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2026年2月4日水曜日

VW・T-ROC (2025年8月・欧州新型発表)

 

輸入車が買いやすくなってきた

2019年に登場した初代T-ROCは、VWの期待通り欧州市場でSUV販売1位の座に到達した。日本市場では価格がネックとなっていたが、初代T-ROCのファイナルエディション「マイスター・ヴェルク」が販売中だ。現状で438万円のボトム価格を打ち破り、429万円〜でしかもシートヒーターが標準装備になっていてお得だ。VWもステランティスも日本市場では、価格競争力での生き残りを賭けていて、新型モデルはいずれも価格がしっかり抑え込まれていて、機能面やブランディングなど総合的に判断すれば、価格上昇が著しい日本車と比較して良い選択に思える。


2025年を目処に初代T-ROCの生産が終了される予定で、2026年から二代目に生産が切り替わる。MAZDA3の全長を僅かに縮めてCX-30を設計しているように、初代T-ROCもゴルフ7の全長を切り詰めたサイズになっていた。二代目T-ROCでは中国向け初代T-ROCと同じサイズに拡大されるようで、ゴルフ8よりも全長が長くなる。それでも4.3m程度なのでコンパクトだけど高速道路でしっかり走れるコンセプトは維持されそうだ。



トヨタ vs フォルクスワーゲン

メルケル時代のVWは中国市場でシェアを伸ばし、欧州よりも東アジアの方が販売が多かったが、2025年は欧州で力強く復活し、欧州394万台、東アジア301万台で、「欧州メーカー」へと回帰している(台数はVWグループ全体)。欧州市場で攻勢を強めるHEVメーカー・トヨタの尖兵となっているのがカローラクロス、C-HRだが、これを迎撃するT-ROCとシュコダ・カミックは、トヨタのHEVが積極的にPRしない「グランドツーリング性能」および「走りの楽しさ」でユーザーに訴求している。


T-ROCにはトヨタのHEVが追従できない「2つの飛び道具」がある、1つは300ps級の性能を持つT-ROC・Rの設定で、アウディSQ2との共通設計で実現した。日本正規販売での価格は699万円で高価だが、高性能モデルは日本車でも相当に高くなっているので、同等のスペックの新車価格としては手頃である。トヨタも欧州市場を意識してレクサスLBXモリゾーRR(650万円)を導入して、HEVだけではない懐の深さを見せているが、「コンパクトSUV&ハイエンドスポーツ」というT-ROC・Rのコンセプトはトヨタのマーケティングにも確実に影響を与えている。


欧州車の証

もう1つの飛び道具は、日本でも並行輸入で導入されているT-ROCカブリオレだ。欧州のクルマ文化を象徴する仕様で、EVシフトに突入しても欧州メーカーが共有で守り続ける強烈なアイデンティティと言える。ソフトトップのオープン仕様になっているコンパクトSUVは、ランドローバーで初代レンジローバー・イヴォークに短期間だけ設定されていた。実現こそしなかったが、BMW・X2にもカブリオレ導入が計画されたいたようだ。


T-ROC・Rにも言えることだけど、SUVが主流になり長時間を快適にドライブするコクピットは大きく進化した。ルーフが高く圧迫感が軽減されるため、ホイールベースを小さく設定できハンドリングが向上する。さらにドライバー中心の空間設計も欧州車に合っている。欧州向けSUVばかりのラインナップになっているMAZDAのコクピットに慣れると、アルファードやレクサスIS運転席の窮屈さには閉口する(肘が何度も当たるんですが!!)。欧州で人気のカローラツーリングの方が広いくらいだ。


好きになる「愛車」

Rやカブリオレで非日常なドライビングを長時間楽しむならば、ゴルフのようなロードカーよりもT-ROCのようなコンパクトSUVの方が向いている。サーキットで走るならゴルフRなのだろうけど、公道ロングドライブならばT-ROC・Rの方が楽しい休日になりそうだ。Rやカブリオレではない通常モデルのT-ROCの基本グレードである1.5L(150ps)の直4ターボでも十分過ぎる走行性能を持っている。買い物、高速道路を使った遠出ドライブ、気分転換にワインディングルートの走行の、どの用途にも非常に適性が高い。


同サイズの日本メーカーSUVである、ヤリスクロス、ヴェゼル、キックス、CX-3はBセグゆえに高速道路の巡行にやや不向きだ。VW車が使うDCTは、日本メーカーの国内向けでは採用がなくなった(ホンダの北米モデルに一部あり)。MT車の運転経験が無いユーザーが使うと上り坂や渋滞時にトラブルが出るなどデメリットもあるが、高速巡行でMT車のようなダイレクトな走行感覚はドライビングの楽しさを高めてくれる。夜間ドライブが趣味な人がCVT車から乗り換えたら全く別のアクティビティになると思う(運転にコツが要るけど)。



フォルクスワーゲンとMAZDA

日本メーカー車はFMCの度に新しい機能が加わらないと、カーメディアから(書くことがないから)「全く進歩がない」とか書かれる。一方でドイツメーカー車のFMCは、可能な限りキープコンセプトであることを強く求められる。ポルシェが自然吸気に回帰したり、BMWがMTを設定したり、MINIがエンジン車を残すだけで、カーメディアもファンも歓迎する。MAZDAは日本メーカーなので「HEVを作れ!!」と高圧的に批判されることも多かったが、国籍を変更してドイツメーカーになれば、「走り」にコンサバな開発思想を絶賛してもらえるかもしれない。


VWも小排気量ターボ化、ディーゼル化、BEV化、MT廃止などのタイミングで、「昔のゴルフは良かった」的な懐古主義なレビューが浴びせられた。保守的なMAZDAに対して、VWは革新的な面で議論を読んでしまう。欧州最大ブランドとして欧州で実用的なクルマ作りをした結果が「過密ストップ&ゴー」かつ「灼熱高湿極寒豪雨スノー」な日本市場向け実用車としての適性は低いままだったりするので(地域にもよるけど)、ファンやインポーターは置いてきぼりを食らったと感じてしまうかもしれない。



フォルクスワーゲンを味わう

日本の気候に対応していて、かつゴリゴリのHEV燃費で推してくるトヨタ、ホンダ、日産(日本大衆車BIG3)が、日本の実用車として機能面で優位性を持っていることは認めざるを得ない。日本の暑い夏を乗り切る逸品として長年開発されてきたキリン、アサヒ、サントリーのビールを好む人々に、スコットランド・アイラ島のウイスキー・ハイボールの方が美味いと勧めたところで、大きくニーズが切り替わるとは思えない。


しかし一部の日本の酒飲みの心を掴んで離さないのがラフロイグ、アードベッグだったりする。余市や白州といったジャパニーズウイスキーも確かに美味いが、アイラ島の蒸溜所が生み出すモルトウイスキーより上の格付けにはならない (もちろんビールなど口にしない)。VW、MINI、BMW、MAZDAは、それぞれにユーザーは少数派ではあるかもしれないけど、東京都の中央部(多摩地域)で、休日の日中に散歩していると、この4ブランドがクルマ愛好家に根強い人気を誇っていることがよくわかる。


イチャモン

初代T-ROCはデビュー直後から福野礼一郎さんに酷評されるなど、厳しい船出だった。VWを購入する層(リテラシー高め)への福野さんの影響力はかなり大きいと思われる。偉大なライターであることは認めるが、T-Crossの1L直3ガソリンと、T-ROCの2L直4ディーゼル(当時はガソリンは未発売)を同時にレビューする企画に無理があったかもしれない。同等のモデルとして、MAZDAのCX-3のガソリンと、CX-30のディーゼルを同時にレビューさせたらCX-3の走りが際立たつのは容易に想像できることだ。


幸いなことにゴルフとT-Crossは福野礼一郎さんによる絶賛レビューがコアなクルマ好きの間では知られていて、2025年の輸入車販売台数で2位ゴルフ、3位T-Crossとなったことで、福野レビューが妥当だったことが証明されてしまった。どちらも乗り出しでT-ROCより100万円ほど安くてフォルクスワーゲンを味わえるのだから賢い選択である。2代目T-ROCの全容はわからないが、その余力ある設計で「R」や「カブリオレ」の世界観で注目されるようになって欲しい。



後記

最後までお読みいただきありがとうございます。この投稿は2026年2月4日時点での情報をもとに記述しています。今後とも日本市場で展開する 自動車 メーカーについて思うところを綴っていきたいと思います。


「VW・T-ROC ドイツ車の価値」(マウンテンゴリラのカーライフ)


「VW・T-ROC コンパクトSUV戦争が勃発」(CARDRIVEGOGOエリア9)


「福野礼一郎さん『ゴルフとは思えぬ駄作』(2021年レビュー)の予言」(カーメディアにひと言・・・)


「VW・T-ROC (2026年2月4日)」(CARDRIVEGOGOまとめブログ)









2017年12月14日木曜日

VWアルテオン 「真面目になったVWはいいかも」




サイズ4865×1875×1435
  

  東京MS2017に合わせてVWの最上級セダン・アルテオンが発売されました。正直言ってパサートの2Lターボエンジンを積んだモデルが、最近のドイツブランドでは「良い雰囲気」を持っていたので、このパサートが日本市場でジワジワ伸びて定着すればいいなーと思っていたところに、ワンクラス上のモデルが来てしまいました。パサートがマークX/カムリだとすると、このアルテオンはクラウン。果たしてこのラインナップの厚みは日本市場で通用するのか!?

参入モデルが少ないのをいいことに価格が高騰していた日本の高級セダン市場に、強烈な電撃ショックを与えそうな『280psAWDで549万円』というなかなかのバーゲン価格になってます。まさかホンダの「お買い得」なフラッグシップであるレジェンドを100万円も下回って来るとは思いもよりませんでしたねー。北米価格は3万ドル程度(BMW320iとほぼ同じ)なのでまだまだ400万円台まで値引きもいけるのでは!?

スペック280ps/5600・35.7kgm/1700

渋いの好きな人にはたまらないですよね。気に入ったなら、あまり後先考えずに買ってもいいかも。ファミリーカーとしてもデートカーとしても嫌味が少なくてポイント高そうです。VWは小型車のイメージが強いですから、ちょっと大きめのクルマを作るときはデザイン事務所(カロッツェリア)を使うことが多かったり、場合によっては設計そのものを外注することも。クラシックカーとして人気がある『カルマン・ギア』をエクステリアだけでVW車と認識できる人は少ないはず。



2L直4ターボ&7DCT 


このクラスのクルマになると、作っているメーカーも「ブランドのアイデンティティ」を強く意識してくるので、レクサスGSやホンダレジェンド、日産フーガ、ジャガーXFなどどれも「窮屈」なデザインに見えちゃうんですよね。もっと自由にデザインしたらフォーマルなセダンも変わるだろうにと思うのですが、2000年代にBMWの伝説的なデザイナーが、あまりに自由に振舞ったために大ブーイングを受けた記憶がまだ業界全体を覆っている!?

