BMWに匹敵する「走りのミニバン」として90年代に登場し、長らく個性を発揮してきたホンダ・オデッセイが昨年のFMCですっかり様変わりしてしまいました。広くて快適なキャビンに移行して見るからに重心は高くなり、両サイドがヒンジドアからスライドドアへと変わってしまっては、ボディ剛性でBMWを追従することももはや出来なくなり、変わり果てた新型オデッセイは「国内専用ミニバン」の王道デザインにしか見えないです。見た目だけでなく足回りなども大幅に変更になり、ミニバンらしからぬハンドリングを支えていた4輪ダブルウィッシュボーンはあっさりと廃止され、トヨタ流のトーションビームへと変わっています。しかしホンダに言わせれば、現在では国内専用ミニバンのパッケージの良さが欧州でも受け入れられつつあり、旧型オデッセイのようなクルマが高速安定性を誇れる場所は、欧州であってもかなり少なくなってきているのが現状のようです。
そんなホンダの方針転換をしっかりと裏付けるようなクルマが、BMWから発売されました。BMWは今後1シリーズなどでもFF車を展開するようですが、その第一弾となるのがこの「2シリーズ・アクティブツアラー」だそうです。傘下のミニと共通のシャシーを使うのならミニ・ブランドで良いじゃん!という気もちょっとします。これまで比較的ストイックに走りのセダン/ワゴン/ハッチバックを作ってきたBMWですが、従来のラインナップが欧州・日本・北米の成熟市場でハッキリと伸び悩みを見せていて、ライバルのメルセデスやアウディの商品力に遅れをとっているという指摘もされています。そんな評価を受けていよいよブランドのテコ入れを図る時期に差し掛かっていて、その骨子となるのが今回のFFモデルの導入だそうです。ちょっと恣意的な見方ですが、「走り」だけがクルマの価値ではないと気がついた不器用なBMWが、甲斐甲斐しく見た目にも「温もり」が伝わってくるファミリーカーを作りました!といったなんだか微笑ましい感じがするのは私だけでしょうか・・・。
やはり素直に好感が持てるのが「温もり」ですね。メルセデス・アウディ・レクサスと揃っての最近のラインナップは、ハッチバックやミニSUVといった低価格で「ファミリーカー」用途に振ったクルマを、かなり無理矢理に「スポーティカー」として売ろうとする戦略が主流になっています。スポーティというスパイスを過剰気味に振り掛けられたそのテイストは、化学調味料で作られたイヤな辛さの激辛カレーのような「安っぽさ」と「嘘くささ」を感じてしまいます。その一方で今回のBMWはクルマの使用目的をハッキリさせたクルマ作りに徹しているのがとても良いです。この2シリーズ・アクティブツアラーだけでなく、M235iのような「スリリングなクーペ」と650iのような「優雅なクーペ」を高いレベルで作り分ける実力を持つブランドですから、その作り込まれる方向性に関しては他のブランドよりもはるかに研ぎ澄まされたものがあります。
このスーパーブランド・BMWによって研ぎ澄まされた「ファミリーカー」は、パッケージ効率世界一を誇る日本の「ファミリーカー」と比べて一体どうなのでしょうか? まあとりあえずまともに比較する必要はないでしょう。プレミアムブランドですから、価格面では日本車とは比較するものではないですし、好きな人が惚れ込んで買うクルマという意味ではBMWの他のモデルと同じです。とりあえずウィッシュ・ストリーム・プレマシーといったクラスのミニバンに十分納得しているユーザーを取込むのはまず無理でしょう。主なターゲットは国産ブランドを「下」に見ている40歳代あたりだと思われます。変なプライドがある為に、国産車を避けてまったくオススメできないほど狭っ苦しいVWのトゥーランのようなクルマに無理して乗っている層がターゲットなんだと思います。彼らはなぜトゥーランを選ぶのか?と言われたらウィッシュ・ストリーム・プレマシーは貧乏くさくて絶対イヤだとか言いそうです。VWの低排気量の直噴ターボはNOxの排出量が非常に高い(トヨタの同型の50倍)ので、子育てには絶対にNGなクルマだと思うのですが・・・。
そんなセレブ気どりな子育てユーザーがトゥーランから、BMW2シリーズアクティブツアラーにしたところで、BMWも悪名高い「直噴ターボ」ですから、NOxの排出に関してはまったくもって50歩100歩です。しかし、だからといって日本車のミニバンに徐々に増えて来たHVを安易に選ぶのも考えもので、これは全くの未確認情報ですが子供によってはHVの発する電磁波で気分が悪くなるというケースが、大人よりもかなり高い確率で起きるようです。結局はウィッシュ・ストリーム・プレマシーやソリオなどの小型ミニバンが使っているNAのガソリンエンジン車が子育てには一番良いということになりそうです。
まあ日本の価値観でBMWやVWのファミリーカーにケチを付けられてもメーカーもいい迷惑でしかないのですけど・・・。それにしてもドイツのBMWサイトを見ると、この「2シリーズAT」では見事に可愛らしい小さな子供がいるファミリーがモデルが幸せそうに描かれています。なんとも良い写真だなと思っていたら、どうしたことか日本向けのBMWサイトでは同じヴィジュアルは使われていません。その代わりにこのクルマは老人や女性のシングルライフのお供に!といったイメージを喚起するものが多く使われていて、全く子供は出てきません。BMWジャパンの経験によると日本の子育て世代は新車でBMWを買ったりなんて滅多にしないので、せいぜいセレブな老人や女性が使うことを想定したクルマといった位置づけになっているようです。ドイツのサイトで描かれているような幸せそうなファミリーでの風景を見せつければ、ちょっとドリーミーな共働きの子育てカップルにはそこそこ響く気がするのですが・・・日本人なんて結局は感激してその気になってしまえばすぐにお金を使いますし。
先日「2015年版・間違いだらけのクルマ選び」が発売されました。今ではすっかり主筆となった島下泰久さんがこの「2シリーズAT」にどのような評価を下すのかが、今回の最大の注目点でした。いやー完全にスイッチ入ってましたね・・・たとえBMWが相手だって容赦なくコレくらい言えちゃうもんね!というくらいに、BMWの確信犯に対して烈火の如く怒っています。そういえばこの方も40代でしたね。こういう風に「似非BMW」と受け止められてしまうとちょっと辛いですね。そんなに言うならばF30(3シリーズ)もF20(1シリーズ)も「似非BMWだ!」でいいんじゃないですか?どう好意的に見てもコロナかブルーバードのBMW版ですか?としか言いようがない・・・。しかもデザインは日本車よりも地味だし。
F30やF20に比べれば、2シリーズAT(F45というらしい・・・)の方が健全じゃないですか? F30やF20は「シャレBMW」ではなく「ガチBMW」として乗っている人が多いようです。失礼ですが、見かける度に320iの所帯染みた薄っぺらい乗り味を思い出して冷ややかな気分になっちゃうんですよね。ニュルニュルと加速するZF8速ATはCVT並みのフィーリングの気持ち悪さしか感じないですし、なんだか急激なペダル操作をしたらすぐに不具合で出てきそうなヘンな恐怖感がつきまといます。大層に8速も付いちゃってますけど、肝心のエンジンには「上のゾーン」がまるっきり欠如してますからね。これで500万円って・・・冗談とか抜きで「アホか?」。ちょっと余計なことを言ってしまいました。この2シリーズATで幸せなファミリーが増えるといいですね。
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2014年12月17日水曜日
2014年12月3日水曜日
マツダCX-3 「ヴェゼルを止めることはできるの?」
いよいよデザインが公開されたマツダの秘密兵器・CX-3ですが、写真で見る限りではどうもなんというか迫力不足な感が否めません。これまでの魂動デザインに比べて特に悪いといった点は無いのですが、日本市場で300万円近いクルマを売るならば、どんよりと漂う「無党派層」の背中を大きく押してあげるスペシャルな「何か」が欲しいです。最大のライバルは現在絶好調のホンダ・ヴェゼルですが、このクルマは実際に見積もると相当に高いです。乗り出し価格はHV車で300~350万円、非HV車でも250~300万円程度かかります。急速に街中に増えているので、個性を求めてエアロを組んでみると1.5Lガソリン車で300万円を超える見積もりが出されて、クルマ好きならば一瞬我に返って「1.5LのNAだよな・・・」となるはずです。そんなクルマが月10000台以上売れています。
もちろんヴェゼルが売れてるにはそれなりに理由があって、「安っぽく見られないオーラ」「メルセデスAクラス的な内装デザイン」「Aクラス的な広さ」「Aクラス的なアクセルフィール」「Aクラス的なハンドリング」とまあ・・・とにかく最近のドイツ車に様々な点が類似した「狙ったコンセプト」が予想外にウケているのだと思います。ただし走りに関しては・・・熟成不足というより、そもそも何かを目指そうという意図があまり感じられません。MTモードやパドルシフトがあるのに「スポーツモード」ボタンを付けるというドイツ的なアイディアは、実際のところそれほど「商品性」の向上には貢献しない気がします。それでもメーカー側は「トレンドなのでこれは押えておこう!」と無理矢理装備に加えているようです。
マツダとCX-3には直接関係ないですが「Sモード」についてさらに言うと、VW、BMW、スバルの各メーカーは自信を持って2〜3のモードそれぞれの「走り」を洗練させている印象ですが、日産(スカイライン)やミニはなんだか中途半端な印象を受けます。そしてホンダは・・・ヴェゼルHVの「Sモード」は無くて良かったのでは?と思えるほどに仕上がりが酷いです(失礼!)。MTモードで2速で引っ張っているのと同じなので、興ざめするようなエンジン音が容赦なく襲ってきます。偉そうに言ってしまうと、要はエンジン容量の問題であってCVTと組み合わせて熱効率で勝負する小型エンジンに、DCTを組み込んでエンジンの負荷を大きくすれば、この「不始末」は当然に起こる気がします。最初からドイツ車をベンチマークしたかのような「Sモード」ありきのコンセプトが大失敗なのだと思います。それでもくどいですが、ヴェゼルは月10000台以上売れてしまっています。
「都市型SUV」というフランス発の怪しげなトレンドは、いよいよ日本市場を大きく覆い始めつつあります。グローバルでも欧州・中国・北米問わずに展開できるクラスとあって、各メーカーもかなり本腰を入れて開発に取り組んでいるようです。ヴェゼルの成功を横目にCX3にも大きな飛躍が期待されていますが、同じコンパクトSUVでもホンダが考えるものとマツダが考えるものには、大きな距離があるように思います。ヴェゼルHVに乗って思わず感じてしまうものは、「マツダ的な走りの要素の完全否定」だったりします。全くリニア感のないアクセル・フィールとそれを誤魔化すかのようなAクラスと同じくらいにフニャフニャなアクセルが、どうやらこのクルマの本質を決めてしまっています。
逆に言うと、マツダ的にはあり得ないようなフニャフニャなアクセルでも月10000台以上が売れてしまうのが、日本市場の偽らざる現実のようです。別にホンダのクルマ作りや、メルセデスのクルマ作りが悪いというつもりはないですが、Aクラスもヴェゼルも発売のタイミングを上手く掴んで売れている感があります。他のメーカーに比べてクルマを仕上げてくるスピードが異様に早いというのは未確認ではありますが、やはりどちらも乗ってみて走りの面での熟成度が著しく低い気がします。ホンダに関しては駆動系のリコールが連続するなど、メーカー側からも「準備期間が足りなかった」といった言い訳が聞かれます。そんなクルマでも内外装だけしっかりアピール出来れば売れてしまいます。
