりレアな存在となっています。理論上では日本でも十分に売れるはずなのですが、小型セダンを取り巻く現実を見ると、この手のクルマを積極的に選ぶユーザーは少なく、思いのほかに全く人気がないという不思議な現象が起こっています。

  しかしそんな現状を打破することが「ホンダの使命だ!」という意識を強く持っているのかは解りませんが、ホンダが新たに小型セダン「グレイス」を日本に導入してきました。実際のところはフィットとヴェゼルではカバーできない顧客へ向けたもので、つまりはフィットアリアやシビックセダンユーザーの乗り換え需要を見越した投入であり、そこがこの企画のスタートラインだったと思います。しかしこのクルマはテレビCMの作り方を見ていると、ホンダの狙いはもっと高い所にあるようで、どうやらアコード&フィットの燃費大幅アップやオデッセイのコンセプト変更など、天敵トヨタへの挑戦とばかりに、巨大な敵の間隙を突く狙いがあるようです。このグレイスが狙うトヨタ車はズバリ「プレミオ/アリオン」です。全車種HV化を推し進めるトヨタの中にあって、いまだにガソリンエンジンのみという旧態依然なままの販売が続くモデルです。

  コロナやカリーナの系譜を受け継ぐC/Dセグセダンとして残るプレミオ/アリオンですが、そのコンセプトはデザイン性・スポーツ性への意識は極めて弱く、高級感の演出と乗り心地に特化した「コンフォータブル・セダン」というべき仕上がりになっています。同クラスに属するプリウスと比べても、内装の方向性はだいぶ異なりますし、プレミオの乗り心地とプリウスの燃費がある程度の高い相関をもってトレードオフの関係なることはすでに各メーカーのエンジニアが示しています。その中でトヨタの主張かどうかはわかりませんが、プレミオのクラスを超えた乗り心地を維持するためには、HVという選択肢は難しいという判断があるのかもしれません。

  トヨタは全社を挙げてハイブリッドの普及に邁進してきたこの20年あまりの中で、欧州市場での逆風や日本でも反対意見がいまだに燻っていたりします。しかし苦難の末に、ハイブリッドありきの日本市場であったり、ドイツ主要メーカー全てでHV車が発売されるなどの結果を得る事ができました。しかし日本市場では断トツのシェアを誇り、グローバルでも1000万台を販売するトヨタがHVだけの一枚岩のエンジニアリングで成り立つはずもなく、ひっそりとプレミオのようなクルマが今も売れ続けています。トヨタの見事な広告戦略の結果として「HVといえばトヨタ!」というイメージが広がっていますが、プロであるはずの自動車評論家が真顔で「トヨタ=HV」という前提で持論を展開するのは、さすがに「痛い」と思います。

  さて話がトヨタへと偏ってしまいましたが、トヨタのプレミオ/アリオンを狙い撃ちした(であろう)、ホンダのグレイスは成功を収めることができるでしょうか? 同じサイズのクルマ同士の競争ではないのですが、ここ数年の日本市場では上のクラスのシェアを喰ってしまう高性能コンパクトカーの活躍が目立ちます。シビックを日本から退場させたフィットや、アテンザの販売を激減させたアクセラとそのアクセラの販売を激減させたデミオなどが目立ちます。とくにBセグの活躍が目立ちます。もちろんBセグも軽自動車によって刈られる立場にあるわけですが、やや古めのCセグ車に狙いを定めて設計すればまだまだ十分にシェアを伸ばせる環境といえます。

  ホンダとしてはグレイスをコンパクトカーに付加価値を加えたクルマとして、テレビCMにおける高級感の演出こそ出来ていますが、現実にプレミオの持つストロングポイントを実際にどう攻略しているのかが気になるところです。残念ながらホンダの快進撃を支えたヴェゼルの乗り心地はお世辞にも良いとは言えないものでした。それでもSUV人気の中で他社の新型SUVを上回る人気を集めて予想を超えるセールスを記録しまいました。乗り心地こそ満足できるものではないですが、その分だけイメージよりははるかに軽快なハンドリングが好印象という人もいたようです。グレイスにも使われるヴィゼルの1.5LHVユニットは結論として燃費に特化し過ぎたもので、Sモードの加速もなかなかですが、やはり残念なことにアクセルを踏み込んだ時の高揚感が非常に乏しいです。