そう言った意味でもアルテオンは他ブランドのEセグメント車とは違って堅苦しさもないし、高級車アピールでゴテゴテとするわけでもなく、もうすっかり忘れかけていた『ドイツ工業デザインの美徳』を思い出させてくれる落ち着きがあります。まあ決してメルセデスの大暴走をディスっているわけではないですよ。MBもOECD市場における豊かさを真剣に考えた結果の「インテリア重視」のデザイン改善がラインナップ全体に貫かれています。それが狙い通りに日本市場でもヒットしてる。

Rライン549万円 / Rラインアド599万円

アウディではなくてVWってところがミソです。メルセデスを追いかける役割があるアウディA6は、様々な機能においてなかなか割り切りができない。スバルみたいなカルト的設計のシャシーに、いかにも重厚なサスを配して、さらにでっかいスタビが入って、ボデーにはアルミが採用されるもクワトロモデルは乾燥重量は1800kg前後に及びます。これを252psで引っ張る『A6・2.0クワトロ』と、1700kgのボデーを280psで振り回す『アルテオン』。これが実際に乗ってみると結構違うんですよ。

大雑把に言えば、スバルレガシィB4とマツダアテンザをそれぞれ2.5L自然吸気ガソリンユニットで乗った時に感じる違いってやつでしょうか。A6はレガシィB4よりもさらに粘っこいハンドリングは好きな人にとってはいいkも。アルテオンはアテンザのような軽快さが持ち味です。最近のマツダに似てエンジンの吹けも渋いけど・・・


日本市場に新風を!! 

パサートとは別にこのクルマを作った意図としては、パサートはあまりにもカンパニーカーとしてのイメージが強すぎるので、「インスタ映え」とか いう言葉が飛び交う『ビジュアル社会』にハマるためにも別のモデルが必要だったってことだと思います。もうレクサスLSではもうアガらないから、レクサスLC作りました!!というのと狙いは同じ何でしょうね。

日本市場のユーザーにはこの辺の事情がわかりかねますけども、VWのこの新型車を上手く使いこなすセンスのいい人が街中にポツポツでて来たらいいですね。


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2017年6月28日水曜日

VW新型ポロGTI 2Lターボ200psで来年日本へ!?

  もしかしたらVWが日本から撤退するのでは!?なんて結構マジで思ってましたー。最近MCが行われたゴルフも中国、東南アジア、インド限定で流通している1.2Lターボ(EA211)のままで日本向けモデルを生産し続けるようですが、このエンジンでは日本の2017年排ガス規制のNOx量をクリアすることができないですし、おそらく日本向け専用に排ガス浄化機能を追加することもないだろうと思います。このままだとゴルフ8へ進化する時(FMCの時)には、アジア向け1.2Lターボのままでは日本に入ってこれなくなる見込みです。

  あと5年くらいは現行のゴルフ(7代目)、ポロのノックダウン生産車を日本向けに回してFMCを回避するつもりか?と思ってましたが、どうやら報道によるといよいよドイツ本国と同じ1.0Lターボ、1.5Lターボが来年の新型ポロから採用されるようです。そして新型ポロが復活を期すVWらしい進化を遂げているようです。欧州市場の最大のライバルになったルノー・ルーテシアは一足早く3ナンバーサイズになってフランスやイギリスで大人気ですが、これに対抗すべくポロもホイールベースを10cm伸ばして、全幅も5ナンバー枠を突き破るみたいです。シャシーにはMQBが採用されるようなので、もうこうなってくると、もうゴルフはいらなくなるんじゃないですか!?ゴルフには『ヴァリアント』という、より実用性を高めたモデルもありますし、『オールトラック』とかいう変わり種もあるわけですが・・・。

  PSAのBセグ(プジョー208など)は『EMP2』を使わせてもらえないようですし、マツダのデミオも『スカイアクティブシャシー』とは切り離されていますが、新型ポロは堂々のMQB。これはいかにも日本のカーメディアが大げさに騒がれそうな予感がします。とにかく褒めやすい!! 価格も199万円で据え置きで同クラスの日本車と価格差があまりないならば、これは一気に納得して買う人がもっと増えそうです。

  とにかく相変わらずに1.2Lターボを積んでいるゴルフを日本のカーメディアがゴリ押ししているのは気味が悪いです。ガソリンエンジンの中で最悪の排ガスの汚さを誇るクルマなのにー、日本メーカーはこのクルマをお手本にしろ!!っておかしくないか!?それでもスバルは愚直にエンジン以外はお手本にしてましたが(笑)。ゴルフもエンジン以外はそれほど大きな瑕疵はなさそうですけど、決して運転が楽しいクルマではないですし、大事に乗りたい!!と思わせる輸入車らしい重厚感もなくなりました。

  ただしゴルフGTIの2Lターボの排ガスは無罪みたいなので、GTIに関しては好きです。400万円を超える乗り出しなので、ちょっと気軽に『アシ』にするのは気が引けますけど、もう100万円くらい安ければ文句なしかも。そんなゴルフGTIにちょっぴり魅了されていた人にとっては、さらに期待できる展開が用意されていて、新型ポロGTIのユニットが200ps前後の2Lターボになるんだとか。これは想像するだけでワクワクします。マツダのデミオに2.5L自然吸気のスカイアクティブGを積むみたいな、独特の立ち位置の『楽しいアシ』が、もしかしたら250万円くらいで手にはいるかも!?

  ロックオンしているターゲットはおそらく『MINIクーパーS・5ドア』の374万円でしょうか。MINI5ドアは全長4000mm&ホイールベース2565mmですから、新型ポロの方が少し余裕があるサイズです。エンジンはBMW製2Lターボ横置きの192ps。クーパーSは少々アクロバティックな要素を売りにするハッチバックで、フル加速すればノーマルのタイヤではホイールスピンが避けられず、暴れるフロントタイヤの躍動からは、アバルトみたいな興奮が立ち上がってきます。スマートに加速させるにはある程度の経験が要るクルマだと思います。ちょっと元気に走らせると、タックインも結構派手に出るのでとにかく運転がスリリングです(というより怖い)。ゴルフGTIの安定志向も『実用スポーティ』といういい線を突いていますけども、このMINIクーパーSの『ホットハッチジャンキー』な中毒性(危険性)は、欧州ホットハッチの2大スタイルになってます。MINIクーパーSは日本でももっと流通しても良さそうですけど、やはりゴルフGTIと同等の価格がネックになっているようです。

  この中毒性を、VWが新型ポロGTIで『手軽な価格』で『再現』してしまうならば・・・とはいっても現行のポロGTIが328万円ですから、MINIクーパーSを日本から抹殺するくらいのインパクトは難しいかも。それとも270万円!!とかいう勝負価格が出るのか!? そういえば5ドアMINIのクーパーSにはMT設定がないなー。MTかDCTでスポーティ乗りたい人はポロGTIに、トルコンATで上質に乗りたい人はクーパーSと上手く分けられているんですけども、どうもこの2モデルは使われているミッションとクルマのキャラクターが逆転していてねじれた関係になっているんじゃないのー!? ポロGTIにトルコンATこそが理想のGTハッチバックだな・・・。

  新たにポロが使うMQBシャシーの優位性はやはり車体剛性・・・とは言っても低重心モデルではないですから、トヨタ86のようなゴリゴリした味がするのではなく、ちょっと難しいですけど2000年頃のFFの日本車をレンタカーなどで乗った人が感じたであろうハンドリング『緩さ』からくる不安定なフィールが見事に払拭されているという意味での『剛性感』です。ちょっとオーバースピードでコーナーに突っ込むと、2000年頃のFFの日本車はシャシー&サス剛性がタイヤグリップに負けて、モーメントがあらぬ方向にかかる変形が起きて、歪んだ結果として起こる『グニャ』っとした挙動を伴う不気味なハンドリングに陥りますが、MQBのオーバースピードだとシャシーが変形する前にタイヤの横グリップが抜けて弱アンダー気味にこそなるものの、総合的なフィールはある程度の限界まではサクッと曲がっていきます(そこから先はちょっと怖い目にあうけど)。

  結局は限界領域での挙動はMINIクーパーSと同じ結末なんですけども、MINIほどカットインはしないですし、やはり脱出速度におけるトラクションには差が出ると思います。両車の差としては『ベタ踏み』した時に、いかにうまく前に進むかどうか!?もちろんこれは後輪のしつけによるところが大きいです。ドイツ市場で人気のあるメーカー(VW、マツダなど)は、直進安定性に関してはクラスの頂点を占めるのが「約束事」になっているのでしょう。ポロとデミオはその点では同じ方向を向いていて、その対極にクレイジーハンドリングなMINIがあります。MINIは誰でも試せばわかると思いますが『ちょっと怖いかも・・・』と感じさせるところに、ブランドの個性や意地を感じます。

  今回デミオよりも一足先にポロが3ナンバーになりますが、デミオとMINIが分布する相関図のどの辺に着地するのか!?どこまでもGTハッチバックなのか!?それともカフェレーサーな英国流になるのか!?イギリスメディアからも相変わらず人気ですし、GDPの規模とBセグのニーズを考えると、中国、米国、日本よりもBセグハッチバックが売れるのは英国だったりします。ポロに関しては英国市場の影響をゴルフ以上に受けるでしょう。さて一体どんなポロになるのか?トヨタも来年にはヴィッツターボGRMN(1.8Lスーパーチャージャー220ps?)を世界同時発売するようなので、これが折り込み済みだとするならば、価格についても深謀遠慮がなされるのでは!?と密かに期待しています。




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2017年1月24日火曜日

VWティグアン 「ゴルフの時代は終わった。ニュースター誕生の予感」

  


  新大統領就任で自動車業界にも大きな変化が噂されるアメリカ市場ですが、新興EVメーカー・テスラの台頭などもあって、なかなか新規参入が難しいと言われる高級車市場において大きな変化が報じられています。特に衝撃的だったのが顧客満足度や品質などの調査機関が相次いで、これまでトップの常連だったメルセデス、レクサス、ポルシェに代わって、ヒュンダイが手掛ける新しいプレミアムブランド・ジェネシスをクラストップのポジションにある!!と評価し始めました。

  いよいよヒュンダイがメルセデスよりも優れたラグジュアリー・サルーンを作るようになったのかい!?・・・なんとも「末期的」な時代になりましたね。ストイックに上質さを追い求めたヒュンダイが素晴らしいのか?それとも「第一人者」の地位を守る努力を怠ったメルセデスが悪いのか?