実際にAクラスやヴェゼルを試しにいくと、同乗しているディーラーの人はやたらとネガティブです。BMWやスバルのクルマではあれこれと自慢の走行モードを楽しんでもらいつつ、「どうですか?」なんて自信満々に訊かれますが、Aクラスだと特にスポーツモードを強調されることもなく、ヴェゼルに至っては「Sモードは相当にエンジンがうるさいので使わない人が多いです」とか言われました。そんな無駄な機能が付いているクルマ欲しいですか?営業マンだったらとにかく付いてる機能は全部誉めておくべきでは?「Sモードはホンダにとっては特別なこだわりがあります、いち早くCR-Zに走行性能があがる電気チャージャーを付けたくらいですから!」なんて言っておくべきではないですかね・・・。
メルセデスA180(ノーマル底辺グレード)もヴェゼルHV(Z最上級グレード)もどちらも乗り出しで約350万円です。2.2Lディーゼルを積む「アクセラXD」が豪華な1グレードのみで乗り出し350万円ですから、マツダはおそらくその価格水準より安くCX3の「XD・Lパケ」(ディーゼルの豪華グレード)を設定してくるでしょう。デミオXDに乗った感触だと、もう一回り車体が大きくなって車重がいくらか増えても、1.5Lディーゼルエンジンに余力は十分なので、むしろデミオXDよりも出力とボディのバランスはとれるように思います。ただしアクセラの2.2Lディーゼルの方がガソリンエンジン的なフィーリングに優れていて、過給がかからない低回転時もストレスなく動きますし、さらに踏み込むとガソリンのように噴け上がり始め、「そんなに要らないよ!」と言いたくなるほどの加速感が得られます。
その一方で1.5Lディーゼルは、ディーゼルであることをもっと強く感じるエンジンで、噴け上がり感もマツダにしてはかなり悪いです。それでもAクラスのガソリンターボやヴェゼルHVの1.5L&Mによる加速に対抗するには十分以上の出来です。BMWやプジョーといった欧州の「走りのブランド」によるクルマに搭載されてもまったく違和感がないエンジンという意味では、マツダの1.5Lディーゼルがこの3つのユニットの中ではもっとも優れています。デミオのレビューでも散見されるのが、1.3Lガソリンの方が完成度が高いといった意見です。マツダはディーゼルを押していますが、やはり感覚を研ぎ澄ませばガソリンエンジンに劣る点も出てきます。そしてAクラスやヴェゼルと比較する層にディーゼルが必ずしも魅力的に映るとは限りません。CX3にはアクセラ用の1.5Lガソリンが使われるようですが、マツダの「ガソリンNAエンジンの気持ち良さ」だけでHVを備えるヴェゼルの牙城が切り崩せるともなかなか思えません。さてマツダとしてはCX3発売に合わせてどういった付加価値を付けてくるのか?注目です。
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もちろんヴェゼルが売れてるにはそれなりに理由があって、「安っぽく見られないオーラ」「メルセデスAクラス的な内装デザイン」「Aクラス的な広さ」「Aクラス的なアクセルフィール」「Aクラス的なハンドリング」とまあ・・・とにかく最近のドイツ車に様々な点が類似した「狙ったコンセプト」が予想外にウケているのだと思います。ただし走りに関しては・・・熟成不足というより、そもそも何かを目指そうという意図があまり感じられません。MTモードやパドルシフトがあるのに「スポーツモード」ボタンを付けるというドイツ的なアイディアは、実際のところそれほど「商品性」の向上には貢献しない気がします。それでもメーカー側は「トレンドなのでこれは押えておこう!」と無理矢理装備に加えているようです。
マツダとCX-3には直接関係ないですが「Sモード」についてさらに言うと、VW、BMW、スバルの各メーカーは自信を持って2〜3のモードそれぞれの「走り」を洗練させている印象ですが、日産(スカイライン)やミニはなんだか中途半端な印象を受けます。そしてホンダは・・・ヴェゼルHVの「Sモード」は無くて良かったのでは?と思えるほどに仕上がりが酷いです(失礼!)。MTモードで2速で引っ張っているのと同じなので、興ざめするようなエンジン音が容赦なく襲ってきます。偉そうに言ってしまうと、要はエンジン容量の問題であってCVTと組み合わせて熱効率で勝負する小型エンジンに、DCTを組み込んでエンジンの負荷を大きくすれば、この「不始末」は当然に起こる気がします。最初からドイツ車をベンチマークしたかのような「Sモード」ありきのコンセプトが大失敗なのだと思います。それでもくどいですが、ヴェゼルは月10000台以上売れてしまっています。
「都市型SUV」というフランス発の怪しげなトレンドは、いよいよ日本市場を大きく覆い始めつつあります。グローバルでも欧州・中国・北米問わずに展開できるクラスとあって、各メーカーもかなり本腰を入れて開発に取り組んでいるようです。ヴェゼルの成功を横目にCX3にも大きな飛躍が期待されていますが、同じコンパクトSUVでもホンダが考えるものとマツダが考えるものには、大きな距離があるように思います。ヴェゼルHVに乗って思わず感じてしまうものは、「マツダ的な走りの要素の完全否定」だったりします。全くリニア感のないアクセル・フィールとそれを誤魔化すかのようなAクラスと同じくらいにフニャフニャなアクセルが、どうやらこのクルマの本質を決めてしまっています。
逆に言うと、マツダ的にはあり得ないようなフニャフニャなアクセルでも月10000台以上が売れてしまうのが、日本市場の偽らざる現実のようです。別にホンダのクルマ作りや、メルセデスのクルマ作りが悪いというつもりはないですが、Aクラスもヴェゼルも発売のタイミングを上手く掴んで売れている感があります。他のメーカーに比べてクルマを仕上げてくるスピードが異様に早いというのは未確認ではありますが、やはりどちらも乗ってみて走りの面での熟成度が著しく低い気がします。ホンダに関しては駆動系のリコールが連続するなど、メーカー側からも「準備期間が足りなかった」といった言い訳が聞かれます。そんなクルマでも内外装だけしっかりアピール出来れば売れてしまいます。
実際にAクラスやヴェゼルを試しにいくと、同乗しているディーラーの人はやたらとネガティブです。BMWやスバルのクルマではあれこれと自慢の走行モードを楽しんでもらいつつ、「どうですか?」なんて自信満々に訊かれますが、Aクラスだと特にスポーツモードを強調されることもなく、ヴェゼルに至っては「Sモードは相当にエンジンがうるさいので使わない人が多いです」とか言われました。そんな無駄な機能が付いているクルマ欲しいですか?営業マンだったらとにかく付いてる機能は全部誉めておくべきでは?「Sモードはホンダにとっては特別なこだわりがあります、いち早くCR-Zに走行性能があがる電気チャージャーを付けたくらいですから!」なんて言っておくべきではないですかね・・・。
メルセデスA180(ノーマル底辺グレード)もヴェゼルHV(Z最上級グレード)もどちらも乗り出しで約350万円です。2.2Lディーゼルを積む「アクセラXD」が豪華な1グレードのみで乗り出し350万円ですから、マツダはおそらくその価格水準より安くCX3の「XD・Lパケ」(ディーゼルの豪華グレード)を設定してくるでしょう。デミオXDに乗った感触だと、もう一回り車体が大きくなって車重がいくらか増えても、1.5Lディーゼルエンジンに余力は十分なので、むしろデミオXDよりも出力とボディのバランスはとれるように思います。ただしアクセラの2.2Lディーゼルの方がガソリンエンジン的なフィーリングに優れていて、過給がかからない低回転時もストレスなく動きますし、さらに踏み込むとガソリンのように噴け上がり始め、「そんなに要らないよ!」と言いたくなるほどの加速感が得られます。
その一方で1.5Lディーゼルは、ディーゼルであることをもっと強く感じるエンジンで、噴け上がり感もマツダにしてはかなり悪いです。それでもAクラスのガソリンターボやヴェゼルHVの1.5L&Mによる加速に対抗するには十分以上の出来です。BMWやプジョーといった欧州の「走りのブランド」によるクルマに搭載されてもまったく違和感がないエンジンという意味では、マツダの1.5Lディーゼルがこの3つのユニットの中ではもっとも優れています。デミオのレビューでも散見されるのが、1.3Lガソリンの方が完成度が高いといった意見です。マツダはディーゼルを押していますが、やはり感覚を研ぎ澄ませばガソリンエンジンに劣る点も出てきます。そしてAクラスやヴェゼルと比較する層にディーゼルが必ずしも魅力的に映るとは限りません。CX3にはアクセラ用の1.5Lガソリンが使われるようですが、マツダの「ガソリンNAエンジンの気持ち良さ」だけでHVを備えるヴェゼルの牙城が切り崩せるともなかなか思えません。さてマツダとしてはCX3発売に合わせてどういった付加価値を付けてくるのか?注目です。
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2014年11月14日金曜日
ミニ・クーパーS 「残念ですが・・・ただの足し算でしかないです」
毎度毎度上から目線で恐縮です。BセグのボディにBMW320iの2Lターボを横置きしたら、どんなに楽しいクルマが出来る? クルマ好きならば無条件で支持してしまうほど、ワクワクするコンセプトなのは確かです。しかし冷静に考えてみると、スズキがスイフトにキザシ用の2.4L直4を積んだらどうなるか?と同じことだったりします。スズキに置き換えるとなんだか気乗りがしない・・・なんてことはないですけども、とりあえずスズキには別のことを期待したい次第です。ほんの数年前まで4mそこそこのハッチバックに3.5LのV6エンジンを搭載するという過激なコンセプトのクルマがトヨタから発売されていました。その頃は完全に無視していたくせに、今になってレクサスCTに2.5LのHVを積め!とか言ってる評論家もいたりして・・・人の事は言えませんが無責任極まるクルマ好きが多すぎですね。
軽さが身上のトヨタやスズキがこんな企画をやるならば、「大丈夫か?」という老婆心が先走ってしまいますが、車重バランスこそを「社是」とするBMWが作るならば、やや過剰気味に期待してしまいます。BMW傘下になって3代目になるミニですが、これまでの1.6Lを使った設計から全面的に見直しを図りました。世界的にも成功例が少ない1.6Lの直4エンジンを遂に放棄し、別に日本の税制に配慮したわけではないでしょうが、1.5L(直3)と2L(直4)の二本立て組み替えてきました。ちなみにベースモデルの「ワン」には1.2L(直3)が使われています。そこで遂に実現したのが、4mに満たないミニの極小ボディにBMW320iの2Lターボを横置きにしたモデルです。BMW本体でも聖域無きダウンサイジングの嵐が吹き荒れるなかで「クーパーS」に関しては、1.6Lターボから2Lターボへ排気量が格上げされました。おーこれは乗るしかない!と思い立ちミニディーラーにお邪魔してきました。
これまでもミニの個性的なデザインや、なかなかツボを押えた内装などには興味はあったのですが、例の1.6Lターボエンジンに対しての評価(燃費悪い・ウルサイ・パワー不足)が極めて低かったので、失礼ですが全く眼中には全くないクルマでした。そんな失礼極まる口上は決して営業マンにぶつけたりはしないですが、とりあえず「2Lが出たので来ました!」くらいはアピールしておきました。ミニの営業マンからしてみたら、そんなことはまだまだ言われ慣れてない様子で、「はあ・・・そうですか」といまいち要領を得ていない受け答えでした。「他に検討されているクルマはありますか?」と訊かれたので、「ゴルフGTIです!」と間髪入れずに返答すると、どういう切り口でクーパーSの優越性を語るか楽しみでしたが、デザインについて「ミニはオシャレで、ゴルフは汎用」といった当たり前の説明が・・・。まだまだ販売の現場は「ミニ&2Lターボ」が巻き起こしつつある反響に追いつけていないようです。
マツダがデミオで目一杯勝負していることからも分りますが、BMWにとってもミニでしっかりと競争力を確保するのはグループ全体にとっての至上命題のはずです。巨大なVWグループの尖兵となっているアウディからは、VWポロ・ベースのアウディA1を戦略モデルと位置づけて、いよいよラインアップの大幅な増強が待ったなしで行われる見通しです。BMWはドイツ本国でアウディにあっさりと追い抜かれるという屈辱を味わっていて、VWグループに対しての警戒心はどのメーカーよりも高いはずです。アウディがすすめる「コンパクトカー&ラグジュアリー」戦略に対し、BMWとしては全力で妨害しようとしている意気込みを、今回のミニのFMCからひしひしと感じられます。