  グレイスが狙っているプレミオもまたアクセルのレスポンスに大いに課題を持ったクルマです。その主な要因はCVTの変速フィールの悪さにあるように思います。トヨタの1.5Lエンジン車をひと昔前に主流だった4ATと現在のCVTで比べると明らかに走り易い領域が変わってきます。30km/h以下ならばCVTの方が安定した出力が見込めるというメリットはありますが、50km/hを超えたあたりからは完全にダイレクト感に優れる4ATが勝ります。ホンダの小型車用HVDCT化されているので、また違った乗り味にですし、Sモードもついてくることは素晴らしいです。

  さてグレイスがトヨタからシェアを奪うかどうかはわかりませんが、トヨタもカローラアクシオHVに手直し&G’s投入などの応急処置を施してくれば、去年高いレベルで張り合ったSUVに続いて、小型セダンも熱くなるかもしれません。マツダもすでに海外で導入していて、なかなかのデザインを誇るデミオセダンが存在しますし、スズキが中国向けに販売を予定している小型セダンベースのコンセプトカーも加わって、これが新たなトレンドになっていきそうな気配を感じます。


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2014年11月10日月曜日

メルセデスCクラス 「カッコいいというより、マトモだなこれは・・・」

  メルセデスぐらいの一流ブランドのデザインに、あれこれと文句をいうのは正直言って気が引けます。「オマエのような貧乏人を相手に作ってないから!」と言われてしまえば身も蓋もないですから・・・。実際にメルセデスのショールームに行ってみて、Aクラスを間近で見れば意外にカッコ良かったりします、私もいよいよターゲットの世代になってしまったのか?それともメルセデスが意図的にターゲット層を拡大しているのか? しかしいくらデザインがカッコ良くても、貧乏人にも手が届くメルセデスは、いざ走らせてみると絶対と言っていいほどに残念な気分にさせてくれます。なんなんだこのブランドは・・・やはり1000万円以上のクルマじゃないと乗り味は最悪という伝統は全く変わってないようです。

  最廉価車種のAクラスにも「A250」という、211psを誇るなかなかワクワクするモデルがあります。あの日産も認めてスカイラインにも搭載された2Lターボが積まれていて、スペック上からもなかなかの「ホットハッチ」ぶりを見せつけてくれます。試乗前はメルセデス版の「ゴルフGTI」的なグレードとしてかなり期待したのですが、走りに関してはまだまだ熟成不足な点が多いようです・・・エンジンとブレーキ以外はGTIに完敗です。いくら比べる相手が悪いとはいえ、これで乗り出し560万円!!!(ひと声で500万円になりましたが・・・)完全にイカれた世界を走るクルマにしか思えません。確かに内装は勝ってますし、シートポジションの自在性などはとても良いと思いましたが、まずあの意味不明に「ふにゃふにゃ」なアクセルはなんとかして欲しいです。他の部分もハッキリ分るぐらいに負けてます。DCTの仕上がりはGTIのそれとは比べ物にならないほどヒドいですし、EPSの熟成も日本車の水準から比べればハッキリ言って"クソ"・・・。

  しかしですよ・・・乗ってみてそこまでイヤな気持ちにはならなかったのもまた事実なんです。基本的にメルセデスの内装の考え方が某最大手の日本メーカーに似ていて、いい意味で感心する点が非常に多いです。VW(ゴルフGTI)は走らせてみれば、スバル(WRX S4)よりも断然に洗練されている乗り味なんですが、居住性に関してはスバルにすら大きく遅れをとっています。海外勢で一番良いとされるVWですが、どうも居住性という部分では競争力を失っているように感じます。アメリカで大不振な理由はこの辺にあるのでは? カーメディアが絶対に悪いと言わないVWですらこのザマですから、他の欧州車の実力なんて推して知るべしなわけで、多くの輸入車ユーザーはこの時代遅れの内装に理解を示した上で、我慢して使っているというのはなかなか滑稽です。1000万円を軽く超える超高額車はこの限りではないでしょうけど・・・。

