このクルマは今のメルセデスにとって「絶対に作っておかなければいけない」究極のスポーツセダンだ。やっていることはSクラス用のトップエンドのV8エンジン(SクラスにはV12もあるが)と、メルセデスの4WDシステムの「4MATIC」という、ブランド内で最高峰に位置する2つの技術をEクラスのボディに詰め込んだものだ。どちらも新開発というわけではなく、メルセデスが現在持っている最高の技術を全て投入している。
このクルマが何の為に作られたか? あくまで想像に過ぎないが、おそらくは今メルセデスが大々的に宣伝している「FFモデル」に近々投入される「A45AMG」を売るための作戦だと考えられる。A45AMGはこれまでメルセデスがあまり実績を持っていなかった「4WDターボスポーツ」というジャンルに投入される高性能モデルで、それなりの量販をメルセデスは期待しているようだ。このモデルはベンツでは初めてといえるようなスペックだが、他のスポーツブランドではすでに参入しているところもある。
約20年の歴史を誇る三菱のランエボを始め、スバルやアウディですでに同等の性能のモデルが存在する。これら強力なライバルを押しのけてA45AMGがシェアを獲得するためには、メルセデスの4WDシステム(4MATIC)の宣伝を行う必要があるだろう。これを搭載した「スーパースポーツ」を作ってその性能をアピールすることは自然なことだ。おそらく「A45AMG」や「CLA45AMG」では十分なスポーツ需要を掘り起こすほどのポテンシャルに欠けると考えているのかもしれないが(確かに簡単に売れるとは思えない)。
そこで作られたのが、今回のEクラスのMCと同時に投入される「E63AMG/S/4MATIC」だ。従来はFRの設定しかなかった「63AMG」を4WD化してトラクション性能を重点的に強化した「ターマック用スポーツ4WD」になっている。このジャンルの世界王者はもちろん日産R35GT-Rでその性能は絶対的だ。「E63AMG/S/4MATIC」は0-100km/hで3.8秒とポルシェ911ターボに肉薄していてその性能は「スーパースポーツ」のレベルにあると言える。しかもEセグセダンベースという設計であることを考えると、日産がフーガのボディに自慢の3.8Lターボ&4WDを仕込んだクルマでこれを同じ性能が発揮できるかどうかは不明だ。とにかく驚異的に速いEセグセダンが完成したことは間違いない。
さらにメルセデスが睨みを利かす最大のライバルは盟友の日産ではなく、次世代の4WDスポーツシステムを開発中の「アキュラ」(ホンダ)ではないかと思う。ホンダは来年と再来年にその新システムを搭載したセダンの「アキュラRLX」(レジェンド)と「アキュラNSX」を投入してくる計画だが、メルセデスはその出鼻をくじく為にこのクルマを作ったとも考えられる? ホンダのV6エンジンにメルセデスの現状で対抗するためには(優位に立つ為には)、V8を持ち込むしかないだろう。それにさすがに80kg・m以上のトルクはホンダもまったく想定していないだろう。
これだけのハイパワーを4WDのトラクションで動かせば、日本メーカーはおろか、BMWアルピナだってこれ以上のトルクを出すエンジンは載せていないのだから、それだけでも注目を集めるクルマになりうる。アウディのスーパーカー「R8」に至っては最大トルクは50kg・m程度でしかないし、同じアウディの市販車トップグレードの「RS5」なんて40kg・mくらいしかないのだ(アテンザディーゼルと同じかよ)。もはやアウディは高級車の中では「トルクの鬼」でもなんでもない(もう死語だ・・・)。とにかくこのEクラスのスペシャルモデルを投入することで日独のライバルメーカーを「完封」してしまおうというメルセデスの「野望」が見え隠れする。それにしても1780万円は高い・・・、GT-Rが2台買えてしまう・・・。
↓あまりの新車不足に「日本車追憶」とかいうふざけた企画なんですが、自分のようなガキにはとても新鮮で面白かったです。C&D誌は写真の綺麗さがCG誌以上ですね。ベス◯カーなんかよりも「清潔感」に溢れていてとても大好きな雑誌です。これからも頑張ってほしいですね。
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