インパネの真ん中に大径のアナログ速度計を配した、先代までの独特のインテリアを支持するファンも多いようですが、クーパーSではその部分にナビが標準装備で収まっています。BMWと同じく、コンソールに据え付けられたクオリティの高い入力装置を使うタイプのナビが使われています。このナビシステムはBMWが常々誇っている優良な機能美のイメージを最も見事に体現していて、メルセデスやレクサスのものよりもかなり使い易くできています。余談ですが"マツコネ"と同次元の幼稚さを誇るアウディの純正ナビなど全く相手になりません。スマホの方が使えるとか言われるほどに、情けない純正ナビが高級ブランドにも溢れているようですが、クーパーS標準ナビはコンパクトカーに装備されるものとしては最強だと思われます。内装に関しては先代よりも空間をトータルでデザインしていて、ドアトリムやインパネのカーボン調パネルなど存在感あるパーツが各所に散りばめられて、メルセデスAクラスにも負けないくらいの「コンパクトカー&ラグジュアリー」が貫かれています。
さらにホイールベースの拡大も大きな変更点となっていて、これは最近に追加された5ドアモデルを想定したものと思われがちですが、どうやらFFなのにフロントオーバーハングがほとんどないスタイルにすることで、運転席・助手席の足元スペースが広くとることに腐心したようです。高速道路でも静かな「2Lターボ」、そして使い易い「ナビ」、くつろげる「前席のスペース」と様々な要素が揃ってきました。これはいよいよ街乗りコンパクトカーながらも、長距離ツアラーとしての実力も併せ持つこれまでに無い「スーパーコンパクトカー」の創造をBMWは意図していると思いますが・・・いざ走ってみると残念ながら、あっさりと期待を裏切ってしまう「粗」が見えてしまいました。
さてクーパーS試乗ですが、私と連れと営業マンの3人が乗ってもターボ不要なほどに余裕のある2Lエンジンは、エコ走行を強要する「グリーンモード」でも発進加速にストレスが無いほどです。どこまで回してもヘタることなく、同じエンジンの3シリーズよりも200kgも軽い1270kgに加えて、FFらしい食い付くトラクションもダイレクト感があってとても良いです。なるほど!ここまでFFで仕上がったならば「2シリーズ・アクティブツアラー」もかなり期待できそうです。しかし・・・ふと我に返ります。こんな平穏無事なドライブフィールを求めてわざわざミニ・ディーラーにやってきたのではなく、BMWのノウハウを全て注ぎ込んだスポーティな乗り味こそがこの「クーパーS」の本当の価値ではないか・・・。全開のアクセルでも笑顔でステアリングを操作できるような"地を這う"走りができるはず。
ということで信号を一つ超えた所ですぐに「スポーツモード」に切り替えて、見通しの良い直線でアクセルオン!・・・繰り返しますが直線区間です。当然にハッキリと向上したアクセルフィールが機敏に反応して、小振りな車体がピリっと動きます。ところが加速が始まって2~3秒程度で早くも足元から、キュルキュルとホイールスピンの音が・・・。いくらBMWでも物理的限界は超えられないことはよくわかっていますが、こちらも予想外なほどに無策だったのには驚きです。ステアリングを切った状態からの発進時ならまだしも、直線でスピードにのったタイミングで発生するなんて、改造車もどきのヴィッツ・ターボみたいです。高速道路での使用を推奨するようなコンセプトのクルマがこんな作りでいいのか?というBMWグループの姿勢に疑問が残りました。そういえば日本に導入された2シリーズアクティブツアラーは2Lモデルは全てAWDになってましたね。BMW本体では絶対に起こってはいけないことなのだと思います。
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軽さが身上のトヨタやスズキがこんな企画をやるならば、「大丈夫か?」という老婆心が先走ってしまいますが、車重バランスこそを「社是」とするBMWが作るならば、やや過剰気味に期待してしまいます。BMW傘下になって3代目になるミニですが、これまでの1.6Lを使った設計から全面的に見直しを図りました。世界的にも成功例が少ない1.6Lの直4エンジンを遂に放棄し、別に日本の税制に配慮したわけではないでしょうが、1.5L(直3)と2L(直4)の二本立て組み替えてきました。ちなみにベースモデルの「ワン」には1.2L(直3)が使われています。そこで遂に実現したのが、4mに満たないミニの極小ボディにBMW320iの2Lターボを横置きにしたモデルです。BMW本体でも聖域無きダウンサイジングの嵐が吹き荒れるなかで「クーパーS」に関しては、1.6Lターボから2Lターボへ排気量が格上げされました。おーこれは乗るしかない!と思い立ちミニディーラーにお邪魔してきました。
これまでもミニの個性的なデザインや、なかなかツボを押えた内装などには興味はあったのですが、例の1.6Lターボエンジンに対しての評価(燃費悪い・ウルサイ・パワー不足)が極めて低かったので、失礼ですが全く眼中には全くないクルマでした。そんな失礼極まる口上は決して営業マンにぶつけたりはしないですが、とりあえず「2Lが出たので来ました!」くらいはアピールしておきました。ミニの営業マンからしてみたら、そんなことはまだまだ言われ慣れてない様子で、「はあ・・・そうですか」といまいち要領を得ていない受け答えでした。「他に検討されているクルマはありますか?」と訊かれたので、「ゴルフGTIです!」と間髪入れずに返答すると、どういう切り口でクーパーSの優越性を語るか楽しみでしたが、デザインについて「ミニはオシャレで、ゴルフは汎用」といった当たり前の説明が・・・。まだまだ販売の現場は「ミニ&2Lターボ」が巻き起こしつつある反響に追いつけていないようです。
マツダがデミオで目一杯勝負していることからも分りますが、BMWにとってもミニでしっかりと競争力を確保するのはグループ全体にとっての至上命題のはずです。巨大なVWグループの尖兵となっているアウディからは、VWポロ・ベースのアウディA1を戦略モデルと位置づけて、いよいよラインアップの大幅な増強が待ったなしで行われる見通しです。BMWはドイツ本国でアウディにあっさりと追い抜かれるという屈辱を味わっていて、VWグループに対しての警戒心はどのメーカーよりも高いはずです。アウディがすすめる「コンパクトカー&ラグジュアリー」戦略に対し、BMWとしては全力で妨害しようとしている意気込みを、今回のミニのFMCからひしひしと感じられます。
インパネの真ん中に大径のアナログ速度計を配した、先代までの独特のインテリアを支持するファンも多いようですが、クーパーSではその部分にナビが標準装備で収まっています。BMWと同じく、コンソールに据え付けられたクオリティの高い入力装置を使うタイプのナビが使われています。このナビシステムはBMWが常々誇っている優良な機能美のイメージを最も見事に体現していて、メルセデスやレクサスのものよりもかなり使い易くできています。余談ですが"マツコネ"と同次元の幼稚さを誇るアウディの純正ナビなど全く相手になりません。スマホの方が使えるとか言われるほどに、情けない純正ナビが高級ブランドにも溢れているようですが、クーパーS標準ナビはコンパクトカーに装備されるものとしては最強だと思われます。内装に関しては先代よりも空間をトータルでデザインしていて、ドアトリムやインパネのカーボン調パネルなど存在感あるパーツが各所に散りばめられて、メルセデスAクラスにも負けないくらいの「コンパクトカー&ラグジュアリー」が貫かれています。
さらにホイールベースの拡大も大きな変更点となっていて、これは最近に追加された5ドアモデルを想定したものと思われがちですが、どうやらFFなのにフロントオーバーハングがほとんどないスタイルにすることで、運転席・助手席の足元スペースが広くとることに腐心したようです。高速道路でも静かな「2Lターボ」、そして使い易い「ナビ」、くつろげる「前席のスペース」と様々な要素が揃ってきました。これはいよいよ街乗りコンパクトカーながらも、長距離ツアラーとしての実力も併せ持つこれまでに無い「スーパーコンパクトカー」の創造をBMWは意図していると思いますが・・・いざ走ってみると残念ながら、あっさりと期待を裏切ってしまう「粗」が見えてしまいました。
さてクーパーS試乗ですが、私と連れと営業マンの3人が乗ってもターボ不要なほどに余裕のある2Lエンジンは、エコ走行を強要する「グリーンモード」でも発進加速にストレスが無いほどです。どこまで回してもヘタることなく、同じエンジンの3シリーズよりも200kgも軽い1270kgに加えて、FFらしい食い付くトラクションもダイレクト感があってとても良いです。なるほど!ここまでFFで仕上がったならば「2シリーズ・アクティブツアラー」もかなり期待できそうです。しかし・・・ふと我に返ります。こんな平穏無事なドライブフィールを求めてわざわざミニ・ディーラーにやってきたのではなく、BMWのノウハウを全て注ぎ込んだスポーティな乗り味こそがこの「クーパーS」の本当の価値ではないか・・・。全開のアクセルでも笑顔でステアリングを操作できるような"地を這う"走りができるはず。
ということで信号を一つ超えた所ですぐに「スポーツモード」に切り替えて、見通しの良い直線でアクセルオン!・・・繰り返しますが直線区間です。当然にハッキリと向上したアクセルフィールが機敏に反応して、小振りな車体がピリっと動きます。ところが加速が始まって2~3秒程度で早くも足元から、キュルキュルとホイールスピンの音が・・・。いくらBMWでも物理的限界は超えられないことはよくわかっていますが、こちらも予想外なほどに無策だったのには驚きです。ステアリングを切った状態からの発進時ならまだしも、直線でスピードにのったタイミングで発生するなんて、改造車もどきのヴィッツ・ターボみたいです。高速道路での使用を推奨するようなコンセプトのクルマがこんな作りでいいのか?というBMWグループの姿勢に疑問が残りました。そういえば日本に導入された2シリーズアクティブツアラーは2Lモデルは全てAWDになってましたね。BMW本体では絶対に起こってはいけないことなのだと思います。
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2014年11月10日月曜日
メルセデスCクラス 「カッコいいというより、マトモだなこれは・・・」
メルセデスぐらいの一流ブランドのデザインに、あれこれと文句をいうのは正直言って気が引けます。「オマエのような貧乏人を相手に作ってないから!」と言われてしまえば身も蓋もないですから・・・。実際にメルセデスのショールームに行ってみて、Aクラスを間近で見れば意外にカッコ良かったりします、私もいよいよターゲットの世代になってしまったのか?それともメルセデスが意図的にターゲット層を拡大しているのか? しかしいくらデザインがカッコ良くても、貧乏人にも手が届くメルセデスは、いざ走らせてみると絶対と言っていいほどに残念な気分にさせてくれます。なんなんだこのブランドは・・・やはり1000万円以上のクルマじゃないと乗り味は最悪という伝統は全く変わってないようです。
最廉価車種のAクラスにも「A250」という、211psを誇るなかなかワクワクするモデルがあります。あの日産も認めてスカイラインにも搭載された2Lターボが積まれていて、スペック上からもなかなかの「ホットハッチ」ぶりを見せつけてくれます。試乗前はメルセデス版の「ゴルフGTI」的なグレードとしてかなり期待したのですが、走りに関してはまだまだ熟成不足な点が多いようです・・・エンジンとブレーキ以外はGTIに完敗です。いくら比べる相手が悪いとはいえ、これで乗り出し560万円!!!(ひと声で500万円になりましたが・・・)完全にイカれた世界を走るクルマにしか思えません。確かに内装は勝ってますし、シートポジションの自在性などはとても良いと思いましたが、まずあの意味不明に「ふにゃふにゃ」なアクセルはなんとかして欲しいです。他の部分もハッキリ分るぐらいに負けてます。DCTの仕上がりはGTIのそれとは比べ物にならないほどヒドいですし、EPSの熟成も日本車の水準から比べればハッキリ言って"クソ"・・・。