  しかしメルセデスは敢えてプライドを捨てて、日本メーカー基準の内装をいち早く取り入れたようで、同時に低価格化を進めることによって、控えめで良識的な日本人ユーザーの心を掴んでいるようです。日本でのブランド別販売台数で先行するVWを一気に抜き去って突き放しました。ドライバーの体型にもよるでしょうが、一般的な男性の基準で考えたときに、ゴルフGTIとメルセデスA250ではコクピットのスペース作りに格段の違いがあります。トヨタの5ナンバー(プレミオやカローラ)よりも狭く圧迫感を感じるGTIと、Cセグの中ではレクサスCTと並んでおそらくもっともスペースが取られているA250です。結論を言うと、GTIの「走り」とA250の「内装」が組み合わされるならば、それほどに「A250」の走りが熟成されたならば、乗り出しで500万円払う価値は十分にあると思います。

  500万円というと確かにスカイラインHVが買える価格です。まあクラスが違うクルマなので一概には比較できませんが、現在のところ走りの洗練度だけを比較するならば、スカイラインよりもゴルフGTIにいくらか分があります。スカイラインのハンドリングは4800mmで1800kgあるクルマにしては驚異的な水準の旋回能力を秘めていますが、それでも4200mmで1300kgのクルマよりも刺激的なハンドリングを作り上げる事は至難の技です。そしてスカイラインの内装は一見豪華ではありますが、旧来のパワーシートのシステムや足踏み式サイドブレーキもなんだか古臭くてちょっぴり萎えるのも事実です。これにくらべてA250に標準装備(A180にはオプション装備)のパワーシートのシステムは画期的です。同じものが新型Cクラスにも使われていますが、これが非常に直感的で使い易いので今後は高級ブランドの間で急速に普及するでしょう。どうやらメルセデスがまたまた新しいトレンドを起こすのは確実なようです。

  さてA250から車格を上げたC250も発売されました。メルセデスの小型・中型でそれなりに納得できるクルマは、現状ではA250とC250の2台だけだと思います。スカイラインターボに使われているエンジンとは多少仕様が違うようですが、基本的な出力は同じものです。単純に車重で比較するとスカイライン>C250>A250の順なので、最も動きが良いのはA250です。それでも乗ってみるとなんだかあまり印象は良くないので、絶対的な運動性能はC250もスカイライン200GT-tもそれほど期待できないはずです。やはり本来はマルチシリンダー・エンジンをフィールドにするメルセデスですから、まだ展開から日が浅い4気筒エンジンに過度な期待はできません。せいぜいレクサスや日産の高級車で最廉価グレードのエンジンを務められる最低限度のものでしかないです。

  さてこのエンジンが最上級グレードに使われている新型Cクラスですが、C250はマトモに買うと700万円以上・・・スカイライン350GTやレクサスIS350といった日本車を代表するGTサルーンが買えてしまう金額になります。いよいよ直4(ターボ)でここまでボッタくるクルマが出て来てしまいました・・・これはちょっとイヤな流れだなと思います。今後登場する日本車にも大きな影響を与えそうです。同じエンジンを積むスカイライン200GT-tもMCの度に価格が上がるでしょうし、直4ターボの廉価モデルを増やしているレクサスも強気な価格を提示してくるでしょう。ホンダ・マツダ・スバルも上級モデルはさらに価格が上昇しそうです。

  さてCクラスですが、ドイツメーカーのセオリーに反して、いろいろな点を弄ってきました。デザイン・走り・内装・パッケージとそれぞれにコストが配分される中で、全てのパラメーター値を変えて他ブランドのクルマとの比較をしにくくさせています。このクラスで日本で売れているのがBMW3シリーズです。去年発売されたレクサスISは大幅刷新で3シリーズを超える走りを作り込んできました。日本車がドイツ車の得意分野で勝負して見事に勝利したわけですが・・・多くのクルマファンはその現実をまだ直視できないようです。日本車に得意分野でやられたドイツ車の雄メルセデスは、この新柄Cクラスにおいて、逆に日本のお家芸といえる内装の質感の高さで反撃してきました。まあ走りもデザインもユーザーの主観が伴うので何とも言えませんが、レクサスもメルセデスも天晴れじゃないかと思います。

  相対的にクルマを性能面で判断してばかりだと、時にバランスを損なったハイパフォーマンス車が過剰に評価されるという悪循環に陥ります。正直言ってレクサスIS350は、BMW328iを封殺するパフォーマンスを誇りますが、燃費やヘビーな車重からくるタイヤやブレーキの負担を考えると、誰にでもオススメできるクルマではありません。ド派手なエクステリアに、余裕たっぷりの出力を誇るナンバー1なスポーツセダンである「IS350」は文句なしにカッコいいです。いわゆる「自慢のクルマ」というヤツです。

