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2018年6月5日火曜日

トヨタC-HRのMC 「スバル、マツダを圧倒した手際の良さ」



ベタだけど気合が入っていた

  2017年最大のヒット車だったトヨタC-HRに新グレードが追加されました。発売当初から割高な価格設定が指摘されていましたが、デザインのインパクトと、K沢先生に「ザックス!!」と言わせ続けた戦略が功を奏したのか売れに売れました。今も日本市場のSUVの販売のトップを快走。発売からの累計は日本市場だけで既に20万台で平均単価を考えれば6000億円の売り上げ。スバルやマツダが日本市場で稼ぐ1年分くらいってのがすごい。


トヨタの販売戦略

  プリウスのSUV版としての立ち位置なので、本来のプリウスの需要を確実に喰っているわけですが、同時に発売されている1.2Lターボのグレードは、今回のマイナーチェンジでFWDモデルが登場して一気に価格が下がるみたいです。『付加価値』バージョンで20万台あまりを売りさばいてからの、余裕を持っての廉価グレード投入は、発売1年後から値引き幅がどんどん大きくなる欧州車みたいな売り方です。マツダやスバルだと年次改良で価格は基本的に上がっていきますが、営業力に絶対の自信があるトヨタでは逆パターンになるようです。


局地戦に強いモデル

  営業力とかどーでもいいのですが、このC-HRの1.2Lターボは、なんだかフランスメーカーのPSAなどが社運をかけて作りそうな戦略車みたいな雰囲気があります。小洒落ていて個性的なボデーに、1.2Lターボのダウンサイジングユニットを積んでいる。トヨタもドイツ市場というよりは、フランス&イギリス市場を狙い撃ちにするのが当初からの予定だったのかも。アメリカ向けも全量輸出対応で4000台/月もあるのでそこそこ売れています。


トヨタのグローバル選抜チーム

  日本市場でトヨタというと、なかなか覚えきれないくらい車名があって、ポルテとかルーミーとかタンクとかよくわかんないクルマも結構ある。しかしグローバルでのトヨタは「主軸」モデルを選んで集中的に経営資源を投下していて、なぜか日本だけ発売されていないカローラセダンやRAV4だったり、カローラハッチバック(オーリス)、C-HR、プラド、プリウス、86、ハイラックスなどがほとんどの主要市場に投入されています。日本にもカローラセダンとRAV4の投入が計画されているようで、いよいよ日本市場もグローバルモデルへの置き換えがほぼ完了する見通しです。


トヨタのセンスの良さ

  トヨタがグローバルで売るモデルは、どれもキャラクターがハッキリしていて、ユーザーのマイカー・イメージを作りやすく工夫されています。「マイカー」っていうと昭和な香りがして古めかしい感じがするかもしれないが、今時のクルマ所有ってのはライフスタイルとの密接なイメージ共有が不可欠であり、昭和やバブルの残り香がただよう頃の「背伸び全開」のクルマ選びとは違っていて、例えばスポーツカーの86であっても、それは「プチリアイア世代」を意味したり、若年層の「修行時代」を意味したりするマイルドさが程よく織り込まれています。


トヨタは完全にVWの先を行っている

  タイやオーストラリア、アメリカをイメージしたライフスタイルならば、ハイラックスやRAV4、プラド所有がしっくりいくでしょうし、より都会的な洗練されたイメージを持っているのがプリウス、カローラ、C-HR。トヨタが展開する多くの国でこれらライフスタイルの共存が起こっていて、それらをリサーチしてグローバルモデルを緻密にデザインしています。そこに得意の技術を組み合わせて付加価値の高いモデルを作り、各市場でライバルを撃破する・・・やってることはVWがMQBで狙っている戦略そのままです。実際のところメディアの報道とは異なり、VWよりトヨタの方が一回り早く世界戦略を完成させていることがわかります。集約を完成させた結果の脅威的な利益率にそれが現れています。