  そもそも日本では韓国車の実力なんてわからないですけれども、昨年の上旬まで販売されていた唯一の韓国製造車であるシボレー・ソニックはなかなか多方面から絶賛されてましたね。とくにサスペンションエンジニアの國政次郎という人が書いた「営業バンが高速道路をぶっ飛ばせる理由」でも、シボレー・ソニックが日本の同クラス車(デミオ、スイフト、フィット、ヴィッツなど)よりも操縦安定性で優れているって書いてました。

  ヒュンダイ・キア・グループは2000年頃からあらゆる販売戦略(ホンディとか)を駆使してアメリカでのシェアを伸ばし、日本勢がリーマンショック&東日本大震災による大きな停滞の中でトヨタまでも赤字に沈むなかで、韓国国内の農業を犠牲にしてでもいち早く取り組んだ米韓FTAの発効という追い風を使って、ヒュンダイ・キア・グループは堂々の北米市場ビッグ7となりました。それから早くも5年以上が経つわけですから、トヨタやGMと同等の規模を持つメーカーとして、当然にレクサスやキャデラックを狙い撃ちできる次世代高級車を開発するのに十分な時間があったのだと思います

  そんなにいいクルマなら日本でも売ってみろ!!という気もしますけど、確かに現在の日本市場で売られている一連のラグジュアリー・セダンに新鮮さなんてこれっぽっちも感じないですし、ガソリン価格の高い日本でV8エンジン車を乗り回すなんてのもちょっと不健康ですし、代わりに使われ始めた直4ターボの安っぽい走りも、どーにかならないもんですかね!?さらにディーゼルなんてゲロゲロなくらいにウルサイですし・・・。メルセデスやBMWが危機感もなくあぐらをかいていた!!とは思いませんけども、テスラやジェネシスなどの新規参入をやや甘く見ていた部分はあったと思います。

  もっともメルセデスに関して言えば、彼らの使命はカンパニーカーを作ることなわけで、「エクゼクティブのためのプロボックス」を作っているわけですから、SクラスやEクラスに関しては、一般人がその仕様にあれこれ言うべきではないかもしれません。SやEの設計が目指しているのは、東証一部上場企業の役員が好むクルマ!!であってユーザーさえ満足すればそれでいい。間違っても「それ以外」の成金が手を出すクルマじゃない!?中小企業の社長さんは格に見合った「クラウン」を使うべき!?そして成功した投資家やユーチューバーはややダブついている「ガヤ」にでもお得に乗るべきじゃないですか(完全に余計なお世話だけど)。

  高級住宅街にお住まいの人々にとっては、メルセデスEクラスこそが「この街のカローラ」であって、とてもスタンダードな存在なんでしょうけども、700万円以上もする高級車ならば、さっさと直6ターボでスムーズに回るという新開発のエンジンを投入してほしいものですね。いっそのこと旧式のメルセデスシャシーを使った「クライスラー300」でも選んだ方が気分良く乗れそうな気がします・・・。

  ヒュンダイのジェネシスに遅れ(不覚)を取っただけでなく、新型Eクラスは高級セダンでありながら衝突安全基準(ユーロNCAP)で、VWの中型SUVに「格負け」するというとんでもない大失態も犯しています。これはもう言い訳できないスキャンダル!?やっぱり時代は確実に変わっているようです。そもそもアルミボデーってほんとに大丈夫なの!?

  そのEクラスを上回ったVWの新型SUVが、いよいよ日本にも投入された新型ティグアンなんですけども、いよいよ発表された日本価格は360万円〜となっています。最近ではSUVが乱発されているのでこの価格が適正なのか高いのか安いのかもよくわかりません。参考までにFF化されて直3ターボが載ったBMW・X1が397万円〜ですから、よくわかんないけど、まずまずの妥当な価格なんだと思います(どうせ値引きしてくれるよ)。なんといってもBMWのSUVとは違ってNEWティグアンは衝突安全性で素晴らしい結果を出しているわけですから、SUVを買うなら最有力候補でいいでしょう。BMWのSUVは北米NCAPで結構悲惨な結果が出てます(ここではドイツ車は大概ヒドいが)。

  最新(2016年12月)の国内SUV市場のトップ3は①ヴェゼル②C-HR③ハリアーだそうですが、コンパクトカーの代わりでしかない2台とラグジュアリーに振り過ぎなハリアーですから、ティグアンと比べてまともな結論が出せるモデルじゃないようです。おそらくは欧州でもすでに大ブレークしていて、どちらも年間40万台を軽くクリアしている、エクストレイル(欧州名キャッシュカイ)とCX5を狙い撃ちするVWの「重点戦略」モデルだと思われます。

  CX5があっという間にアクセラの台数を追い越し、マツダの利益率を劇的に改善したことは、世界の自動車メーカーにも波紋を広げているようです。あまり無責任なことは言いたくないですが、パサート、ゴルフ、ポロにこれ以上投資しても見返りはほとんどない!!大きなリターンがあるのは絶対的にSUVだ!! そんな事情が素人にも十分に分るほどに偏ったSUV人気に業界は賭けてます。その結果として日本メーカー各社やジャガーやベントレーなど欧州のラグジュアリーブランドまでが狂ったように暴走しちゃってますねー。なんだかなー。VWも当然ながら、限りあるリソースを新型ティグアンに一点投入するのが最も効率的な投資だと判断したようです。

  おそらく「日産とマツダの衝突安全基準に絶対に負けないクルマを作れ!!」という厳命があったんじゃないですかね!? とりあえず現行のゴルフはアクセラに、ポロはルーテシア(日産ルノー車台)に衝突安全基準では完敗してますけど、それは絶対的な技術力の差といった絶望的な話ではなく、メーカーが何にプライオリティを置いてクルマを作っているか?の結果として、素材選びや部品点数といった初歩的なレベルで差が生まれているように思います。実際のところボンネット開けて見ると、ゴルフやポロはなんだかスカスカしていて、いろいろとマテリアルの「省略」の痕が伺えます。もっともクルマを弄る人にとってはこれが都合がいいのかもしれません。これが欧州のクルマ文化ってヤツなのかも。

  とりあえず幸先良くエクストレイルやCX5を上回る安全性を、外部機関によって保証されたことは大きいですね。レーザー溶接のパイオニアにして、メルセデス、BMW、日産、マツダ、スバルなどに大きな衝撃を与えたVWの「基礎工学」のレベルの高さはある程度は実証されています。つまりこのメーカーが本気になって作れば「相当に良いクルマ」が出来るというコトです。ルノーの犬に成り下がったメルセデスと、トヨタに甘えるBMWの不甲斐なさが目に付きますが、メーカー規模を考えると、「マテリアル」に恵まれた日本勢に対抗できるドイツメーカーはVWだけなんですねー。マツダやスバルもそうですけども、立場が危うくなった直後にとんでもなく良いクルマが出て来る!!これが今回はVWにも当てはまるんじゃないでしょうか!?



  

  

2015年9月7日月曜日

VWパサート「イメージ通りの国民車セダンと言われれば・・・」

  ちょっと前の話になりますが、VWジャパンの庄司社長が辞めたことがカーメディア中心にニュースになっていました。この人はまず髪型が個性的なのが印象的でした。ほかのインポーターの社長と比べても若々しくておそらく優秀な人だったんだろうとは思いますが、やたらとテレビにも出てきて、自身のキャラを被せているつもりなのか?「VW=デキる人のクルマ」的なアピール戦略には、少々引っ掛かるものがありました・・・。でもこういう人はプライベートではカイエン乗ってたりするものです。ポルシェのインポーターの代表だったらもっとしっくりきていたかもしれません。

  とにかく外見からもしゃべり方からも「エリート臭」がプンプンするわけです。ただそれに反比例して「クルマ好き」のオーラってのは相対的に薄いです(実際はどうだか知りませんが)。トヨタの社長さんみたいな素朴な人が真顔で「86いいでしょ!」と言うからこそ説得力が生まれて売れるのだと思うんですよね。VWの日本での伸び悩みは逃れられないもので、メルセデスの低価格戦略の前になす術なく、誰がやっても同じ結果だったでしょうし、もしかしたら庄司さんは本国に向かって「ディーゼルを早くしてください!もしできないならば辞めます!」くらいのことを吐き捨てたのかもしれませんが・・・。

  さてゴルフと並ぶVWの看板モデル「パサート」がFMCを迎えました。マツダで言えばアテンザ、スバルで言えばレガシィにあたる一般ブランドのフラッグシップのFMCですから、本来なら放っておいてもディーラーに人がどっと押し寄せる騒ぎになると思うのですが・・・残念ながらパサートはそこまで日本市場に根付いておらず、クルマに興味が無い人にとってはほぼ知らないであろう車名です。余談ですが先代のパサートの日本用CMを、そのままパクったかのように某国内大手メーカーがマー◯XというクルマのCM作ってました。あの当時はパサートのダウンサイジング戦略が世界最先端だとカーメディアは口を揃えてましたから、ト◯タもかなり意識はしていたようです。

  VWというと2年前のゴルフのFMCの時には、日本のカーメディアを完全にジャックして、ほぼ意のままにライターに記事を書かせてました。無個性で判別がつかないくらいのライターばかりが動員されて、「世界のベンチマーク」というVWから指示されたであろう?キーワードを必ず使うので、さすがにめちゃくちゃ胡散臭かったですね。今回もジャガーXEやアルファ・ジュリアへの興味を掻き消すかのような、大掛かりなメディア戦略を採ってくるのでしょうか?

  現在のVWには数年前のような日の出の勢いがありません。シロッコやパサートCCといった個性的なモデルは、アウディとの競合による共倒れを避けたようで、順次アジア市場から姿を消しました(販売面で振るわず)。現行ではAセグ(up!)、Bセグ(ポロ)、Cセグ(ゴルフ)、Dセグ(パサート)の各セグメントに基準車がありますが、日本勢に対して互角に競争できているのはゴルフだけ(もちろん快挙!)という状況です。Aセグ、Bセグは日本車も非常に層が厚いので、up!とポロの現状でも上出来といっていいでしょうし、これ以上の成長はかなり難しいでしょう。VWが再び輸入車ブランド1位に返り咲くには、パサートが日本市場で大ブレークすることが必須に思えるのですが、出てきたパサートは先代から何が変わったのか簡単にはわからないほどぼやけています。

  ゴルフ6が7になった際に、話題のMQBプラットフォームを採用し、ユーロ6に対応したユニットにアップデートされたくらいの、「作り手事情」の事務的改良がパサートにもまったくそのまま行われたようです。とりあえず今のところは諸般の事情で日本ではそれほど「売る気無し」であってもいいと思いますが、果たして日本市場が待望するディーゼルユニットが載ったところで何が変わるのか? しかしパサートがやる気が無いのはあくまで日本市場を見ての話であって、欧州ではすでにディーゼルもプラグインハイブリッドも発売されていて、日本や中国に供給されている1.4Lターボなんて全くカーメディアには登場しません。ゴルフも欧州では日本未導入のディーゼルが中心で、廉価グレードにはやはり日本未導入の1L直3ターボが使われています。

  ここまで露骨にやる気を見せないVWに、日本市場のユーザーは一体どう接していけば良いのか?という気もします。 ・・・しかしメーカーの野放図な「やる気」などよりもユーザーの想像力に任せるスタンスを大切にするのが、本来のVWというブランドのあるべき姿だ!といわれれば、自分のやや性急な結論を恥じる思いもします。やたらとやる気を見せている某日本メーカーのここ数年のモデルに果たしてただの1台でも十分に満足できる(買いたくなる)クルマがあったでしょうか? メーカーがやる気を出し過ぎて、その結果我々の想像力の入る余地がなってしまって「なんか違うな・・・」と後ずさりしてしまいます。

  インターネットで手軽に人のアイディアがなんでも覗ける時代ですから、わざわざ時間をお金を使って遠くまで実物を見に行く必要もなくなりました。想像力が無くなった!というと語弊があるかもしれませんが、想像力が働くまえに具体的なイメージがすぐに検索できてしまう時代。冷静に考えるとちょっとヤバい時代に突入している・・・ということをふと気づかせてくれた新型パサートかなと思います。