  その一方で「C250」は・・・マトモです。デザインもそつないですし、内装も破綻のないさりげなさに惹かれます。走りに関しては211psもあれば十分だと「納得」する慎ましい謙虚なセダンです。30歳前半くらいまでの若者か、65歳を超えた高齢者、あるいは女性が乗れば違和感がないクルマだと思うのですが、700万円という日本価格がそんなリアリティすらをぶち壊してしまっている気がします。やはり直4搭載車はせいぜい450万円くらいに収まるべきじゃないか?という気がします。マ◯ダア◯ンザなども今度のMCでAWDが追加されてLパケは本体390万円という噂ですから、いよいよ450万円を突破してしまうようです。はやくもメルセデスの悪影響が・・・。



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2014年10月13日月曜日

スバル・レガシィB4 「フラッグシップらしさに期待」

  いよいよ10月24日に発売が予告されたスバルの最上級モデル・レガシィが楽しみです。ちょっと気になるのが、大きな反響を持って迎えられたレヴォーグとWRX S4の完成度は最初からかなり高く(言い切ります!)、従来のレガシィのファンがごっそりと動員されてしまった感があることでしょうか。残ったのは最近のレガシィが拘って作り上げてきた「居住性の高さ」と「スバルの高度な走り」の高いレベルでの両立こそが他にはないこのクルマだけの魅力!と悟っている人々だと思うのですが、果たして日本には一体どれくらいいるのでしょうか?

  クルマ雑誌を見ていると、新型レガシィは来たるFMCで、完全に北米サイズにまで膨らんでしまい、全長4800mm級のFFベースのクルマなんて北米市場の特別仕様なので過大な期待はできない!といった厳しい論調が目立ちます。まあ確かにランエボをサーキットで走らせる感覚とは全く相容れないですから、その視点から「ドライビングの刺激が薄い」というありきたりな結論自体は間違いではないですけど、このジャンル(FFのD/Eセグセダン)を語るべき視点はもっともっと深いところにあるのに、ほとんどの日本のカーメディアがそこまで言及しようとしていないのが残念です。彼らは自動車の専門家ですので、アメリカで売れている理由も本気を出せばいくらだって列挙できるはずですが、完全にイメージ商売(人気獲り商売)と堕してしまった現状のライター業では、読者に嫌われるような本質は徹底的に無視する空気が蔓延している気がします。「ドイツ車は至高でアメ車はゴミ」という幻想は決して破壊してはいけないようです。

  まずアメリカでなぜこのクラスが売れるのか?という疑問に対して、「アメリカだから」みたいな小学生レベルの解説を平気でするライターなんてゴロゴロいます(もちろんわざとです)。「日本人とは感覚が違うから」と言われても読んでる側は困惑しかしません。ハンバーガーやポテトチップスを食べながらソファーでテレビ見る事がライフスタイルの国同士なのだから、クルマの趣味だけはまったく別ということはないはずです。バブル崩壊から20年が経ち、日本でも服・バッグ・時計・靴といったアイテムで一般ブランドの何十倍の価格を付ける高級ブランドが軒並み大苦戦する時代になってきました。その背景にはアップルのようなプレミアム価格を提示しないでも世界一のブランド価値を築く、現代アメリカの「マテリアル主義」に基づいた新興ブランドの進出があります。そしてそのマテリアル主義の"クルマ版"といえるのが北米で大ヒットしている「4800mm超のFFセダン」だったりするのですが、その現実に対して日本のカーメディアは必死に抵抗しています。

  今やオシャレな男性用スキニーカラーパンツが2500円で買えます。ちょっと前まで「高いな・・・」と思いつつバーバリーブラックレーベルやポールスミスのパンツをその10倍の価格で当たり前に買っている人が多かったですが、いまやどちらも同じ中国縫製ですし品質に大きな差なんてありません。時計だって中国で大量生産されるセイコーのクォーツを使ったデザイナーモデルが様々な新興ブランドから数千円で買えてしまいます。ネットで探せばそれこそもの凄い数の時計がありますから、その分デザインの良いものも多いですし、性能は完全にセイコークオリティです。もちろんクォーツですから200万円くらいする有名ブランドの機械式時計よりも1000倍は精度が良いです。

