メルセデスのEクラスがMCとなり、外装・内装ともに大幅にイメージが変わりました。これは朗報なのか不明ですが、どうやら外装も内装も新型Aクラスに「近づいた」という印象があります。クルマを発売する順番がやや問題で、新型Eクラスが先ならなんの違和感もなかったのでしょうが・・・。それでもあの新型Aクラスのフロントデザインを完全に踏襲したにも関わらず、これが予想外に先代モデルよりも全面的に良化したように感じられ、メルセデスの人気回復に大きく貢献するモデルになりそうな予感がします(遠目で見るとまさに新型Aクラスですね)。
内装においてもAクラスと共通のシステム変更が随所で行われたようです。一番の議論の的になっているのは、ハンドル脇のレバーの機能が変わったことだ。一般にドイツ車はウインカーが日本車とは反対側についていたりしますが、この新型Eクラスは今回から新型Aクラス同様に「コラム式AT」を採用している。日本車では一般にウインカーを出す位置のレバーが、ATセレクターになっています。それに対してこれはちょっと危険じゃないかという人もいるようです。ただ日本ではコラム式ATは軽自動車などでも使われていて総じて問題は発生していないようなので、そんなに問題ではない気がします。
近年のEクラスはMCを繰り返すたびに、「メルセデスらしさ」をどんどん脱ぎ捨てて、どのメーカーの高級車よりも拘りが感じられないクルマになっていると言われています。ちょっと生意気なことを言わせてもらいますが、現行のEクラスとCクラスの2台のセダンはドライビングカーとしてなんらかの方向性を打ち出しているわけでなく、ただある種の「ステータスカー」としてしか評価されていないクルマです。そこにはポルシェ・スバル・マツダのクルマにあるような作り手のメッセージなどは存在しないし、4気筒を積むE250から8気筒を積むE63AMGまで、数多くのパワーユニットが存在していることも、このクルマが何を意図して設計されているのかということを見えにくくしています。
メルセデスの側もEクラスの「無表情さ」にはとうの昔に気がついていて、Eクラスをベースに「メッセージ」を吹き込んだクルマとして、新たに4ドアクーペ「CLS」を発売して大ヒットさせたりしている。裏を返せば、メルセデスが本気になればEクラスにはいくらでも手が入れられるほどの、弱点が野放しにされていると言える。そんな中途半端なクルマでもメルセデスの主力セダンというネームバリューで、米国でも日本でも中国でも次々に売れてしまう。日本のカーメディアの「歯が浮くような」レビューばかりを読んでいるとまったく想像も付かないだろうが、最近のメルセデスは20年前にドイツ車が持っていた「個性」を捨てて、日本の「下駄車」(軽・コンパクト)の良さをふんだんに取り入れたクルマに変わっている。日本の大衆車並みの「凡庸さ」と表現する人もいるくらいだ。
このEクラスに於いてはドイツFR車の象徴であった「油圧パワステ」が全グレードで廃止になり、当然ながら「電動パワステ」の熟成が進んでいないので、現状ではスバルやマツダのハンドリングの足元にも及ばないレベルでしかない。もはやクルマの運転などに大して興味のない客層しか相手にしていないクルマに成り下がったといえる。さらに呆れてしまうのが、各グレードの価格設定だ。なにせ量販価格帯のメルセデスE250アヴァンギャルドが乗り出しで700万円程度する。4気筒のクルマに700万円はどう考えても「クレイジー」だ。アメリカ人が見たら大爆笑してしまうほどの価格設定になっている。もちろん北米ではE250など売られてはいないし、ベースグレードのE350(3.5LのV6)で約50000米ドル(500万円)くらいの価格だ・・・。
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