2026年3月19日木曜日

MAZDA・CX-3 (2025年12月グレード改定・2026年2月生産終了)

 

奇跡の四台

MAZDA・CX-3が2026年2月に生産終了となってしまった。2015年の登場なのだが、屈指の傑作デザインが幸いして10年以上が経過しても古さはない。普遍的な造形美を強く主張していたMAZDAのデザイナーの言葉通りなのだろう、大きなデザイン変更を含むマイナーチェンジや特別グレードの設定もなく、ほぼオリジナルデザインのまま10年以上のライフサイクルを駆け抜けた。


CX-3が発売された頃のMAZDAの企画・開発は冴え渡っていて、前年にはデミオ(現行MAZDA2)、同年にはロードスター(現行)、さらに2年後にはCX-5(2代目現行)のいずれのモデルもデザインは突き抜けて優れている。HEVやCVTを使わず、日本市場で主役になる気もないMAZDAの予想外の快進撃がここから始まった。そのクオリティの高さゆえに、2017年にはトヨタの豊田章男会長(当時は社長)が「クルマ作りを学ぶ目的」と宣言し、トップダウンでMAZDAとの提携を決めた。


セダンが売れない・・・

10年前のMAZDAの主力モデル(販売が多い)は、CX-5、アクセラ、アテンザのミドル3車種だった。ホンダのCR-V、シビック、アコードの車台共通化構想を受けて、2012年からMAZDAも同じ方針を採用した。2012年、2013年で主力3モデルがスカイアクティブへ刷新され、続いて2014年、2015年で、デミオ、CX-3、ロードスターのコンパクト3モデルが揃った。コンパクト3モデルはグローバルではそれほど多くの台数は出ないことを前提に作られている。


残念ながら主力3モデルからアテンザ(MAZDA6)が脱落した。2012年に3代目として華々しく登場したが、初代、2代目で世界を制した名車アテンザの姿ではなかった。「和製アルファロメオ」(沢村慎太朗さんレビュー)と評された2代目GH型から、「ディーゼル搭載カムリ」の3代目GJ型へと変わり、クルマの方向性が全く違うものになった。北米にはディーゼルがなく直4のみ(2代目はV6があった)で北米のニーズに合わず、中国でも合弁先が初代、二代目を並行生産して、3世代が併売されるなど巨大市場で伸び悩んだ。


ラージ商品群登場

3代目アテンザの失敗を糧に直6ガソリンターボのCX-70、CX-90が北米向けに開発されることになった。アテンザが抜けた現在(2025年)では、CX-5(約33万台)、CX-30(約20万台)、MAZDA3(約15万台)が販売台数ではトップ3となっている。北米生産のCX-50が約10万台あり、日本生産のCX-70とCX-90合わせて関税の逆風の中で10万台を超える販売を誇る。それらのミドル、ラージモデルと比べるとコンパクト3車種の販売規模は少なく抑えられている。


2012年の「MAZDAプレミアム化宣言」以降のモデルに限った話ではなく、2002年以降の「新生MAZDA・ZOOM-ZOOM革命」以降のモデルは、MAZDAにしかできないクルマ作りをテーマに1台1台が仕上げられている。2002年初代アテンザは世界132のCOTYを獲得、欧州COTY2位、2003年初代アクセラも欧州COTY2位、2007年3代目デミオはWCOTY受賞、欧州COTY2位となっている。以後も世界中のCOTYにMAZDA車が選ばれている。



プレミアム・コンパクト

多くの中堅メーカーが利益率の低さゆえに、普通車のコンパクトカーからは撤退しているMAZDAにとってもそれは同じなのだけど、10年以上前に作ったコンパクトカーがあまりにも優秀過ぎてファンが多いので撤退するタイミングを逃してしまった。MAZDA以外にコンパクトな普通車を作るメーカーは、トヨタ、ホンダ、日産(ルノー)、スズキ、VW、ステランティス、ヒョンデ、フォードなど、いずれも生産台数で世界トップ10に入ったことがあるメーカーばかりだ。