しかしですよ・・・乗ってみてそこまでイヤな気持ちにはならなかったのもまた事実なんです。基本的にメルセデスの内装の考え方が某最大手の日本メーカーに似ていて、いい意味で感心する点が非常に多いです。VW(ゴルフGTI)は走らせてみれば、スバル(WRX S4)よりも断然に洗練されている乗り味なんですが、居住性に関してはスバルにすら大きく遅れをとっています。海外勢で一番良いとされるVWですが、どうも居住性という部分では競争力を失っているように感じます。アメリカで大不振な理由はこの辺にあるのでは? カーメディアが絶対に悪いと言わないVWですらこのザマですから、他の欧州車の実力なんて推して知るべしなわけで、多くの輸入車ユーザーはこの時代遅れの内装に理解を示した上で、我慢して使っているというのはなかなか滑稽です。1000万円を軽く超える超高額車はこの限りではないでしょうけど・・・。
しかしメルセデスは敢えてプライドを捨てて、日本メーカー基準の内装をいち早く取り入れたようで、同時に低価格化を進めることによって、控えめで良識的な日本人ユーザーの心を掴んでいるようです。日本でのブランド別販売台数で先行するVWを一気に抜き去って突き放しました。ドライバーの体型にもよるでしょうが、一般的な男性の基準で考えたときに、ゴルフGTIとメルセデスA250ではコクピットのスペース作りに格段の違いがあります。トヨタの5ナンバー(プレミオやカローラ)よりも狭く圧迫感を感じるGTIと、Cセグの中ではレクサスCTと並んでおそらくもっともスペースが取られているA250です。結論を言うと、GTIの「走り」とA250の「内装」が組み合わされるならば、それほどに「A250」の走りが熟成されたならば、乗り出しで500万円払う価値は十分にあると思います。
500万円というと確かにスカイラインHVが買える価格です。まあクラスが違うクルマなので一概には比較できませんが、現在のところ走りの洗練度だけを比較するならば、スカイラインよりもゴルフGTIにいくらか分があります。スカイラインのハンドリングは4800mmで1800kgあるクルマにしては驚異的な水準の旋回能力を秘めていますが、それでも4200mmで1300kgのクルマよりも刺激的なハンドリングを作り上げる事は至難の技です。そしてスカイラインの内装は一見豪華ではありますが、旧来のパワーシートのシステムや足踏み式サイドブレーキもなんだか古臭くてちょっぴり萎えるのも事実です。これにくらべてA250に標準装備(A180にはオプション装備)のパワーシートのシステムは画期的です。同じものが新型Cクラスにも使われていますが、これが非常に直感的で使い易いので今後は高級ブランドの間で急速に普及するでしょう。どうやらメルセデスがまたまた新しいトレンドを起こすのは確実なようです。
さてA250から車格を上げたC250も発売されました。メルセデスの小型・中型でそれなりに納得できるクルマは、現状ではA250とC250の2台だけだと思います。スカイラインターボに使われているエンジンとは多少仕様が違うようですが、基本的な出力は同じものです。単純に車重で比較するとスカイライン>C250>A250の順なので、最も動きが良いのはA250です。それでも乗ってみるとなんだかあまり印象は良くないので、絶対的な運動性能はC250もスカイライン200GT-tもそれほど期待できないはずです。やはり本来はマルチシリンダー・エンジンをフィールドにするメルセデスですから、まだ展開から日が浅い4気筒エンジンに過度な期待はできません。せいぜいレクサスや日産の高級車で最廉価グレードのエンジンを務められる最低限度のものでしかないです。
さてこのエンジンが最上級グレードに使われている新型Cクラスですが、C250はマトモに買うと700万円以上・・・スカイライン350GTやレクサスIS350といった日本車を代表するGTサルーンが買えてしまう金額になります。いよいよ直4(ターボ)でここまでボッタくるクルマが出て来てしまいました・・・これはちょっとイヤな流れだなと思います。今後登場する日本車にも大きな影響を与えそうです。同じエンジンを積むスカイライン200GT-tもMCの度に価格が上がるでしょうし、直4ターボの廉価モデルを増やしているレクサスも強気な価格を提示してくるでしょう。ホンダ・マツダ・スバルも上級モデルはさらに価格が上昇しそうです。
さてCクラスですが、ドイツメーカーのセオリーに反して、いろいろな点を弄ってきました。デザイン・走り・内装・パッケージとそれぞれにコストが配分される中で、全てのパラメーター値を変えて他ブランドのクルマとの比較をしにくくさせています。このクラスで日本で売れているのがBMW3シリーズです。去年発売されたレクサスISは大幅刷新で3シリーズを超える走りを作り込んできました。日本車がドイツ車の得意分野で勝負して見事に勝利したわけですが・・・多くのクルマファンはその現実をまだ直視できないようです。日本車に得意分野でやられたドイツ車の雄メルセデスは、この新柄Cクラスにおいて、逆に日本のお家芸といえる内装の質感の高さで反撃してきました。まあ走りもデザインもユーザーの主観が伴うので何とも言えませんが、レクサスもメルセデスも天晴れじゃないかと思います。
相対的にクルマを性能面で判断してばかりだと、時にバランスを損なったハイパフォーマンス車が過剰に評価されるという悪循環に陥ります。正直言ってレクサスIS350は、BMW328iを封殺するパフォーマンスを誇りますが、燃費やヘビーな車重からくるタイヤやブレーキの負担を考えると、誰にでもオススメできるクルマではありません。ド派手なエクステリアに、余裕たっぷりの出力を誇るナンバー1なスポーツセダンである「IS350」は文句なしにカッコいいです。いわゆる「自慢のクルマ」というヤツです。
その一方で「C250」は・・・マトモです。デザインもそつないですし、内装も破綻のないさりげなさに惹かれます。走りに関しては211psもあれば十分だと「納得」する慎ましい謙虚なセダンです。30歳前半くらいまでの若者か、65歳を超えた高齢者、あるいは女性が乗れば違和感がないクルマだと思うのですが、700万円という日本価格がそんなリアリティすらをぶち壊してしまっている気がします。やはり直4搭載車はせいぜい450万円くらいに収まるべきじゃないか?という気がします。マ◯ダア◯ンザなども今度のMCでAWDが追加されてLパケは本体390万円という噂ですから、いよいよ450万円を突破してしまうようです。はやくもメルセデスの悪影響が・・・。
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さてCクラスですが、ドイツメーカーのセオリーに反して、いろいろな点を弄ってきました。デザイン・走り・内装・パッケージとそれぞれにコストが配分される中で、全てのパラメーター値を変えて他ブランドのクルマとの比較をしにくくさせています。このクラスで日本で売れているのがBMW3シリーズです。去年発売されたレクサスISは大幅刷新で3シリーズを超える走りを作り込んできました。日本車がドイツ車の得意分野で勝負して見事に勝利したわけですが・・・多くのクルマファンはその現実をまだ直視できないようです。日本車に得意分野でやられたドイツ車の雄メルセデスは、この新柄Cクラスにおいて、逆に日本のお家芸といえる内装の質感の高さで反撃してきました。まあ走りもデザインもユーザーの主観が伴うので何とも言えませんが、レクサスもメルセデスも天晴れじゃないかと思います。
相対的にクルマを性能面で判断してばかりだと、時にバランスを損なったハイパフォーマンス車が過剰に評価されるという悪循環に陥ります。正直言ってレクサスIS350は、BMW328iを封殺するパフォーマンスを誇りますが、燃費やヘビーな車重からくるタイヤやブレーキの負担を考えると、誰にでもオススメできるクルマではありません。ド派手なエクステリアに、余裕たっぷりの出力を誇るナンバー1なスポーツセダンである「IS350」は文句なしにカッコいいです。いわゆる「自慢のクルマ」というヤツです。
その一方で「C250」は・・・マトモです。デザインもそつないですし、内装も破綻のないさりげなさに惹かれます。走りに関しては211psもあれば十分だと「納得」する慎ましい謙虚なセダンです。30歳前半くらいまでの若者か、65歳を超えた高齢者、あるいは女性が乗れば違和感がないクルマだと思うのですが、700万円という日本価格がそんなリアリティすらをぶち壊してしまっている気がします。やはり直4搭載車はせいぜい450万円くらいに収まるべきじゃないか?という気がします。マ◯ダア◯ンザなども今度のMCでAWDが追加されてLパケは本体390万円という噂ですから、いよいよ450万円を突破してしまうようです。はやくもメルセデスの悪影響が・・・。
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2014年10月28日火曜日
アウディTT 「3代目が担う"近未来"とは?」
1997年にプリウスが登場してから17年が経過しました。トヨタは先日HVの累計販売が700万台を突破したと発表がありましたが、プリウスも最初の3年間は不人気で累計で5万台程度しか売れなかったみたいです。それが10年経ってアクア(2011年)が登場する前夜には1ヶ月で5万台(国内のみ)に到達するか?というくらいまで伸びたわけですから、トヨタの辛抱が見事に実を結び、狙い通りに業界トップへとのし上がる原動力になりました。
現在ではGMと並んでトヨタのライバルとして頭角を表してきたVWグループも、プリウスが登場した同じころに、アウディTTというセンセーショナルなデザインのクルマを発売しました。こちらはその斬新なデザインが瞬く間に世界に伝播し、プリウスとはまったく違った成長曲線を描きながらも、成功が非常に難しいとされていた小型FFの高級モデルとして業界の常識を覆す異例の成功を収めました。
プリウスは発売当初、トヨタが意図的に設定した"近未来"的なデザインがやや不評で、ハイブリッドには期待しているユーザー側としてもデザインにはかなりの戸惑いを感じていたようです。そんな日本人が持つコンサバな自動車デザインへの潜在意識を、画期的なデザインであっさりと変えてしまったのが初代アウディTTだったと思います。このクルマを見ると思い出すのが、絶頂期のスピルバーグが監督した「A.I.」という大コケした作品です。この重苦しく悲観的な映画には「未来のクルマ」が登場しますが、そのあまりにも無機質で寒々しく描かれたデザインを見て、今後のクルマはこうなっていくのか・・・と失望したことがありました。
街中に増殖するプリウスを見て、どこか「A.I.」が描くような悲惨な未来が近づいていることに暗澹たる想いもしました。そんな私の中のネガティブなクルマの近未来デザインへのイメージを一変させてくれたのがアウディTTです。このクルマは間接的ではありますが、受け入れられ易い未来志向のデザインという意味で、結果的にプリウスのデザインをより多くの人々に受け入れさせるアシスト役を果たしたと思います。
さてほぼ同時期に登場した「プリウス」と「TT」ですが、プリウスは早くも来年にも4代目が登場します。一方で約8年という長いモデルサイクルを採用しているTTはいよいよ3代目が発表されました。今となってはTTのデザインは街の風景によく馴染んでいて、これを"近未来"と表現することにはやや違和感があるくらいです。もはや現代を代表する「王道スペシャルティカー」と言っても過言ではないほどで、むしろ「デザインの古典」という立ち位置にすらなってます。