C-HRは業界を刷新する破壊力

  このトヨタの「鉄壁」ラインナップを打ち破るには、トヨタを超える「ブランドイメージ」もしくは、「技術的アドバンテージ」のどちらかを武器に立ち向かうしかなさそう。マーケティングではおそらく勝ち目はないでしょうし。話は元に戻りますが、日本市場でスバルやマツダの1年分と同等の売り上げを出したC-HR。しかもスバルやマツダが最も得意とする中型車でそれをあっさりやってのけた・・・。しかもエンジンもシャシーも既存モデルの流用。主戦場でここまで鮮やかな仕事をされて、スバルやマツダにとっては顔に泥を塗られた格好です。


なぜXVは勝てないのか?

  ライバルとなる車格のスバルXVでは走行性能を担保する2Lガソリンモデルを中心に開発した。自然吸気ユニットとスバルがこだわるCVTのマッチングは洗練されているし、CセグSUVではまず負けることはないであろう上質な乗り味、ハンドリング、さらに最高レベルの衝突安全性を備えている。これだけ開発者がこだわっていて、よーいドン!!でほぼ同時期の発売で、C-HRに完敗って・・・。XVの設定はファンが考えるにスバルにしてはあまりに無難すぎたのかもしれない!?(これにFA20DITを積めというのか!?)




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2016年11月1日火曜日

トヨタCH-R 「クルマ選びのマインドが崩壊!?」

  2012〜2013年にかけては、比較的に幅広いブランドのクルマが日本市場で売れた時期でした。今では目も当てられない三菱も2代目アウトランダーがPHEVとして登場しスマッシュヒットしていました。7代目ゴルフに注目が集まるなかで、ライバルメーカーも奮闘しメルセデスAクラスやボルボV40も予想以上の売り上げを記録しました。マツダは不死鳥のように甦り、スバルは真っ先に自動ブレーキという金鉱を掘り当ててました。そしてトヨタは86を見事にヒットさせています。

  そして2017〜2018年にかけては一大乗り換えキャンペーンに突入します。5年で乗り換えるなんて贅沢な気がしますけども、今では延長の新車保証や残価設定ローンも5年が定番になってますから、それなりの数のオーナーが乗り換えをするのは確かだと思われます。それを待ち構えるかのようにスバル・新型インプレッサ、ホンダ・シビックの日本復活?、マツダ・ロードスターRF、BMW・直3になった3er「318i」、VWは2Lターボの本格仕様のパサート。なかなかの自信作が出揃ってきた印象があります。そんな中でトヨタの大本命はC−HRというCセグのクロスオーバー。ライバル各社ではとっくに出そろった感がある「コンパクトSUV」に満を持して最大手が乗りだします。

  話題になっているのは「ザックス製ダンパー」の採用・・・いよいよトヨタもサプライヤーのネームバリューで勝負するようになったのか〜。 それともドイツのサプライヤーをクレジットに入れておけば、無闇やたらと乗り心地を叩かれたりすることはないだろう!というカーメディアを軽くあしらう高等戦術かも? (早くもK沢さんが喰いついてました)。

  現行のスバルWRXがデビューしてグレードによってビルシュタイン製とKYB製が選べるようになりましたけど、たしかにこのクルマの乗り心地に関してカーメディアは何も苦言を言わなかったような・・・。実際にWRX・S4の乗り味はビルもKYBのどちらを選んだところでお世辞にも高級な乗り味ではなかったのですが、カーメディアは封殺していました。特に乗り心地を考えると上級グレードの「ビルシュタイン」にわざわざ追加料金を出す気はさらさら起きません。それでもBMWのE90系Mスポほど突き上げが酷いということではないですけど。

  最近のトヨタはそのポテンシャルを十分に発揮していると言うべきか、何を作らせても予想より良い仕上がりであることが多いです。新開発の直4ターボ(1.2Lと2.0L)は絶妙なところに着地しましたし、新プラットフォームのTNGAも評判は上々でカーメディアをほぼ沈黙させるという快挙を達成しました。何も言えないカーメディアがダメダメなだけかもしれないです。トヨタが本気出せばザックスなんて不要なんじゃないですかね。ちなみにザックスはVWグループが採用して高い評価を得ていますが、他のメーカーでも質の良いダンパーはいくらでもありますし・・・。

