30年で王座へ
トヨタのRAV4がFMCで6代目となった。初代(1994年)と2代目(2000年)は、当時のカローラがベースで、今のヤリスクロスのサイズでしかなかった。3代目(2005年)と4代目(2013年・日本発売なし)では、カローラからアルファードまで幅広く統一規格化されたMCプラットフォームとなり、ショートボデー版が現行カローラクロスのサイズで、ロングボデー版が今のいわゆるミドルSUVのサイズとなった。2013年に日本向けハリアー(3代目)がMCプラットフォームとなり4代目RAV4に替わって販売された。
2018年登場の5代目(先代)からは、TNGAのKプラットフォームとなり、新設計のダイナミックフォースエンジン(日本2L、北米2.5L)も同時に投入され、大規模な刷新による新車効果でデビューから大人気となった。北米のSUVブームと重なり年間100万台を突破し、全車種で世界一の販売を誇る。そして新型となる6代目では、シャシー&エンジンの刷新もないので、日本仕様にも北米向け2.5L自然吸気が搭載されるなどの変更が期待されたが、予想を超える変化で中国仕様以外は全車HEV化された。
法規対応のFMCなのか!?
先代(5代目)は、日本以外にカナダ、中国、アメリカ、ロシアの5拠点で生産されていたが、新型は日本、カナダ、中国のみとなっていて、政情不安のロシアは予想通りだが、アメリカ・ケンタッキー州の工場は、日本向けに輸出できるモデルが割り当てられるのかもしれない。また先代では中国と日本で生産されていた2Lエンジンの非HEVモデルが日本から無くなったのも、2026年7月に迫る自動車サイバーセキュリティ法規制(日本)の猶予期間終了や、同じく2027年12月が期限のEUサイバー・レジリエンス法が関係してそうだ(欧州向けは日本生産)。
新型RAV4発表時に、車載ソフトウェアを統合管理する「アリーン」を初搭載することが発表された。従来のトヨタ車は1台のクルマの中で複数のOSによって分割制御されていたが、新興BEVメーカーで一般的に行われている統合管理するシステムを、HEVが主体のトヨタ車でも採用するということだ。条件付きハンズオフ自動運転で先行する日産、ホンダに対して、「アリーン」の採用で技術的に同程度あるいは優位に立つことができると思われる。将来的にはKINTOで下取りしたアリーン車をロボタクシーに転用するなどの流通を考えているのかもしれない。
強気な価格
HEVが先に発表され、PHEVも予告されているが価格は未定だ。HEVはエクステリアが2種類あり、北米トヨタっぽいクールなイメチェン仕様が「標準車」で、先代の面影を残すコンサバ仕様が「アドベンチャー」となっている。乗り出し500万円越えで、ちょっと前のレクサスNXみたいな価格になっていて、さすがに販売台数は減るだろうが、フロントマスク部分だけとはいえ2パターンのデザインを作ってくるトヨタの「ユーザーが喜ぶクルマを作ろう」という心意気が素晴らしい(ハリアー廃止フラグか!?)。
現状では「アドベンチャー」の450万円が最廉価モデルとなる。一足先に発売された現行フォレスターのS:HEVは420万円〜の設定だが、スバルではこの10年で最大級の初期オーダー数を記録したらしい。フォレスターが縦置きでモード燃費18.8km/Lに留まるのに対して、RAV4は22.9km/Lなのが強気の価格設定の理由だろうか。トヨタのE-FOURの燃費に対して、スバルのシンメトリカルAWDの低重心エンジンと最適化されたミッションが自慢で、トヨタとスバルのクルマ作りの分岐が明確となっていて面白い。
初期は尖っていた
RAV4とフォレスターは現在のようなSUV全盛期(2015年頃)のかなり前から継続して生産されているシリーズだ。両車ともに初期モデルは「スポーツ・ユーティリティ・ビークル」の名に相応しいグレードが用意されていて、初代RAV4には2L自然吸気の3S-GEをヤマハがチューンして180psまで引き上げ、車重がわずか1180kgに抑えられたモデルがあった。フォレスターにも初代から4代目まで280psの2Lターボ(EJ20、FA20)が設定されていた。どちらも復活させたら人気になりそうだが、前述のようにRAV4はボデーサイズがもはや別物だ。