今回登場する3代目ではまた新たにどんな世界観を見せてくれるか楽しみでしたが、なんと2代目のデザインがほぼそのまま継承されています。パワユニットもほぼそのままのようで、全グレードに信頼性の高い6速DSG(湿式)が使われるようです。先代と全く同じで、「1.8TSI」「2.0TSI」「TT-S」「TT-RS」の4グレードが置かれ、「1.8TSI」は北米向けゴルフのユニット、「2.0TSI」がゴルフGTIのユニット、「TT-S」がゴルフRのユニット、「TT-RS」がTT専用の2.5L直5ターボのユニットがそのまま使われることになりそうです。
TTのベース車となるゴルフはフロントガラスが直立したタイプの古典的なHBデザインなので、高速道路での巡航には風切り音が少なからず発生します。これは長距離ユーザーにとっては由々しき問題で、クルマ選択の際にも少なからずポイントになります。一方でcd値の低減を目指したTTのエアロボディは、ゴルフクラスのクルマをさらに高速道路で快適に走らせる能力があり、TTに使われているユニットは、その空力性能を生かす為に、VW車のベースグレードよりも排気量が大きめのエンジンが選択されています。TTの当初の位置づけはゴルフをより快適にハイウェイで走らせるというコンセプト上にあったと思います。しかし初代発売直後に揚力を抑える機構に欠陥があり、横転の危険からのリコール騒動があったため、ハイウェイ専用車というイメージは今でもあまり定着していません・・・。
それでも同じようなコンセプトのメルセデスCLAやプジョーRC-Zが、1.6Lターボをブヒブヒさせて走るのに対して、全グレードで車重に比べて排気量と出力にかなり余裕を持たせているTTは、クルマのコンセプトとその完成度において完全に頭一つ抜けた存在と言えます。TT・CLA・RC-Zの3台ともにスポーティをテーマにしてはいますが、リアルスポーツではないので、その点を勘違いさえしなければ、どれも見所があるスペシャルティカーではあります。いずれも大きく居住性を犠牲にしているので、CセグHBにスポーツカーの車体を被せたという、なんとも捉えどころの無いクルマになっていますが・・・。
現在の日本メーカーがおそらく頑として作らないタイプのクルマが、この3台だと思われます。ダイハツ・コペンやホンダCR-Zのような例外はありますが、いわゆる「ご近所に買い物に行くクルマ」をわざわざ高級に作るという発想は、極めて知性の高いクルマ作りに自惚れる日本メーカーのエリートはなかなか馴染まないと思います。TT、CLA、RC-Zといったタイプのクルマは、日本メーカーに言わせれば「下品」です。クルマとしての本質(走り・居住性)をことごとく放棄してまで、デザイナー達に好きに遊ばせるという企画は、エンジニアにとっては自らの影響力を下げる行為でしかありません。いままで世界最高のパッケージを作り続けてきたトヨタの車内レイアウト担当からしてみたら由々しき事態と言えます。
もちろん作る側もこの手のクルマが長く人々の心を捕えることはないし、デザインに飽きてしまったら、ただの利用価値の低い「駄作」でしかないということもよく分っています。コペンやCR-Zは維持費の安さを考えれば、まず「駄作」の汚名は逃れられるとは思いますが・・・。「維持費が高い」「狭い」「楽しくない」の3拍子揃った・・・はさすがに言い過ぎかもしれませんが、TT、CLA、RC-Zの3台の「CセグHBベースのスポーティもどき」を購入する際には、日産フェアレディZくらいに使う状況をよく考える必要があります。ちなみにフェアレディZはピックアップトラック並みに北米向けに振ったモデルなので、日本の初心者ユーザーが買ったあとに最も後悔するクルマの1つです(もちろん大満足の人もたくさんおられますが)。
さてアウディTTですが、VWがこのクルマに込めたコンセプトは、その個性的なデザインばかりが先行してしまって、まだ十分に理解されていないような気がします。VWが積極的に推進してきた1.2Lや1.4Lスケールへのダウンサイジングターボ戦略は、欧州ではスタンダードなものになり、それと同時に日本メーカーによる「HV大衆車」の侵入を防ぐ防波堤にもなりました。しかしVWはアウディTTにはそのパワーユニットを持ち込もうとはせずに、TTを一段高いポジションに置いた点に、ゴルフやシロッコとは同じに括れないTT独自のコンセプトがあります。1.2Tや1.5HVが東アジア・欧州・北米を覆う中で、スポーツを意識し過ぎたRC-Zや、肥大化したボディを122psのユニットで無理矢理引っ張るCLA180は、「珍車」以外の存在理由がないですが、逆に3代目TTはその崇高なコンセプトで再び輝きを増していくと思います。
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現在ではGMと並んでトヨタのライバルとして頭角を表してきたVWグループも、プリウスが登場した同じころに、アウディTTというセンセーショナルなデザインのクルマを発売しました。こちらはその斬新なデザインが瞬く間に世界に伝播し、プリウスとはまったく違った成長曲線を描きながらも、成功が非常に難しいとされていた小型FFの高級モデルとして業界の常識を覆す異例の成功を収めました。
プリウスは発売当初、トヨタが意図的に設定した"近未来"的なデザインがやや不評で、ハイブリッドには期待しているユーザー側としてもデザインにはかなりの戸惑いを感じていたようです。そんな日本人が持つコンサバな自動車デザインへの潜在意識を、画期的なデザインであっさりと変えてしまったのが初代アウディTTだったと思います。このクルマを見ると思い出すのが、絶頂期のスピルバーグが監督した「A.I.」という大コケした作品です。この重苦しく悲観的な映画には「未来のクルマ」が登場しますが、そのあまりにも無機質で寒々しく描かれたデザインを見て、今後のクルマはこうなっていくのか・・・と失望したことがありました。
街中に増殖するプリウスを見て、どこか「A.I.」が描くような悲惨な未来が近づいていることに暗澹たる想いもしました。そんな私の中のネガティブなクルマの近未来デザインへのイメージを一変させてくれたのがアウディTTです。このクルマは間接的ではありますが、受け入れられ易い未来志向のデザインという意味で、結果的にプリウスのデザインをより多くの人々に受け入れさせるアシスト役を果たしたと思います。
さてほぼ同時期に登場した「プリウス」と「TT」ですが、プリウスは早くも来年にも4代目が登場します。一方で約8年という長いモデルサイクルを採用しているTTはいよいよ3代目が発表されました。今となってはTTのデザインは街の風景によく馴染んでいて、これを"近未来"と表現することにはやや違和感があるくらいです。もはや現代を代表する「王道スペシャルティカー」と言っても過言ではないほどで、むしろ「デザインの古典」という立ち位置にすらなってます。
今回登場する3代目ではまた新たにどんな世界観を見せてくれるか楽しみでしたが、なんと2代目のデザインがほぼそのまま継承されています。パワユニットもほぼそのままのようで、全グレードに信頼性の高い6速DSG(湿式)が使われるようです。先代と全く同じで、「1.8TSI」「2.0TSI」「TT-S」「TT-RS」の4グレードが置かれ、「1.8TSI」は北米向けゴルフのユニット、「2.0TSI」がゴルフGTIのユニット、「TT-S」がゴルフRのユニット、「TT-RS」がTT専用の2.5L直5ターボのユニットがそのまま使われることになりそうです。
TTのベース車となるゴルフはフロントガラスが直立したタイプの古典的なHBデザインなので、高速道路での巡航には風切り音が少なからず発生します。これは長距離ユーザーにとっては由々しき問題で、クルマ選択の際にも少なからずポイントになります。一方でcd値の低減を目指したTTのエアロボディは、ゴルフクラスのクルマをさらに高速道路で快適に走らせる能力があり、TTに使われているユニットは、その空力性能を生かす為に、VW車のベースグレードよりも排気量が大きめのエンジンが選択されています。TTの当初の位置づけはゴルフをより快適にハイウェイで走らせるというコンセプト上にあったと思います。しかし初代発売直後に揚力を抑える機構に欠陥があり、横転の危険からのリコール騒動があったため、ハイウェイ専用車というイメージは今でもあまり定着していません・・・。
それでも同じようなコンセプトのメルセデスCLAやプジョーRC-Zが、1.6Lターボをブヒブヒさせて走るのに対して、全グレードで車重に比べて排気量と出力にかなり余裕を持たせているTTは、クルマのコンセプトとその完成度において完全に頭一つ抜けた存在と言えます。TT・CLA・RC-Zの3台ともにスポーティをテーマにしてはいますが、リアルスポーツではないので、その点を勘違いさえしなければ、どれも見所があるスペシャルティカーではあります。いずれも大きく居住性を犠牲にしているので、CセグHBにスポーツカーの車体を被せたという、なんとも捉えどころの無いクルマになっていますが・・・。
現在の日本メーカーがおそらく頑として作らないタイプのクルマが、この3台だと思われます。ダイハツ・コペンやホンダCR-Zのような例外はありますが、いわゆる「ご近所に買い物に行くクルマ」をわざわざ高級に作るという発想は、極めて知性の高いクルマ作りに自惚れる日本メーカーのエリートはなかなか馴染まないと思います。TT、CLA、RC-Zといったタイプのクルマは、日本メーカーに言わせれば「下品」です。クルマとしての本質(走り・居住性)をことごとく放棄してまで、デザイナー達に好きに遊ばせるという企画は、エンジニアにとっては自らの影響力を下げる行為でしかありません。いままで世界最高のパッケージを作り続けてきたトヨタの車内レイアウト担当からしてみたら由々しき事態と言えます。
もちろん作る側もこの手のクルマが長く人々の心を捕えることはないし、デザインに飽きてしまったら、ただの利用価値の低い「駄作」でしかないということもよく分っています。コペンやCR-Zは維持費の安さを考えれば、まず「駄作」の汚名は逃れられるとは思いますが・・・。「維持費が高い」「狭い」「楽しくない」の3拍子揃った・・・はさすがに言い過ぎかもしれませんが、TT、CLA、RC-Zの3台の「CセグHBベースのスポーティもどき」を購入する際には、日産フェアレディZくらいに使う状況をよく考える必要があります。ちなみにフェアレディZはピックアップトラック並みに北米向けに振ったモデルなので、日本の初心者ユーザーが買ったあとに最も後悔するクルマの1つです(もちろん大満足の人もたくさんおられますが)。
さてアウディTTですが、VWがこのクルマに込めたコンセプトは、その個性的なデザインばかりが先行してしまって、まだ十分に理解されていないような気がします。VWが積極的に推進してきた1.2Lや1.4Lスケールへのダウンサイジングターボ戦略は、欧州ではスタンダードなものになり、それと同時に日本メーカーによる「HV大衆車」の侵入を防ぐ防波堤にもなりました。しかしVWはアウディTTにはそのパワーユニットを持ち込もうとはせずに、TTを一段高いポジションに置いた点に、ゴルフやシロッコとは同じに括れないTT独自のコンセプトがあります。1.2Tや1.5HVが東アジア・欧州・北米を覆う中で、スポーツを意識し過ぎたRC-Zや、肥大化したボディを122psのユニットで無理矢理引っ張るCLA180は、「珍車」以外の存在理由がないですが、逆に3代目TTはその崇高なコンセプトで再び輝きを増していくと思います。
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2014年10月13日月曜日
スバル・レガシィB4 「フラッグシップらしさに期待」
いよいよ10月24日に発売が予告されたスバルの最上級モデル・レガシィが楽しみです。ちょっと気になるのが、大きな反響を持って迎えられたレヴォーグとWRX S4の完成度は最初からかなり高く(言い切ります!)、従来のレガシィのファンがごっそりと動員されてしまった感があることでしょうか。残ったのは最近のレガシィが拘って作り上げてきた「居住性の高さ」と「スバルの高度な走り」の高いレベルでの両立こそが他にはないこのクルマだけの魅力!と悟っている人々だと思うのですが、果たして日本には一体どれくらいいるのでしょうか?
