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ホンダ・プレリュード (2025年8月・情報公開)

3ドアクーペ

北米市場で販売されていたシビック・クーペの後継モデルが、新たに「プレリュード」に車名変更を機に日本市場にも投入されることになった。2016年で販売を終了したCR-Zが中古車市場でカルト的人気で乗り継がれていたことで、メーカー側も久々に3ドア車の国内発売を決めたようだ。学生でも購入できる廉価な中古CR-Zで、クルマの魅力にどっぷりハマった若者が、就職して給料も上がってきたタイミングであり、決して裕福なシニア専用マーケティングというわけではなさそうだ。


プレリュード、シティ、シビック、アコードクーペ、NSX、レジェンドクーペ、CR-X、ビート、インテグラ、シビッククーペ、S2000、CR-Z、S660・・・過去のホンダの2ドア&3ドア車はいずれも「名車」ばかりで、ホンダらしい徹底した作り込みが目立つ。これがホンダ四輪の歴史そのものだと言っても過言ではない。新型プレリュードが3ドアで新設計されたのは、この遺産を引き継いでホンダのブランド価値を示すために他ならない。ホンダの2ドア&3ドアはとりあえず買っておいて損はないと考えるユーザーも少なくないだろう。


低燃費ツアラー

CR-ZはMTとCVTが用意されたが全車ハイブリッドで、モード燃費は20km/Lを超えていた。現状では中古車の車両価格は50万円ほどで、17km/Lくらいの実燃費で走ってくれるなら、とてもお財布に優しい。今年から好きに走っても17km/L(ハイオク)は余裕で越えるMT車に乗っているが、毎週のように200〜300kmのドライブに出掛けてしまうほど、ガソリン代の負担感はない。Bセグのコンパクトカーだけども、今のところ稼働率は非常に高くて予想以上に満足している。



MTが選べるICEだとBセグの燃費が群を抜いている。MTを断念してHEVならば同等の燃費をCセグ以上のツアラーで実現している。走りに定評があるシビックHEVのカーライフも、400万円を越える本体価格を支払ってしまえば、燃費の経済性と高額負担バイアスの相乗効果もあって市販車最高レベルの「買ってよかった」体験ができると思う。東京から関東地方の全域に行ける往復300〜400kmの長距離ドライブでも、17km/L、1L=170円で計算すると4000円以下で済む。



プリウスが辿り着けない領域 (価格)

外観が現行のプリウスに似ていて、車に興味がない一般人には見分けが付かないレベルかもしれない。大きな見分けるポイントはドアの枚数と、洗練されたリアデザイン。さらに真横から見るとドラポジが「センター乗り」になっているのがプレリュードで、「前乗り気味」なのがプリウス。ドラポジはシビックとの大きな違いにもなっている。プリウス、シビックHEV、プレリュードで選ぶなら、プレリュードが特別な存在になっている。


価格は正式発表されていないが、プリウスHEVの最上級グレード(Z・AWD)が392万円なのに対して、プレリュードのベースグレードは618万円になるらしい。MAZDA2の頂上(250万円)と、CX-80のボトム(394万円)でも150万円程度の価格差しかないのに、会社が違うとはいえ200万円以上の格差は、プレリュードの価値が見極められる賢いユーザーにしか理解されないだろう。あまり適当なことは言えないが、余程の問題でも起きない限りは、とりあえずはリセールで100万円以上は価格差が縮まるだろうが・・・。


クラウンスポーツも喰う

618万円という価格は、クラウンスポーツ590万円(HEV)を追い越してしまう。ホンダの価格設定は最初からクラウンスポーツをターゲットに進められていたのかもしれない。MAZDAや日産だったら、ターゲットより安く価格設定するのだけども、それは四輪メーカー同士の感覚である。二輪屋のホンダにとっては、エンジンもまともに作れない四輪メーカーと同等の価格設定など最初から考えていない。フィットもヴェゼルもトヨタの同型と比較すればやや割高である。