  モータファンイラストレーティッドで福野礼一郎さんが新型パサート評のあとで「たった1台でいいから、こういうほれぼれするようなデザインの日本車があったらいいのになぁ」と書いていて、読後にものすごい違和感を感じました。しかし福野さんにこう書かれると、ちょっと再考したくもなります。「テーマカラーがシルバーとブルーですか・・・」まあCクラスもスカイラインも同系のテーマカラーなわけですが、パサートだとあまりにも地味すぎませんか?・・・というのも先入観の塊ですね。ちょっとこの先の展開がわからない新型パサートですが、ややネタ切れ気味のセダン市場を揺さぶるような追加設定を待ちたいところです。


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2015年6月28日日曜日

VWゴルフR420 「これはカーメディアにウケが良さそうだ」

  毎月のようにクルマ雑誌に躍る「◯◯◯おまえもか!」という文字に少々ウンザリです。最近の例でいうと「ジャガーおまえもか!」「マセラティおまえもか!」「ベントレーおまえもか!」「ランボルギーニおまえもか!」そして「アルファロメオおまえもか!」・・・。これらの各ブランドは近々プレミアムSUVを導入するそうですが、「おまえもか!」ってことは不満タラタラなんですね・・・絶対にSUVが嫌いとは書けないでしょうけど、気持ちがこもってます(笑)。そんなクルマ雑誌のライター達も「BMW X5」や「ポルシェカイエン」のレビューとなると、歯の浮きそうなおべんちゃらを散々に使っていて・・・。

  これもカーメディアに生きるものの宿命とはいえ、本心とは全く違うことを延々と書かなくてはならないのはツライと思いますね。SUVが好きではない(というか嫌いな)のに、新型車はどこもかしこもSUVばかり・・・。しかもメーカーの鼻息は異様に荒く、下手なことが書けないですし、全くアガらないテンションを押し隠して書かなければ次の仕事はない。出版不況が吹き荒むなかでイヤイヤな苦行が、これからも続くのかと思うともう気分はヘロヘロじゃないかと思います。できることならユーザーの好みが突如劇的に変わってSUVブームが一気に下火になってくれないかな? そしてそんな風潮を作ってくれるスゴいクルマが出てこないかな〜・・・なんて待望する雰囲気をクルマ雑誌のあちこちから感じますね・・・。

  そんな憂鬱な毎日を過ごしているであろうカーライターの気分が、少しは晴れそうなモデルが、意外や意外のVWから登場したようで、秋にも日本に導入されることが決まっているそうです。VWと言えば堅実な作りの「ゴルフ」と、レトロな復刻モデルになる「ザビートル」など、日本のユーザーの心を掴むクルマをラインナップしているなかなか素晴らしいブランドです。しかし正直に言いますと私はVWがあまり好きではないです。このブランドが日本でも高い支持を集める理由は、他でもないトヨタやホンダに迫るレベルで相応に合理的なクルマの設計をしているからだと思うからです。「トヨタ=ホンダ=VW」という意味でVWは称賛に値しますが、私はトヨタやホンダを買わないのと同じ理由でVWにも距離を感じています。

  私たちは日本車に囲まれて生活していてそれが当たり前になっていて、トヨタやホンダのスゴさがメディアで正当に評価されることを目にする機会もないです。しかし世界の自動車メーカーと比べてもこの2社の合理的なクルマ作りは、圧倒的な地位にあることも十分にわかります。トヨタやホンダがアメリカだけでなく、欧州でもかなりの信頼と羨望を受けているブランドだという話はたくさん聞いたことがありますが、ちょうど同じように合理的なVWが、逆に日本でチヤホヤされるのと同じ構図なのだと思います(ドイツではVWは普通のクルマ)。

  もちろんトヨタ、ホンダ、VWが同じようなクルマを作っているという話ではないです。しかしこの3社はどんな困難な経済情勢に巻き込まれても、政府や他社の支援など必要とせずに独自の体力だけで生き抜いてきた数少ない自動車工業の雄であり、この3社の逞しい背中を見てBMWグループやダイムラーグループも合理性を取り入れたクルマ作りに軸足を移しています。そしてどこぞの自動車グループの傘下にある高級ブランドでも現実的なSUV作りが広がっているわけです。

  しかし行き過ぎた合理性は、大きくクルマの魅力を削ぐ結果となり、トヨタもホンダも慌てて「86」「RC-F」「S660」「シビックtypeR」「新型NSX」といったモデルを投入してきました。少しも揺るがない頑強な合理性を持つ強いメーカーが、改めて世界のクルマ好きへメッセージを発信することで、私達はこれからも長く楽しいクルマを選ぶことができるんだ!と少々ホッとするところがあります。某国産メーカーが突如3ローター&ターボの超絶スーパースポーツを1000万円で発売したら、このメーカーは全く懲りないな・・・と呆れてしまいますし、ロータスやマクラーレン、ケーニッグセグが10年後も存続していると信じる気持ちにはなれないです(ボルボもジャガー=ランドローバーもアストンマーティンも!)。

   トヨタやホンダと同じ「合理主義」を社是とするVWも同じ世界に生きているわけですから、当然というべきかクルマ好きへのメッセージのこもったモデルを作ってきました。「VWゴルフR420」は、2Lターボを420psまで引き上げてその出力に耐えられる構造で横置きエンジン用のミッション(7DCT)をわざわざ新造して市販化に漕ぎ着けたようです。「直4ターボの横置き」「AWD」というとすぐに「ランエボ」が思い浮かびますが、ちょうどランエボ終焉の時期に登場したこともなんかの因縁を感じます。もしかしたら細部で使われる機構のライセンスに関する契約が三菱とVWで締結されているのでは?と・・・。

  さてクルマ雑誌にウケが良いと思われるこの「ゴルフR420」ですが、やはり一斉にかなりのハイテンションで報じられています。そしてどこもかしこも、「日本にはこういうクルマがほとんど無くなってしまった・・・」なんて付け加えて書かれています。MSアクセラやシビックtypeR、ブレイド(トヨタ)などいまでも街中でしばしば見られるモデルの販売が、現在はされていないことを悲しむと同時に、日本のお家芸までもドイツメーカーに持っていかれたことに対する不満もあるようです。しかしいつまでも「ドイツvs日本」なんて構図というのもナンセンスですし、そもそもドイツの得意技って何?って話です。メルセデスAMG「GT」なんて見るからにアメ車的な設計ですし、BMW i8なんて何らブランドのポリシーを反映できていない。アウディR8はもはや・・・ですし。ポルシェ911はドイツ車で括られる前に「911」なわけで・・・。

  もしVWがランエボの骨を拾っているならば・・・まあそれは結構なことだと思います。三菱にとってVWなどのドイツメーカーはターボチャージャーの納入先で大切なお得意様です。三菱自を破滅へと追いやったのは、もちろん自らの脇の甘さもありますが、マスコミに過剰なまでの三菱叩きをさせた謎の「巨大勢力」の存在があったのではないか・・・という陰謀論も囁かれます。しかしもはや信じられないかもしれませんが、ドイツでの品質信頼度における上位3ブランドは、ポルシェ、三菱、マツダです。日本では三菱のリコール隠しというモラルハザードが声高に叫ばれましたが、三菱と同じような状況は他のメーカーにも相応に起きているのに、三菱ばかりが日本中で知られるくらいまで繰り返し報道されました。同じ時期に故障を原因とした死亡事故はトヨタにおいてもホンダにおいても実際は三菱以上に発生しているわけです。

  なぜトヨタやホンダは追求されないのか?という声は当時からもありました。そして三菱が「生け贄」になってくれたおかげで、日本メーカーの多くがコンプライアンスを改めて連日のようにリコールを出すようになりました。「最近のホンダはなんかリコールが多くない?」なんてニューモデルマガジンXでも散々に書かれていましたが、それはね・・・三菱が生け贄になったからだよ!という側面もあるはずです。そんな三菱の「怨念」をも背負ったVWが、トヨタやホンダそして、三菱を完全に喰いものにしたメルセデスに対して制裁を加える!はちょっと言い過ぎかもしれませんが、なんとも興味深い話です。トヨタ&レクサスの全てのモデルよりも、ホンダの新型「シビックtypeR」よりも、そして「メルセデスAMG・A45」よりも速い超絶マシン「ゴルフR420」が日本に降り立つのを楽しみにしたいと思います。

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2014年8月28日木曜日

VWポロ 「ミニとデミオでこのクラスは盛り上がる!?」

  VWのBセグを担当する「ポロ」が新しくなったそうです。ゴルフもそうですがVWの最近のFMCは、デザインの変更点が素人にはほとんど分らないので、メディアも「フルモデルチャンジ!」といった威勢のいいコピーが使いづらいようでメディア泣かせなメーカーだなと感じます(どうやらマイナーチェンジだそうですが・・・)。VWぐらいの超グローバルメーカーになると、日本という辺境の中規模市場で「消費税増税」があって販売は逆風であることなど、全く歯牙にもかけないようです。これでは先代モデルのユーザーが最新モデルにこだわって乗り換えを検討することも減るでしょうし、VWジャパンのあの髪型に特徴がある社長にしても頭が痛いところかもしれません。

  全長4mに収まるサイズのコンパクトカーを指す「Bセグメント」は、各メーカーの創造性に満ちた技術開発によって、現在ではCセグとそれほど変わりないくらいの居住性を確保できているように感じます。あまりテキトーな事を言うべきではないですが、Bセグに対してCセグのアドバンテージとは一体どれほどのものなのか?と訊かれると、決定的なもの(説得力があるもの)は何もないようにすら感じます。サーキットで驚異的なタイムを出したいならば、Cセグの方が全般的に有利ですけどね。Cセグも十分に狭いので後席を使わないで2人乗りと割り切れば、むしろBセグの方が車両感覚が掴みやすく、軽量でハンドリングも良くそのうえ小型のエンジンでも快適に加速するといったアドバンテージがあれこれ思いつきます。

  あくまで考察の域を出ないですが、一般的にCセグよりもBセグの方が本質的に優れたクルマが多いと感じるのには一応理由があります。まず1つ目はゴルフ、シビック、ファミリアといった80年代に一世を風靡したCセグハッチバックを小型車の一つの頂点と捉えると、そのバブル期の快楽的な設計によって導かれたサイズ・車重そして100ps程度の出力が、そっくりそのまま現在のBセグに当てはまっていて、当時蓄積されたデータが十分に運用されているというのがあると思います。昨今の省エネ志向とミニバンのようなスペース志向を持った現在のCセグはベースモデルでは重さや非力さを感じますし、逆にゴルフGTIのような高性能モデルではサイズと車重がややヘビーで公道よりもサーキットを視野に入れたスタンスなので、サーキットに全く行かないユーザーには甚だ不満に感じてしまいます。