クルマ雑誌を見ていると、新型レガシィは来たるFMCで、完全に北米サイズにまで膨らんでしまい、全長4800mm級のFFベースのクルマなんて北米市場の特別仕様なので過大な期待はできない!といった厳しい論調が目立ちます。まあ確かにランエボをサーキットで走らせる感覚とは全く相容れないですから、その視点から「ドライビングの刺激が薄い」というありきたりな結論自体は間違いではないですけど、このジャンル(FFのD/Eセグセダン)を語るべき視点はもっともっと深いところにあるのに、ほとんどの日本のカーメディアがそこまで言及しようとしていないのが残念です。彼らは自動車の専門家ですので、アメリカで売れている理由も本気を出せばいくらだって列挙できるはずですが、完全にイメージ商売(人気獲り商売)と堕してしまった現状のライター業では、読者に嫌われるような本質は徹底的に無視する空気が蔓延している気がします。「ドイツ車は至高でアメ車はゴミ」という幻想は決して破壊してはいけないようです。
まずアメリカでなぜこのクラスが売れるのか?という疑問に対して、「アメリカだから」みたいな小学生レベルの解説を平気でするライターなんてゴロゴロいます(もちろんわざとです)。「日本人とは感覚が違うから」と言われても読んでる側は困惑しかしません。ハンバーガーやポテトチップスを食べながらソファーでテレビ見る事がライフスタイルの国同士なのだから、クルマの趣味だけはまったく別ということはないはずです。バブル崩壊から20年が経ち、日本でも服・バッグ・時計・靴といったアイテムで一般ブランドの何十倍の価格を付ける高級ブランドが軒並み大苦戦する時代になってきました。その背景にはアップルのようなプレミアム価格を提示しないでも世界一のブランド価値を築く、現代アメリカの「マテリアル主義」に基づいた新興ブランドの進出があります。そしてそのマテリアル主義の"クルマ版"といえるのが北米で大ヒットしている「4800mm超のFFセダン」だったりするのですが、その現実に対して日本のカーメディアは必死に抵抗しています。
今やオシャレな男性用スキニーカラーパンツが2500円で買えます。ちょっと前まで「高いな・・・」と思いつつバーバリーブラックレーベルやポールスミスのパンツをその10倍の価格で当たり前に買っている人が多かったですが、いまやどちらも同じ中国縫製ですし品質に大きな差なんてありません。時計だって中国で大量生産されるセイコーのクォーツを使ったデザイナーモデルが様々な新興ブランドから数千円で買えてしまいます。ネットで探せばそれこそもの凄い数の時計がありますから、その分デザインの良いものも多いですし、性能は完全にセイコークオリティです。もちろんクォーツですから200万円くらいする有名ブランドの機械式時計よりも1000倍は精度が良いです。
「ネットの普及」とか言ってしまうと安っぽく聴こえるかもしれませんが、個人デザイナーがわずかな資本でブランドを立ち上げて、宣伝・販売をすることも容易になりました。商品さえよければ有名ブランドにライセンス料を払って商売する必要もなくなりつつあります。三陽商会がバーバリーと契約を打ち切りましたがこれも時代の流れなのかもしれません。ほかにも「ネットの普及」によって欧州で売られている良心的価格のヴィヴィアン・ウエストウッドのネクタイなども日本に居ながらに4000円程度で買える時代に突入しているわけです。輸送コストの問題があるとは思いますが、欧州で8000ユーロで売ってるフォード・エコスポーツも日本で自宅に居ながらに100万円くらいで買えてもよさそうですが・・・ちなみに日本価格は本体246万円です。
ちょっと話がそれましたが、ほかのアイテムは価格破壊が進んでいますが、クルマだけは今でも"欧州車至上主義”が堂々とまかり通っていて、欧州車的でないクルマは徹底的に排除するといった論調が根強いです。「高級セダンはFRであるべき!」「CVTは絶対にNG」特にこの2つは、あたかも絶対的な「真理」として扱われています。ちょっと考えれば誰でも気がつくことですが、構造上「狭くて・うるさくて・危険」になることが避けられないFRに拘ることにそれほど大きな意義はないです。今では直4エンジンでもNAで200ps、ターボやHVなら300psは絞れるわけですから、むしろFRに拘ることで設計上のネガティブな点ばかりが付いてまわります。しかしそういう問題提起はプロライターの世界では絶対にタブーなようで、彼らは「余計なことを言って」レクサス・日産・メルセデス・BMWから出禁を喰らったらオワリとでも思っているようです・・・。
しかしいくらプロライターが熱心に主張したところで、今や自動車雑誌を読んで真に受ける人なんて"アホな暇人"だけですから、通常の賢い消費者は全く意に介さずにクルマを選び、その結果エコカー・軽自動車・ミニバン・SUVが日本ではひたすらに売れています。そんな中で日本市場でもラインナップが揃い出した「北米サイズ」のFFセダンですが、4800mm超の大型ボディにもかかわらずカムリとアテンザはデザインの良さが評価され予想以上に売れました!アコードはホンダの掲げた看板の割には、デザインが振るわずやや地味な存在で、ティアナは実力十分なのですが日産の消極的な姿勢とメディアのバッシングが強くやや苦戦気味です。さてAWD専用という特殊ジャンルですがレガシィは一体どうなるのでしょうか?