  「ネットの普及」とか言ってしまうと安っぽく聴こえるかもしれませんが、個人デザイナーがわずかな資本でブランドを立ち上げて、宣伝・販売をすることも容易になりました。商品さえよければ有名ブランドにライセンス料を払って商売する必要もなくなりつつあります。三陽商会がバーバリーと契約を打ち切りましたがこれも時代の流れなのかもしれません。ほかにも「ネットの普及」によって欧州で売られている良心的価格のヴィヴィアン・ウエストウッドのネクタイなども日本に居ながらに4000円程度で買える時代に突入しているわけです。輸送コストの問題があるとは思いますが、欧州で8000ユーロで売ってるフォード・エコスポーツも日本で自宅に居ながらに100万円くらいで買えてもよさそうですが・・・ちなみに日本価格は本体246万円です。

  ちょっと話がそれましたが、ほかのアイテムは価格破壊が進んでいますが、クルマだけは今でも"欧州車至上主義”が堂々とまかり通っていて、欧州車的でないクルマは徹底的に排除するといった論調が根強いです。「高級セダンはFRであるべき!」「CVTは絶対にNG」特にこの2つは、あたかも絶対的な「真理」として扱われています。ちょっと考えれば誰でも気がつくことですが、構造上「狭くて・うるさくて・危険」になることが避けられないFRに拘ることにそれほど大きな意義はないです。今では直4エンジンでもNAで200ps、ターボやHVなら300psは絞れるわけですから、むしろFRに拘ることで設計上のネガティブな点ばかりが付いてまわります。しかしそういう問題提起はプロライターの世界では絶対にタブーなようで、彼らは「余計なことを言って」レクサス・日産・メルセデス・BMWから出禁を喰らったらオワリとでも思っているようです・・・。

  しかしいくらプロライターが熱心に主張したところで、今や自動車雑誌を読んで真に受ける人なんて"アホな暇人"だけですから、通常の賢い消費者は全く意に介さずにクルマを選び、その結果エコカー・軽自動車・ミニバン・SUVが日本ではひたすらに売れています。そんな中で日本市場でもラインナップが揃い出した「北米サイズ」のFFセダンですが、4800mm超の大型ボディにもかかわらずカムリとアテンザはデザインの良さが評価され予想以上に売れました!アコードはホンダの掲げた看板の割には、デザインが振るわずやや地味な存在で、ティアナは実力十分なのですが日産の消極的な姿勢とメディアのバッシングが強くやや苦戦気味です。さてAWD専用という特殊ジャンルですがレガシィは一体どうなるのでしょうか?

  で・・・話のオチなんですが、カーメディアが絶対に伝えない「真実」として、日本のD/EセグのFFセダンを端的に表現すると、「世界で最も安全なツーリングカー」という評価ができます。燃費重視の日本車は両輪を平行気味に配置して抵抗値を下げる方向に調整するのですが、いわゆる「トーイン」を取らない方針で、これにより最近の日本のFR車は欧州車と比べてしばしば直進安定性が低いと言われています。もちろん最近やたらと燃費を気にするようになったBMWやMBの低グレード車も同じようなものなんですが、なぜかスカイラインやクラウンばかりが叩かれます。ハイウェイを安全に快適に走るならば、車高が低くてスタビリティがあり、直進安定性に優れるFFが絶対的に優位です。ハイウェィ網が整備されているアメリカでこの手のクルマ(カムリ・アコードなど)が売れるのは当たり前なことです。

  しかもFFのパッケージングの良さは車内の居住性に大きく貢献します。同じサイズのレクサスGSとカムリあるいはスカイラインとティアナの車内の広さを比べれば一目瞭然です。スカイライン(4790mm)と一クラス下のシルフィ(4615mm・FF)を比べてもシルフィの方が後席は快適だったりします。さらに決定的なのが、欧州、米国、日本の各市場で行われている衝突安全性の実験において、FF車の方が圧倒的に良い結果を出しています。この点に関しては専門家の分析など全く出されておらず、断定的なことは言えないのですが、一般にFF車で採用される横置きエンジンの方が、FR用の縦置きよりもキャビン内部に与えるダメージが小さいことと、前軸に直接リンクしているエンジンの方がマウントも強固で、駆動輪となっている前軸も重厚に作られているなどの構造上のアドバンテージが挙げられます。