  2つ目は、Bセグを鍛えてきた小型車専門メーカーの技術力です。2000年代に入りHVやEVなどの新たなパワートレインへとトヨタや日産は舵を取りましたが、その一方で既存の小型車技術は新興市場の広がりとともに熟成を続けました、その中でVWグループ、ホンダ、スズキは力強く成長を続け、もの凄いスピードで業界再編が進む中で、いずれも世界トップ10の自動車グループへと成長しました。単体でトップ10入りしているホンダやスズキの存在はまさに「ミラクル」と言えます。さらに他のトップ10も同様でヒュンダイグループの欧州での躍進も小型車の成功(それとFTA)無くしては絶対にあり得ないことでした。また欧州での販売が激減している「フィアット=クライスラー」や「PSAグループ(プジョー、シトロエン)」が現在もベスト10に留まっていられるのも、小型車部門による踏ん張りがあるからです。逆に小型車とは無縁だったブランド(MG、サーブ、サターン、ハマーなど)は経営が行き詰まるとあっけなく廃止されました。

  トヨタ、日産、メルセデス、BMWといった高級車に定評があるメーカーばかりに目が行ってしまいますが、ブランディングに熱心なこれらのメーカーは絶えず、技術で勝負する小型車メーカー(あるいはバイクメーカー)と協調関係にありその技術を自ブランドへせっせと吸収し続けています。スズキ・ワゴンRに使われてきたコラムシフトが、最新のメルセデスの大部分で採用されたり・・・というのは冗談ですが、直4のEGRの研究などはバイクも作ってるスズキとホンダの独壇場だったりするわけです。某雑誌の記事にBMWの3気筒ターボ積んだ新型ミニが、走りを見る限りはスイフトの足元にも及ばないと書かれていましたが、スズキの1.2Lエンジンは他社を圧倒するレベルにあるのだとか。

  それにしてもBMWがダウンサイジングと効率運用の切り札として、開発した1.5L3気筒エンジンの評判が悪いようです。もちろん重量がある中型車向けに作られた2Lや1.6Lの4気筒を無理矢理Bセグに転用するよりは、キビキビと走るので理にかなっているようですが、小型車を専門に作ってきたメーカーのエンジンに比べるとお世辞にも良いと言えないです。もちろん「BMWらしさ」に尺度を置くならば、絶対的に正義なんですけど、純粋にコンパクトカーの完成度として見るならば、スイフトに大差をつけられてしまいます。まああくまでミニは「プレミアムコンパクト」であってスズキとは方向性が違うと言い張るならば、一定の評価はできるでしょうけど。BMWの考える小型車の理想を実験者が理解できていないのかもしれませんが、なんだかんだでちょっとでも豪華に大きくしようとする「新型ミニ」の方向性は今後どう受け入れられるのでしょうか?

  Cセグで満足という人には、あまりBセグの需要がわかりづらいかもしれませんが、Dセグに乗っていて「Cセグはちょっとな・・・」と不満を募らせている私と同じ考えの人にとっては、Bセグはカーライフの「ソリューション」として評価すべき点がたくさんありますし、それと同時にDセグとは別の意味でのクルマの本質を追求できるセグメントとして輝いて見えるんじゃないかと思います。コンパクトなクルマを想像する時に「オーリスよりもヴィッツ!」であったり「アクセラよりもデミオ!」と自然に感じてしまったりしませんか?Bセグにより豊かなカーライフの匂いを感じてしまうのです。それでもふと我に返って、Bセグ車一般に対しての懸念も湧いてきます、個人的には「長時間ドライブ」と「衝突安全性」の2点がとても気になります。

  たとえセカンドカーだとしても、燃費が嵩みがちなファーストカーを補完する働きを期待するならば、100~300km程度の中距離ドライブに耐えられる仕様を求めたいと思います。若い頃に乗っていたB/Cセグのカローラランクスは3時間を超えたあたりから体が痛くなることが多く、東京からだとせいぜい長野県くらいまでが楽しくドライブできる範囲でした。座席の調整幅の少なさと、フットスペースの絶対的な狭さは悩みのタネで、さらにシートの小ささややわらかさなどもあって長時間ドライブを視野に入れていない設計と言えるかもしれません。さらにひと昔前の国産コンパクトは残念ながら騒音でも体力を消耗していたように思います。扇風機が音を立てる部屋に長時間いると何となく疲れを感じますが、高速道路で唸りを上げる1.5Lエンジンを5ナンバーサイズの車内で3時間も聞かされると耳鳴りがしてなんだかぐったりした気分になったものでした。これらの複合的な「疲労」の要因をメーカーが戦略的にどれだけ取り除いてくれるかが、個人的には今後のBセグ選びのポイントかなと思います。

  VWポロは衝突安全性への評価も非常に高く、さらに静音設計や長時間運転に配慮したコクピットの設計においても高い水準にあると言われています。残念ながら長時間運転したことがないので何とも言えませんが、ある程度信頼できる情報筋からも好感触と評価されているので、少なくともカローラランクスよりは楽に運転できるだろうと思います。おそらくポロこそが、現状でのBセグの頂点であろうと思われます。また同じVWにはザ・ビートルという別のBセグモデルもあって、MQB設計であることを踏まえればどちらも同じくらいの機能性を有していると考えられます。

  さて今回のポロは1.2Lターボをデチューンし、同排気量のゴルフとは出力特性が違う90psの燃費重視のものへと変更してきました。JC08モードで22.2km/Lだそうです。さてこのポロの水準に迫るBセグと目されているのが「ミニ」と「デミオ」でしょうか。まずは既に発売されている「ミニ」ですが、先ほども述べましたが「プレミアムコンパクト」という路線を明確にするために1200kgというBセグの平均を大きく上回るヘビーな車重が特徴です。もちろん重くなった分だけ制音にも効果はあるのでしょうが、実は別の問題が指摘されていて日本仕様に全車標準装備されるのが韓国製のランフラットタイヤで、これが乗り心地と制音を台無しにするほどに酷いと言われています。とりあえず仕様変更まで待つしかなさそうです。

  もう1台の「デミオ」ですが、こちらも1.5Lガソリン車の廃止が伝えられていて、高速道路で悲鳴を上げるであろう「1.3L直4ガソリン」と一般にガソリンよりもウルサイと言われているディーゼル(1.5Lターボ)の2本立てになる模様です。これでは先代モデルからの改善はとりあえずなさそうですが、もしかしたらディーゼルモデルにはいくらか期待できるかもしれません。昨年発売されたアクセラは残念ながら静粛性のテストにおいてゴルフの前に敗北を喫したのですが、2.2Lディーゼルを積んだモデルは、100km/h走行時にゴルフの全モデルよりも静かだったというデータがありました。排気量の余裕と回転数の低さそしてディーゼルの桁外れのトルクによる恩恵なのですが、デミオのディーゼルもポロを10kg・m程度上回るトルクを持ってますので、同じような逆転現象が起こる可能性があります。

  「ポロ」と「デミオ」そして仕様変更を前提とした「ミニ」の3台、あとポロの上級モデルである「アウディA1」の4台のつば迫り合いはBセグの新たな可能性を見せてくれそうです。スイフトとフィットは内装の質感がいくらか向上して、高速道路での走行を見据えた設計のグレードが出てくれば、十分候補になりうるのですが、どうやらホンダもスズキもHVでの「非高速走行」モデルを想定してしまっているようです。そういえばどちらも欧州市場ではやや影が薄くなってきた感がありますね。経営戦略的には欧州無視は妥当な判断かもしれませんが、それでもコンパクトカーのさらなる進化と今後に期待したいと思います。


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2014年3月13日木曜日

VW・ザ・ビートルターボ 「日本車にはない◯◯」

  どうしても捨てきれないクルマへの先入観というのは誰にでも多少はあると思います。特に小型車への「偏見」というのは根深いものがあって、あまり語らないようにはしていました。それが最近になってデカいクルマというのも大して褒められたものじゃないなという思いが湧いてきて、「いいクルマ」ってなんだろうと自問自答の日々を悶々と過ごすうちに、思いついた結論が「やりたいことがやれるクルマ」。

  東京に住んでいるとなんとなく選んでしまうのが、やや大きめのクルマです。まあ主な用途が行楽・デートですから、簡素なスポーツカーでは役不足すぎなんですよね。しかも休日の日中にでも出掛けようものなら、ストレス満載の渋滞に見舞われます。小排気量やダウンサイジングターボの小型車だと出足だけでイライラしてしまうのでもう最悪です。あと車内に缶詰にされるので、居住空間が確保されていてシートがゆったりしていて、周囲の騒音が入ってこない高い防音性が何よりも有り難く感じます。


  まあとにかく全てがマッドネスなんですね。いくら快適でもさすがに時間がもったいないので、休日ドライブはもっぱら早朝or深夜を好むようになりますし、日中の東京湾アクアラインなんて通行料のムダでしかない混みっぷりにウンザリします。走るところも山間部が圧倒的に多くなりました。そうなるとまあ絶対に「大きめのクルマ」じゃなくても良い事に気がつきます。それに人里離れた山間部にデカいセダンで乗り込むのもなんだか不粋な気が・・・。新型アテンザとか新型スカイラインとかやたらと大きくて気が引けます。

  かといって日本車のCセグは・・・ちょっと大衆車であることを意識し過ぎていて、所有する楽しみだとか、クルマとしての「荒々しさ」みたいな魅力がやや希薄です。WRX STIやMSアクセラはなんだかスポーツ的な「ガチ」感と色気の無さが致命的・・・。もちろん何かと話題の欧州Cセグなんかもっと最悪でお金のムダとしか思わないです。まあ全部のクルマに乗ったわけではありませんが、日本の都市のマッドネスにやられた「心」の隙間を埋めてくれるクルマは案外少ないものです。

  前置きが長〜くなってしまいましが、「クルマとしての存在感」「満足できるスペック」そしてなにより「ドライブを楽しめる」これらを満たしたクルマの1つとして浮上するのが、VWが去年の終わりに発売した「ザ・ビートル・ターボ」です。やはり「満足できるスペック」をしっかり満たすならば、レヴォーグの1.6Lターボなどよりも、ゴルフGTIから移植された2.0Lターボです。なんだかんだ言ってもVWのユニットでクルマ文化が成熟した市場の全てで納得の評価を得ているのは、このエンジンとそれ以上の排気量のものなんですよね。

  平坦路を無限ループするだけのクルマならば、どんなエンジン積んでてもいいと思うのですけど、やはりクルマで大きく行動半径を拡げたい人にとっては2Lというのは譲れないライン。いままでこのザ・ビートルの2ドアの個性的なボディに興味があってもエンジンが・・・という淋しい結末だったワケですが、VWが「遊び心」でこのクルマを作ってくれたことに1人のクルマ好きとして素直に「感激」します。ちょっと乱暴な言い方すると、このクルマ見て何も感じない人はちょっとオカシイのでは?