で・・・話のオチなんですが、カーメディアが絶対に伝えない「真実」として、日本のD/EセグのFFセダンを端的に表現すると、「世界で最も安全なツーリングカー」という評価ができます。燃費重視の日本車は両輪を平行気味に配置して抵抗値を下げる方向に調整するのですが、いわゆる「トーイン」を取らない方針で、これにより最近の日本のFR車は欧州車と比べてしばしば直進安定性が低いと言われています。もちろん最近やたらと燃費を気にするようになったBMWやMBの低グレード車も同じようなものなんですが、なぜかスカイラインやクラウンばかりが叩かれます。ハイウェイを安全に快適に走るならば、車高が低くてスタビリティがあり、直進安定性に優れるFFが絶対的に優位です。ハイウェィ網が整備されているアメリカでこの手のクルマ(カムリ・アコードなど)が売れるのは当たり前なことです。
しかもFFのパッケージングの良さは車内の居住性に大きく貢献します。同じサイズのレクサスGSとカムリあるいはスカイラインとティアナの車内の広さを比べれば一目瞭然です。スカイライン(4790mm)と一クラス下のシルフィ(4615mm・FF)を比べてもシルフィの方が後席は快適だったりします。さらに決定的なのが、欧州、米国、日本の各市場で行われている衝突安全性の実験において、FF車の方が圧倒的に良い結果を出しています。この点に関しては専門家の分析など全く出されておらず、断定的なことは言えないのですが、一般にFF車で採用される横置きエンジンの方が、FR用の縦置きよりもキャビン内部に与えるダメージが小さいことと、前軸に直接リンクしているエンジンの方がマウントも強固で、駆動輪となっている前軸も重厚に作られているなどの構造上のアドバンテージが挙げられます。
ちなみにスバルが採用している水平対抗エンジンは、比較的に車体下部に配置されるので、衝突時にキャビンに突入することはまず無く、車体下へと堕ちるように設計されているとスバルは公表しています。各市場のテストでべらぼうな高評価を連発しているアコードやアテンザといったライバルをさらに凌ぐ「安全性」を堂々と謳うスバルのコンセプトは、もっと日本ユーザーにダイレクトに伝わるといいなぁと思う次第です。
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クルマ雑誌を見ていると、新型レガシィは来たるFMCで、完全に北米サイズにまで膨らんでしまい、全長4800mm級のFFベースのクルマなんて北米市場の特別仕様なので過大な期待はできない!といった厳しい論調が目立ちます。まあ確かにランエボをサーキットで走らせる感覚とは全く相容れないですから、その視点から「ドライビングの刺激が薄い」というありきたりな結論自体は間違いではないですけど、このジャンル(FFのD/Eセグセダン)を語るべき視点はもっともっと深いところにあるのに、ほとんどの日本のカーメディアがそこまで言及しようとしていないのが残念です。彼らは自動車の専門家ですので、アメリカで売れている理由も本気を出せばいくらだって列挙できるはずですが、完全にイメージ商売(人気獲り商売)と堕してしまった現状のライター業では、読者に嫌われるような本質は徹底的に無視する空気が蔓延している気がします。「ドイツ車は至高でアメ車はゴミ」という幻想は決して破壊してはいけないようです。
まずアメリカでなぜこのクラスが売れるのか?という疑問に対して、「アメリカだから」みたいな小学生レベルの解説を平気でするライターなんてゴロゴロいます(もちろんわざとです)。「日本人とは感覚が違うから」と言われても読んでる側は困惑しかしません。ハンバーガーやポテトチップスを食べながらソファーでテレビ見る事がライフスタイルの国同士なのだから、クルマの趣味だけはまったく別ということはないはずです。バブル崩壊から20年が経ち、日本でも服・バッグ・時計・靴といったアイテムで一般ブランドの何十倍の価格を付ける高級ブランドが軒並み大苦戦する時代になってきました。その背景にはアップルのようなプレミアム価格を提示しないでも世界一のブランド価値を築く、現代アメリカの「マテリアル主義」に基づいた新興ブランドの進出があります。そしてそのマテリアル主義の"クルマ版"といえるのが北米で大ヒットしている「4800mm超のFFセダン」だったりするのですが、その現実に対して日本のカーメディアは必死に抵抗しています。
今やオシャレな男性用スキニーカラーパンツが2500円で買えます。ちょっと前まで「高いな・・・」と思いつつバーバリーブラックレーベルやポールスミスのパンツをその10倍の価格で当たり前に買っている人が多かったですが、いまやどちらも同じ中国縫製ですし品質に大きな差なんてありません。時計だって中国で大量生産されるセイコーのクォーツを使ったデザイナーモデルが様々な新興ブランドから数千円で買えてしまいます。ネットで探せばそれこそもの凄い数の時計がありますから、その分デザインの良いものも多いですし、性能は完全にセイコークオリティです。もちろんクォーツですから200万円くらいする有名ブランドの機械式時計よりも1000倍は精度が良いです。
「ネットの普及」とか言ってしまうと安っぽく聴こえるかもしれませんが、個人デザイナーがわずかな資本でブランドを立ち上げて、宣伝・販売をすることも容易になりました。商品さえよければ有名ブランドにライセンス料を払って商売する必要もなくなりつつあります。三陽商会がバーバリーと契約を打ち切りましたがこれも時代の流れなのかもしれません。ほかにも「ネットの普及」によって欧州で売られている良心的価格のヴィヴィアン・ウエストウッドのネクタイなども日本に居ながらに4000円程度で買える時代に突入しているわけです。輸送コストの問題があるとは思いますが、欧州で8000ユーロで売ってるフォード・エコスポーツも日本で自宅に居ながらに100万円くらいで買えてもよさそうですが・・・ちなみに日本価格は本体246万円です。
ちょっと話がそれましたが、ほかのアイテムは価格破壊が進んでいますが、クルマだけは今でも"欧州車至上主義”が堂々とまかり通っていて、欧州車的でないクルマは徹底的に排除するといった論調が根強いです。「高級セダンはFRであるべき!」「CVTは絶対にNG」特にこの2つは、あたかも絶対的な「真理」として扱われています。ちょっと考えれば誰でも気がつくことですが、構造上「狭くて・うるさくて・危険」になることが避けられないFRに拘ることにそれほど大きな意義はないです。今では直4エンジンでもNAで200ps、ターボやHVなら300psは絞れるわけですから、むしろFRに拘ることで設計上のネガティブな点ばかりが付いてまわります。しかしそういう問題提起はプロライターの世界では絶対にタブーなようで、彼らは「余計なことを言って」レクサス・日産・メルセデス・BMWから出禁を喰らったらオワリとでも思っているようです・・・。
しかしいくらプロライターが熱心に主張したところで、今や自動車雑誌を読んで真に受ける人なんて"アホな暇人"だけですから、通常の賢い消費者は全く意に介さずにクルマを選び、その結果エコカー・軽自動車・ミニバン・SUVが日本ではひたすらに売れています。そんな中で日本市場でもラインナップが揃い出した「北米サイズ」のFFセダンですが、4800mm超の大型ボディにもかかわらずカムリとアテンザはデザインの良さが評価され予想以上に売れました!アコードはホンダの掲げた看板の割には、デザインが振るわずやや地味な存在で、ティアナは実力十分なのですが日産の消極的な姿勢とメディアのバッシングが強くやや苦戦気味です。さてAWD専用という特殊ジャンルですがレガシィは一体どうなるのでしょうか?
で・・・話のオチなんですが、カーメディアが絶対に伝えない「真実」として、日本のD/EセグのFFセダンを端的に表現すると、「世界で最も安全なツーリングカー」という評価ができます。燃費重視の日本車は両輪を平行気味に配置して抵抗値を下げる方向に調整するのですが、いわゆる「トーイン」を取らない方針で、これにより最近の日本のFR車は欧州車と比べてしばしば直進安定性が低いと言われています。もちろん最近やたらと燃費を気にするようになったBMWやMBの低グレード車も同じようなものなんですが、なぜかスカイラインやクラウンばかりが叩かれます。ハイウェイを安全に快適に走るならば、車高が低くてスタビリティがあり、直進安定性に優れるFFが絶対的に優位です。ハイウェィ網が整備されているアメリカでこの手のクルマ(カムリ・アコードなど)が売れるのは当たり前なことです。
しかもFFのパッケージングの良さは車内の居住性に大きく貢献します。同じサイズのレクサスGSとカムリあるいはスカイラインとティアナの車内の広さを比べれば一目瞭然です。スカイライン(4790mm)と一クラス下のシルフィ(4615mm・FF)を比べてもシルフィの方が後席は快適だったりします。さらに決定的なのが、欧州、米国、日本の各市場で行われている衝突安全性の実験において、FF車の方が圧倒的に良い結果を出しています。この点に関しては専門家の分析など全く出されておらず、断定的なことは言えないのですが、一般にFF車で採用される横置きエンジンの方が、FR用の縦置きよりもキャビン内部に与えるダメージが小さいことと、前軸に直接リンクしているエンジンの方がマウントも強固で、駆動輪となっている前軸も重厚に作られているなどの構造上のアドバンテージが挙げられます。
ちなみにスバルが採用している水平対抗エンジンは、比較的に車体下部に配置されるので、衝突時にキャビンに突入することはまず無く、車体下へと堕ちるように設計されているとスバルは公表しています。各市場のテストでべらぼうな高評価を連発しているアコードやアテンザといったライバルをさらに凌ぐ「安全性」を堂々と謳うスバルのコンセプトは、もっと日本ユーザーにダイレクトに伝わるといいなぁと思う次第です。
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2014年10月1日水曜日
日産スカイラインクーペ 「スカクー改めインフィニティQ60・・・さらに」
レクサスRCの概要がやっと発表されました。すでに去年の東京MSの段階で完成していて、その段階で発売するグレードも大筋で判明していて、ほぼ予想通りのものになりました。ちょっとビックリしたのが、最初からV8搭載のレクサスRC-Fを同時発売するというレクサスとしては新しいスタイルを採用してきました。最上級モデルの先行販売はジャガー、マセラティ、アルファロメオなどの新型スポーツカー&スペシャルティカーにおける手法としては定番化していて、レクサスもそれを素直に模倣・踏襲したようです。
元々は「サルーン」に特化したプレミアムブランドとして、独自性あるブランドイメージを構築しつつあったレクサスですが、大々的な2ドアモデルの投入によりいよいよ「何でも屋」ブランドの様相を露骨に呈してきました。日本のカーメディアはレクサスの戦略的行き詰まりを盛んにあげつらう傾向にありますが、アメリカで25年、日本で10年を経たレクサスの成長は客観的にみて、史上最速といっていいほど順調に推移していると言えます。今回のレクサスRCの投入の一番の動機は、ブランドの販売台数を大きく底上げするものでは決してなく、トヨタの技術力の高さを証明すべく投入したGS・IS用の新型シャシーがあまりにも優秀すぎる出来なので、宝の持ち腐れと批判されないように、日産やBMWと互角以上に張り合える車体剛性が高い2ドアGTカーも作ってしまおう!くらいの軽い発想によるものと思われます。
そもそもこれまで2ドアのDセグ車は、Cクーペ、3クーペ(現4クーペ)、スカクーがわずかの国内シェアを分け合う程度であり、北米でも欧州でも日本よりは需要が多いにせよほぼ成長が見込めないジャンルでしかなく、レクサスがブランドの命運を賭けて乗り込むにはあまりにも小さすぎる市場です。ブランド全体におけるRCの役割は、これまでレクサスIS350がクルマの性能を最大限に引き出す最上位グレードとして君臨しているところに、ボデイ剛性を大幅に上げてIS350をさらに大きく上回る"超絶グレード"としての「特別仕様車」的な意味合いが強いです。RC350やRC-FによってレクサスがBMW、ポルシェ、日産に肩を並べるほどの高性能GTカー・ブランドとしての一面を持っていることを表現し、本格志向の人はこちらをどうぞ!といった程度のものに過ぎません。ポルシェがライバルの性能アップを目の当たりにして、慌ててボクスターやケイマンに新たに「GTS」というグレードを作ったようなものです。