  ちなみにスバルが採用している水平対抗エンジンは、比較的に車体下部に配置されるので、衝突時にキャビンに突入することはまず無く、車体下へと堕ちるように設計されているとスバルは公表しています。各市場のテストでべらぼうな高評価を連発しているアコードやアテンザといったライバルをさらに凌ぐ「安全性」を堂々と謳うスバルのコンセプトは、もっと日本ユーザーにダイレクトに伝わるといいなぁと思う次第です。


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2014年8月19日火曜日

ジャガーXE 「レクサス化しているDセグ市場をぶっ飛ばせ!」

  ほんの15年ほど前までのDセグセダンは、マークⅡ、チェイサー、スカイライン、プリメーラ・・・若者の給料でもなんとか買えるくらいの価格(200万円以下)で買えるクルマばかりだったですね。それがいつの間にやら最低価格は200万円を越え、さらには250万円を越えるようになりました。今では販売の中心が400万円を超えるプレミアムブランドに完全に移行したためか、かつてのような「走り」をメインに考えた設計は影を潜め、より「高級車」らしい装備を盛り込むことに各社がしのぎを削るようになりました。

  内外装がどんどん洗練されれば、古いクルマに乗っている人は大きく心を揺さぶられるようで、買い換えがかなり捗っていつようです。最近のDセグセダンを見ていると、どうもこの「売るためのマニュアル」通りに作られたクルマがやたらと目立ちます。比較的廉価に思われているマツダ・アテンザもその流れに乗ってしまったようで、売る気満々の「XD・Lパッケージ」が乗り出し価格では400万円を超えていて、プレミアムブランドのモデルとそれほど差が無くなっています。ユーザー側としてはもっといろいろな方向性を打ち出して、あれこれ選択肢を作って欲しいと思うのですが、「価格」も「見た目」も「乗り心地」もなんだか良さげでお互いに似たり寄ったりなものになっています。

  最近ではメルセデスの新型Cクラスが話題になっています。このクルマもトレンドによく乗っかっていて、内装が格段に向上しつつ、マイルドなパワートレーンでモード燃費を稼ぐ方針を明確に打ち出しています。燃費は欧州の道路事情で考えればトヨタの2.5LのHVに匹敵する実力があるようですが、信号地獄の日本の都市部ではどう足掻いてもHVには及ばないようです。なぜメルセデスは真っ先にHVを持ってこないのか? ちょっと余計なことを言っちゃいますが、その辺の本末転倒ぶりを考慮に入れると、とても日本COTYの最有力候補には相応しくないクルマです。

  しかしそんな注目度が高いモデルがやってくることは先刻承知のはずのトヨタが、今回は特に対抗モデルを用意しようとしないのはナゼでしょうか? もし本気で新型Cクラスをブロックするつもりならば、現在開発中と言われるセダン版の86を間に合わせることもできたでしょう。おそらくトヨタとしては「新型Cクラスは大して売れないだろう』という判断があるのだと思います。それとは別にセダン版の86では対抗するのがやや難しい「ジャンル」へと立ち位置を変えてきたメルセデスの戦略に対して有効な対策が見出せないという見方もあります。

  メルセデスが「スポーティ&プレミアム」の王道路線でCクラスを仕上げてきたならば、トヨタが意地で作ったハイクオリティのレクサスISと、スポーツカーテイスト満点に仕上げた86セダンで、Cクラスの市場を完全に締め上げることが出来たでしょう。しかしCクラスの狙いは内装をレクサスの水準まで引き上げて、さらに経済性に優れるレクサスIS300hに興味を示す人々を価格面で狙い撃ちするという奇襲戦略でした。先ほども申しましたが、燃費ではメルセデスに勝ち目はないのですが、C180はレクサスIS300hを大きく下回る価格帯であり、レクサスIS250の2.5LのNAをダウンサイジングしたような1.6Lターボを積んでいて「先進性」をうまくアピールできています。

  もちろんレクサスIS250に使われているV6NAのエンジンの方が、高回転まで気持ちよく回り頭打ち感も無く、高級車用のパワーユニットとしては望ましい点がかなり多いのですが、昨今の自動車選びにおいてそういった視点を強調する評論家は非常に少なくなっています。エンジンの「官能性」を求めるユーザーがいなくなったわけではないのですが、そういう層にコミットしていても利益が上がらないという判断でユーザーの切り捨てが行われ、「フェラーリが」「ポルシェが」と偉そうなことを書いてる評論家が、「自分を殺して」まで何の感動ももたらさないエンジンを「さすが!」なんて持ち上げているわけです。