  ゴルフGTIよりも軽いボディにそのままエンジンを載っけてしまう「遊び心」。近頃の欧州ではGTRのエンジンを載せた〇〇というのが次々に登場しているようですが、1000万円こえちゃったら「遊び」感覚じゃ乗れないです。GTIよりも安い価格に抑えるところが「肝」ですね。アクセラXDもこれと同じかと思いましたが、「セット商法」で単価を無理矢理引き上げるところがイマイチでした。日本メーカーにはそもそも「趣味性の高い」エンジンが多くありませんし、新型スカイラインのHVをシルフィに積んでも何も面白くないですよね・・・。そういう見方をしていけば、このザ・ビートル・ターボはとても価値のある存在と言えるでしょう。



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2014年2月28日金曜日

VWゴルフR 「ベストゴルフはどれだ?」「・・・」

  VWゴルフの多彩なグレードを紹介する企画はクルマ雑誌の王道コンテンツの1つ。この1年だけでも何度お目にかかったことか。内容も覚えていないくらいの薄ら寒い記事ばかり、つまり歯の浮くようなステレオタイプな褒め言葉を散りばめてくる。タイトルで「ベストゴルフを探せ」を書いているが、そもそもVWはこの「ゴルフR」を最高グレードとして仕立てているのに、日本人ライターがそれを無視して「GTIがベスト」みたいなこと言ってていいのか・・・。

  70歳くらいの大御所ライターは、なぜかVWとゴルフをこよなく愛する人が多い。代表的な人が徳大寺有恒さんと岡崎宏司さんだ。僭越ながらこのお二人の著作を紐解くと、1950年代後半にビートルに出会い、それぞれゴルフⅠとゴルフⅡGTIに人生最大の感銘を得たとハッキリ書いてある。1950年代の国産車は乗っているだけで気分が悪くなるほどで、ビートルなどの輸入車が飛び抜けた乗り心地を誇っていたらしい。少年の頃にビートルこそが至高という環境で育ち、70年代の活力みなぎる30代にゴルフに感銘を受ければ、お二方にとってはVWは別格の存在になるだろう。近所の70歳くらいの高齢者ドライバーは相当な割合でゴルフを選んでいるがこれはとても納得できる話だ。親戚の大叔母さんもVWに乗ってみたいと言っている。

  ちょっと話がそれましたが、大御所ライターが挙って大のVW好きなのだから、その弟子にあたるライター達もVWに対して迂闊なことは書けないのでは・・・というのが私の推測です。自動車ライターは徒弟制度が今もあるようで、有名ライターとのコネクションがあって初めて仕事が舞い込み、日本COTYの審査員に選ばれたりする。最年少の島下泰久さんは徳大寺さんの弟子で名シリーズ「間違いだらけのクルマ選び」の主筆を引き継いでいる。岡崎宏司さんは「Car and driver」の中心的ライターのようで、この雑誌に寄稿するライターの人事権をある程度握っているのではないかというくらい、岡崎コーナーの扱いは別格だ。・・・おそらくこれが世の中の「メディアが過度にゴルフを絶賛する」現象の正体では?

  さて話をゴルフRに戻すと、大抵はどのゴルフのグレード特集でもゴルフRについて詳述することはなく、中には完全に存在を無視しているものもある。せいぜい隅っこの方にこういうグレードもありますよと小さな写真(見た目は変わらないのに)とともに紹介されているだけです。なんでこれだけ尖ったモデルを無視するの? 性能だけみたらゴルフRが一番なのはわかるけど、コレがベストと言ってしまうと完全にシラケるからでしょうか。本体価格だけで500万円以上する「ゴルフ」を買う人なんて変わり者で、それだけお金出すならメルセデスCなど別の輸入車を選ぶという人が大半なのだと思います。

  それでもゴルフRとほぼ同等の性能のアウディTT-Sが700万円ですから、ゴルフRがお買い得と考えても良さそうな気もします。それと同時に515万円のシロッコRの方がいいなとなり、ゴルフRはものの見事に「消える」んですね・・・。出力的にはヒルクライムコースなどで最高に気持ち良いホットハッチのイメージがありますが、2L直4から搾り出しての300psなので、日本のタイトな山岳路ではおそらくイマイチでしょう。ゴルフGTI以上のパワーを使うだけの足回りとAWDの旋回技術を考えたとき、日本のスバルや三菱に遠く及ばないレベルだと考えると500万円は高価すぎます。

  新型ゴルフRは欧州では先代と比べて大幅に値下げが行われたようです。しかし日本価格はというとなぜか5万円の値上げ。これは納得できないですね。高齢者によるゴルフフィーバーが日本で終わるまでは、強気な価格が続きそうな予感がします。VWはゴルフのEVとPHVを作って早ければ今年中にも発売するようで、日本の高齢者が元気な内に日本メーカーのお家芸と見られていたパワートレインでシェアを奪うなんて青写真も見え隠れします。



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2013年11月6日水曜日

ザ・ビートル・ターボ 「どの隙間に入り込むのか?」

  「なんとなくあったら良さそうなクルマ」というのはあれこれ思いつくものですが、現実問題として「趣味」のクルマが新しく導入されるには様々なハードルがあります。よっぽどの画期的なクルマじゃ無い限りは、5~10年前にヒットしたクルマをよく調べて、どの乗り換え需要を吸収できるかを考慮したうえで発売(輸入)されているはずです。

  VWがカウンターパンチのように繰り出してきた「ザ・ビートル・ターボ」は一体どの乗り換え需要を取込もうとしているのでしょうか? そう考えていくと、このクルマは意外と「タイムリー」な存在であることに気がつきます。FFで200ps前後を発揮するコンパクトなスポーティモデルで5~10年前に発売されていたクルマといえば・・・、「ホンダ インテグラtypeR」「ホンダ シビックtypeR」「トヨタ セリカ」「トヨタ カローラランクスZエアロ」「日産プリメーラTe-V」そしてちょっと古いですが「三菱FTO」「日産パルサーGTI」「トヨタ スプリンタートレノ(AE111)」などなかなか多士済々だったりします。

  FFにこだわらず、目立つデザインのクルマとしては「トヨタ MR-S」「日産 シルビア」などもあります。これらは今でも街中でよく見かけることから、潜在的に「軽快でスポーティ」そして「個性的なデザイン」のクルマの需要は高いと言えます。

  それらのクルマからの乗り換えの受け皿になっているのが、「ホンダ CR-Z」「トヨタ 86」「日産 ジュークターボ」「マツダスピードアクセラ」「VW ゴルフGTI」といったところですが、どうも軽快さもデザインの良さも2000年頃と比べてやや小粒になった印象があります。ターボチューンに頼ったスペックの「嵩増し」に加えて、面白みに欠けるエクステリアが余計に買う気を無くさせてくれちゃっています・・・。

  「ザ・ビートル・ターボ」はゴルフGTIのエンジン&足回りをそのまま使った新グレード車です。当然ながらサスも従来のトーションビームから、ゴルフGTIに使われる4リンクに変わっています。車重はわずかですがゴルフGTIよりも10kg軽く、価格も20万円安くなっていて、後席の居住性さえ無視できるならば、かなりお買い得なパッケージになっています。

  特にこれまで「ハズしのVW」として、変化球的にジェッタやシロッコを選んでいた人にもかなり有力な選択肢ができました。ややポルシェに似たレトロなデザインは、シロッコと並んで現在のVWの「ベストデザイン」といって良いと思います。VWとしては看板車種のゴルフⅦが「コンサバティブ」な趣向になっているので、より「趣味」のクルマであることを意識できるモデルとして、ザ・ビートルとシロッコをプレミアムなスポーティコンパクトとして、より興味深いグレードをMQBを駆使して増発し。さらなる拡販を目指してくるはずです。このザ・ビートル・ターボはその第一歩となるクルマですが、早くも次の展開が楽しみになってきました。


 

2013年10月18日金曜日

VWゴルフ 「ユーザーレビューが全部40歳代なのはなぜ?」

  ある雑誌のユーザーレビュー特集を見ていて、たまたまでしょうが新型ゴルフのレビューは5人が全て40代となっていました。大抵この手の特集は年齢層をバラバラにしようとするものですが、この固まり方はちょっと「異様」です。なんでなんだろう? 現在の40歳代というと、若い頃は「クルマ=ヤンキーの乗り物」というイメージがあり、派手なクルマに乗ることに対しては、嫌悪感があるのかな・・・。そして真面目に社会生活を送ってきて、お金に余裕がある人でも慎ましくゴルフのようなクルマを敢えて選ぶ? なんて勝手に邪推してしまいます。

  今の40代は子供時代に学校で「クルマは公害で石油は枯渇」と根拠も乏しいままに教えられた価値観が影響したせいか、クルマに対してネガティブなイメージを強く持っているようです。さらに同級生の友達には、スポーツカーにお金をつぎ込み過ぎて貧乏になっていった人もいたりして、クルマ所有そのものにネガティブなイメージすらあるのではないかと思います。実際のところ、それより下の世代の考えもほぼ同じようなものですが・・・。

  その40代がお金を持ち始めた10年くらい前から、地方に点在していた観光地が次々と寂れていきました。もちろんバブル崩壊からの「引き潮」というのもあるでしょうが、クルマという交通手段が正当に評価されずに若い世代の「クルマ離れ」へとつながり、何も無い田舎へドライブして「消費」するということが少なくなったことも大きいと思います。トヨタが一生懸命作ったミニバンやハイブリッドカー(プリウス)によって幾分はクルマの経済性が確保されましたが、そんなトヨタの素晴らしいクルマを単細胞なモータージャーナリスト達が「つまらないクルマ」と切り捨ててしまう残念な社会です。その結果とりあえず「プリウス」に乗ってその次が「ゴルフ」というのが、今の乗り換えの一つのトレンドとなっているようです。

  5名の方のレビューを読んでいて気になったことが幾つかありました。輸入車ハッチバック以外のクルマは最初から興味ないようで、しかも4名がVW車からの乗り換えでした。まだ初期販売分のクルマなので、VWユーザーに真っ先にアプローチが掛けられてますから当然かもしれません。もう1名はセレナからの乗り換えで、「ミニバンよりも乗り味がいい」というあっけらかんとした感想を寄せてました。乗り味がミニバンより悪いCセグHBなんて日本ではどうやっても発売まで漕ぎ着けられないはずです。

  輸入車HBのライバル車はきっちり試乗している人もいて、フォード・フォーカスの方が運転は楽しいけど、安全装備と燃費性能でゴルフという現実的なコメントをされてました。フォード(マツダ)C1プラットフォームに欧州で完敗したゴルフなので、とても妥当な感想だと思います。ただこの人が新型アクセラに乗ったら、さらにどんな感想を漏らすのかが気になります。「国産は興味ない」「4460mmはデカ過ぎる・・etc」だったりするかもしれませんが・・・。

  またクルマには直接関係ないことなのですが、オーディオがスマホだかi-phoneだかに対応していないと複数の人が欠点として挙げていました。実はこの指摘がとても気になってしまいました。まあとんでもない話ですよね!こりゃ何にも解ってないです! もちろん「ゴルフはナビも対応しないし、オーディオもダメなのか!オワコンだな・・・。」なんて言うつもりはないですよ。

  今回のゴルフが同クラスで最も優秀な性能を発揮しているのが「遮音」だそうです。つまりライバル車よりもずっと静かなんです。せっかくVWがこだわった「静粛性」を300万円以上払って買う訳ですから、軽々しくスマホとかi-phoneとか言ってないで、CD使えよって言いたいです。クルマの車内は気密性が高くとても反響するので、室内であるとかヘッドフォンと比べて、「圧縮音源」の音響が「通常音源」と比べて大きく劣化します。静粛な車内と最高の音響を求める「オーディオマニア」はCDで音楽を聴くのが当たり前です。

  VWはせっかく作った静粛な空間なのだから、圧縮など使わずCDで音楽を聴いてほしいと思っているのでは? と我田引水的な解釈を思わずしてしまいたくなりました。そしてVWがちょっぴり好きになるエピソードでした。なんといっても長距離ドライブの前に2時間くらいかけて24枚を厳選するのが最高に楽しいのではないですか?
  