シビックtypeRが割安過ぎてプレ値が付いてしまったのだから、ユーザーからの信頼を回復するためにも価格設定には慎重になるのだろう。HEVを普遍的価値を持つ本格スポーツツアラーへと昇華させるというホンダの意志は誇り高く、他社の価格設定など最初から考慮していないのかもしれない。二代目NSXでHEVのスーパーカーを作り上げた実績があり、その技術や知見をより汎用的なモデルへ応用しているのだから、HEVツアラーとして現状ではオンリーワンの価値を持つ。


BMW・M235iも喰う

今年フルモデルチェンジを果たしたBMWのM235i (2シリーズグランクーペ) 734万円とおなじ土俵に上がった。2L直4ターボ (300ps)  を横置きに積むAWD車で、日本市場価格ではシビックtypeRと同等のスペックに、BMW・Mの格式が追加されていて適正価格に感じる。しかしプレリュードの登場は、このホンダ vs BMWの伝統的対峙に横槍を入れた。常用域は電動で走るシステムなので、BEVスペックのトルクで発進でき総合出力200ps程度であっても、シビックtypeRに匹敵する洗練された加速が可能だ。


次期シビックtypeRは現行のピュアICEのままでは登場しないことが予想され、ハイエンドなドライビングを提供する役割はプレリュードが使うHEVシステムへと移る。BMW版のシビックtypeRと言えるM235iは、横置き&直4のためモード燃費がICEのMの中で最高の12.6km/Lであるが、プレリュードのベースとなるシビックHEVは24.2km/Lである。ボデーは3ドアで剛性も高くなり、軽量化もしている可能性がある。BMWの本来の魅力であったスペシャルティカー的カスタムをホンダが仕掛けてきた。


A45AMGから乗り換え!?

国内市場でCセグのハイエンドカーとして君臨するのはメルセデスのA45AMGで、2013年の登場以来、街中でよく見かける。M235iがBMW版シビックtyoeRなら、A45AMGはメルセデス版ランエボである。現行のA45AMGは421psまでチューンアップされ、940万円まで価格が上昇していて買いにくくなっているが、代わりに306psのA35MAGが765万円で設定されていて、最近ではこちらをよく見かける。


直4の横置きは手頃な大衆車のイメージが強いが、国内で走らせるのに都合が良いサイズ感と満足できる走行性能に加えて、ブランディングにふさわしい内装まで備えている。実際に10年以上にわたって売れ続けてきたわけで、A45AMGやA35AMGは、プレリュードの国内投入を実現させた「影の功労車」と言ってもいいかもしれない。


シビックHEVが売れる

残クレやリースなど様々な購入方法が広がっているため、613万円という価格が一般ユーザーの家計に負担をかけるのかわかりにくい。2000年代に国内のBMWディーラーで残クレが始まり、E90系BMW3シリーズが大ヒットし、2007年の国内BMW販売は過去最高を記録した。残クレの広がりによって輸入車価格の上昇が始まり、その波が2020年代には日本メーカーにも及んできた。クルマだけでなく、住宅、米、宿泊など需要が高いものは次々と「金融」に価格が釣り上げられていく。


20年前に残クレを始めたBMWは、今はその後遺症に苦しんでいる。価格が急騰しているアルファードやランクルも10年後には同じような状況だろうが、その頃には自動車のカタチは変わったものになっているだろう。ユーザーは資本主義の弊害に気づき始めている。シビックやCX-60といった高性能だけど控えめな価格設定のクルマが堅実に売れるようになっている。プレリュードの価格は絶妙なサジ加減なのだろうけど、シビックHEVの上級グレード430万円がとても魅力的な価格設定に見えてくる。



後記

最後までお読みいただきありがとうございます。この投稿は2025年8月28日時点での情報をもとに記述しています。今後とも日本市場で展開する自動車メーカーについて思うところを綴っていきたいと思います。




ホンダプレリュード&インテグラがいた時代


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