  もうそろそろいい加減にこのトレンドも破綻していい頃かななんて思っています。レクサスが作り出した新たなプレミアムカーの基準、それに完全に呑み込まれているだけのCクラスのようなDセグ車になんだか疑問を感じている人も多いのではないでしょうか。700万円出してIS350を買わなければいけないのか?いや500万円で「官能」を呼び覚ますDセグセダンがあってもいいんじゃないですか? そんなメルセデスにあっさり切り捨てられた人々の想いを汲んでくれそうなDセグセダンが「ジャガー」から発売されるようです。

  インド資本によってランドローバーともに再建が進むジャガーの最新ラインナップはどうやら賛否両論があるようですが、世界市場の趨勢を見る限りはマセラティとならんでかなりのハイアベレージでシェアを拡大しつつあります。最新のジャガーに対して批判的な意見は、「デザインに重みがなくなった」「アルミ軽量ボディで直進安定性が低い」「衝突安全性にやや疑問(ユーロNcapが低スコア)」といったものです。高級サルーンのブランドとしては致命的ともいえる欠点を抱えているのですが、それでも世界のクルマ好きはジャガーのクルマを歓迎しているとデータ上に表れています。

  逆に最新のジャガー車が評価されている点はどこか?「V6とV8のスーパーチャージャーエンジンがとても官能的」「車重を感じない人馬一体感」「若々しいデザイン」といった点です。衝突安全性の部分はさすがに看過できないですけど、ボディがXJやXFから一回り小さくなって車体剛性が上がればある程度は解消されるでしょうし、さらに小回りが利くサイズで道路を選ばずに走れるようになるならば、待望のスポーツサルーンになるのでは?という期待が高まります。ジャガーが徐々に情報をリークし始めましたが続報を待って、このブログの最大の注目車として徹底マークしたいと思います。


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2014年8月5日火曜日

メルセデスCクラス 「もはや男が乗るクルマではない!」

  「ワクワク感は皆無」です。なんでいい年したオッサンのライターがはしゃいでいるのか?ハッキリ言って良く解りません。別にプロライターをバカにするつもりもないし、メルセデスを貶めるつもりも全くないですが、カーメディアのリアクションを見ていると相当な違和感があります。メルセデスを掴まえて「質感が著しく上がった」なんて・・・配慮が無さ過ぎる文言があらゆる誌面で躍っていて読んでいるこっちが恥ずかしくなってきます(これはクルマではなく日本のメディアの問題か?)。

  メルセデスの新型Cクラス(W205)は、先代モデルから大きく進化を遂げているのは確かですが、そこにはメルセデスとしてのある種の「自己決定」があるように感じます。先代モデルとの最も大きな違いは、簡単に言うとターゲットを絞り込んでいることです。先代のCクラスもまともな皮膚感覚の常識人から見れば、「30歳以上の女性」が乗るクルマというのが相場だったのですが、メルセデスとしてはそういう「決めつけ」に対して抵抗するスタンスを少なからず持っていました。若くしてメルセデスを志す「エリート」に向けてこのクルマを届けたいという姿勢は先代モデルからは感じることができました。それでもせいぜい30歳代前半くらいまでの男性がターゲットだと思われます。

  都内の一等地にある高級住宅街に迷いこめば、確かにCクラスに乗る人のほとんどは女性ですが、日本のほとんどの地域で見られるのが、このクルマを転がすのはいい年したオッサン。偏見はいけませんが、とりあえず・・・な人と思っておいて間違いないでしょう。わざとピンクのダイハツ・ミラのような、女性的なクルマを好んで選んで乗る目立ちたがりのオッサンが最近では増えていたりしますが、しかし今の所はCクラスに乗っているオッサンにはそういう発想はあまり無さそうです。しかしメルセデスはいよいよCクラスを「女性の為のクルマ」と認識して、その方向性に沿って「誠実」に進化させることを決断したようです。「Cクラス=女性専用車」という見方をするならば、今回のFMCには着実な前進と思われる点が随所に見られます。