  
  

  

  

  

2013年9月19日木曜日

ゴルフⅦ・GTI 「チェック柄のシートの真意は?」

  日本のコンパクトカーにはないVWゴルフの良さの一つにエンジンのラインナップが豊富というのが挙げられます。もちろん日本車も販売数が見込めるコンパクトカーには最大限に配慮が行われていて、トヨタヴィッツは1L・1.3L・1.5Lと3段階設定で、さらに特別仕様車にはターボ付きの高出力モデルが用意されたりします。しかしドイツメーカーであるVWが作るゴルフはエンジン出力の面で幅がとても広く設定されていて、最上級のゴルフRともなると三菱やスバルのAWDターボのスポーツモデルに大きくは劣らないほどの性能を誇ります。ゴルフが日本で人気となっている一番の魅力はこのエンジン・ヴァリエーションだと思います。

  ゴルフRとともに「スポーツカーグレード」に分類されるゴルフGTIは、公道ではやや過剰スペックなWRXやエボよりもお買い得で、通常モデルよりも軽快に走れるとあって日本での人気は高いです。観光地やドライブスポットで見かけるゴルフの半分近くをGTIが占めているような印象があります。もちろんVWが三菱やスバルより日本で安い訳がないですから、クルマの性能自体には大きな差があります。簡単に言うと、三菱やスバルは性能本意で高価なドイツ製部品を随所に施し、VWは価格面で優れるアジア製の部品で可能な限り徹底的に代用しています。

  「ゴルフ」はその地域の実情に合わせて、部品供給体制を整えて、GMやトヨタに互する巨大ブランドVWの主力車として、大量生産体制が採られています。日本へ供給されるクルマは日系繊維メーカーが日本の自動車メーカーに供給している素材を使っています。ブレーキパッドも日本車と同じブレーキダストが少ないものを作らせていて、本国仕様とは別物になっています。この日本向けの「味付け」が実はとてもウケているという話もあります。少々失礼ですが、脳内では「これぞ王道欧州車の乗り味!」と変換されてしまっている人もたくさん居たりします。

  そして一番「???」に思うのがGTIに使われるブレーキです。一見するとスバルWRX STIのようなオレンジ色塗装なので、「ブレンボ製か?」と思ってしまいますが、通常モデルと同じブレーキです。なぜ色が違うのか? なんとなく主旨は分かりますが、なんとなく恥ずかしい気がします・・・。スバルのように「ブレンボ」「ビルシュタイン」と有名パーツメーカーの名前を列挙してクルマの性能を担保しようとするのも、どうかと思ったりしますが・・・。ポリシーは無いのか?

  ブレーキの塗装だけでなく、GTIには通常モデルと区別するための内外装の差別化がいたるところで見られます。外装のワンポイントラインなどはとてもセンス良く、さりげなく特別モデルであることを示しています。しかしどうしても理解できないのが、昔の日本車にあったようなチェック柄のシートです。VWのやることですから必ず意図があるはずだと思います。スコットランドの民族衣装のチェック柄に伝統があるように、VWはゴルフという車種に「伝統」を織り込もうということなのでしょうか? 

  40年近い歴史を持つゴルフの初代モデルから「GTI」は設定されていて、まだまだFWDのハンドリングが100psにも耐えきれない時代に、ゴルフⅡ・GTIでは138psを出していたが、そのハンドリングは当時最先端の技術で滑らかに動いたそうです。その後ゴルフⅢ・Ⅳでは通常モデルのエンジンの大型化(つまりアメリカ進出)によりGTIの意味はあまり無かったようです。ゴルフⅤでTSIエンジンが使われるようになると、GTIはホットハッチに最適化とされている2Lの4気筒ターボに収まり、再び脚光を浴びるようになりました。三菱やスバルの2Lターボのラリーモデルが欧州を席巻した影響も当然あったでしょう。

  VWの存在を浮上させた稀代のTSIエンジンを皮切りに、メルセデスもBMWもダウンサイジングターボへの切り替えが急激に進みました。三菱やIHIといった日本企業のターボが欧州車のトレードマークになる中で、「欧州車としてのアイデンティティ」を示す必要があると感じたフォルクスワーゲンはGTIのシートに「欧州」であることを強烈に意識した柄を使ったのではないかと思うのです。現代のトレンドとはかけ離れたシート柄として浮いた存在になっていますが、クルマ好き向けの特別車なので、伝統文化を解さない「非文明人」に無理にウケる必要はないという冷徹な自負をGTIの「あのシート柄」に感じてしまいます。

  


 

ゴルフⅦの海外市場動画です。英語版ですが・・・。 

2013年6月29日土曜日

VWゴルフ 「静粛性・安全装備・メルセデスやレクサスの揚げ足」

  一体どんな人がこの新型ゴルフを買って行くのだろうか?VWディーラーの前に張り込んで見ていたい気分だ。いままで自分が乗って来たクルマの良い点は、軽く30個くらいはスラスラと説明できる(自慢できる)自信があるが、この新型ゴルフのオーナー様からはどんな「言葉」が飛び出すのかぜひ聴いてみたいものだ(性格悪いな)。ということで、オーナーになったつもりで、あくまで想像ですがこの話題の新型ゴルフの良い点を語っていきたいと思います。

  日本で販売されているVWのクルマはどれもそうだが、ホイールなどのデザインがとても利いているように思う。オシャレは足元からというが、これが出来ていない日本メーカーは多い。日本車オーナーの中には納車後すぐにホイールを代えに行く人もいるようだが、それでもそのクルマに合ったデザインのホイールを選ぶのは至難の技で、余計に酷いデザインになってしまうことも多い。ドイツ車が日本車よりも間違いなく優れている点はデフォルトの「ホイールデザイン」だ。

  キャビンの堅牢性もさりげなく結構凄いことになっているらしい。日産が生産を開始したインフィニティQ50(新型スカイライン)では、ピラー部分を中心に1.2Gpa級の「超」高張力鋼を使用するとアナウンスされているが、新型ゴルフではすでに全体の28%が1Gpa以上の鋼鈑が使われている。そんな硬い鉄板だと成形に苦労するそうだが、VWも日産も独自開発でできるだけ多くの部位に応用できるように競争している。その中でVWが一歩リードというのはすばらしい。しかも相手は「世界制覇」を目指すゴーン社長肝入りのプレミアムセダンだし・・・。

  内装デザインも新型のCセグ輸入車の中では1番と言える。AクラスやV40のインパネデザインもなかなか意外性があってよいが、どこか「小型車」を意識した作りになっている感が否めない。それに対しゴルフはDEセグセダンのような「本格的」なフル装備を意識している点が光る。フォードフォーカスは内装では勝負しませんと「白旗」を挙げたようなデザインだし、新型車ではないがBMW1に至っては、ドアのヘリにあるはずの防音用ゴムパッキンが省略されていている。軽トラか・・・。

  とりあえずこの3点に関しては、素直に良さ(優越性)が認められると思います。ただこの3点だけでクルマ買う人なんているのか?というのが正直な気持ちです。まあ排気量を考えても燃費はそこそこいいでしょうが、余裕で20km/Lオーバーというわけにはいかないはずです。なんだかんだいってもこのクルマは日本車より重いですし、回生ブレーキ的な装備も無い上に、安全装備用のモニターなどで電気を喰いまくっているわけですから、エアコンONで4人乗車した時には10km/L超えれば御の字くらいではないかと見ています。

  走りの楽しさよりも燃費重視というのは、今やBMWもマツダもある程度は同じ立場だと思います。よって新型ゴルフのように、先代と同じ排気量でも燃費重視のエンジンにさりげなく代えてくることにはある程度は理解を示したいと思います。そのための「軽量化」もきっちりと実現した上でのパッケージングなのだからこそ、沢村慎太郎さんもそれほど噛み付いたりはしていなかったようです。このゴルフより批判されるべきクルマは他にたくさんあるのだとか。なんとなくわかる気がしますが・・・。早く運転してみたいですね。

訂正:ブルーモーションテクノロジー = 回生ブレーキというご指摘を頂きました。よって回生ブレーキが無いは誤りです。申し訳ございません。


  

  

2013年5月22日水曜日

新型ゴルフ 「勿体ぶった割に意外な方向性・・・」

  「クルマ」というものは必ずしも予想通りには進化しなかったりする。「スポーツハッチバック」だからと言っても、FMCを迎える度に「エンジン」と「足回り」が強化されていくのは2000年代までの話のようだ。この傾向は、特に業績に優れる「巨大メーカー」のトヨタやVWなどで顕著に見られる。「スバル」や「マツダ」のような「中小規模」のスポーツブランドを自認するメーカーでは今なお「ホットハッチ」という言葉が健在なのかもしれないが、トヨタやVWにおいてはもはや完全に「死語」だ・・・。

  トヨタやVWなどの全世界で1000万台近くを生産する「トップメーカー」にとって、主力ブランドの「プロパー・モデル」がホットハッチなんてことは絶対にあり得ない状況になってきています。1000万台生産するメーカーにとってその半数以上を売りさばく場は今や完全に「新興国」市場にシフトしている。新興国でクルマを販売する場合は、ブラジルでトヨタの「カローラ」の現地生産モデルが、日本円で300万円以上で販売される例もあるが、大抵は100万円を下回る価格でベースグレードを用意するのが一般的なようだ。日本や欧州で300万以上の価格で売られる「ホットハッチ」を開発して売り続けるよりも、100万円程度の価格だけど「乗り心地」や「環境性能」に優れたクルマを開発するほうが、新興国にとっては「親切」な対応だと言える。

  7代目となる新型ゴルフが発売された。VWが世界へ向けて発信する最強の「ブランドカー」は、先代モデルと比べて外観上(デザイン)の違いは少ない。しかし「中身」は先代とは大きく異なっている。デザインはほとんど違わないのに「プラットフォーム(車台)」が違うという非常に珍しいFMCが行われたようだ。昨年末からVWは欧州で大々的にプロモーションを進めていて、「有名輸入車」ということで日本のメディアでも発売前(去年の今頃)から盛んに報じていた。

  当初の報道では新型ゴルフは「決定的な進化」と伝えられていたが、今年に入ってふたを開けてみると、「MQB」というVWグループ(VW・アウディ・シュコダ・セアト)のB〜Dセグという販売のほとんどを占めるクルマの「統一された車台」を投入するということが解り、何が「進化」なのだろうと率直に疑問に思った部分もあった。簡単に言うとインドで100万円以下で発売するシュコダの「ファビア」からアメリカで200万円(日本で350万円)で売られる「パサート」までのVWの「世界戦略車」に全て同じ「車台」を使われるという、非常に合理的な戦略が今後採用される。ただこれはVWより先にトヨタがすでに実践していることに過ぎない。改めて言うまでもないが、ヴィッツからアルファードまで同じ車台をすでに使っているのだ・・・。