ただしレクサスRC-Fの場合は、おそらくドイツプレミアムのDセグを全て薙ぎ払う為に作られたISの新型シャシーの計画当初からの一つの到達点として想定されていたもので、雑誌では「フラッグシップスポーツ」などと言われてますが、レクサスのブランドイメージを決定付けるほどの重要なモデルです。ゆえにたとえ相手がGT-Rや911ターボSであってもスピード以外の部分では絶対に競り負けないとてつもない完成度をトヨタの威信をかけて必ずクリアしてくるはずですから、まず購入して後悔することはないクルマだと思います(燃費とか維持費が高すぎるかもしれないですが・・・)。それでも日本の評論家さん連中は恐ろしいですから、「(BMW M4と比べて)シャシーもハンドリングもエンジンもどれも勝っているけど・・・なんだろう何か心に残る"芯”みたいなものがない」なんてレビューが続々と出てきそうな予感がします。
レクサスRCの設計を見るとどうやら、コンセプトのスタートラインとしてBMW4シリーズしか見ていないような気がします。4シリーズは上回るけど、そこからさらに大きく違う世界感を作ろうとはあまり考えていないようです。この無邪気なRCを後ろから密かにマークしているであろう不気味な存在なのが、日産スカイラインクーペことインフィニティQ60で、新型がいよいよパリモーターショーで発表される予定です。先日の英国メディアの報道によると、BMW4シリーズよりもいくらか大きなボディになるようで、これまでのどうも狭っくるしく感じるDセグ2ドアクーペの概念を突き破り、Eセグに近い絶妙なサイズで「ゆとり」を追加した4シリーズやRCよりもだいぶラグジュアリーなクーペになるそうです。
フェアレディZともGT-Rとも異なる需要をしっかりと吸収することが、インフィニティQ60に課せられた最大の使命であり、「女性専用車」のZと「最善主義」のGT-Rからこぼれ落ちた「渋さ(アダルトさ)」「ラグジュアリー」「重厚感」「男性的クーペ」がテーマであり、ライバルの4シリーズやRCも現状を見る限りは、この4点においてを落第点の水準です。2ドアクーペに600万円以上掛ける客層の人間性を過大評価し過ぎで、もっと本質的に「ガキっぽく」「知性がない」「品格がない」ユーザーばかりだから、この4点を重視することは無意味という意見もあるでしょうが、日産にはこのジャンルに巣食った「軽薄さ」「ダサさ」を一掃するような強烈な1台を期待したいです。
このQ60とは別に今月のパリ・サロンでは「フーガクーペ」となるQ80も発表されることが既に予告されています。こちらは4ドアスペシャルティカー仕様になっていて、日産が宿敵ポルシェのパナメーラを北米市場で叩くために独自に開発した新型モデルのようです。提携相手のメルセデスから出ている大型スペシャルティカーの尖兵となった「CLS」は発売直後こそ話題沸騰でかなりの販売台数を記録しましたが、10年経過してクルマの基本コンポーネンツがメルセデスの水準からみて低いレベルにあることが世間にも浸透しつつあり、北米ではパナメーラやギブリに大きく遅れをとるようになっています。後から追加されたクーペワゴンのシューティングブレイクも車体の設計が極めて杜撰で、高級車にはあるまじき乗り心地の悪さと静音レベルの低さが酷評の対象になってしまいました。
北米で日本車が同クラスのドイツ車のどれよりも高い価格で売られる!という快挙を達成したインフィニティのQ50(スカイライン)とQ70(フーガ)は、日産が持つ高級車ノウハウが世界最高の水準にあることを見事に証明しました。同クラスのレクサスGS・ISも徐々にメルセデスやBMWを超える価格設定をするようになっていますが、最も高価なのはインフィニティです。プレミアムブランドのD・Eセグを制した「技術の日産」がいよいよ「レクサスLS」と「Sクラス」というトヨタとメルセデスの"頂点"と対峙する量産モデル(ややジャンルは違うけど価格帯では接近?)をグローバル市場に投入します。これによって風通しが悪く硬直化した高級車市場に新しい旋風が巻き起こされ、自動車文化の活性化につながればいいとは思いますが・・・。
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元々は「サルーン」に特化したプレミアムブランドとして、独自性あるブランドイメージを構築しつつあったレクサスですが、大々的な2ドアモデルの投入によりいよいよ「何でも屋」ブランドの様相を露骨に呈してきました。日本のカーメディアはレクサスの戦略的行き詰まりを盛んにあげつらう傾向にありますが、アメリカで25年、日本で10年を経たレクサスの成長は客観的にみて、史上最速といっていいほど順調に推移していると言えます。今回のレクサスRCの投入の一番の動機は、ブランドの販売台数を大きく底上げするものでは決してなく、トヨタの技術力の高さを証明すべく投入したGS・IS用の新型シャシーがあまりにも優秀すぎる出来なので、宝の持ち腐れと批判されないように、日産やBMWと互角以上に張り合える車体剛性が高い2ドアGTカーも作ってしまおう!くらいの軽い発想によるものと思われます。
そもそもこれまで2ドアのDセグ車は、Cクーペ、3クーペ(現4クーペ)、スカクーがわずかの国内シェアを分け合う程度であり、北米でも欧州でも日本よりは需要が多いにせよほぼ成長が見込めないジャンルでしかなく、レクサスがブランドの命運を賭けて乗り込むにはあまりにも小さすぎる市場です。ブランド全体におけるRCの役割は、これまでレクサスIS350がクルマの性能を最大限に引き出す最上位グレードとして君臨しているところに、ボデイ剛性を大幅に上げてIS350をさらに大きく上回る"超絶グレード"としての「特別仕様車」的な意味合いが強いです。RC350やRC-FによってレクサスがBMW、ポルシェ、日産に肩を並べるほどの高性能GTカー・ブランドとしての一面を持っていることを表現し、本格志向の人はこちらをどうぞ!といった程度のものに過ぎません。ポルシェがライバルの性能アップを目の当たりにして、慌ててボクスターやケイマンに新たに「GTS」というグレードを作ったようなものです。
ただしレクサスRC-Fの場合は、おそらくドイツプレミアムのDセグを全て薙ぎ払う為に作られたISの新型シャシーの計画当初からの一つの到達点として想定されていたもので、雑誌では「フラッグシップスポーツ」などと言われてますが、レクサスのブランドイメージを決定付けるほどの重要なモデルです。ゆえにたとえ相手がGT-Rや911ターボSであってもスピード以外の部分では絶対に競り負けないとてつもない完成度をトヨタの威信をかけて必ずクリアしてくるはずですから、まず購入して後悔することはないクルマだと思います(燃費とか維持費が高すぎるかもしれないですが・・・)。それでも日本の評論家さん連中は恐ろしいですから、「(BMW M4と比べて)シャシーもハンドリングもエンジンもどれも勝っているけど・・・なんだろう何か心に残る"芯”みたいなものがない」なんてレビューが続々と出てきそうな予感がします。
レクサスRCの設計を見るとどうやら、コンセプトのスタートラインとしてBMW4シリーズしか見ていないような気がします。4シリーズは上回るけど、そこからさらに大きく違う世界感を作ろうとはあまり考えていないようです。この無邪気なRCを後ろから密かにマークしているであろう不気味な存在なのが、日産スカイラインクーペことインフィニティQ60で、新型がいよいよパリモーターショーで発表される予定です。先日の英国メディアの報道によると、BMW4シリーズよりもいくらか大きなボディになるようで、これまでのどうも狭っくるしく感じるDセグ2ドアクーペの概念を突き破り、Eセグに近い絶妙なサイズで「ゆとり」を追加した4シリーズやRCよりもだいぶラグジュアリーなクーペになるそうです。
新型スカイラインことインフィニティQ50のデザインを見ていると、今回の日産は近未来的なスポーツサルーンのイメージを漠然と追うのは辞めて、「男がDセグ選ぶならこれ!」とちょいワル親父に指名買いをされる現実的なポジションを目指しているように感じます。これまでのV35、V36もなかなか男性的な存在感は出してましたが、V37は女性ユーザーをさらに突き放すような不思議な渋さが備わっていて、日本では女性がやたらと乗りたがるクルマである日産のフェアレディZ(32,33,34)やシルビア(13.14.15)とはだいぶ違った印象です。そんなV37も2ドアクーペになればやはりセレブな女性のお買い物カーに成り下がってしまう可能性もありますが、おそらくVC35やVC36よりもずっと「男性的」なコンセプトを狙ってくるのではないかと思います。
V37セダンは「アメリカン・マッスルカー」と「ジャーマン・プレミアムカー」の両方のデザイン要素を兼ね備えているせいか、なかなか見慣れない不思議な表情をしています。このクロスオーバーな佇まいが災いして、残念ながら日本の日産ファンの一部からの大ブーイングを浴びてしまっているようです。彼らはスカイラインがつまらない高級車になってしまったと肩を落としますが、実際のところは「高級車」なのか「クラスレス」なのかよくわからない立ち位置であって、セレブが注目するようなラグジュアリーかつセクシーさを強調したような派手さ一辺倒なクルマでは決してないです。むしろ質実剛健で性能面を最も重視した実直なクルマ作りという意味で"日産"に相応しいクルマだと思います。このクルマをベースに一体どれだけセクシーなクーペが出来るのか全く想像ができませんが、4シリーズやRCのデザインに顕著な「わざとらしさ」「未熟さ」をダサいを感じて納得できなかった「大人」な人々に応えられるように、基本に忠実な「ワイド&ローでマッチョ」なスタイリングを狙ってくるような気がします。
V37セダンは「アメリカン・マッスルカー」と「ジャーマン・プレミアムカー」の両方のデザイン要素を兼ね備えているせいか、なかなか見慣れない不思議な表情をしています。このクロスオーバーな佇まいが災いして、残念ながら日本の日産ファンの一部からの大ブーイングを浴びてしまっているようです。彼らはスカイラインがつまらない高級車になってしまったと肩を落としますが、実際のところは「高級車」なのか「クラスレス」なのかよくわからない立ち位置であって、セレブが注目するようなラグジュアリーかつセクシーさを強調したような派手さ一辺倒なクルマでは決してないです。むしろ質実剛健で性能面を最も重視した実直なクルマ作りという意味で"日産"に相応しいクルマだと思います。このクルマをベースに一体どれだけセクシーなクーペが出来るのか全く想像ができませんが、4シリーズやRCのデザインに顕著な「わざとらしさ」「未熟さ」をダサいを感じて納得できなかった「大人」な人々に応えられるように、基本に忠実な「ワイド&ローでマッチョ」なスタイリングを狙ってくるような気がします。
フェアレディZともGT-Rとも異なる需要をしっかりと吸収することが、インフィニティQ60に課せられた最大の使命であり、「女性専用車」のZと「最善主義」のGT-Rからこぼれ落ちた「渋さ(アダルトさ)」「ラグジュアリー」「重厚感」「男性的クーペ」がテーマであり、ライバルの4シリーズやRCも現状を見る限りは、この4点においてを落第点の水準です。2ドアクーペに600万円以上掛ける客層の人間性を過大評価し過ぎで、もっと本質的に「ガキっぽく」「知性がない」「品格がない」ユーザーばかりだから、この4点を重視することは無意味という意見もあるでしょうが、日産にはこのジャンルに巣食った「軽薄さ」「ダサさ」を一掃するような強烈な1台を期待したいです。
このQ60とは別に今月のパリ・サロンでは「フーガクーペ」となるQ80も発表されることが既に予告されています。こちらは4ドアスペシャルティカー仕様になっていて、日産が宿敵ポルシェのパナメーラを北米市場で叩くために独自に開発した新型モデルのようです。提携相手のメルセデスから出ている大型スペシャルティカーの尖兵となった「CLS」は発売直後こそ話題沸騰でかなりの販売台数を記録しましたが、10年経過してクルマの基本コンポーネンツがメルセデスの水準からみて低いレベルにあることが世間にも浸透しつつあり、北米ではパナメーラやギブリに大きく遅れをとるようになっています。後から追加されたクーペワゴンのシューティングブレイクも車体の設計が極めて杜撰で、高級車にはあるまじき乗り心地の悪さと静音レベルの低さが酷評の対象になってしまいました。
北米で日本車が同クラスのドイツ車のどれよりも高い価格で売られる!という快挙を達成したインフィニティのQ50(スカイライン)とQ70(フーガ)は、日産が持つ高級車ノウハウが世界最高の水準にあることを見事に証明しました。同クラスのレクサスGS・ISも徐々にメルセデスやBMWを超える価格設定をするようになっていますが、最も高価なのはインフィニティです。プレミアムブランドのD・Eセグを制した「技術の日産」がいよいよ「レクサスLS」と「Sクラス」というトヨタとメルセデスの"頂点"と対峙する量産モデル(ややジャンルは違うけど価格帯では接近?)をグローバル市場に投入します。これによって風通しが悪く硬直化した高級車市場に新しい旋風が巻き起こされ、自動車文化の活性化につながればいいとは思いますが・・・。
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