先代のインスパイアは「セダンのイディア」と言えるほどの出来映えで、「王道」で「洗練」で・・・なおかつ「アート」なデザインのクルマだった。もっと別の言い方をすると、「地に足の付いた落ち着き」というべき全体的にはコンサバティブな印象の中に、「想像以上のセクシィさ」が散りばめられている、稀代のスタイリッシュなフォーマルセダンだ。特にリアデザインの艶やかさは所有欲を徹底的にくすぐるほどよく出来ている。
ホンダは北米ではBMWに匹敵するほど「スタイリッシュ」で「スポーティ」な確固たるブランドイメージを持っているそうだ。2000年代後半のホンダのセダンは日本市場ではなぜか不当なまでの低い評価を押し付けられていた。ただ純粋にクルマを比べるならば、「レジェンド」は5シリーズを「インスパイア」は3シリーズを徹底的に上回っていたにも関わらずに、この評価は今改めて思うとまったく不可解だ。
日本中が「エコカー」と「輸入車ブランド」に対して非常に盲目的であったことが、ホンダにとっては完全に逆風であった。どんなにカッコいいクルマであっても「国産車で、燃費が悪い(V6の3.5L!)」だと誰も見向きもしない・・・そんな悲しすぎる時代だった。トヨタによって貼られた「ホンダはハイブリッド負け組」のレッテルもとても厳しいものがあった。ホンダ車は次々に日本市場から駆逐され、今や3ナンバーシェアはスバル・マツダよりもずっと下で、ほぼ三菱と同等の月1000台まで落ち込んでいる。もちろんフィットとステップワゴンは健在であり、さらにあっと言う間に軽自動車のシェアを押し広げてダイハツとスズキを射程に捉えたりはしているが・・・。
自動車ライター連中からは、「ホンダは大丈夫か?」などと、自らのDQNを晒すような評論が連発しているのには笑ってしまった(ホンダは決して赤字ではない)。しかしいくらDQNでもある程度の影響力はあるので、それらの「ホンダ評」を読んだ日本の自動車ファンの多くがホンダに対して懐疑的な目を向けているのも事実だ。実際にこの新型アコードHVが「クラウンを叩きのめす」と宣言しても誰も本気にしてはくれないだろう。
確かに、かつてはスポーツセダンとして流通していたアコードが、クラウンに勝負を挑むクルマに変わったと言われても、多くの人は急には認識を改めることはできないかもしれない。しかし紛れも無く、このクルマの先代は3.5LのV6を積んでいた「インスパイア」であり、今回はV6から直4+HVに載せ変えただけであり、正統派の高級セダンだと言える。そのパッケージはクラウンやアウディA6のハイブリッドに真っ向から立ち向かうのに十分すぎるくらいのクルマだ。トヨタ(レクサス)やアウディの直4+HVよりも圧倒的に性能がいいエンジンに加えて、あまり知られていないがホンダ独特の高級車の内装を備えている。クラウンやアウディA6と比較してもまったく遜色はないほどの出来になっている(レクサスIS300hには100万円高い分の差をきっちり付けられているようだが・・・)。
正直言って当初はこのアコードHVにやや懐疑的だったが、ハイブリッドのセダンを買うと決めたなら、現行のクラウン・カムリ・フーガ・A6よりも優れたパッケージ(コストパフォーマンスも含む)に思う。より高級感とポップな雰囲気を重視するなら、レクサスIS300hにはやや歩が悪いかもしれない。よりスタイリッシュでスポーティさを求めるならアテンザXDに及ばないだろう。それでもこのISとアテンザという強力な2台とは真っ向勝負せず、よりコンサバティブなセダンユーザー層に上手く売り込むことができれば、ライバル不在と言えるほど他車に対して優位なクルマではないだろうか。雌伏の時は過ぎ、臥薪嘗胆の思いで待ち続けたホンダの反撃がこれから始まろうとしている。
↓さすがはホンダ!十分に戦えるクルマになっている!
登録:
コメントの投稿 (Atom)
注目の投稿
MAZDA・CX-3 (2025年12月グレード改定・2026年2月生産終了)
奇跡の四台 MAZDA・CX-3が2026年2月に生産終了となってしまった。2015年の登場なのだが、屈指の傑作デザインが幸いして10年以上が経過しても古さはない。普遍的な造形美を強く主張していたMAZDAのデザイナーの言葉通りなのだろう、大きなデザイン変更を含むマイナーチェ...
-
スバル・フォレスターが人気で焦った!? MAZDAが欧州市場向けの新型CX-5を発表した。CX-60、70、80、90の新型4車種を一括企画で開発して順次投入して以来のMAZDAの自社開発の新型モデルということで、注目度は非常に高い。新型フォレスターが2023年11月に北米...
-
幸せなBセグ・カーライフ 休みの日に奥多摩や秩父周辺をドライブしていると、パワースポットを求めてだろうか、「練馬」「世田谷」「品川」「横浜」の「わ」ナンバーを多数見かける。若者が2〜3人で連れ立って乗ってくる定番のレンタカーはノートe-POWERとアクアが2大勢力のようだ。...
-
経済成長 石破首相の号令のもと、盛んに賃上げが叫ばれていて最高賃金も最低賃金も順調に上昇しているらしい。2010年代の中国で強烈な経済成長を支えてきたギグワーカーのマッチングアプリが、日本でも本格的に普及し始めた。東京ではタクシー、運送、配達で月収60万円稼げるようになり、家...
0 件のコメント:
コメントを投稿