  正直に言って当初は、新型ゴルフに対して「コストダウン」という否定的な感想を持っていた。しかし見方を変えれば、クルマに求められる価値観が「環境」「安全」「快適」など多様化している現代において、それらの需要に十分に応えるためには、クルマの基本的な部分を最大限に統合して「クルマの性能を維持したまま」生産コストを引き下げる戦略を取ることは「絶対に必要」なのだと思うようになった。ある程度の性能が担保された「車台」に、オプション装備のように様々な機能を「追加」することで、良いクルマを仕上げるという方針には納得できる部分もたくさんあるように思います。

  トヨタ・VWに続いてフランスの「PSAグループ」も同様の「車台」を投入することを発表しました。今後は「ルノー日産グループ」や「ホンダ」「ヒュンダイ」「フォード」「GM」でも恐らく同様の戦略に踏み切るでしょう。逆にこの戦略を採用できない「マツダ」や「スバル」はよりいっそうの高級化路線が進み、ブランドイメージで先行する欧州プレミアムブランドのモデルに対し性能面で優位に立って、徹底的に叩き潰すような「超高性能モデル」を投入しないと未来は切り開けないのかも知れません・・・。「新型ゴルフ」を「コストダウン」と表現するのは、もはや「前近代的」な思考が丸出しなので、今後一切やめようと思います(トヨタのクルマも同様ですね・・・)。


  
↓新戦略の「ゴルフ」と究極ブランドの「Aクラス」を相手に徹底的に「実力」で対峙する「V40です。
  

2013年5月2日木曜日

ゴルフⅦ 「さまよえる合理性の極地」 その2

  VWは2000年代に看板車の「ゴルフ」を巧みな戦略で、欧州と東アジアの大ヒット車として「ブランド」を確立することに成功した。前回も書いたがゴルフⅣとゴルフⅤを同時に生産する戦術(ノックダウン生産)を駆使して「Cセグハッチバック」の主役となった。トヨタもグローバル戦略(円高のリスクヘッジのため)の一環として、ノックダウン生産を行っているが、それはあくまで新型が販売されていない市場に向けてのものだ。VWの戦術は同じ市場に旧型と新型を投入させるという、より「戦略的」なものだ。ちょっとメリットが分かりづらいが、例えるならトヨタが「新型クラウン」を発売していて、同時にダイハツが「先代クラウン」を車名を変えて売っているようなものだ。新型モデルで思い切った設計をする際にはなかなか有効な作戦かもしれない。

  この細やかな戦術はVWの営業利益に大きく貢献し、世界的な経済危機に見舞われてもプラス収支に踏みとどまる原動力となった。実はこのVWと同じような戦略を駆使してプラス収支を維持しているのが「ホンダ」だ。ホンダは北米ではCセグではシビックが最大のシェアを持っていて、VWゴルフをまったく寄せ付けない強さを発揮している。さらにシビックは欧州市場でも主要国で軒並みゴルフに迫るシェアを獲得している。ホンダとVWが黒字のまま推移しているのは、主力Cセグが世界中の市場で最も安定した収益を稼ぎやすいという分析もあるようで、MBやBMWといったプレミアムブランドも参入してきて激戦区になってきている。ゴルフⅦもシビックもこの市場で存在感を維持できるかは定かではない。

  ただ一つ言えることは、ゴルフにしろシビックにしろ「できる限りコストを削減」し「できる限り高級に見える努力をする」という相反する二つのことを追求してきたことだ。よって場合によってはMCよりもさらに細かいタイミングで設計変更が行われているようだ。シビックはしばしばコストダウンがバレバレで「作り直し」なんていう事態が発生している。どちらも上級ブランドのアキュラとアウディに同じ設計のクルマを用意しているので、「差別化」という別の要求にも応えなければならない。Cセグメントは当然ながら、Bセグより「高級な走り」が要求され、同時にDセグより「経済的」なクルマでなければならない。隣接するセグメントの車種も考えるとライバルは無数にいる。その中から選ばれるためには「ブランド」化を強力に推進する必要があるので、結局はコストがかかることになる。開発の現場ではそれこそ「綱渡り」のような心境だと思われる。

  「ブランディング」に関してはVWとホンダはやや距離があるように思う。技術屋のホンダは「開発こそがブランディング」と考えているようだ。v-tecなどのエンジン技術を中心に優位性をアピールしてファンを獲得している。それに対してVWは「カーメディア」を徹底的に利用しているように思う。ゴルフを語るジャーナリストの口調にはしばしば「強烈な違和感」を感じることがある。複数のメディアでゴルフに対し一言一句違わない「形容」が使われるのを度々目にする。先代のゴルフⅥは「世界のベンチマーク」とバカの一つ覚えのように書かれていた。新型のゴルフⅦでは「クラウンの乗り心地」と盛んに言われている。おそらく新手の広告手法で、その言葉を言ったり書いたりすれば、報酬が発生する仕組みなのかな?という気がする。

  どちらもクルマに詳しくない人々を誘導する「意味不明」な言葉だ。ゴルフは世界最大の北米市場ではそれほど目立ったクルマではないから「世界のベンチマーク」ではないし、「クラウンの乗り心地」と言われてもいわゆるゼロクラウンの前後ではクラウンの乗り心地はだいぶ違うので、どのクラウンを指しているのかも不明だ。そんなことは当然承知の上で、そこそこ有名なジャーナリストが「確信犯」的に使っている。彼らに本音で言わせれば「ヴィッツ以上でオーリス未満の乗り味」それ以外の何者でもないといったところなはずだ。シビックはv-tecファンが買って行くが、ゴルフはメディア戦術でクルマに疎い人を惹き付ける手法だ。そんな手法が通用するのは残念ながら日本だけかもしれないが・・・。

  

  
↓「ヴィッツ以上でオーリス未満」が的確な表現だと思います。新型オーリスはやはりというか欧州で売れています。
  

2013年4月26日金曜日

ゴルフⅦ 「さまよえる合理性の極地」

  「ゴルフというクルマ」と「マツダというブランド」はある意味でよく似ている。それはどちらも、かつては「安物」という表現がよく似合う「模倣」だらけの存在だったが、今では開発を続けて来た20年あまりの歴史そのものが評価されるようになってきている点だ。だからという訳ではないだろうが、「マツダ」のファンは「ゴルフ」が嫌いだったりするし、「ゴルフ」ユーザーは「マツダ」ブランドを軽くみる傾向にある気がする。

  「ゴルフ」がクオリティカーとして評価できる装備になったのは、2003年に発売された「ゴルフⅤ」からである。それ以前の「ゴルフⅣ」までのモデルはエンジン、足回りともに、現在の日本車の最廉価車と大きな差はなく、重くて燃費が悪くて、止まれないというヒドいクルマだった。ただ1点大きく優れていたのは、ほとんど特別なコストをかけていないのに、日本価格で250万円で売ることが出来たので、貢献利益が非常に大きかったことだ。当時のライバル車のホンダ「シビック」はスポーツカー並みの4輪DWBを履いていたし、トヨタ「カローラ」はカローラ史上最高レベルの豪華装備を誇っていた時期だった。よって日本車の採算ラインはゴルフよりも圧倒的に高く、値引きが自在にできるゴルフにしばしば負けるようになった。

  当然ながら「過剰品質」のシビックやカローラは、コストの見直しを図り始めた。これまでの品質に満足していたユーザーからは、当然ながら不人気になっていった。その一方で2003年のタイミングで発売された「ゴルフ」はこれとは逆の高品質化に舵をとった。ここでVWが巧みな戦術を駆使する。高品質化といっても欧州と日本に投入するモデルのみを「ゴルフⅤ」として新型化する一方で、既存のゴルフⅣの生産ラインを南アフリカやメキシコに移設し、「ノックダウン」方式で2006年まで「ゴルフⅣ」も平行して生産が行われた。新興国市場ではカローラにコスト面で迫り、一方で欧州の新たなライバルのフォード・フォーカスを始めとする「フォードグループ」の新型ハッチバック(マツダアクセラなど)を「ゴルフⅤ」で迎え撃った。

  この「ゴルフⅣ」と「ゴルフⅤ」はあまりにも方向性が違うクルマなので、VWもかなり意図的に4年にも及ぶ「2世代共存体制」を取ったが、まさにこの4年間こそが日本市場におけるカローラとシビックを運命を決めてしまったと言える。トーションビームを履いたカローラやシビックと比べてマルチリンクを履く「ゴルフⅤ」は性能面で有利だった。まだマツダアクセラは日本には浸透していないマイナーな存在だったし、スバルインプレッサはハッチバックモデルが存在していなかったので、日本市場でのゴルフはライバル不在といえる存在となり、その評価はどんどん上がっていった。2000年代のゴルフは絶妙な戦略を駆使してそのブランド価値を上げたと言える。 (次回に続く)

↓ダウンサイジング特集なのでゴルフⅦが登場しそうです。この雑誌は輸入車と日本のクオリティカーのみを扱うのでとても素晴らしいと思います。

2013年2月26日火曜日

フォルクスワーゲンup!とは何だったのか?

  フォルクスワーゲンって「ステマ」を露骨に使うメーカーかもって、去年あたりから感じつつあるのですが・・・。カーメディアで「ゴルフ」が紹介されるときは必ず「世界のベンチマーク」と付いてくるし、「up!」のときは「黒船襲来」です。ライバル関係にあるはずの雑誌でも使っているので、これは「キーワード」として露出に対してインセンティブが支払われているのかな?と思います(あくまで憶測ですが・・・)。

  この「up!」の取り上げられ方はスゴかったですね。その後に出て来たワゴンRやムーブがほとんど何もプロモーションしてないかのような印象でした。いいクルマならほっといても話題になって売れるでしょうが(BMWやメルセデス)、なんでVWはそこまで焦るのか?アウディやポルシェではあまりプロモーションしないのに・・・。

  やはりというか「up!」はアメリカのVWでは売られていないんですよね・・・。自信があるクルマなら堂々とアメリカに持っていけばいいのにと思うのですがね。VWと傘下のショコダ(チェコ)とセアト(スペイン)の3ブランドで同時に発売されて、主な市場はインドのようです。インドや東南アジアで売るためのクルマを、宣伝やステマを駆使して売りつけようとされるなんて、なんか日本市場も舐められたもんですね・・・。

  ただこのクルマのおかげで日本人が徐々に「豊かなクルマ文化」というものに目を向けるようになってきたかもしれません。いままでは、自動車メーカーは売れないからどんどん安いクルマを作って、消費者は「欲しいクルマがないから」といってとりあえず安く済むクルマを買っていました。メーカーもユーザーもお互いに相手のせいにして、納得できないクルマを作り、一方で納得できないけどそれを買っていたのかな?と思います。

  日本市場と北米市場と比べると、「クルマの価値」に大きな違いがあるように感じます。アメリカで売られているブランド(日本メーカーも含む)はラインナップの全てのクルマに「魂」を感じます。ただ安いだけのクルマがほとんどありません。日本とアメリカのどちらが優れているかを一概に言う事はできませんが(自動車行政が違うので)、「クルマなんてオワコンだよね」で済ましてしまうのは悲しいことです(その「オワコン」が物流を支え、コンビニ・スーパー・自販機・アマゾンなどほぼ日本人の生活の全てを支えているのに・・・)。

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