例外はMAZDAとMINI(BMW)だけだ。120万台のMAZDAと、246万台のBMWは、巨大資本がスケールメリット(生産合理化)で低価格競争するコンパクトカー市場で、「クルマ好きを唸らせる」みたいなテーマで戦ってきた。MAZDA2とMINIは「プレミアムBセグ」と言われてきた所以だ。どちらも経営は楽じゃないので、さっさとBセグをBEV専門に転換したい様子で、経営方針も発表しているが、ファンと社会インフラがそれを許さない。



クルマでわかる

MAZDA2とMINIのSUV版がCX-3とMINIカントリーマン(先代はMINIクロスオーバー)で、東京都多摩地区では上品な女性ユーザーの間で大人気だ。街中ではCX-5より見かけることが多いくらいだ。上品なユーザーは、街中の狭い道で他人の迷惑も考えずに、ラージサイズ、ミドルサイズのミニバンやSUVで走ろうとはしない。歩行者や自転車が多い日中にCX-8やアルファードで「どけどけ!!」とばかりに暴走するユーザーは結構目につく。横断歩道に人が立っていても平気で走り抜ける。


偏見でも何でもないけど、ロードバイクで日中に走っていてつくづく思うのは、大きいクルマに乗る女性と古いクルマ(10年以上前の年式のミニバン、セダン、小型輸入車など)に乗る男性は事故発生率がかなり高いってことだ。現行モデルのBMW5シリーズなどの高級車に乗ってる知人に何人かいるが、全員が穏やかな性格で運転もスマートだ。しかし同じBMWでも1シリーズをロードバイクで追い越して行くと、かなりの確率でアクセルベタ踏みで横をすり抜けてくる。なんであんなに短気で凶暴なのだろうか!?




MAZDAらしさ

2012年頃からMAZDAが主張するようになった「プレミアム」とは、ユーザーの手前味噌な解釈かもしれないが、「上品」なユーザーの選択肢を目指したブランド戦略を意味する。近年のトヨタ、スズキ、ホンダが意図的にチョイスする「ヤンキー風」「ガンダム顔」といった癖の強いデザインを避けている。デザインだけでなく、多くの日本メーカーが採用するCVT、HEV、シフトレバー廃止などの「商用車スペック」に対して距離を置いている。MAZDA車は悪目立ちせず、わざわざ所有する意義のあるクルマがほとんどだ。


首脳陣も120万台規模のメーカーだから「逆張り」ができると言っている。ポルシェやBMWのようなハイエンドの超高性能モデルを作ることも可能かもしれないが、それらを好むユーザーをメインの顧客にするつもりは全くないだろう。ハイエンドな性能を予感させるコンセプトカーこそ何台も発表はしているが、いずれも製品化には至っていない。MAZDA車の良いところは毎日のように乗りたくなる点で、サーキットでしか実力を発揮できないクルマはブランドとの親和性に疑問がある。




諸行無常

2015年以降のMAZDAには、日産ジュークを追走してコンパクトSUVブームに乗ったCX-3と、プレミアムコンパクトに突き抜けて日本市場HEV拡大の逆風を跳ね除けたMAZDA2(そもそもBセグにHEVは不要では?)と、ミドルSUVブームの象徴となったCX-5(二代目)と、スポーツカー・リバイバル・ブームに乗ったNDロードスターの奇跡の4連発があった。選択と集中でスライドドア、小j排気量ターボ、CVT、HEVなどを、ことごとくぶった斬ったのは間違いなく英断だった。


この奇跡の4台のうち、CX-3とCX-5(二代目)が2026年で廃止され、MAZDA2とロードスターもいつ廃止のアナウンスがあってもおかしくない。しかも発表されている後継モデルはHEV化されるCX-5と、BEV化されるMAZDA2、CX-3、ロードスターだ。期待3:不安7くらいの割合でMAZDAファンは今後の行く末を見守っている。「今乗っているクルマが壊れた時には、いよいよクルマを降りようかな」まあ人生はクルマだけではないし・・・。



後記

最後までお読みいただきありがとうございます。この投稿は2026年3月19日時点での情報をもとに記述しています。今後とも日本市場で展開する 自動車 メーカーについて思うところを綴っていきたいと思います。




<日本語版>MINI 60YEARS~ミニの60年~







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