  トヨタにとってはいつものことですけども、C-HRを設計するにあたって、他メーカーのSUVを徹底的に分解して、そこから何を読みとったきたのか? これだけ全世界から広く受容されるようになったコンパクトSUVのジューク、ヴェゼル、CX3、XV、X1、2008、キャプチャーなどに対しても相当レベルの決定的な弱点を見つけているはずです。トヨタがBMW・X1と同じものを作ったらカーメディアからどれだけ酷評されるのか(笑)。などなど。

  SUVは「趣味のクルマ」なのか?それとも「国民車」なのか? 「趣味のクルマ」といえばまずは専用設計のスポーツカー(86、ロードスター、ポルシェ911/718など)が思いつきますが、高性能改造車(アウディRS5、BMW・M4、GT-Rなど)であったり、高級セダンや、ラダーフレームを使った本格SUVなども、一般的な用途で使われるクルマとは立ち位置が違っていて、今では専ら好きな人が買うタイプのクルマになっています。かつてのミニバンブームのような賑わいを見せているSUVは果たして「趣味車」と言えるのか?

  スズキが少し前に発売した「イグニス」は超軽量設計(850kg)など、旧車好きには堪らない要素を持っていて、1.2L自然吸気(スズキの誇る名エンジン)に5kg・mほどトルクを増幅できるモーターを積んだHVという気の利いた走り優先のパッケージは「ホットハッチ」として需要されるはずでしたが、価格があまりにリーズナブル過ぎたのか、それともスポーティ派によるハイブリッドへの偏見がまだまだ根強いのか、あるいはCVTが残念なのか?なかなか思うような結果は出ていません。「5MT」を積んでくれば、立派に「趣味のクルマ」なんですけども・・・。

  6MTを用意する「マツダCX3」や、190psのターボを用意する「日産ジューク」には、マツダや日産のスポーツカーを愛するファンへ向けた意識の高さを感じます。この2台は日本でも発売されるようになった「top gear」を見ていても欧州の「趣味的」カーメディア人からの評価は非常に高いです。欧州ではGT-Rのユニットを積んだ「ジュークR」が限定販売されたり、「CX3にはロードスターの血脈を感じる!」と英国人ライターは絶賛していました。

  欧州で評価が高い・・・だから何なんだ? 「ヴェゼルHV」や「スバルXV-HV」に関してもアクセルを踏んで楽しくなる仕掛けはあって、コンパクトで200万円そこそこの価格なのに、アクセルオンすれば単なる「国民車」とは別次元の加速性能が発揮され、その「体感」はゴルフGTI(400万円)やメルセデスA250シュボルト(500万円)の「S」モードでアクセル全開したくらいの高揚感は十分です。いずれもディーゼル、ターボ、ハイブリッドによるトルク増幅を使った子ども騙しと言えるかもしれませんが、そもそも日本に入ってきている欧州車のほとんどがこの手法を使っています。ただし出足の軽快さこそあるものの、中高速の加速になると、2Lエンジンを搭載したGTIやA250のシャープな伸びには及びませんけど・・・。

  果たしてトヨタは「スポーティSUVのアヤ」を今回はC-HRでどのように解釈してきたのでしょうか?これがトヨタCH-Rの本質的な評価基準になると思います。トヨタの近年のヒット作はアルファードやハリアーなど、「高級ピープルムーバー」路線が多く、その成功に引っ張られ過ぎると案外「あれれ?」なクルマになったりするんじゃないか?という危惧もあります。ただし「トヨタ86」あるいは「レクサスRC-F」など、世界基準(ワールドクラス)のスポーツカーやGTカーを作ってきた見識が発揮されれば、SUVに対しての警戒感をまだ持っている保守的なクルマ好きに、SUVとは何か?への新たなる答えを用意してくれるかもしれません。




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