  女性が使うという前提でクルマを作るとなると、その幅広さは男性向け自動車の比ではなく、パワーユニットはあらゆる形態が考えられます。某雑誌でF30BMW3シリーズのユーザーレビュー特集がありましたが、面白いことにガソリンモデルは全て女性ユーザーでディーゼルモデルは全て男性でした。女性の方がクルマへの依存度(使用頻度?)が低いせいか、燃費への要求も男性ほどシビアではないようです。機能性よりもファッション性を貫くことばかりに意識が囚われているアパレルの高級ブランドのように、それに限りなく近いポジションで消化されるようになったのが、BMW、アウディ、レクサスそしてメルセデスの廉価グレード車種の現実だと言えます。

  ちょっと前までは「女性向けのライトなクルマ」として括って片付けていた部分があったのですが、OECD諸国における女性の社会進出は目覚ましいようで、いまでは主だったプレミアムブランドの中心軸は完全に女性向けのモデルになったようです。そんな時代の大転換を象徴する「瞬間」が今回のCクラスのFMCではないかと密かに思っています。そう思わざるを得ない点は多々あるのですが、例えばやや固いイメージがあったCクラスのエクステリアはエッジを切り取り丸みを帯びたものになりました。その手法は商用車然としたボディタイプを斬新にカッティングしたトヨタパッソや日産マーチに通じるキュートさに包まれていて、いかにも女性に対して大きく門戸を開いた印象があります。

  また最近のアウトレット専用商品を用意するブランドバッグのブランドの商品のように、質感ではなく「マーク」で付加価値を与えるという、「経営効率最優先」のブランドの背信的姿勢をほぼ全てのクルマから感じてしまいます。クルマの走行性能よりも「どう見えるか?」「オシャレか?」に力点が置かれています。もっとも女性にクルマの性能にこだわれという方が無理があります。例え女性といえどもスバルやホンダの機能性が極めて高いと理解できる人はたくさんいるでしょうが、400万円をアコードやレヴォーグに使おうという人はかなり少数派だと思われます。いくら質感がよくてもデザインが古めかしとアパレルもバッグも使われることはまずありません。

  最近では、女性的な感性でクルマを選ぶ女の腐ったようなオッサンが増えているようで、何の躊躇いもなく「カッコいいから」とAクラスを選ぶ男性も多いとか・・・。大変失礼ですが、大手サイトのユーザーレビューを読んでるとAクラスのところだけ「アホ度」が異常に高い!「遅くて燃費も悪いけど国産よりマシ!」(いやマシじゃないですけど・・・)やら「文句を言いたいならメルセデスユーザーになってから言え!」(いやあなたは乗りもしないブランドを国産と一括りにしましたよね)・・・いやはやツッコミどころが多過ぎて手に負えないです。たしかに自分が乗るクルマを買うために、メルセデスディーラーに行って「Aクラス下さい!」と言う勇気は私にはないです。

  けど私のクソみたいな羞恥心とは全く違う方向へと、世界の自動車産業は動き出してしまっているようです。女性に響かないポイントを次々と切り捨てていけば、6気筒や8気筒のエンジンなんて全く要らないですし、BMW Z4もメルセデスSLKもフェアレディZも全て1.5Lの3気筒ターボにさりげなく載せ変えてしまっても、女性ならなんの臆面もなく買えるでしょう。そしてクルマの知識など皆無に等しい女性化したオッサン達も平気な顔して買うでしょう。V6とかV8に拘るヤツは頭が古い!とか能弁垂れるのは自由ですが、そんなことは誰だって解りきった上でそれでもV8がほしくて買っているのですが・・・。

  さて後発されるであろうAMGモデル以外は全てが4気筒ターボになった日本仕様の新型Cクラスですが、このクルマが一体誰のためのプロダクトかはもう明らかだと思います。とうとう本質的に女性ユーザーしか収まらないクルマになってしまいました。レクサスCTやアルファロメオ・ジュリエッタと同じカテゴリーへと伝統のCクラスが放り込まれたわけです。いや・・・レクサスCTがこれほどカーメディアの逆風を受けつつも力強く前進し主要市場で軒並み確固たる地位を占めているという事実。そしてその根底にあるトヨタの揺るぎないマーケティング能力が、名門ブランドのメルセデスをも呑み込んでしまったと言っていいかもしれません。

  
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