ハイオク指定で7〜9km/L程度となるカリカリのスポーツエンジンを、車重が嵩むSUVに搭載するグレードは、ガソリン価格が底なしに上がる環境で量産車としては商品力を失ってしまう。軽量なロードカーこそがスポーツカーであるべきとの信念を持つホンダとMAZDAが、ファミリーカー(ミニバンの代替)としてSUVを手掛けるようになり大きな成功(ヴェゼル & CX-5)を収める。SUVの先駆的存在だったRAV4やフォレスターが、それぞれ5代目となる先代モデルからホンダ、MAZDAの成功に乗っかる形で、現行のTHSによるミドルSUVとなった。
ミドルSUVの上位価格
生まれ変わったRAV4とフォレスターは、それぞれトヨタとスバルのグローバルでの最量販モデルとなっている。VWはティグアン、日産はローグ(エクストレイル)、ホンダはCR-V、MAZDAはCX-5で、北米市場に参入している日独のメジャー志向のメーカーは全て同じ傾向が見られる。よくカーメディアやユーチューバーが、「CX-5はMAZDAの生命線」とステレオタイプに表現するが、他のメーカーにおいても状況は似たようなものだ。
新型RAV4がデビューする前に、トヨタはクラウンのシリーズ大変革とグローバル展開を実行した。ブランドの威信を賭けたフラッグシップ大刷新という決断は、停滞する業界内でトヨタだけが唯一大きく「動ける」ことを示した。RAV4が属するミドルSUVは良くも悪くも横並びで販売シェアを大きく取っているが、その状況下でクラウンがミドルSUVより上の価格帯で、北米伝統のピックアップや、各国の政府需要も多いラダーフレーム(ランクル、トライトン)を除いて、10万台単位の個人向け販売を成功させるのはトヨタとはいえ至難の技だ。
クラウンと同等の設計
クラウンシリーズは、ミドルSUVでは現時点で採用例がない21インチのタイヤを使用して外観で差別化をし、全車HEV化でこれまで高級車が成し得なかった優秀な燃費性能が与えられ、静粛性、ソフトな乗り心地が作り込まれ、さらにHEVの弱点と言われてきたトランスミッションの改良も大幅に進んだ。ミドルSUV群の上位モデルを求める高所得層は、有名ブランドの記号的価値で動いてしまう。高価格帯モデルをユーザーの不満が出ないクルマを作れてしまうのは大衆ブランドではトヨタだけかもしれない。
刷新されたクラウンの後から、同じKプラットフォームを使う新型RAV4が出てくる。さすがにリアサスやミッションなど諸元表に示されるスペックでは差別化されるが、パラメータで出てこない静粛性や乗り心地の部分でRAV4へ技術が降りてくる。実際にトヨタが得意な〇〇%向上しましたが、今回のFMCでも多数発表されている。パワーユニットもクラウン(セダンを除く)の販売経験からHEVとPHEVのみの設定で可能だと判断したようだ。前述の通り北米もHEV、PHEVのみで、中国だけ2Lガソリンが継続する。
トヨタらしくない無敵な雰囲気
トヨタにとって絶対に失敗できないRAV4であるが、先代のように400万円以下の乗り出しに抑えたいユーザーには、HEVのカローラクロスが用意されていて、先代RAV4からクラウン、ランクル250、レクサスへステップアップするユーザーに決断を迫るように価格帯を上げてきた。とはいえ、先代からの乗り換えはHEVの場合はリセールも良いので、新型へと更新する場合でも追い金は200万円以下に収まるだろう。
乗り心地には好き嫌いがあるだろうけど、トヨタはすでにミドルSUVとその上位モデル向けの様々な機能をカタチにしている。先代RAV4では、ホンダのシャシー&エンジンを研究し、MAZDAのクルマ作りを会長の号令のもと分析した綿密な開発戦略によって世界一になった。非HEV車が無くなったとはいえ、大きな変更はないのだからトヨタの中では安心して選べるモデルだと言える。あまりの販売の強さゆえにがミドルSUV市場を破壊するかもしれないが・・・。
後記
最後までお読みいただきありがとうございます。この投稿は2026年1月27日時点での情報をもとに記述しています。今後とも日本市場で展開する 自動車 車メーカーについて思うところを綴っていきたいと思います。
トヨタ・RAV4 越えられない壁 CARDRIVEGOGOエリア9
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